中米 パナマ共和国 バヤノ
多国籍軍キャンプ
日本のベムスター騒動からおよそ三日。
以前、メキシコ南部にまで飛行性昆虫型特殊生物が侵攻してきたことにより各地で混乱が生じていた中米地区。現在はなんとかコスタリカ以南の地帯への押し返しと封じ込めに米州諸国は成功していたが、予断を許さない状況が続いていた。
「間もなくブラジルの巡回部隊が帰還するぞ、ゲート開閉準備!」
「監視塔の見張り員は周辺の警戒を厳としろ!」
『了解』
そしてここは、今現在中米の対特殊生物防波堤となっている町、バヤノ。
町の横を流れるチェポ川周辺にはカナダ・ブラジル・米州機構の派遣部隊やアメリカ合衆国海兵隊が集結している臨時的な駐屯地が出来上がっていた。
「見えた!歩兵部隊を確認!!」
「収容準備ぃ!!」
近年の南米ブラジルでのクモンガ大発生以降に活発化した米州の昆虫型特殊生物の出現と侵攻は、南米大陸に留まらず、中米南部にまで飛び火しつつあった。
そして数ヶ月前には前述したように、満足な対空装備を配置していなかった南米諸国が築いていた防衛線を、蜂や蝿の飛行型特殊生物によって簡単に突破されてしまった。
しかし地上の特殊生物の侵攻速度が遅かったこと、個体間の連携などが無かったことや、ブラジルとアメリカの早急かつ大規模な中米派兵により飛行型の駆除に成功したことが重なり、昆虫型特殊生物の中北米への生息域拡大を阻止することに成功したため、大事には至らなかった。
しかしそれでも死者が出なかったわけではないが…。
「ふーっ、歩兵の収容完了っと。おいコーヒー取ってくれ」
「ん。コーヒー飲むのはいいが、監視はしっかり、だぞ」
「分かってる。……しかしこちらもだが、アフリカやインドも苦労してるって話だ、ご苦労なこった」
「向こうはアレか、カマキラスやギャオスか…まだ向こうはマシだと思うぞ。あっちにはガメラやゴジラが連日ギャオス退治に駆けつけてくれてるらしいじゃないか」
「それに、モスラはアフリカにまで出張ってくれてるんだろ?……まあ分かるのは、あちらもこちらも面倒なことなのには変わりないってことかな?」
この地の北部には地球規模の海上物流を支える世界三大運河の一つ___パナマ運河が存在しているため、その重要性から防御陣地が作られるのは当然であった。
しかし、中米以南の国が全滅したわけではない。あくまでも発見した個体の撃ち漏らしや北へと逃げてくる個体の撃破が現在は主となっているため、防衛線と名がついてはいるが、その防衛に赴く多国籍軍の駐屯地は良くて規模を大きくした検問所、監視所と言った方が役割的にしっくりくるのではないだろうか。
「よし。"キラービー"は飛んでないな。ギャオスも見えない」
「昨日の夕方、別の駐屯地のアパッチがギャオスに落とされたと聞いたぞ。本当にここらはヘリと対空砲だけで足りるのか?最前線だぞ こっちは」
「明日にはアメリカ本土からB-100がやってくるらしい。大量の爆弾でこの地に存在する育ちきってないギャオスのハイヴを徹底的に破壊する算段とのことだ。いくらか負担が減ることを祈ろう」
「豪州連合の、例のN2とか使えばいいんじゃないのか?」
「お前…それはいろいろとマズイだろ___っ! 敵襲ーーーッ!!!」
ウゥゥーーーーーーーーーー!!!!
監視塔に登っていた片方の見張り員が敵___特殊生物の接近を感知。すぐさま駐屯地内のサイレンを鳴らし非常事態を報せる。
『ゲートの完全遮断急げ!!基地内の部隊は戦闘配置!!』
サイレンが鳴ったことによって駐屯地内が慌ただしくなっていく。
そしてすぐに監視塔の無線には現場指揮官から連絡が入ってくきた。
『敵のタイプと数は!』
「はい!敵は"バグ"です!中隊規模のウォリアー・バグの群れであると確認! なおその他の飛行型並びにギャオスは確認出来ず!」
「正面ゲートへ真っ直ぐ来ます!距離約1500!セントリーの準備を!!」
『今回は混成ではなかったか。よし、コブラによる対地攻撃で消し飛ばすぞ!』
ちなみに、昆虫の定義とは、主に六脚であることとされているが、虫型の特殊生物はすべて昆虫型に分類されている。つまりは突然変異したムカデやクモといった特殊生物も同様にして昆虫型と定義されるのだ。
そしてここで説明しておくが、現在駐屯地を攻めている、"バグ"と呼ばれている特殊生物は、本来地球に存在しない、真社会性のクモ型宇宙生物である。…クモに似てはいるものの、本当にクモであるかは甚だ疑問ではあるが。
そう、今の南米は日本や豪州に劣らないほどの強力な異常磁場の発生によって、現地の突然変異種だけでなく、起源不明の地球外種までもが現れる魔の巣窟と化していたのだ。
これが南米から昆虫型特殊生物を完全に駆逐しきれていない原因にもなっていた。未知の生物と対面することには危険と犠牲を多く伴う。それがポンポン平然と繰り出されてくるのだから当たり前だろう。
『ヘリを上げろ!上から蜂の巣だ!! 何を言ってる ガンシップも全てだ!!』
『歩兵戦闘車を前方に配置しろ、壁役にするんだよ!』
『急げ急げ!アイツらは待ってはくれないぞ、早くしろ!!』
『何度来れば俺達に勝てないって学習するんだ!? これで6度目だぞ!?』
迎撃態勢に入る駐屯地内の各部隊。外ではセントリーガンの射撃音が途切れることなく鳴り響き続いている。それは相手がそれほど近づいていることを示すものでもあった。
バグの仕掛けてくる戦闘スタイルは主に物量にものを言わせた波状攻撃である。一度の襲撃で終わるわけでは無いということだ。
それほどの数をどうやって用意しているか、それは恐らく地下に作られる巣だろう。バグ以外にも巣を作り、大量の卵を産む特殊生物は数多い。しかもそれらの殆どが南米に生息する昆虫型である。
米州からしたら、たまったものではないだろう。こちらの駆除能力を上回る速度で繁殖し拡散されたらそれこそ終わりの見えない戦いの始まりとなるのだから。されども幸か不幸か、今のところは蟻型などの特殊生物は確認されていない。今のところではあるし、確認されている蜂型も十分な脅威ではあるが。
だが米州各国が奮闘しているのに嘘偽りは無い。無いのだが、やはりあらゆる力が足りないのだ。それは先進国と呼ばれている国の力を合わせても、である。
「なあ、今までのバグの波状攻撃の平均回数はいくつだ?」
ここで監視塔の見張り員の一人が相方に惚けたような口調で訊ねる。
「……4、だな。数は減っていくが。だがいつも通りやるしかいない」
「ああ!やっぱコイツらの相手が一番嫌だね!」
「さあて第一ウェーブだ…気を引き締めていこう」
目前まで迫ってきたバグの軍団。彼らは持っていたアサルトライフルを手に有効射程まで引きつけていく。
そしてセントリーガンや迫撃砲の猛撃をすり抜けて現れたバグに対して彼らは引き金を引いた。
ババババババッ! ババババババババッ!!
米州、特に中南米の抱える特殊生物事情は依然として厳しい。
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極東アジア 日本国東北地方 青森県 岩木山
ブラジルが真昼だった一方で、地球の反対側にあたる日本は真夜中である。
しかし、ここ岩木山の北側麓の開けた森林部地上は多数の大型重機に占領され、空は無数の民間・陸上自衛隊のヘリコプターが飛び交い、それらに搭載された照明によって地上は照らされ、まるで昼間のような明るさであった。
バタバタバタバタ!
「まったく…慌ただしく設備を整えて…しかもこんな真夜中に……ねむ…」
「わざわざ夜遅くに関東から来てもらってすいません、香月先生。 こちらです。自分について来てください」
照明に照らされ、周りが慌ただしく動き回っている中を歩いているのは、つくばの生総研本部からやってきた、ロボット工学の世界的権威として有名な人物でもある香月だった。
そして彼女の護衛役として横には戦闘服を着込み、〈89式小銃〉を背中に背負った若い特生自衛官が一人付き添っていた。研究者に武装した自衛官が護衛が付く時点でこの山麓に何が現れたのかは大方想像がつくだろう。
「あなたは悪くないでしょ。鈴木さん…だったかしら?古代の遺物の発掘なら、生総研からは早乙女博士のような考古学者が真っ先に呼ばれるはずなのに何故私なのか、あなたが説明してくれる?」
「はい。自分が聞いた話では、まずはじめに出土してきたのが未知のセラミックで出来た…形が回路基板や自動小銃…大きな物に至っては旧ソ連で計画されたという二足歩行器に酷似したものもあったとかで、枠組みを考えれば…先生が適任であるとして呼んだのだと思います」
「なるほど。精密機器や準ロボットの先祖みたいなのが出てきたから私に白羽の矢が立ったのね。それに自衛隊もいる理由が分かったわ。早く調べ上げて私は帰るわね、本部にはゲッターや欧州の方からの連絡も待ってるし」
「了解です。間もなく一番進んでいる発掘現場に着きます」
そうこうしていると、件の発掘区域に二人は到着した。
そこにはクレーンやショベル、ブルドーザーと土木工事には欠かせない車両群がそこかしこで動いていた。小さな子供がこの光景を見たならば大はしゃぎするだろうと思うほど、そこには尋常ではないほどの数の作業機械である重機が投入されていた。
「一昨日発生した日本海沿岸地震の影響による山麓の地割れの中から、超古代先史文明の物と思われる遺物が出てきた…偶然にもほどがあるわね」
「見回りに来た管理人が第一発見者だそうで………あ、ここからは簡易的な階段で下まで降ります。骨組みが剥き出しなので足元に注意してください」
二人は階段で発掘場の一番下部_と言っても底までおよそ6メートルほどまでであるが…_まで降りると、多数の機材が置かれテントが張られた場所に着く。
香月は回収された出土品群を一瞥し、鈴木の後に続く。
「………装輪付きの砲台……のような残骸に…巨大な棺桶……車かしら?」
「しかし形が似てるだけでそのような物は…しかもこのような地上付近に現れるなんて…」
「人類史以前からの度重なる地殻変動によって地下深くにあったものが地表に現れるのは珍しくないわ。例えば、エベレストのアンモナイトとかね。
それに、ギャオスのような超古代生物であろう超常的存在が世界に現れているし、近頃新たな地下・地上・海底遺跡が各地で狙ったように見つかり出している時点で、そういった技術を大昔に持ち得た文明があったことは確定よ?ていうか、もう発表して公言しちゃってるけど。
ギャオスを生み出すほど、ゲノム技術が進んでいたのなら、少なくとも文明、特に軍事レベルは現代よりも上かもね。まあ、セラミックで作られた遺物を見せられたらその説は濃厚かしら」
「現代レベルの科学力を持ちながら滅びたことと、セラミックで機械群を製造していたかもしれないことが個人的にはかなり気になります。 何らかの条件か環境か何かに縛られていたのでしょうか?」
「それは今から調べてみないとわからないけれど。 でもどの道、かなり人類史的にも地球史的にも重要なものなのは変わりないわね。
それで、これだけのことなら私は呼ばれないわね?目の前のテントに入れば詳細が分かるのかしら?」
「はい。先ほど先生が目を通された棺桶状の遺物と同じような物が埋まっているのです。しかし、形状が周りの物と違うと…」
「形状が違う?」
「他の人間が言うには、保存状態のレベルが明らかに違う…とのことで、もしかしたら稼働することも有り得る…らしいです」
「ふーん……気になるじゃない、ソレ」
香月が鈴木からの説明を聞きながら一際大きなテントの中へと入っていく。
そこには鋭角と直線的なラインと三角形状の面で構成されたシャープな印象を受ける灰色の巨大な箱型の遺物が、眩しい照明によって照らされながらそこに鎮座してあった。長さはざっと4〜5メートルほど、高さは2メートルは無いぐらいであろうか。
よく見れば地面に底面は着いてはおらず、丸太ほど太い切り株のような円柱が箱と地面を繋げるように刺さっている。どうやらコレが箱を支えているのに一役買っているようだ。
「一本足の棺桶…」
「足と言うには肥満すぎると思いますけどね」
「………もう少し下を掘れる?この柱の根本を見たいわ」
周りの作業員や自衛官が香月の指示に従いスコップやピッケルで慎重に掘り始めた。他方から派遣された研究員達もそこから一時も視線を外さずに作業を見守る。
ガッ! ガッ! ガッ!……ガツッ!!
「! 一旦やめて!」
作業員の一人が地面に突き刺したスコップに何かが当たった。
香月の指示通りに今度は手やブラシ等で土や石を丁寧に退かす。
すると地面から出てきたのは箱と同じような素材で構成された物の一部が顔を出した。周囲の地面を掘ってもそれ以外が出てこないので、ある範囲までそれらが広がるように埋まっていると思われる。
「ここらを掘っても全部灰色の固体ですね…」
「継ぎ目も無いってことは、これは…なんらかの施設の床、なのかしら?」
香月は僅かでも、灰色の物質に対する知見を得ようとペンライトで照らして表面を調べようとする。
他の研究員らも真似するように照元を持って照らして確認する。
___ズズズズズズッ!
「な、なに!?」
「余震か! 先生、頭を守ってください!上から機材が落ちてくるかもしれません!」
香月が考察に難儀していたその時、大地が揺れ出した。しかしすぐに揺れは収まり、大事に至ることは無く、被害は作業員の一人が転倒した弾みで軽く手首を捻ったぐらいである。
「今の揺れ……縦揺れと横揺れが定期的に入れ替わっていた…」
「揺れの向きが入れ替わる…?」
「これは恐らく余震では___!!」
香月は気づいた。揺れが収まった後、箱の方に目を向けたら、箱の所々が発光していることに。
『atgdjpadwgtp'dt"@jQ.da@p'wp?』
次に箱が世界のどの言語とも認識出来ない音声を発する。
それに混乱し、恐怖した他の研究員や作業員らが上へと続く階段へと足をもつれさせながら逃げようとする。そしてそれを守るように鈴木ら自衛官達が香月達を後ろに下がらせ箱の前に立ち銃を構える。
それでも、こちらの動きを無視して音声の発信を箱は続ける。
『@qt'admtgg"wda@ptda@h#vwmd…』
「やられる前に………撃ちますか?」
「いえ、まだ控えてちょうだい。それに銃が効くかも怪しいわ」
警戒を怠らず箱の動きに注視する一同。
しかし箱が今度発したのは片言の日本語であった。
『___光力ヲ動力ヘ変換。現人類ノ使用言語、表現形式ヲ解析完了。本機ノ言語機構ノ更新ヲ完了。』
「日本語だ…日本語で喋ってる」
「これは超古代のロボット……か?驚いた……」
「たったものの数分で現代言語…それを理解したというのか……」
「コミニケーションが取れるのか?」
「まだ撃つな…」
その場にいる全員がどうすれば良いか分からず動けなくなっている中で、香月が一歩前に出ると箱に問いかけた。
「………あなたは、何者?私は香月、香月 夕呼よ。周りからは博士とも呼ばれているわ」
『……ハイ。ハジメマシテ、コウヅキ博士。ワタシハ、人類ノ補完、生存、保護ヲ完徹スルベク製造サレタ"六式戦闘機人"…〈
「クナト……そして人類の保護……機人…? えっと、まず一つ。あなたはロボット、なのかしら。それで合ってる?」
『ハイ。人類ガ定義スル、"ロボット"ニ当テハマリ、ソノ中ノヒトツデアル自立無人型ノ大型二足歩行ロボット…ニ該当シマス。』
「…てことは…今私が話しているその箱みたいな箇所が…頭部で……」
『ソノ下ニ、超硬セラミックで構成された胴体、腕部、脚部ガ地中ニ存在シテイマス。』
つまり今までピッケルやシャベルに当たっていた灰色の何かとは、衛人の一部、それも胴体の首周りであったのだ。
「これもセラミックだと…?この硬度でセラミックなのか?」
「…次に、あなたはいつ、どこで、誰に作られたの?私達が現在の人類に当てはまるのなら、それ以前の人類はどのような文明を築いていたのかしら?」
『___現在ノ周辺地理状況ト、時代確認…世界情報網ニ簡易接続……』
「せ、世界情報網…?インターネットのことですかね?」
「独力で正確かつ高速な演算に、柔軟な思考が出来る。そして現代の通信環境と同期して接続をするって…頭おかしいわね…」
「我々が現在目指している完成された人工知能ですね…。こんなのを生きている間にお目にかかれるなんて思ってもみませんでした」
「今のAIとは全く比較が出来ません。今の技術レベルならばこれの数億倍…いやもっと……恐ろしいほどの、無限に等しい時間が掛かるはずなんですが…」
『情報の収集、統計完了。私は、中央歴3209年___紀元前3万年前に、当時陸地であった太平洋海底地域に存在していた"世界統一機構"の第六次機人建造計画によって生み出された57番目の人型戦闘兵器です。
私達機人は、先史文明のあらゆる分野の産業を手助けする役割を念頭に置かれて生み出された存在です。』
「国際連合のような組織まであって、戦闘用ロボットとして作られたってことは、局地紛争の武力解決などのためにあなた達は作られた?」
『いいえ。私を生み出した先史文明は、地球環境の汚染を進めてしまい、産業だけでなく文明全体が疲弊し崩壊寸前にまで追い詰められた時期がある時訪れました……。
そこで地球環境のこれ以上の悪化を良しとしなかった統一機構は、自らの行いによって汚してしまった陸海空の環境を改善する生物群を人工的に作り出す生体浄化装置の開発に全力を注ぎました。しかし、装置が完成し、各地に広まり社会の立て直しが始まると思われた矢先、先史文明と人類の今までの行いに絶望していた一部の科学技術者の一団が統一機構に反旗を翻しました。』
会話を交わしながら言語能力を向上させているらしく、先ほどよりも断然流暢に日本語で説明を始めた衛人。機械知性でありながら人間と大差無い言語能力への成長は、話の内容抜きでも一同が騒然となる理由になった。
「反乱、クーデターでも起こしたのか?それも少数の技術者で…」
「……なぜ彼らはそのようなことを? 人類が地球と共に生きようと考えを改めたんでしょ?」
ここまでの話の内容だけでも、御伽話のようで信じられないことが多いが、なおも話を続ける。
『反乱者達は再び人類が地球を汚すことを恐れ、事前にそれを阻止するために動いたのです。彼らの殆どが遺伝子工学の秀才達でした……。』
「ま、まさかその人間達が生み出したのが___」
『コウヅキ博士が推測している通りで間違いありません。彼らによって生み出されたのは人工遺伝子生命体、人類浄化装置__ギャオスです。今コウヅキ博士達、現代人類に猛威を奮っている特殊生物と定義されているギャオスの個体群は、耐久卵によって仮冬眠に入って"次"に備えていたモノ達の末裔です。』
「「「…………」」」
一同は絶句する。
遥か太古に、それも人類が人類を滅ぼそうとして作られた生物兵器が今自分達に牙を剥いていることに憤りだけでなく、同時に悔悟の念を覚える。
それはギャオスがこちらの時代に蘇り現れたのは、単に先人らだけに非があるとは思えなかったからだ。
『そして反乱者達が解き放った災影、ギャオスは、その驚異的な繁殖力と適応力にものを言わせ、先史文明の各地の都市圏セクターに襲いかかり、ギャオスと先史人類の総力戦に発展。圧倒的なギャオスの軍勢に対してまとも戦っても敵わず、人類の絶滅抵抗戦争という形相を呈しました。それにより辺境の地でさえも戦火が降り掛かっていきます』
「絶滅…抵抗戦争……そんなことが…」
「全世界を相手に反乱した奴らとギャオスが優勢に進めたのか…」
『ですが、彼らは元からギャオスを支配下に置こうなど思ってはいませんでした。彼らは自分達さえもギャオスの進化の為の糧となるべく命を投げ打ったのです。当然研究資料なども廃棄して。
これにより、先史人類は一からギャオスの情報を集めて対策を取ることしか出来なくなりました。しかしギャオスは無限に進化を続ける生命体です。新たに対策を生み出したその時には、ギャオスがそれらの対策を克服、若しくは無力化してしまうのが常でした。
そして、地球全体に高度なセラミック文明を築いていた先史人類は、戦局の劣勢化により、戦争中期には首都セクターの存在する現太平洋中央地域までその勢力を狭めることになります。
そこでようやく先史文明の科学者達は、地球環境改善後の新資源として注目していた、純地球産の霊的エネルギー、"マナ"を軍事転用し、それを利用した決戦兵器群とそれの戦闘支援用に調整した機人である、私達戦闘機人の開発・建造に着手しました。
ちなみにマナとは、コウヅキ博士の出身国___ニホンが現在研究を主導している、勾玉にも宿っているものです。勾玉は、ガメラへの動力給与と通信装置を兼ねた発明です。』
「もうそこまで調べてるのね。なるほど、あなたを作った文明が、例の勾玉の生みの親だったわけね。なるほど、謎が少し解けてきたわ」
「霊的エネルギー…ですか…」
「あ……翡翠の勾玉はガメラと子供達の交信ができる………なら、マナを使うということは、その決戦兵器って言うのはガメラなんじゃないですか!?脚部にジェット機構を保持した生物なんて生物学的にもあり得ませんからね!!」
一人の研究員がふと導き出した考察に対して、それを事実であると衛人は肯定する。
『その通りです。しかし、決戦兵器であったガメラをも満足に数を揃えられず、そして戦争末期の事実上、最後の建造計画で生み出された第六世代機である、私達六式機人は独自の思考を持たされた唯一のシリーズでありましたが、それも膨大な数のギャオスの前では無力でした…。
それからは、文明首都の陥落に伴いそこに位置していた司令部などが軒並み瓦解。組織的な行動を指示する者がいなくなります。
私達は最終目標を再選考しました。その後私達は残存している人類の守護と言う答えを導き出しました。僅かに生き残った人類が築いた辺境のゲリラセクターに機人がそれぞれ分かれて向かい、侵攻してくるギャオスを退け続けました。その後のことは把握出来ていません。
長い自己整備期間を迎えた私達はこうして、再び光が当たる日まで再起動を待ち、停止した状態だったのです。』
「ガメラとギャオスは因縁の相手、では片付かんだろうな…」
「つまりは他にも世界中に、機能を一時的に止めている機人がまだ存在している?」
「ガメラも古代文明が作り出した兵器の一つだったのか。……そして今もなお戦っている、のか…」
「香月先生、この話だけで長編小説丸々一つ書けますね…」
「ええ、そうね…」
「多分我々と先史人類との繋がりは薄いだろう。もしくは、文明レベルが大きく後退したことによる歴史の繰り返しに入ったか……。
こちらはセラミック文明として発達してはいないし、このように柔軟な思考を持ち、自己判断が可能な高レベルの人工知能を搭載したロボットを作る技術も無い」
「私たちの文明に影響を与えないぐらいの先史人類の生き残りが今の日本や世界各地にひっそりと移動して来たということですかね…兵器らしい出土品のことも考えれば、衛人のような機人が眠りについた後もなんとか生きようとしたんでしょう…。
こんなんだったら、嫌でも早乙女博士を引っ張ってくれば良かったわ…」
「当時の日本人…それも大昔のご先祖様たちにとってはここの物品はオーパーツってレベルを正に超えてただろうからな。発見した時には恐ろしすぎて記録することもなく、すぐに土へと埋めて歴史の闇に葬ったんだろう。それが同様に世界で行われたに違いない。 だからこうして発見することも、この時期に地震が起きて地表にひょっこり現れなかったら存在自体知ることも無かったかもな」
「いやはや…超古代の記録を当時のロボットが我々と会話して伝えてくれているのには、まだ現実感が感じられんよ…」
『私は人類が存在する限り…それを守護します。ですが長年の機能停止状態により、駆動部品、保有武装や先史文明の映像記録、兵器の情報保管機などに劣化や損傷が多々見られており、その使命を完全に尊守することがほぼ不可能となっています。
誠に遺憾ですが、私に現在出来ることは限られている状態…ここで小規模な情報収集と情報の提供が出来る程度です。』
「そうなのね。でもまだまだ聞きたいことがあるの。協力をお願いしてもいいかしら?」
『勿論です。こんな私がコウヅキ博士達、現代人類の助けとなるのなら、喜んで協力します。』
「……この研究も長くなりそう…いや、長くなるわね。いいわ、望むところよ!」
取り敢えず香月達の力もあって、超古代文明の遺産である生き証人を現人類の協力者に就かせることに成功した。
果たして、文明の崩壊を目にした人類の守護者であった機人が持つ情報には、現代人類へ有利に働くもの、不利に働くもの、どちらを多く享受出来るのだろうか。
それは今後の彼らの働き次第であるはずだ。
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西ヨーロッパ フランス共和国 パリ
欧州連合科学技術研究所
別名、"欧州の生総研"とも呼ばれている本研究所は、ヨーロッパのあらゆる人材が集う、欧州一の設備と環境が整えられた研究機関である。
現在この研究所では、ある特別な研究に全力を注いでいた。
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それは欧州六月災厄を完全に終息させる一環として、フランスに派遣された欧州連合軍がパリのカイロポット掃討作戦を行なっていた際の話である。
小型成長個体及び中型以上のカイロポットはすべてベルリン侵攻に出払い全滅したため、彼らの巣と化していたパリの地下構内は小型の幼体種が居座っていたのみであった。
「ミシャァアッ!!」
パパパパパッ!! ___ドシャァ…
「ギョォォ……」
パァン!
「……通路制圧。」
「クリア!」
「異常無し!」
「此方もクリア!」
「オールクリア。……これより最終段階に入る。死角を無くせ、やられるなよ。小型の残党だけとはいえ、奴らは素早いぞ。」
「他チームより報告。繁殖場と思われる場所の制圧を完了したとのことです」
「そうか。では残るは我々の管轄のみだな。」
地下内部の大部分の制圧を終え、残るはカイロポットたちが狩った獲物を蓄える貯蔵室と排泄物の処理場として使っていただろう区画の掃討を残すのみであった。
そして区画に部隊が突入し、難なく制圧した。
「……ここは一段と汚いな…ある物すべてを焼き払うしかないか。」
「そうですね 長居はしたくはないです。 ………隊長、コレ…見てください」
「ん?……これは…USBメモリか? こっちはノートパソコン…なのか?」
「文字が書いてます………中国語か日本語かな?」
「あ、自分それ訳せます。日本語ですよソレ」
そこで見つけたのがカイロポットの消化液と唾液に塗れていた、"日本語表記の"記憶端末群と多数の電子機器だった。
「食いもんじゃないから吐き出したんでしょうね。おかげでベトベトだ…」
「なんて書いてるか教えてくれないか?」
「ええ、任せてください。えぇっと………特殊、生物…災……害…、すいません、啖呵切ったくせにこれ以上は分からないです…もう少し状態が良ければ読めるんですが」
「察するに…特殊生物関連の情報が入っているかもしれん。回収するか…」
現場の彼らは知り得ないことであったが、本来なら考えられないことであった。
なぜならパリ市内の特殊生物関連の行方不明者や年間の国内行方不明者の中には日系人はおろか、純日本人は入っていなかったのである。
被害者となった通行人が落とし物として拾ったとも、日本人の知人から借りていたとも考えられなかった。スリ犯がカイロポット被害者の中にでもいたか……いやそれも恐らく違うだろう。
これを不審に思った制圧部隊は、状況証拠として除染作業後に、焼却処分をせず研究所にサンプル群として送ったのだった。
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場面は現在にまで戻そう。
欧州連合科学技術研究所の屋外敷地を、足早に歩く影が一つ、さらにそれについて行く幾つかの影があった。
「早くニホンの政府と生類総合研究所にこれを回して訊ねるわよ、中身があんな恐ろしいものばっかりだったなんて!」
「管理官、アンジェラ管理官!ゆっくりお願いしますよ…!」
「あなた達のペースに合わせて動いてたら遅いのよ! ゆっくりなんてそんな優しくしてる暇はないわ!ほら、空港まで早く行く準備をする!!」
先頭の影の正体は白衣を纏った、腰まで伸ばしたライトブルーのロングヘアーを靡かせている女性、アンジェラだ。
彼女は欧州連合でも指折りの科学者であり、世間にも広く認知されている。また、今回の件の担当主任を拝命されている人物でもある。
そしてその後ろにいる影もまたこの研究所の技術者たちである。彼らはパリ地下構内で発見された例の物品を厳重なセーフティが掛けられているボックスの中に入れて運搬していた。
当然それの護衛の為に、所内で雇っている民間警備会社のスタッフもついていた。そんな警備員らは箱の中身が気になっているらしい。
「先生方、コレの中身ってなんですか? 良ければ教えてもらっても?」
「僕らも怖いんですよ、長年この仕事やってますけどね、得体の知れないブツを扱うってのにはどうしても慣れない。 本当に僕らが命を懸けて守るに値する物なんですよね?」
「おい、その言い方は失礼だぞ。下手したら首が一発で飛ぶこともありえるんだからな!」
「………教えるよ、だけどまだ絶対に口外するなよ。俺とここにいるアンタら少数の警備スタッフだけだぞ。特別だからな…」
警備員の質問に対して、取り巻きの研究員の一人がアンジェラの様子を伺ってからコソコソと口に手を当てて中身の詳細について少し教えてきた。
「この中に入ってるのは、記憶装置…所謂メモリーとか、そんなやつばっかりだよ」
「メモリー? まあ今の世界じゃ、情報を制することが大事だって言われる時代だが、そんなにヤバい何かがその中にあったのか?」
「ヤバいってレベルじゃない……あの中に入ってたのは、主に高度な軍事技術と特殊生物に関する情報だった。それも、ニホン人が作ったと思われるやつだ」
「ニホンの? 別に驚くことはないんじゃないのか?」
「ニホンは技術大国で、国民も大半が勤勉な連中だ。軍事だって世界トップであるし、特殊生物だって何度も撃退してる。それほど深刻なのかい?」
「……情報がただのレポートとかそんなちゃちなもんじゃなかった。例の一部を挙げるなら…まだ発見されていない特殊生物さえも事細かに記載された戦闘データや特殊生物の細胞と遺伝子を用いた人体実験の記録、またそれで開発できた人造兵士、今の技術では到底作り出すことが難しい元素粒子反応砲や高周波サーベル、禁止条約に中指立ててるとしか思えないほどの即死レベルの凶悪な毒ガスと言った化学兵器のデータなど…が山ほど入ってたんだ」
ここまで聞けば誰でも事の重大さに気づくだろう。
これが事実であれば、当の日本はおろか今の人類にとって危ない代物である技術の数々が詰まった"ニホンの記憶装置"………これが危険人物や軍事国家、テロ組織にでも渡ったら……どんな惨状が待っているのかは容易に想像がつく。
その前に思うことがある。これは本当にニホンの物なのか? だがあまり考えたくない。
自分らが今まで渡ったことの無い危険な橋を渡っていることを理解した警備員達は、本当に自分達が仕事を全う出来るのかという不安がよぎり、額からは止めどなく嫌な汗が流れる。明らかに扱う代物は、自分達の手に余る物ではないのかと。
万一、何処かで情報が漏れていたら、今、この瞬間にもこの情報を狙っている組織や人物が向かっている可能性もあるのだから。
「でも君達が警備を担当するのはド・ゴール空港までの車両護送だよ。なに、安心するといい。軍からも護衛が出るそうだ」
「それなら、最初から軍が担当してくれれば…」
「難しいんだよ。警備が必要なところに警備が置けないのはよくある。まあ、いろいろとね……」
「はあ…………ん?」
若い警備員は自分の知らない世界についての話もされたところで適当な返事を返す事ぐらいしか出来なかった。
そして自分達が守らなければならない箱から目を離し、ふと遠目に研究所の内と外を隔てる防壁に視線を向けた時だった。そこの防壁の周りを歩いていた同期だろう警備員がうつ伏せに突然倒れたのだ。
そのことを彼はすぐに隣の警備員や研究員に伝える。
「先輩…あそこの警備員、急に倒れましたよ……」
そう言った時だった。所内に明確な発砲音が響き渡ったのは。
パァアンッ!! __ドサッ…
発砲音が鳴り一人倒れると、今度は立て続けに銃声が鳴り出し、第一犠牲者の周辺に立っていた職員、警備員が一斉に軒並み倒れる。すると間をおかずに防御壁の上から黒づくめの者達が侵入をはじめていた。
ここではじめて今現在発生している事態が異常なものであると認識する。
「じゅ、銃撃!! テロリストか!!」
「外側の警備も突破したのか!? いったいどこの組織が…」
「! その箱を早く施設内に!」
アンジェラは、人が倒れた周辺の用水路点検口から次々とバラクラバを被った黒づくめの武装戦闘員が地上に姿を現すのを見た。どうやら壁を越えて来た者達とは別に地下で待機していた班もあったらしい。
ここにいる殆どの者は武装集団の狙いがこの端末等であると直感で悟るのに時間は掛からなかった。
パン! パンパンパン!!
「博士達を守れ!」
「アイツら、これが狙いなのか!?」
香月らの周りにいた警備員が姿勢を低くし、腰のホルスターから自動拳銃___〈グロック17〉を引き抜き発砲。応戦が始まる。
ガガガガガガガガガッ! ドドドドドドド!
しかし火力差は歴然であった。警備員達の最大火力が〈MP5〉サブマシンガン…短機関銃であるのに対し、武装集団の方は、その頑丈さと低コストで入手できる大口径自動小銃として世界中のテロや紛争でも使用された〈AK-47〉アサルトライフルである。
銃弾はこちらが盾にしている障害物を徐々に抉っていき、武装集団は制圧作業に移りだしていた。状況はさらに悪化していく。
「クソッたれ!ここはアフガンでもなんでもねえんだぞ!!」
「敵、なおも増大中!」
『身動きが取れません!』
_ドォオオオン!
『こ、こちら南ゲート!緊急事態発生!!至急援護を___』ブツ!
無線から悲鳴や怒号が飛び交う中、今度は、後続と目される戦闘員が対戦車兵器___〈RPG-7〉を担いできたのを警備員らは確認する。
彼らは恐怖した。その対戦車擲弾の威力から、本来の対車両戦に持ち込まれるだけでなく、対人にも使われることもある恐ろしい兵器である。当然の反応だ。
こちらの装備は最低だと拳銃と簡易的なボディアーマーに、警備会社のロゴが貼られた、頭を守る義務を放棄した柔さのライトキャップだけ。あんなものを撃たれたら……いやな未来が脳裏をよぎる。
「も、もう限界だ!うわあああああ!!」バッ!
「待て、今ここから立ち上がったら!」
ガガガガッ!
「ガハッ!?」ドサッ…
静止を無視して逃げ出した小柄な研究員に銃弾が集中。白衣を赤く染めながらゆっくりと倒れた。
「言わんこっちゃない!!」
「…アンジェラ博士!ここは我々が食い止めます。あなた方はソレを持って施設内のシェルターに!奴らに渡してはいけない!」
ドカァアン! ドドドドドドド! ドドドド!
「え、ええ。分かったわ!数人ずつ銃撃の合間に___」
カンッ! コロコロコロ………
彼らのやり取りは、固く黒い丸いモノが転がってきたことで中断を余儀なくされた。
「手榴弾……!!」
「嘘………」
認識したころにはもう遅かった。周りに退避と伝える間もなく地面に存在感を放っていた黒光りする手榴弾が炸裂した。
カッ!___ドォオオオオン!!
ザッ、ザッ、ザッ………
「"特務"に報告。一部データが破損してしまったが、例の兵器情報を入手したと」
「あとは出来る限り内部の人間を処理、その後すぐ撤退ですか?」
「それは他がやるからいい。…………彼らには同情するよ。コレさえ持たなければ彼らは死ぬこともなかった」
「ですが、これが我が国にあれば世界だって救えるんです。正しいことをしたんですよ、我々は」
「ご託はいい。コレを運び出し、軍と警察が本格的に集まる前に蹴散らして逃げるぞ」
「他の奴らは置いていくんですか?」
「彼らは囮だよ。本物のテロリストはここで死んでいけばいい。死にたがってる奴を止める筋合いはないだろう」
研究所を襲撃した黒づくめの彼らが、記憶装置の入ったボックスに触れようとした時、突如何者かに足を掴まれる。
「……はぁ、はぁ…ダメ…それを持っていったら…やめて……」
「あなたは……アンジェラ博士か。あなたにも悪いことをした。その姿、さぞ苦しいだろう…せめて一発で楽にして差し上げろ…」
「…了解」
「それは…私たちの手に余る代物よ……お願い、それは______」
___パシュッ!!
「………申し訳ない、我々にはその力が必要なのだ。…丁重に葬れないのが悔やまれるが……撤収だ。全隊員は撤収作業に移れ。テロリストは放置させて構わん」
この日起こった研究所の襲撃は、欧州六月災厄を乗り切り復興に向けて進んでいたヨーロッパ全体を震撼させた。
『先日発生した、欧州連合科学技術研究所への大規模テロは、現場で死亡していた多数の戦闘員がアフリカ系や中華・ウィグル系、中東系で占められていたこと、また使用された武装などから、広域イスラーム過激派組織___IVISの犯行である、とフランス政府は発表しました。
しかし、主犯と目されているIVISからの声明は何一つ無く、予測の域を未だ出ていません。これに対してフランス政府は、怪獣情勢の安定化を見据え、連合議会にIVIS支配地域への大規模空爆の再開案を提出したことが明らかになりました。詳しい情報がまた入り次第、お伝えいたします。
さて、次の話題は各地で猛威を振るう飛行怪獣ギャオスについてです。……えー、各国が対応を急ぐ中、ゴジラ、ガメラ、モスラがギャオス撃退に一役買っているとのことです。現地の人々や有志連合の派遣部隊の間では、"益獣"として見てい___』
互いに手と手を携えて進むというのは、簡単でありそうで実はとても難しいものなのかもしれない。
☆★☆★☆★
おまけ 『星人二十面相』
黒森峰学園艦 男子寮
ハジメの部屋には、部屋主であるハジメと弟として迎えられたシンゴ、そして熊本本土の隠れ家からテレポートして通っている半分同居人と化していたイルマの三人が座って話していた。
時に、はしゃぐ声や笑い声が聞こえてくる。
「すごーい!イッチお兄さんとソックリな顔だー!」
「ふっふっふっ…すごいでしょ?」
彼らはいったい何をしているのか。それはイルマの変装能力を利用した顔芸の披露である。イルマが次々と顔を変えていくのを見てシンゴが笑っていたのだ。
……その隣で二人のやりとりを見ているハジメの顔色はあまり良くはない。顔面はもはや肌色ではなく蒼白に突入していた。
「じゃあねじゃあね!次は宇宙人の顔やって!」
「いいよ、……それっ!」シュバ!
イルマは今度は"メフィラス星人"の顔に変える。目を輝かせるシンゴ、脂汗が吹き出しはじめたハジメ。
なぜハジメがこのような反応をしているのかというと、少年教室がいつもより早く終わって帰宅したシンゴと、ハジメの様子を見に来ていた素のイルマがバッティングしてしまったからだ。
「うわ〜!どうやってるのソレ!」
「企業秘密ってやつだよ♪」
本来ここにいないはずの"ハジメお兄さんの友達"。通常体となって話していたイルマのことをなんとか手品が趣味の友達であると説明し、口外しないことを頼み、それをシンゴが受け入れてくれたため一安心していたら、上のような状態になっていたのだ。
「んーと、次はこれでどうだ!」シュバ!
イルマは、自身の本当の姿であるザラブ星人へと姿を戻し、シンゴに見せる。当たり前だが、シンゴはその事実を知らない。
数瞬経った後、シンゴにイルマは以前ハジメに聞いた問いと似たことを訊ねる。
「ねえシンゴ君」
「なぁにイルマお兄さん?」
「……もしも、ボクの本当の姿がコレでも、仲良くしてくれてた?」
「イルマ………」
イルマにも悩みというものはあった。たとえ人同士であったとしても、姿形が変わってしまえば、それを醜くなった感じる者、以前よりも良くなったと感じる者など様々だ。
それは星の生まれが違えばさらに厳しくなるだろう。今の地球ならば尚更と言えよう。同じ地球人で様々ないさかいが未だに続いている。
イルマに対してシンゴは答える。
「うん。してたよ!どんな顔になっても、イルマお兄さんはイルマお兄さんだから! ……それがどうしたの?」
「そっか…………そうなんだね。うん、ありがとうシンゴ君」
「……良かったな、イルマ」
こうして、部屋は暖かい空気に包まれたのだった。
未知なるモノとの架け橋を築くのは、いつでも心ある者達である。
どうも。野球部更新と、青春系リメイク『俺達の学園艦700日間戦争』の設定を進めている逃げるレッドです。
クナト君の元ネタは「シドニアの騎士」に登場する衛士シリーズですね。
これが超古代先史文明…ガメラやギャオスを創り出した文明のオリジナル設定の説明でもあります。
管理人!管理人!(迫真) この世界では善人だったアンジェラ先輩が…。
日本語で記録された記憶媒体群……それはホントに日本のモノなのでしょうか?
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次回
予告
日本での機人発見や欧州での凄惨なテロの発生から数日が経った。
黒森峰はアンツィオ高校との練習試合のため、静岡港に寄港していた。アンツィオ側が本港に到着するまでの間、この状況が続く。
一方で、寄港先の港町では数日前に森林地帯に隕石が落下してから、それに合わせるように、夜間に行方不明となる人々が急増していた。
巷では植物人間を見たなどと言う話が噂となっているそんな中、学園艦から降りて一人買い物に出ていたまほが何者かに連れ去られてしまう!
次回!ウルトラマンナハト、
【孤独への招待状】!
サイドストーリー アンケート(基本ほのぼの)
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紗希のトモダチ
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ミチビキさん サンダース編
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ミライVSマホ カレー対決
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ハジメ、迷い家にて