旧:逸見エリカのヒーロー   作:逃げるレッド五号 5式

5 / 59
非行少年 ガキ大将・いじめっ子、登場。


逸見エリカのヒーロー(アイン) -心を照らす光の戦士-
第0夜 【ぼくらの出会い】


 

 

「そこだ!いけゲットファイター!巨大化怪人なんかやっつけろ!」

 

 

 

 2000年代前半。アナログ放送全盛期。特撮ヒーローが依然としてお茶の間の子供達に絶えず勇気と希望、浪漫に友情…あらゆる夢を与えていた頃____

 

 

 

『覚悟しろ、ジェノサイ団!お前たちの野望は俺が、このゲットファイターが打ち砕く!受けてみよ!!ファイタァアーーキィイック!!』

 

 

 

 複雑な物事も、難解な理屈も、世界の仕組みも知らず、澄み切った世界が広がっていた頃。ただひたすら正義の味方に憧れていることができた頃____

 

 

 

『ぐ、ぐわぁあ!!』

 

 

 

 何気ない平凡な一日の繰り返しが当たり前だった頃____

 

 

 

 ____そう、あの頃。あの頃は、その気になれば突然現れた悪の組織や怪獣、侵略者に世界滅亡の危機からだって地球を守れるんだと思っていた。

 ヒーローのお面を被って、田舎の田んぼ道を駆け回っていた時の自分は、たしかに無敵だった____

 

 

 

 

「決まった!ファイターキック!!」

 

 セミが休みなく鳴く暑いあつい夏の日、ある家には昼間から元気な声が響いていた。

 畳敷きの居間に置かれたテレビで、上のようなヒーロー番組を観ているこの少年の名前はアラシ・ハジメ。熊本県に住む今年、小学ニ年生になったごくごく普通の男の子である。

 周りの子供達と比べて、少しばかり正義感に満ち溢れている…どこにでもいる正義の味方に憧れる男の子の一人なのだ。

 

 

『ぐおお…じ、ジェノサイ団…秘密基地バンザァアアーイ!』

『ドカァアーン!!』

 

 

『正義は必ず勝つ!!』グッ!

 

 

「やったあ!」

 

 ハジメ少年は特撮ヒーローのお面を被り、市販の変身アイテムを片手にテレビに齧り付いている。

 大好きなヒーローの必殺技が液晶画面の中で華麗に決まったことで飛び跳ねながらヒーローの勝利を喜んでいた。

 

「ハジメ!今日の分の夏休み課題は終わったの?」

 

 そこにハジメ少年の母、嵐 青葉(アラシ・アオバ)が居間へ入ってきた。ハジメ少年は母からの質問に付けていたお面を外して答える。

 

「うん!朝起きてからすぐにやったよ!」

 

「そう…あのね今からお母さん、西住さんの家に行ってくるから…もし外に出掛けるなら玄関の鍵閉めていってね?ああ、あと今日お父さん、仕事が夜遅くまでかかるらしくて先にご飯食べてろって」

 

「ラジャー!」ビシッ!

 

「ふふふっ!元気があって大変よろしい!」

 

「いってらっしゃーい!」

 

「それじゃあお先に行ってきます!」

 

 

 アオバが家の外へ出てから数分。

 

 

「………あ!いけない、次はボコだった!」

 

 ハジメ少年は母を玄関で見送った後、観ないといけない__見逃せない番組があったらしく、急いで居間へドタドタと走る。

 

『やーってやるやーってやる♪』

 

「ま、間に合ったぁ!みほちゃんが絶対見てねって言ってたもんなぁ…。みほちゃん、怒るとおっかないし…」

 

 そしてアニメが終わった20分ほど後…

 

「よし!今日も平和を守るため、パトロールに行くぞ!」

 

 そう言ったハジメ少年はいつも遠足などで使っているリュックの中に、財布やハンカチ、ティッシュ、水筒、絆創膏などを入れたのを確認すると、ヒーローのお面、変身アイテム、手袋を装備した。

 お気に入りの靴を履いてハジメ少年は家の外へ飛び出す。

 

「行ってきまーーす!!」タッタッタッ!

 

______キキーーッ!!

 

 しかしハジメ少年はすぐに足でブレーキをかけた。何かを思い出したらしい。

 

「おおっとっとっと!鍵閉めていかなくっちゃ…………うん!今度こそ、行ってきまーーす!!」ダッ!

 

 鍵の施錠をしたのち、気を取り直して再びハジメ少年は走り出す。

 

「今日は神社まで行くぞー!」

 

 こうして小さなヒーローが今日も自分の住む町を守るため、走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________

 

 

 

 田んぼのあぜ道を、一目見れば良家の令嬢だと分かる__ここらでは似つかわしくない西洋風のドレスに身を包んだ__一人の少女が歩いていた。彼女の心のよりどころなのか、ワニのぬいぐるみを大事そうに抱きかかえている。

 

 少女の名前は逸見エリカ。

 彼女の国籍は日本にあり、生まれも育ちもここ熊本である。だが家系に欧米の血が多少ながら混ざっているためか、髪は日本人にしては珍しい綺麗なシルバーグレーであり、瞳は翡翠と瑠璃の二色を絶妙な比率で宿していた。

 

「ふん。ほんっとに何もないわね…つまんない…」

 

 口をへの字にして、面白くないと言いたげな顔をしていた。

 エリカは何か面白いものがないものかと今日、珍しく家から出てきていた。いつもならば休みの日…それもわざわざこんな暑い日に外になんか出ず、今週分の宿題を済ましていただろう。

 

「そう言えばお母さんが今日は最高気温になるって言ってたっけ…はあ…なんで今思い出しちゃった……」

 

 そろそろ家に帰ろうか、エリカはこのままだと時間の無駄だと思い、来た道を戻ろうと振り返った。

 

「___アイツじゃねえの?」

 

 するとそこには最近噂になっている隣の小学校のガキ大将とその取り巻き数人がいた。よく見なくとも、こちらに指を指しているのが分かる。

 エリカは今日はとことん運が悪いと思った。外に出ようと決めてそれを実行してしまった自分を深く恨んだ。

 

「…お前か。ここらへんに住んでるっていうぶりっ子女って」

「ドレスなんか着て、お姫様気分かよ」

「今日はお散歩ですか?ぶりっ子お姫様?」

 

「「「あはははは!!」」」

 

「………」

 

 ダメだ耐えるのだ。ここで泣いてしまってはさらに馬鹿にされる。そう思ったエリカは早歩きでいじめっ子集団の横を通りすぎようとしたその時だった。

 

「おい!なんか言えよぶりっ子女!」

「あれれ?どうしたのかな〜?」

「逃げるのか?かっこわりぃ!」

 

「………」

 

 徹底的に無視だ。

 

「お、そのワニのぬいぐるみ、寄越せよ!」グイッ

 

「!! 離して!」

 

 こいつらとは関わらないように家に帰ろうと決心し無視してまた歩き出そうとしたら自分の持っているぬいぐるみを掴まれたため、エリカは声を荒げてしまった。

 

「離しませーん!」

 

 意地悪い言葉を返すいじめっ子。周りの連中もへらへらと笑っていた。

 

「これはおばあちゃんとおじいちゃんの…!!」

 

「うるせーよ、寄越せって言ったら寄越せよ!」

 

「イヤ!離して!」

 

「しつこいんだよ!ぶん殴るぞ!」

 

「離さないとカイちゃんの必殺キックが出るぞ!いいのか?」

 

「絶対に離さない!」

 

 脅されてもぬいぐるみを掴んで離さないエリカ。しかし取り巻きの一人が近づいてきて自分に蹴りを入れようとしていた。ぬいぐるみは離さず、来るであろう痛みに耐えるためにエリカは早めに目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___正義の一撃、受けてみろ!!ファイタァアーーキィイック!!」

 

 しかしその時、ヒーローが現れた。

 

 声の主は一体誰なのか。

 

「うおおおおおお!!!!」

 

 エリカは蒼眼を見開いた。

 そこには空高く舞い上がり、自分に近づいていたいじめっ子の一人に飛び蹴りを仕掛けようとしている仮面のヒーローがいた。

 

 いじめっ子に蹴りが炸裂するまでの時間が、すべてスローモーションに…ゆっくりと時間が経っているように感じた。

 

ドカッ!

 

「うわ!?いってぇ……なんだお前!」

 

___ザザッ!

 

 仮面のヒーローは華麗な着地を決めた後、エリカを守るようにいじめっ子との間に立つ。

 彼の登場に慄いてか、自分のぬいぐるみを掴んでいたはずのガキ大将が距離を取って離れていた。

 臨戦態勢である。

 

「正義の味方!ゲットファイターアルファ参上!!」

 

 勇ましく名乗りをあげ、ファイティングポーズを構えるヒーローを見て最初に出た彼女の言葉が…

 

「かっこ、いい……」

 

 …だった。

 自分と同じくらいの背丈のはずなのに、ひとまわりも二回りも大きい背中が、そこにあるように感じた。アツく、それでいて頼もしく思えたのだ。

 

 ___あなたは、誰?___

 

 これが逸見エリカの一目惚れであり初恋であった。

 

 仮面のヒーローは一度こちらに振り向いて話しかけてきた。

 

「そこのキミ、もう大丈夫だ!こっからはぼくに任せろ!」

 

 いじめっ子集団と仮面のヒーローのやりとりは続く。

 

「誰だ、お前?どこの小学校だよ?」

 

「お前たちみたいなヒドイことするやつらを倒すヒーローだ!お前、一つ隣の小学校のガキ大将のコージってやつだろ!ぼくがやっつけてやる!」

 

「へっ!どうせ口だけだろ!」

 

「ヒーローごっことか…かっこわる!」

 

「女の子をイジめてるお前たちの方がよっぽど男としてかっこ悪いぞ!」

 

「なんだと!?」

 

 取り巻きの一人がヒーローの言葉に激昂して殴りかかる。

 

「うるせぇ!」ブゥン!

 

 彼はそれを身を翻して相手の振り上げた拳を紙一重で避けた。

 

「ふっ!」ガシッ!

 

 さらにそれだけでは終わらず、すかさず手を出してきた取り巻きの腕を掴み身動きを封じる。

 

「は、離せよ!」

 

 そこからヒーローは反撃の大技を繰り出した。

 

「ゲットォスロォオーーイング!!」

 

 彼は技名を目一杯叫ぶと、掴んでいた取り巻きの腕を抱き込む形で、一本背負いを決める。

 投げ技は華麗の一言に尽きた。

 取り巻きの体は見事な放物線を描き、田んぼにダイブすることとなった。

 

「うわぁあ!!」

 

バッシャアアーン!

 

 田んぼに張られた水と水底の泥が派手に巻き上がる。

 

「この野郎…!ボコボコにしてやる!もう許してやんねぇ!」シュッ!

 

「調子乗ってんじゃねーよ!」ブンッ!

 

 一人が返り討ちに遭い、それを黙って見過ごせなかったガキ大将ともう片方の取り巻きがほぼ同時にヒーローに殴りかかる。ガキ大将は道端に落ちていた小さな木の板を持っていた。

 

__バキィッ!

 

「!!」

 

 二方向からの同時攻撃に反応できなかったヒーローは木の板__田畑と水路を隔てるもので、どちらかと言えば角材に近い代物__と拳の両方を顔面に直で受けてしまう。

 

「いっつ……!」

 

 仮面の右目部分__バイザーが砕け、そこからは素顔が少しだけ見えた。

 仮面の中では、先程の攻撃でどこかを切ってしまったのだろう。額からの流血が認められた。

 

「あ……あ、あの……」

 

 彼が自分を助けるために戦って傷ついてしまったことに対し、罪悪感を覚え、声をかけようとするも伝える言葉が頭に浮かんでこず、エリカは言葉に詰まってしまう。

 ヒーローとの視線が不意に合った。

 

「ぼくは…大丈夫。大丈夫だから……!」

 

 そんなエリカを見てヒーローは小さく、エリカだけに聞こえる声量で繰り返し言葉を掛けた。

 その目と声にはこちらを安心させようとしている心遣いがひしひしと感じられる。

 

「へっ!俺たち二人には勝てないんだよ!」

「おら!やりかえしてみろよ!」

「お前のせいで泥だらけになったじゃねーか!どーしてくれんだよ!!」

 

「!」

 

 先ほど田んぼに放り投げた取り巻きのいじめっ子の一人が復帰し、ヒーローとエリカは挟み撃ちの状態に陥ってしまった。

 挟撃の構図。

 絶対絶命。人は残念ながら頭の後ろに目は付いていない。前後からの攻撃を、同時にいなす事は不可能だ。

 

「もういい!私のこのぬいぐるみはあげる!あげるから!だからこの子をもう殴ったり蹴ったりしないで!」

 

 エリカはもう彼が自分のせいで傷つくのが辛かったのだろう。

 取りたくなかった決断だったかもしれない。

 ぬいぐるみを渡そうとガキ大将のもとへ震える足でなんとか向かおうとした。

 が、彼に肩を掴まれ止めざるを得なかった。

 

「ぼくのことは気にしなくていい……キミの大切な宝物をあんなやつらに渡すことなんかない!テレビで言ってた…ヒーローは、どんな状況になっても、ぜっったいに諦めない!」

 

 またいじめっ子に向かおうと再び彼が構える。

 その瞳の中の光は死んでいなかった。仮面のバイザー越しでもわかるほどに、彼の瞳は輝いていた。

 

「あなたはなんで…?どうしてそこまで、してくれるの?」

 

 何故そこまでするのか、本当に意味が分からなかった。

 

 どう見ても勝ち筋なんて無いじゃないかと。

 こんなことしたらあなたが損するだけじゃないのかと。

 見ず知らずの私なんか、放っといて逃げ出してもいいじゃないかと。

 

 その問いかけにはヒーローは答えなかった。

 

「そんなぶりっこ女なんて守らなくていいだろ!」

「もう泣いて謝っても許さないからな!」

「お姫様置いてにげろよ!どうせ俺たちには勝てないし」

 

「そんなこと!やってみないと分からないだろ!」

 

「そんなにケンカ続けてえならやってやるよ。」

「年上に逆らったらどうなるか教えてやるぜ!」

 

 最早、交渉の余地無し。

 理不尽が二人に降り掛かると思われた。

 

 ___だが違った。天運は二人に味方した。

 

 一斉にいじめっ子達が二人に飛び掛からんとしたその時、少年__ヒーローへの小さくも頼もしい援軍がやってきたのである。

 

「おい!ハジメになにしてんだ!」

「ハジメ君、まほちゃんとみほちゃんも呼んできたよ!」

「こらぁーー!!いじめはダメなんだよ!!!」

「私の友達を傷つけるな…!」

 

 仮面のヒーロー___ハジメ少年の友達である少年二人、そして西住家の姉妹二人、総勢四人が駆けつけた。

 

「み、みんな!」

 

 援軍の到着にハジメの声色が数段階跳ね上がった。

 

「雑魚が増えても同じだ!」

 

 ガキ大将は援軍を含めハジメ達を全員蹴散らす気概であったが___

 

「あ!あ、アレは西住まほとみほ!母さんが言ってた…ケンカ売ったらヤバイやつだって…」

 

 ___取り巻きの一人が、西住姉妹の姿を見るや否やみるみる青ざめていく。

 足もガクガクと震えており、冷や汗も尋常じゃない量が流れているのが確認できた。

 

「本当だ…あの女子二人、西住だ…逃げろぉ!」ダッ!

 

 もう一人の取り巻きも指摘されたことで気づいたのか、こちらはさっさと尻尾を巻いて逃げ出した。

 

「うわああ!!」ダッ!

 

 置いてかないでくれと、顔面蒼白だった取り巻きも追うようにして退散する。

 

「お、おい待てよ!くっそお……覚えとけよ!」

 

 仲間二人が一目散に逃げ出したため、焦ったガキ大将もまた彼らに続いてエリカ達の前から逃げ去っていった。

 最後に、使い古された__いかにも悪役が言うような捨て台詞を吐きながら。

 

 

「?……行っちゃった…」

 

 

 理由は分からないがなぜかいじめっ子集団は逃げていった。助かったのか…とエリカはポカンとしていた。

 そこから、駆けつけた頼もしい援軍の話を聞くに、あの仮面のヒーローの名前はハジメと言うらしい。この四人は目の前の男の子__ハジメの友達なのだろうか?

 そんなことを思っていると件の少年、ハジメが喋りかけてきた。

 

「キミ、大丈夫?怪我とかしてない?えっと…名前は…確か二組の……い、いつ…み………」

 

 ハジメの方はエリカの顔を覚えているようだった。

 

「………エリカ」

 

 それを知った彼女は、嬉しさ半分、気恥ずかしさ半分で、ボソリと自身の名前を伝えた。

 

「えっ?」

 

「逸見エリカよ。……怪我はしてない。その…守ってくれて……あ、ありがとう…ハジメ」

 

「うん!どういたしましてエリカちゃん!」

 

 少女のぎこちない礼に、少年は白い歯を見せてニッと笑顔を返した。

 その笑顔があまりにも眩しかった。エリカは被っていた帽子を目深に__ハジメから赤くなった顔を隠すように__被り直した。

 

「…で、さっきの男の子たちって、だあれ?」

 

 西住姉妹のやんちゃで活発そうな__明るめの栗毛が特徴的な__みほは、今起こっていた出来事の内容をあまり良く把握できていないようだった。

 そこで自身の姉…まほに答えを求めた。

 

「隣の学校のガキ大将だ、みほ」

「うひゃあ!そ、そうだったんだ…」

 

 姉の説明を受け、事の重大さをようやくみほは理解したらしい。

 また、それとは別にもう一つ気づいたことがあったようで、破損したお面を未だに着けているハジメの方を向き__

 

「ハジメ君、お面外してみて?」

 

「う、うん。」

 

 みほに促される形でハジメがおずおずといった様子でお面を外すと…。

 

「うわー!ハジメ、頭から血が出てる!」

「ど、どうしよう…!?」

 

 ハジメの周り…ヒカルとマモルが男子かと疑われるかもしれない悲鳴を上げる。

 お面を取り外したハジメの顔は赤い線が幾本も入っており、誰が見ても痛々しい様子だった。

 

「大丈夫だって!ぼく絆創膏持ってきてるから!それに、傷は勲章なんだよ?これぐらいどおってことないって!」

 

 努めて明るく見せるハジメ。

 そう言いながらハジメが自分に応急手当てをしていく。

 手当てを終え、ひと段落した雰囲気になったのを察したみほが何かを思い出してエリカに声を掛けた。

 

「あ!そう言えば私たちエリカちゃんに自己紹介してないね。私、西住みほ!二年生だよ!たしか、エリカちゃん同い年だったっけ…よろしくね!」

 

 元気な挨拶をしたみほに続いて、全員が順番に自己紹介をしていく。

 

「西住まほ…三年生。みほは私の妹だ」

 

 口下手なのか口数が少ないのか、ややぶっきらぼう気味になったまほ。

 

「ぼ、ボクは逸樹守…二年生…よろしくね?」

 

 おどおどした様子でなんとか自己紹介を終えたマモル。

 

「おれ、駒凪光!二年生!よろしくぅ!」

 

 全力全開な様子の、丸坊主がトレードマークなヒカル。

 

「改めまして……嵐初です!ぼくも二年生だよ」

 

 そしてトリを飾ったのはハジメ。丁寧な自己紹介で締め括った。

 

「……うん。よろしく」

 

 エリカはハジメ少年に興味を持っていた。

 どうしてあんな勇気ある行動ができたのか、なんで自分を助けてくれたのかが気になっていた。

 聞かなければ。聞かずにはいられなかった。

 だが、周りには自分よりも長い間彼といた子供達(ギャラリー)がいる。聞き辛かった。故にこの場でハジメに尋ねることを彼女は見送った。

 

 全員が自己紹介を終え、友人のための緊急出動(助太刀)というイベントも片付いたことで、陽はまだ昇っているが今日のところは解散するカタチとなった。

 

「じゃあ…おれは家にかえ___」

「ヒカルくん!一緒にボコ見よ?いいよね!」

 

 一足先に集まりの輪から「スピードワゴンはクールに去るぜ…」と言わんばかりに颯爽と離れようとしたヒカルがみほに捕まった。

 どうやら、みほはヒカルと二人で遊びたい__彼女が好きな番組の布教を彼にしたい__らしかった。

 

「で、でも、おれ今日は家でゲーム…」

 

 それでも、先の予定があるからと断ろうとするヒカル。

 

「 い い よ ね ? 」

 

 歳不相応の圧力をみほが放っていた。見た感じは満面の笑みであるが、顔上半分には影が差しており、このシーンに挿入される効果音は「ゴゴゴゴ…!」が妥当なのだろうか。

 そんな強制力のかかった問いかけへの返事は半ば決まっていた。

 

「う、うん……」

 

 尋常ならざるみほの圧に押されてヒカルが首を渋々と…されどこれ以上彼女の機嫌を損なうことの無いようすぐにコクりと縦に振った。

 若干ヒカル少年の体が震えている。

 

「やったあ!それじゃあ早く私ん家行こう!」

 

 手をがっしりと繋がれ、ヒカルは上機嫌なみほに連れて行かれたのであった。

 

「ハジメ君、明日お母さんが遊んでいいって言ったら遊びにいっていい?」

 

 残っていたマモルがハジメに遊びの約束を持ちかける。

 「…ひっか(ヒカル)にも、明日の朝電話で伝えておくよ」と先ほど無念ながらも散っていった親友のことを気にかける言葉も付けて。

 

「オーケー明日ね!9時からよろしく!!」

 

 明日も休み…まだまだ暑い夏休みは続く。

 子供達にとっては、家でじっとしているよりも、友人達と四六時中遊んでいる方が断然良いのだ。夏季の猛暑でさえ、子供達の前では障壁とはなり得ない。

 小学校の長期休暇は、山のような課題さえどうにかできれば天国なのはどの時代でも変わらず同じなのである。

 

「うん。それじゃあぼくは家に…」

 

 明日の約束もできたことだしと、安堵した表情のマモルが家の方向に振り返ると___

 

「私も、マモルの家に行きたい…」

 

 頬を赤く染めたまほが__マモルの帰路に立ち塞がるように__立っていた。

 自分の意思を、おずおずと、されどハッキリと言葉にして。

 

「えっと、今日は…」

 

 これは困ったなと、けれど幼馴染…それも女の子の()()()は蔑ろにはできない、だがしかし…と言うような葛藤をマモルが抱え悩みだしたのを、彼女は見逃さなかった。

 

「……だめ?」ウルウル…

 

 その上目遣いはマモルにとって致命傷であった。

 

「う…分かった。まほちゃん、行こう…」

「うん!!」

 

 撃てば必中、守りは固く、進む姿は何とやら…西住家長女、恐るべし。

 

 結局、こちらも折れるべくして折れた。

 マモルが折れるのは最早予定調和に近かったと言えば、そうかもしれない。

 

「ハジメの友達二人、あの子たちに連れてかれちゃった…」

 

 あの四人はとても仲が良いんだな…というよりも、あの男の子達は大変だなと、歳とは不釣り合いな遠い目をしながらエリカが思っていると、ハジメは仮面を付け直してどこかへと向かおうとしていた。

 

「よし。神社までのパトロール再開だ!」

 

 今のハジメの言動から、そのパトロールとやらにはエリカの参加を視野に入れていないようにも捉えられた。

 そのため彼女は柄にもなく勇気を振り絞って声を上げた。

 

「ま、待って!」

 

 エリカの呼び止めに、ハジメは反応した。してくれた。

 

「ん?どうしたの?」

 

 純粋な疑問符が付いていた。何かあったのかと、あの時と同様に気遣ってくれているのが声色からもわかった。

 それが堪らなく嬉しかった。

 

「私も…ついていって良い?」

 

 だからもっと彼を知りたくて、喋りたくて、傍にいたくて、一緒にいたくて、一つだけ彼にお願いをしたのである。

 エリカのささやかな我儘。それに、傷だらけのヒーローは仮面越しでも笑顔だと分かるほどの元気な声で応えた。

 

 

 

「うん。いいよ!」

 

 

 

 ヒーローと少女は一緒に歩き出した。

 

 

 

____________

 

 

 

「とうちゃーーーく!!」

 

 ハジメ少年とエリカは気が遠くなるような長い階段を登りきり、目的地である近所の神社に着いた。

 ハジメ達の住む田園地帯の四方を囲むようにある山々の内の一つ___山岳部と平野部の中継地点とも表現できる小山の上に、この神社はある。参拝者も滅多に来ず、管理者であった人間も引き継ぎ等をする間もなく他界したために、いまではもうすっかり寂れており、鳥居の色は褪せ境内には木の葉が散らばっているような有り様だった。

 

 二人とも既に息は上がっており、肩が上下していた。

 無尽蔵にありそうな子供の体力でも神社の階段は難敵であったのだろう。

 

「エリカちゃん大丈夫?ここで休憩しよっか」

 

「うん。そうする…」

 

 エリカが疲れているように見えたためハジメは背負っていたリュックから水筒を取り出して彼女に渡してやった。声は小さいがしっかりお礼が返ってきた。彼は静かに笑みを浮かべてそれに応えた。

 いまは二人仲良く神社の境内にあった木製の__苔が所々に生い茂り、塗装も剥がれつつある__長椅子に座っている。

 

「エリちゃんとはクラス一緒になったことなかったなぁ…でもこうして友達なれたし良かったよね!」

 

「……ねえ、なんでハジメはあんなことできたの?」

 

 友人になれたことを素直に喜んでいるハジメに、エリカはここに来るまでずっと抱えていた疑問を投げかけた。

 

「ん?だって困ってる人がいたら助けるのがヒーローじゃん」

 

 そうあっけらかんと、思考する時間すら挟まずに彼は迷わず答えた。

 当然のことのように、何も誇らず、驕らず、ただただ本心を打ち明けてくれた。

 

「え、それだけ?」

 

 エリカはすっと出てきたハジメの返答を聞いて、第一に思ったことをそのまま口に出していた。

 それだけで、それだけの理由で人は動けるモノなのかと、彼女はただただ驚いた。

 

「それだけでじゅうぶん、充分だった!」

 

 それだけなのだと、大きく頷き肯定するハジメ。

 

「じゃ、じゃあなんで3対1で絶対に負けるようなケンカでも向かっていけたの?」

 

「だって、女の子が、エリちゃんがピンチだった。困っている女の子を助けないのは男じゃないしヒーローでもなんでもないもん!」

 

「ピンチだったから…?ヒーローじゃないから…?」

 

 男子特有の思考回路なのか、エリカにはその「○○だから」という理由では理解も納得もできなかった。

 だが納得できなくとも理解したい。自分を助けてくれた彼の考えてることをもっと知りたかった。

 

 「それに___」とハジメは続ける。

 

「あの時は3対1じゃなかったよ。3対2だった!」

 

「え?」

 

 エリカが心底驚いた顔をしてハジメを見やった。

 そんな着眼点があるなんて思いもしなかった。

 彼はこちらが見ない、見ようともしない所にさえ、気づくのかと。

 

「でも…私何も出来なかったし…怖くて動けなかった……」

「ううん!そんなことないよ。エリカちゃんが見てくれてから、近くにいてくれてたから!がんばれたんだ!」

 

 力不足だった。自分はいないに等しかったのだと、彼の言う自分の功績を否定しようとする。それは謙遜などではなく、本心からの否定だ。

 しかし、目の前の彼はそれをさらに否定し、塗りつぶしてくれた。

 それが嬉しくて、嬉しくて…。

 

「そう…なの?」

 

 上手く言葉が出てこなかった。

 

「そうだよ!」

 

 言い淀みもないノンインターバルの返答。ここまで来るとそれは最早告白に近かった。

 しかしまだまだ子供であるハジメ少年はそのように考えていたりすることは無く、ただただ彼女の問い掛けに対しての肯定を元気に、そして健気に繰り返したのである。

 

 それでも、その無邪気な肯定は、彼女___逸見エリカに希望の光を与えた。

 

 

 

___()()ことを知らなかったんじゃない。したくなかったんだ。見て見ぬフリも、何も為さずにいるコトも。

 

___あの子には、悲しい顔をしてほしくなかったから。あの子の前では、完璧なヒーローでいたかったから。驕りなのは分かってた。外面(ガワ)に拘ってた自分がいたのを、隠したんだ。

 

___()()が偽善だったと言われたら、否定できない。()()が使命だったと言われたら、拒絶できなかった。

 

 

 

《___ハジメ、アラシ・ハジメ…心の太陽眩しき少年よ…》

 

 ____なんであの時、俺に()が聞こえたんだろうか。

 

「ん?エリちゃん、なんか言った?」

 

 不意にどこからともなく、やまびこのように神社一帯に反響する声が聞こえてきた。それもハジメを名指しで。

 こんな神社にスピーカー等の機材があるわけが無い。明確な声を出せるのは人間のみ。ここで確認できるのはハジメとエリカのみ。

 声が聞こえたハジメが確認する相手は当然彼女である。

 

「? 言ってないわよ?」

 

 声を発したのはやはりエリカではなかった。

 それに、やみびこの如き声…無機質なほどに穏やかな男性の声はエリカには聞こえないようだ。

 訝しみながら、首を捻るハジメ。再び件の声が聞こえてくる。

 

《…キミの力が…大切な人を守ろうとするキミの…想いが……必要なのだ……》

 

 声の主は、ハジメの助力を欲しているようだった。

 

「誰?なんでぼくの力が?」キョロキョロ…

 

「…本当にどうしちゃったのハジメ?」

 

 助力を求めるならば普通は大人の方が良いに違いない。

 なぜ声の主は、自分に拘るのか?

 頼られるのは悪い気はしない。だがそれ以上に疑問が絶えなかった。

 ハジメは頭を悩ませる。見ず知らず相手との接点として思い当たる節も心当たりも無い。エリカの心配を耳に入れる余裕も無かった。

 

「ハジメ、誰かと話してるの?」

 

《…私は、"星の声"だ。キミ達を…見守っている大人さ…》

 

 "星の声"…おそらくは既存人類が接触できることなど万が一、億が一にも無いはずの、上位存在。

 それも観測者に近い立場だと向こうが自ら語っていることから、明確な害意や悪意を持っての接触ではないのは察することができた。

 

 だが、そのようなことをまだ幼いハジメが知る由も無い。

 

「え?エリちゃんには何も聞こえないの?」

 

「うん。セミがうるさいだけよ」

 

 どうやらハジメ少年のみに星の声は聞こえているらしい。

 エリカは少し頬を膨らませながら、やや不機嫌に答えた。

 ハジメだけが、今、特別な体験をしていることに妬いているのだと思われる。若しくは、自身も共感できないことへのやるせなさからかもしれない。

 

「ニャア」

 

 どこからともなく、今度は猫の鳴き声が聞こえた。

 

「ん?」

 

 キョロキョロとお互いに周囲を見回すと、ハジメより僅かながら早くエリカが猫を見つける。

 

「あ、可愛い黒猫!」

 

 元来、黒猫は不吉な出来事の前触れを知らせるモノとされる場合が多々あるが、それを今の二人は知りなどしないし、仮に知っていたとしても眼前の黒猫からはそのような邪悪は感じられかっただろう。逆に、例え難い神聖な何かすら感じた。

 そして黒い野良猫は再度鳴いた後、神社の横にある山奥に続く小さな獣道へと走っていく。時折こちらを…ハジメを見やるために振り返っているのが分かった。

 

《…その子を……追ってほしい…》

 

「うん!分かった!」ダッ!

 

 ハジメの反応は早かった。

 星の声に促され、勢いよく境内から飛び出し神社の裏手__山奥へ続く小道へと駆けていく。

 

「えっ!ハジメ待ってそっちは危ないわよ!分かったって、何がわかったの!?」

 

 自分のヒーローとしての力が必要だと言っているのだ。何かは分からないがきっと誰かが助けを求めているのだと思ったハジメはすぐに遣いの猫を追う。

 それに遅れて、心配したエリカも急いでそれに続く。だが彼女が彼に追いつくには幾分かの時間は掛かると思われる。

 

 こうして二人は何者かの導きのまま、依然として夏の暑い陽光が差す山奥へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

《……ここだ…》

 

 山の奥の奥へ。最早獣道とも思えない道なき道を、遣いの黒猫の道案内を受けてハジメはひたすら走った。

 再び、星の声が聞こえた。どうやら、目的地に着いたらしかった。

 黒猫は近くの切り株の上で__自分の役割は終わったと言うように__ゆったりと毛繕いをしている。

 

「えっと…これ、なんだろ?祠?お墓?なのかな?」

 

 猫を追ってきたハジメが到着した場所は木が殆ど生えていない、開けた斜面の少ない平地であった。

 その場所の中心に苔の生えたボロボロの小さな石祠がある。

 

《……光ある少年よ。この星…地球に……途方も無い危機が迫っている》

 

 星の声がハジメをここに呼び出した要件に繋がる話を切り出した。

 それは__この時点で十分フィクションのような体験をしているが__荒唐無稽な、漠然とした迫り来る脅威に関する報せだった。

 

「危機?」

 

 ハジメは虚空を見上げて首を傾げる。イマイチ、ピンと来ていない様子であった。

 

《近い未来、この地球に邪悪な怪獣や宇宙人が現れる……》

 

「えぇ!?そ、そうなの!?」

 

 衝撃的な予言であった。

 テレビの向こう側で、ヒーローと対極を成す存在達が現実に出現する……常人からしたら到底信じられない、受け入れ難いモノだ。

 だがこの場に立つ少年は、真剣な眼差しでそれを聞き入っていた。

 

《……優しく、強い心を、持っている…キミに……頼みたいんだ。……この世界を、地球を…守ってはくれないか?》

 

 

 

 ここが少年の、人生最大の分岐点。後戻りのできない大きな選択だった。

 

 

 

「………うん、いいよ!僕が地球を守るヒーローになる!」

 

 数瞬の思考を挟み、星の声との約束を契った。

 ハジメ少年には、まだその半ば契約とも取れる約束と、言葉の重さを、無垢故にこの時理解できていなかった。

 だが、ヒーローへ憧憬の念を強く抱き、憧れへと近づきたいと切望していた彼に、迷いは無かった。

 

《…ありがとう…! ……ならば…キミに、託す。大切なものらを守る、光の力を…》

 

 ハジメ少年に語りかけてきていた声が頭に響いてこなくなった瞬間、祠が輝き、中央に眩い白亜の煌めきを宿した黒い光の球体がゆっくりと浮かび現れる。それはハジメ少年のズボンポケットにしまっていたヒーローの変身カプセル__"α(アルファ)カプセル"の結晶部分へ入っていった。

 それを確認するべくハジメが変身カプセルを手に持った時、彼の頭の中に膨大な地球(ほし)のイメージが流れ始めた。

 

 そよ風に吹かれる一輪の花。

 生命の起源たる雄大な海。

 星の世界まで広がる透き通った空。

 

 地球に生きるもの達の姿が次々に映る。

 

「…………すごい…!」

 

 ただ、一言。それ以上はいらなかった。

 

《…キミの心の中で輝く光、心の太陽……その温かさを、決して…忘れないでくれ………頼んだぞ、すべてを照らす光の戦士…》

 

 その言葉を最後に"星の声"は聞こえなくなった。

 

「____もう!待ってって何回も言ったのに、なんで聞いてくれないのよ!」

 

 遅れて来たエリカが到着したようだ。

 

「なによ、この場所?それにあの猫は?」

 

 道案内役の黒猫も、いつのまにか姿をすっかり消していた。

 

「…いなくなってたよ」

 

「そう。それで…誰かと会えたの?」

 

 先ほどハジメのみに聞こえたとされる声の主のことだろう。

 

「うん、会えた」

 

 短く、そう答えた。

 

「どんな人だったの?」

 

 首を傾げながら、興味津々に問う少女。

 

「秘密!」

 

 エリカの問いを、少年ははぐらかした。

 妙なあしらい方をされたと思ったのだろう。彼女はあからさまにむくれていた。

 

「何よそれ…はぁ、まあいいわ。会えたならもう山から降りて神社に戻りましょう?」

 

 山は危ないんだからと、エリカは踵を返しつつ言う。

 

「うん。………ねぇ、エリちゃん!」

 

 意を決して、少年は改めて彼女の名前を呼んだ。

 

「? 何?今度はどうしたの?」

 

 

 

____あの夏の暑い日、誰にも想像のつかない運命が動き出したんだと思う。もしも、あの不思議な体験をしなかったら…未来はまた変わっていたのかと、今でも考えてしまう時がある。

 

 

 

「ぼくがエリちゃんを、みんなを守るヒーローになる!!」

 

 その後に「絶対に!」と付け加えた小さきヒーロー。

 彼女に自信たっぷりのとびきりの笑顔でそう宣言した。

 

「!! ………ほんとうに?ほんとうに守ってくれるの?」

 

 恐るおそる…されども答えを急かすように、喜色が見え隠れしている少女は聞き返す。

 

「ほんとうに!」

 

 サムズアップと共に、元気な返事が返ってきた。

 

「……絶対、絶対に約束よ?」

 

 用心深い彼女は重ね重ね聞き返した。

 

「うん!約束!」

 

 二人はお互い小指を出して指切りげんまんをする。

 

「…どんな時も、どこにいても、守ってくれる?」

 

 彼女は無理難題とも思える約束を求める。

 

「うん。いつでも、どこでもエリちゃんがいるところに駆けつける。エリちゃんを絶対に…ぼくが守る!!」

 

「……うん///」

 

 我儘な念押しの約束を、小さなヒーローは快く引き受けた。

 

 

 

 暑い暑い、夏のある日。一人のヒーローが生まれた。

 

 

 

 しかし少年はまだ知らない。近い未来に、想像を絶する幾多の過酷な戦いと数奇な出会いと別れの連続が待っているということを…

 

 





 あと
 がき

【2022年12月編集】
 0夜をお読みいただき、ありがとうございました。
 投稿者の逃げるレッドです。

 現在、第0夜から第25夜ほどまでの再編集を行なっております。なお、ストーリーの大幅な変更等をするためのものでは無いのでご安心ください。
 各回の編集が出来次第、2022・2023年版の後書きへと順次更新していきます。編集・更新が為されていない回は、やべーぐらいの淫夢厨として生きていた時代の投稿者の後書きのままなのでご容赦ください。しかし後悔はしておりません()
 当時は書き留めておこうとまで考えてなかったストーリーの裏話やネタ、メモなどを各回のこの場…後書きに書いていければと思ってます。

 これからも、逸見エリカのヒーローをよろしくお願いします。

 星の声のイメージはフル・フロンタル、特撮ヒーローの元ネタは…真ゲッターロボとなります。
 ハジメ少年の母親のイメージは艦これの重巡青葉です。

質問、感想待ってます!気軽にどうぞ!
さて、次回も本編開始前の話になります。
お楽しみに!

【2023年編集】
 三馬鹿(ハジメ・ヒカル・マモル)の最新画像です。
 デジタルイラストではないのでご注意ください。

【挿絵表示】


 結局、ハジメ君のイメージについてですが、2023年6月現在ですと「呪術廻戦の虎杖君+村田版ONE PUNCH-MANのゾンビマン」で落ち着いております。日常回になるとたまーに着せ恋のごじょー君が混じったりします。

 ちなみに完全な余談ですが、ハジメ君の好きな食べ物は「チーズインハンバーグの目玉焼きトッピング」だったりします。

____________

 次回
 予告

 あの二つの出会いから7年後、中学三年生になっていたハジメ少年は、人生で9回目の夏休みを満喫していた。しかし、そこに銀髪の少女が訪れる。
 そして静かに地球の異変は始まっていた…

 次回!ウルトラマンナハト、
【動き出す世界】!

サイドストーリー アンケート(基本ほのぼの)

  • 紗希のトモダチ
  • ミチビキさん サンダース編
  • ミライVSマホ カレー対決
  • ハジメ、迷い家にて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。