邪神 イリス・ラルヴァ、登場。
7月25日土曜日 インド現地時間09:00前後
南アジア インド共和国 ケーララ州
州都トリヴァンドラム 湾岸線道路
先日24日、ニューヨークで開かれた国連総会にていくつかの国家がとある宣言をした。
キュラキュラキュラキュラ…
『ドーベル1、間もなく配置に就く。後続も同様だ』
『
「人命を脅かす特殊生物の存在しない世界を早急に取り戻す必要がある。」から始まった、米英露を中核とした多国籍軍による全世界規模のギャオス並びに小型・中型特殊生物群の掃討作戦の宣言、そしてその立案と実行である。
元より北米諸国と、ロシアを除く欧州諸国はアジアやアフリカ、南米方面に対して派兵を行なっていたため、現地派遣部隊は本土からの増援部隊と合流してこれまでと同じ任務を遂行することになった。
『オーライ。化け物どもをぶっ飛ばしてやる』
『
『海を渡ってカイジュウ退治に来たんだ。空軍連中に全部持ってかれるのだけは勘弁してほしいぜ』
『インド本土到達を阻止できるならそれでいいだろう。あまりそんなことは言うな』
現在、アラビア海に面するインドの沿岸都市、トリヴァンドラムの海岸線と、そこに敷かれている四車線道路にはインド救援部隊のアメリカ合衆国陸軍を主力とした機甲・砲兵部隊が集結していた。
ここと同じように、豪州連合の東南アジア地域や中米メキシコ、南米ブラジル、アフリカのソマリアや喜望峰でも、多国籍軍が展開している。此度の特殊生物群掃討作戦の主眼は、ギャオス殲滅だ。超古代の遺産であり生物兵器としての側面を持つ恐ろしい怪生物は脅威であると認識しているのはどこの国も同じらしい。
『――警戒機が飛行型特殊生物…ギャオスと思われる反応をキャッチした。通常種の中にハイパー種が混じっているらしい。アラビア海に展開中の米英印の連合艦隊が迎撃を開始した』
『各空軍基地より航空隊が離陸』
『
国家間の関係上、このインド亜大陸に派遣された多国籍軍は欧米諸国が中心であり東南アジア・オセアニア諸国……豪州連合の部隊の姿は無い。
夏季の眩しい陽光に照らされている州都沿岸に戦力を集結させつつある多国籍軍。前線司令部からは、海上にてギャオスと艦隊が戦闘に突入した旨が彼らに伝えられた。地上では米陸軍の重戦車__〈M156 タイタン〉を中心として隊形を形成する高射並びに砲兵部隊、そして護衛の戦車部隊がある。
『対空車輌はタイタンの横に付け!俺達が壁になる』
『邪魔な建造物は薙ぎ倒せ!近隣住民の避難は終えている。被害分は国連が金を出す!フィールドを整えろ!!』
配置に就き終えた装甲戦闘車輌から順に、砲身を沖合に向けるべく砲塔が旋回を始める。
彼らの今回の任務は、インド洋北端…インド亜大陸の左下に浮かぶ島々を領土とする海洋国家__モルディブ共和国から飛翔が確認されたギャオスの群れの殲滅である。
以前より未確定情報として挙がっていた、南アジアでのギャオス目撃例はこのモルディブが元である。当国で増殖したギャオスらは度々インド本土まで飛翔してくることがあり、その度にインド空軍が撃墜してきた。しかし、世界トップレベルの兵力を有するインド軍であっても、特殊生物絡みとなると一筋縄ではいかないとのこと__対特殊生物用の兵器導入が遅れているため__もあり、友邦ロシアや、合衆国、欧州諸国からの派兵提案を受諾し今日に至る。
モルディブ共和国の保有する国防軍は五千人弱の兵力でなんとか領内の有人諸島への拡散を抑えてきたのだが、とても正面からは太刀打ちできなかった。結果としては抑え込みの代償として増殖と今回の生息域拡大のための大量一斉飛翔を許してしまうことになるのだが、一概に責めることはできないだろう。よく保った方だ。
なお、今回のギャオスに対する水際での防衛戦の他に、インド内陸部では上述の掃討宣言の影響もあってインド陸軍主体の第二次カマキラス駆除作戦が遂行中である。
二ヶ所での対特殊生物戦。インド政府並びに軍はここが峠だと考えている。多国籍軍の支援を受けつつギャオスと自国に巣食うカマキラスの一掃ができれば、ロシアより"
『――ギャオス、艦隊の迎撃網を突破!』
『連合艦隊は半壊…大多数が飛来してきます!』
『陸上部隊は迎撃用意!航空隊は攻撃を開始!』
『偵察機より新たな情報だ。海上を泳ぐ新種のギャオスを確認したとのことだ。敵の海空立体攻撃に注意しろ!!』
戦闘の序盤は人類側劣勢で終えたらしい。多国籍軍連合艦隊の半壊、新種ギャオス確認の報を受けた司令部と州都の陸上部隊には動揺が走る。
……ギャオス一個体は、陸軍一個大隊の戦力と同格かそれ以上。どこの誰が言ったかは不明であるが、案外その考えは的を射ている。最新鋭戦闘機を相手にできる生物だ。歩兵はおろか、碌な対空装備を持たない陸上戦力にとっては対戦車ヘリコプター以上の脅威である。
『コイツらの侵攻を許せば、六月災厄やフクオカの再現、七月災厄なるものが出来上がってしまう。なんとしても撃破しろ!!』
探知できた大型…ハイパー種は凡そ6体。生体ステルス機能や小柄な体躯によって未探知の中型、小型、そして新種ギャオスを含めれば総勢50弱の大軍勢となる思われる。戦闘機によるミサイル攻撃により、ここから数は減らせるだろうが、中型以上と新種の数は恐らく減らすことは難しいだろう。
『目標確認。ファイターズ、エンゲージ!!』
航空隊の攻撃を掻い潜られれば、有視界戦闘に突入する。ミサイルの大半が無力化されるならば、それはもはや若干値段の高いロケット砲だ。
そこでギャオス戦を想定し、多国籍軍側は自走対空機関砲を大量に用意していた。いざという際の頼みの綱は彼らの働き次第といったところか。
『くそっ!小粒が邪魔だ!!』
『超音波メス…噂以上に凶悪だぞ……!!』
『小さいのまで撃ってくる!』
『機体に残れば爆発、脱出すれば捕食…パイロットとして一番やりあいたくない……。――っ、上から数2!!』
『ウイングを切られたっ!?ぐあああっ!!!』
『――下から、海上からだ!アイツら、対空射撃してやがる!!同士討ちが怖くないのか!?』
『航空優勢は取れんか…!』
『――ギャオスの一部が対空ミサイルの射程内まで侵入!また、新種のギャオスも速度変わらず海上を侵攻中!』
偵察・観測班からの悲鳴に近い報告が入る。司令部からは次の指令がすぐさま下りてくる。
『やむを得ん。交戦中の航空隊は離脱しろ!対空戦闘車、射撃開始!ギャオスを撃ち落とせ!!海上を航行中の新種はガンシップが対応する。ありったけばら撒け!』
司令部の命令を実行するべく、沿岸の対空車輌が一斉に動き出した。道路上に設置された多数の地対空ミサイル発射機も沖合に向けて構える。
『ドーベル全車、主砲に"
『主砲"TYPE-3"了解。砲撃座標指示を観測班に要請』
『………座標確認。修正完了!』
ウィーーーーン………!
ゴウンゴウンゴウン……ガコン!
遅れてタイタン重戦車も砲塔を旋回させ、遂に目視できるまでに接近してきた飛翔中のギャオスに向けて砲身を合わせる。
『レクイエム砲、てえ!!!』
ズドォオオオン!!!!
対空ミサイルや機関砲弾が地上からギャオスに向けて吐き出された。そこに場違いなほど巨大な戦車砲弾……戦艦の主砲を短砲身化したタイタンのレクイエム砲から放たれた弾はそれらを追い抜きさらに加速した後、飛行ギャオスの群の先頭前で近接信管の作動により炸裂。花火のように砲弾の中身…クラスター弾の子弾に似た大型子弾が飛び出す。それら全ては群れの中心にて拡散し、すべての散弾が閃光を放ち爆発、無数の火球を形成した。
ギャアアッ!!ギョオオアッ!?
飛行していたギャオスは火球に突っ込んでしまったり、身体の一部が火球に飲み込まれて炎上しながら海へと墜落する。辛うじて火球から逃れることができた個体も、火球形成時に生じた轟音と凄まじい閃光により、聴覚と視覚を潰され受け身も取れずに海面に激突していた。
絶大な威力を見せたタイタン重戦車の主砲__レクイエム砲に装填された"TYPE-3"榴散砲弾…それは名前の通り第二次大戦中に旧日本海軍が使用していた対空砲弾"三式弾"をルーツに持つものである。
終戦後、投降した旧日本軍より接収した数多くの兵器群を米国は研究した。"三式弾"自体への戦時中の日米両国の評価は決していいものではなかったのだが、ナパーム弾やクラスター弾の誕生、米国の巨人兵器の登場により、米国は"三式弾"の再評価を始めた。
そして戦艦の主砲を採用した重戦車__〈M156 タイタン〉の採用と本格的な実戦配備も行われた際に、米陸軍はかの戦車に対空攻撃能力だけでなく、
『どうだ、ギャオスどもめ!!』
『ハイパー……大型以外はかなり減ったぞ!』
『弾幕を張り続けろ!』
『2時方向!ハイパー種、三体侵入!!』
『残りが来るぞ!各部隊、迎撃しろ!!』
苛烈な弾幕を側面に回って潜り抜けたハイパーを筆頭にしたギャオス数体が州都沿岸部に迫る。
攻撃ヘリが短距離の空対空ミサイルを、地上の高射部隊のみならず歩兵も装備している火器で撃ち落とそうと発砲。
ギャオス・ハイパーらは回避運動を器用にとりながら、超音波メスを地上付近に向け乱射して応戦する。鋭利な切断音が響く度に爆音が何処かで轟く。
ダタタタタタッ! ダタタタタタッ!!
キィイイイイン!!!――スパッ!!!
ドドドォオオオオオオオン!!!
即席で作られたとある対空陣地内の、無造作に置かれていた弾薬に超音波メスが直撃し、爆発。周囲の多国籍軍の兵士が吹き飛ばされる。
「うわああっ!!」
「退避しろお!」
「タイタンの後ろに回れ!」
ホバリングしていた、地上部隊直掩の攻撃ヘリ…英陸軍の〈
辛うじて、分厚い装甲に覆われている重戦車タイタンはギャオスの攻撃を耐え切っており、副砲である二門の速射砲や車体前側面にあるミサイル発射機を用いて反撃をしていた。
ギャォオオオオオオオオン!!!!
『新種ギャオスが接近!海岸に……じょ、上陸しています!なんだあのギャオスは!?』
『恐竜でも食ったのかよ…!!』
『なんてこった!戦車よりでけえぞ!』
『空もとんでもないが、陸もとんでもないことになりそうだ…!』
『ドローンの映像を回せ!………これは』
多国籍軍司令部、そして州都に展開している部隊は驚愕しかできなかった。
背面が黒い鱗に覆われ、強靭で巨大な腕と太い脚で身体を
しかし、多国籍軍もこのまま陸空のギャオスとぶつかるわけにはいかない。
『海を渡り陸を這うギャオス……まるで海兵隊のようなやつらだ…!こんなのが西海岸に上陸でもしてみろ。大変なことになるぞ。――ガンシップ、奴らを蹴散らせ!』
『了解。エウロス隊、アタック!!』
『サンダーボルト、機銃掃射開始!』
『ラプターチーム2は続け』
キィイイイイーーーン!!!
バリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!
バシュン!! ドガガガッ!!
直掩として僅かながら後方にて上空待機していたガンシップ…地上支援用装備の戦闘機や攻撃機が対地攻撃を敢行した。
ギャオス・ハイパーが乱舞する空に恐れず地上部隊支援のために突入してきたのはヨーロッパ連合空軍の主力戦闘機〈EF-2017 エウロス〉、米空軍の主力戦闘機〈F-22 ラプター〉と対地攻撃機〈A-10 サンダーボルトⅡ〉の混成飛行隊である。各航空機から繰り出されるガトリング砲、バルカン砲、対地ミサイルにロケット、誘導爆弾が中型…25メートル級の歩行ギャオス__カンミナーレに降り注ぐ。
断末魔と爆発音が相次ぎ、海岸が濛々とした黒煙に包まれる。
『A-10のガトリングを喰らえば、やつらでも立ってはいられまい…』
『空軍だ!ありがたい!!』
『あとは空のクソ鳥だけだ!撃ち落とせ!!』
『
『対地装備のエウロスとサンダーボルトは急ぎ離脱しろ!!やつらは俺たちが相手をする!』
キィイイイン!!……スパン!!
許容し難い不快な金属音に似た音が聞こえたかと思えば、撤退行動に移っていた混成飛行隊のエウロスが一機、地上から伸びてきた見えない糸のようにしなるものに無数に掛かり切り刻まれ、唐突に爆散した。多国籍軍の優勢ムードを崩すには十分な出来事であった。
飛行隊の下…海岸に目をやれば、黒煙の中からのそりとギャオス・カンミナーレが顔を出してきていた。
『上陸した新種ギャオス、数体がまだ生きています!!』
『あの空爆を受けてもまだ立っているのか!?』
『悪魔だ…奴らはレベルが違う!!』
『各隊、狼狽えるな!新種にも攻撃は効いている。無傷ではない!残党を掃討し、ハイパー種の撃墜に取り掛かれ!!』
『司令部の言う通りだ!見たところ、奴らの背中には立派な装甲があるがその反面腹はガラ空きだ!地上から水平射撃をかましてやれば簡単に殺れる。
『タイタンはデカくて目立つ……ヘイトは稼いでやるさ。元よりタイタンはそれが役目だ』
『ドーベル3、前進っ!!』
『ドーベル4、前進する!』
『ドーベルチーム!副砲、弾種徹甲。撃ちまくれ!!"
『高射部隊は砲兵隊を頼むぞ!』
キュラキュラキュラキュラキュラキュラ………!!
防衛線とする海岸道路から前進して海岸砂丘へと突撃するタイタン重戦車隊。それに護衛戦車隊、電磁砲兵隊の米陸軍〈M2A4 ギガンテス〉自走電磁砲と〈M1 エイブラムス〉主力戦車、ヨーロッパ連合陸軍の〈ブラッカー D4〉軽自走レールガンが走行間射撃を実施しつつ追従する。
ドオオオン!! ドドオオオン!! ドウン!! バパパパパパパッ!!
ギャォオオオオオッ! ギャアッ!!
司令部とタイタン…ドーベル隊の鼓舞により辛うじて戦意を維持することに成功した多国籍軍陸上部隊は、冷静かつ即座にそれぞれの目標に対して頭上の飛行隊の支援を受けつつ反撃に転じた。
『こちらドーベル1、新種は間もなく殲滅できるぞ』
『…何発目でくたばるんだ!!』
『砲がダメなら轢き殺せ。タイタンの下敷きにしろ。速度・進路そのまま、新種ギャオスへ前進!』
重戦車のタイタンを主軸とした突撃で見事地上部隊はギャオス・カンミナーレの上陸個体のすべてを殲滅。随伴の歩兵や車輌が多数犠牲となったが、ギャオス・カンミナーレの都市への侵攻を阻止した。
さて、残る問題は大型飛行個体…ギャオス・ハイパーの群れだ。対空砲火と戦闘機による追撃を器用に避けつつ超音波メスを放ち暴れ回っている。今は沿岸部上空で留まっているが、いつ都市部へと入られてしまうか分からない。多国籍軍は残るギャオス・ハイパーの撃墜を急ぐ。
『ラプターすら凌ぐ飛行能力か…!!西アジアではこんなこと無かったぞ!』
『――くそっ!欧州軍のエウロスがまた一機やられた!!』
『あと二匹、だが……!』
『新鋭の
『――奴らは学習している……このままでは…』
司令部にも焦りの色が徐々に見えてきていた。
しかしここでまたしてもドーベル隊が活路を見出す。
『司令部、上空で戦っている飛行隊へ通達してくれ。俺達の直上にギャオスを誘導しろと!!レクイエム砲で吹き飛ばす。奴らを斃せる火力はコイツしかない!!』
『………分かった。ドーベル1の作戦をやるぞ。飛行隊だけでなく対空戦闘車にも支援させる』
『感謝する!――タイタンの周囲に展開している全車輌、並びに歩兵へ告ぐ。俺達から可能な限り離れろ!直上に来るギャオスにタイタンのレクイエム砲を発射する!急げ!!』
ドーベル隊の部隊長の通達がされるや否や、各車輌が兵士達を乗せて回収しながら全速力でタイタンから離れる。それを確認したドーベル隊は飛行隊と高射部隊によって誘導されてくるだろうギャオス・ハイパーを待ち構える。
『ドーベル1、間もなくギャオスがそちらへ到達するぞ!』
『よし。各車、砲撃用意!!』
『『『イエッサー』』』
戦闘機が囮を務め、対空車輌や対空砲の追い立てにより、残りのギャオス・ハイパーすべてが海岸砂丘地帯上空へと差し掛かる。
『てぇーーっ!!!!』
それと同時に、タイタンの主砲…レクイエム砲が轟音を上げて特大の砲弾を発射した。
砲弾は見事タイタンの直上…二匹のギャオス・ハイパーそれぞれの身体の中心で炸裂。海岸砂丘地帯の上空に無数の火球が形成された。ギャオスの身体を覆いつくさん勢いで火球が広がっていき、上空を待っていた異形は消え去ったのだった。
『――6体のギャオス・ハイパー、そしてその他の大群と、新種の撃滅……快挙だぞ!』
『ハッハッハッ!!タイタンの力を見たか!!』
『やったぞぉー!!勝ったんだ!』
『残存する敵性特殊生物は確認できず』
『よくやった!諸君らの活躍で、州都防衛並びにギャオスのインド亜大陸拡散阻止をすることができた!!作戦終了。撤収準備をしてくれ』
『近いうちにモルディブへの調査団と駆除チームを派遣しなければ』
『救護班を派遣しろ。彼らを収容してやれ』
『――内陸部で行われていた第二次カマキラス駆除作戦の報告です。向こうも新たな大型を二体発見し、中型小型と同様に撃破に成功とのこと』
各地……特殊生物掃討作戦に取り掛かっていた他の戦場の報告が続々とインド方面の多国籍軍司令部に届いていた。
各地の多国籍軍の奮戦と活躍により、特殊生物…特にギャオスの確認されている個体の数を大幅に減少させることに成功しつつあるらしかった。その他の小型、中型の特殊生物…主に昆虫型、甲殻類型の特殊生物の掃討も順調なようで、一部地域を除くと相当数が駆除されているようである。
『あちらもやってくれたようだな。インド国内でのオペレーションはこれで完遂できたというわけか…メキシコ、ブラジル、アフリカ南北の戦況は?』
『メキシコ、ブラジルは新兵器…まだ先行量産品ではありますが、合衆国の機動兵器――ベガルタの活躍もあり、優位な戦況のようです。一週間もあれば戦闘は終結するでしょう。アフリカは現地テロリストとの接敵もあり苦戦している旨が報告されています』
『そうか…ここはある意味まだマシだったのか。東……オセアニア方面は豪州連合次第だな』
世界共通の目的、目標を設定し、皆がそれに取り組んだ。
その小さな努力の積み重ねが今後の、この地球の未来を分けるのである。
___________
同日 日本時間22:30過ぎ
東アジア 日本国関東地方 東京都新宿区
市ヶ谷 防衛省
「――ですので、引き続き試合会場警備のために部隊の配置を…お願いします」
防衛省庁舎A棟の一室…防衛大臣の席がある部屋にて、文部科学省学園艦教育局の局長__辻 廉太が戸崎防衛大臣と一対一での会談が行われていた。
「……戦車道連盟が民間に帰属するために、強制的な命令等を辻先生ら、我々と同じ国側の人間が出せず関与できないことは理解しています。しかし…この情勢下での大会・イベントの続行はおかしい…先生もそう思っていらっしゃるはずです」
「……ですが、決まっていたことなのです…」
「決まっていた、ことですか?」
話の内容とは、戦車道全国高校生大会の二回戦以降の自衛隊による警備体制の確認であった。
自衛隊、防衛省側からすれば、これほど負担の掛かる任務は無い。超獣二体による関東地方の二拠点襲撃とそれに伴う航空自衛隊百里基地の壊滅による防衛力の大幅な低下が懸念されている中で、今後の大会警備を継続させるのは酷なものであるからだ。
それに
それは辻もこちらがネチネチ言わずとも分かっている、分かってくれているはずだ、と戸崎はそんな声色で答えていた。
「管理局の方々が方針決定を、いつ、どこでやったかは分かりませんが…」
「急進派の連中が息巻いているところでしたね」
「ええ。……あの、戸崎大臣…話がそれてしまうのですが、例の解体対象となった学園艦…大洗女子学園艦については、どうにかなりませんか…?」
「私の立場からできることは限られています。それに我々、国を守る集団としては正直に言いますと、解体による学園艦の保有数削減自体には賛成なのです」
「そんな…!」
「欧州の研究機関が発表した説によれば、特殊生物…特にそれらの大型に該当する個体は膨大なエネルギーを生成するモノに誘因されているらしいとのことで、実際、フランスでは潜水攻撃母艦の新型原子炉稼働実験の最中に大型カイロポットの出現が確認されています。
学園艦も、各種発電機関を有し莫大な電力を"プラズマ・ジェネレーター"を介して艦上施設に供給している、いわば海上に存在する大規模なエネルギー
実際、全国各地の学園艦用停泊地や大型港、そして海自・海保施設である大型ドッグの一部に、戦車道全国高校生大会のトーナメントを勝ち残っている高校以外の学園艦には長期の停泊を文科省が要請している。これは学園艦の航行を控えることでの電力生成量の抑制も兼ねている措置である。
トーナメント最中の各学園艦には航行ローテを優先的に振り分けることで海自海保の学園艦護衛艦艇の選出をなんとかできる状態にしているのだ。
正直なところ、防衛省…そしてそのトップである戸崎にもこの情勢下での学園艦解体には反対意見はない。
その説明を聞かされた辻の表情に影が差す。助け舟は期待できないだろう、と。
「――ですが今の…連中のやり方は気に食わない。それに、個人的に不可解に思う点がいくつかあります」
そこから戸崎は、自分が今文科省、そして学園艦管理局の周辺に部下を秘密裏に送り込み探りを入れていること、各省庁や民間団体も独自に動いていることなどを辻に説明した。
「……現状、分かっているのは彼ら大洗女子学園艦の廃校、解体に異常に拘っていることですかね。優先存続条件を満たしていない学園艦は他にもあるのに、そちらには見向きもしていない。……そして命令決定権を持つだろう人物がいるのはたしからしいのですが、文科省庁舎や民間団体の学園艦教育委員会の関連施設への出入りを確認できず、どこの部署の所属であるかすら分かっていないのです。国家公務員であるのなら、データベースを照合することで身元はすぐに割れます。ですが、できていません……」
「たしかに不可解ですね……名前なども分かっていないのですか?」
「はい。その人物に関しては一切が謎に包まれていて手掛かりすら掴めず……」
「私もオカルトや宗教には明るく無いですし、信じたくもありませんが……まるで、そういったカルト教祖や幽霊を相手にしているように思えます」
お互いに黙り込み、現状の整理と共有を頭の中でしてから、ほぼ同じタイミングで大きく溜め息を吐いた。辻の方は出されていた机の上の麦茶を勢いよく飲み干していた。
かちゃん、と置いた容器を置いた辻の手の甲には汗が滲んでいた。
「………ですが、辻先生」
「は、はい…」
「貴方にも味方はいる。先生が件の学園の廃校を阻止するために粘り強く、各方面に働き掛けているのは知っています。私がこうして先生とお話できているのも、新門文科大臣から辻先生の動きを教えていただいたからだ。本来なら、我々の管轄外であるだろう案件を、です」
「そうなの…でしょうか?私は本来ならば上の意向に従って大洗女子学園へ援助等もせずに廃校手続きの席に座らせることに尽力しなければならなかったでしょう」
「…私は先生とお話するまでは、自分と同じような人間だと思い込んでいました。何らかの目標、目的のためならば冷徹に決断、行動し、支持者を得るためならば現状への逆張りさえ歯牙にも掛けない人間だと……。お気持ちを悪くされたのでしたら、謝ります」
「いえ、そんなことは……私は、恩師と呼ばせてもらっているあの
口を開けば開くほど、辻は自身のマイナス面を溢す。
それを戸崎が手を上げ、辻がその続きを言うことを止めた。これ以上自分を卑下するのはやめてくれと言うように。
「しかし、貴方がこれまでやってきたことは諭されるようなものじゃあない。最近の実績なら、2010年のBC学園と自由学園の統合に伴う片方の学園艦の解体後の動きですね。本土に移住を余儀なくされた労働者や海里生まれの国民の新天地での生活、再就職のバックアップや手当金の配布…助かった人間は大勢います。あなたはそこに住んでいた彼ら彼女らの未来を救った。これは確かなことだ。先生は温かく優しい心を持っているんです。自信を持ってください…!!」
「!!……ありがとう、ございます…」
そして言いたいことは全て言い切ったとした戸崎は、スッと椅子から立ち上がり辻に握手を求めた。
「今、学園艦管理の主導権は、民間の学園艦教育委員会、国の機関たる教育局と文科省上層部の一部…急進派が握っていることはこれでハッキリしました。そしてもう一つ確認できたことは、辻先生もまた、私にとって味方であるという点だ。今後の会談等はここ…
辻も合わせて立ち上がり、差し出された手を握る。二人は深く頷き合う。彼らの目には、信頼の火が灯っていた。
辻は感謝してもしきれないと、そう顔が語っていた。
「そこまでしていただけるなんて…!」
「――これは一つの省庁の問題でも、一隻の学園艦の問題でもありません。恐らくは、一つの…日本という国家の問題に繋がるものなのです。訳の分からない力がこの国に迫っているのならば、我々も立ち向かいます。……改めて、よろしくお願いします辻先生」
「こちらこそ、よろしくお願い致します…!!」
固い握手を交わす二人の大人。彼らもまた、見えざるところで蠢く闇の中を光で照らすべく、動くのである。
この出来事を契機に、人が本来踏み込むはずのない領域に自身が足を踏み入れることになるのを辻は知らない。
_______
同国関東地方 茨城県つくば市 研究学園地区
日本生類総合研究所 本部地下大型区画
チュゥウウウウウーーーーン!!!
バチバチバチバチッ!!
「――腹部装甲のここ、歪んでるぞ」
「あ、本当ですね…おーい!こっちに人を回してくれ!」
「――この箇所にもメーサー兵器を取り付けるんだな?」
「ああ。なんでも、戦闘機に乗っける予定の連射式指向放電砲を大口径にしたものだと」
「――ジェネレーターには"零号プラズマ・リアクター"が使われるんだって?」
「どうやらそうらしい。だが、アレは学園艦用の超巨大炉心だ。このちっこいロボにどうやってぶち込むんだか…」
「ここの科学者達が総出で小型化目指して頑張ってるんだってよ」
「零号型の炉心は、出力が桁違いに高すぎて学園艦での運用でも不向きだからって、2012年にはすべて解体されていたはずじゃあ…?」
つくば市の地下にある、生総研本部の大型区画…ハンガーには
ハンガーには官民関係なく熟練の作業員、エンジニアが集まっており、彼らはアドバンスのボディフレームや兵装などの接合・搭載を汗水流して取り組んでいた。
「四国で撃破されたエイダシク星人のドローンから回収・研究した"
「あとは静岡の植物型異星人が乗ってきただろう破壊されていた宇宙船の残骸からも技術を少しばかり拝借した」
「装甲は"
「そしてNASAとJAXAが共同で長年、研究開発を進めていた、"重力減衰制御システム"を拝借して搭載…さらにはわしと倫太郎、そして防衛省の技研で共同開発中の"電磁障壁"発生機も各部位に取り付ける予定…じゃ。ナノマシン、各種システムのエネルギー源は零号プラズマ炉心の余剰分で十分足りる計算であるし、問題ないわい」
「……まさに、既存の兵器の枠を超えた――超兵器ですね」
アドバンスのスペック確認をしつつ、建造風景を遠巻きから見ながらハンガー内を歩いているのは、アドバンス開発__"G-F計画"の開発主任である老人、早乙女と特生自衛隊へと編入された自衛官であり三人いるアドバンスのパイロットの一人、枢木である。
「メーサー系の武装で固める予定じゃが、化け物どもの体熱を奪い瞬時に生命活動を停止させ無力化させるというコンセプトで開発中の"極低温光線砲"…アブソリュート・ゼロ砲も載せるかもしれんのう。SF作品などに登場している所謂、冷凍レーザーというやつじゃな」
「メーサーを扱っていた自分が言うのをなんですが、そんなものまで作っているんですね…」
「香月君が率いる
早乙女はアドバンス建造に拘りがあるらしく、今の状況にいまひとつ納得がいっていないようである。
ハンガー内で静かに直立しているアドバンスを見ながら枢木は相槌を打つ。
「焦り過ぎも良くないですよ、早乙女博士」
「…そうだな。じゃがお主らはゲッター完成までにあらゆる技術を叩き込んでおけ。戦機隊はゲッターの実戦配備とその戦果から量産化を検討する話が上がってきている。お主らの働きが、未来に繋がるのだ。期待しとるぞ」
「…っは!!」バッ!
枢木は早乙女に対し敬礼した。
そして敬礼を終え、早乙女の後に続く枢木。
彼らは目的地である地下区画の生活空間である多目的フロアに繋がっている隔壁のロックを__枢木がIDカードを用いて__解除し、フロア内に進入した。
「ゲッターは今年の終わり、若しくは年越しほどには建造を終えるじゃろう。それまでの期間でなんとか日本が保てばいいのだが……………」
「テメェ、クマ吉コラァ!!俺にその残りの肉を寄越せぇ!!」
「ちょ!やめてほしいっス!號さん!食いたいなら食堂でもっかい頼めばいいじゃあないっすか!!」
「うるせえ!目の前にある肉が食いてえんだ俺は!!」
フロアの飲食スペースにて、馬鹿騒ぎしている男が二人。枢木と同じ戦機隊に所属しているパイロット、一文字と神御蔵である。
どうやら一文字が騒ぎの原因であるらしい。
「あの馬鹿どもが…食事ぐらい静かに摂らんか……」
「……すいません、早乙女博士。自分が止めてきます」
「うむ。任せた」
それを丁度見掛けた早乙女は頭を抱え、枢木は小さく溜め息を吐いてから彼ら二人の仲裁へと入っていく。
「二人とも、ここでの取っ組み合いはやめてください!やるんだとしても外で――」
「前にハンガーで騒ぐなって整備のおっちゃん達に怒鳴られた」
「もう言われてたんですか…!?」
「申し訳ないっス、枢木先輩……」
「お主ら、食事を摂ったらまた身体強化トレーニングと操縦シミュレーションじゃ。忘れるな」
日本の叡智を結集して建造している鋼鉄の巨人__ゲッターロボも着々と完成に近づいている。
そしてパイロットである三人の自衛官も
――――――
同国九州地方 福岡県朝倉市 古処山ツゲ原始林
森林内の深部を歩く人影が二つある。
「間もなくだ。間もなくだよ、アリス。"柳星張"の子供が封印されている祠がある洞窟に辿り着く。辛抱してくれ」
「うん……私は、大丈夫だよ。ヒール。このくらい、お姉ちゃんが味わった痛みとか苦しみなんかに比べたら…!」
「すまないね。こういった場所は転移座標の設定に制限が掛かってしまう……こんな道とも言えない所を歩かせてしまって申し訳ない」
二つの影の一つは、地球生物のそれに当て嵌まらないフォルムの、二足歩行の赤い異星人__ネオヒッポリト星人だ。そしてその後ろに続く影は島田愛里寿。
二人は古処山山中を登り歩いていた。
山中を進む彼らの目的は、"柳星張"なる怪獣が眠る祠を見つけ、その封印を解くことである。
道中、所々で仏を奉った野晒しの祠や慰霊碑、地蔵が立っていた。そのどれもに風雨に晒され経年劣化でヒビの入ったものが大半で、人の手が行き届いていないことを伺わせる。
「………ここだ」
「この中に、かの怪獣が眠っている」
すべては姉と再び会うために。
愛里寿の望みはそれだけだった。
息苦しいこの登山も、そのためならば耐えるに値する行動だと考えていた。
遂に目的の洞窟の前にヒッポリト__ヒールと立つ。
「行こう。私が明かりを持って先導しよう。滑り易いかもしれない。足元に気をつけた方がいいだろう」
「うん。気をつける」
ヒッポリトが携帯式の光源を持ち、洞窟内の暗闇を照らしながら奥へと進んでゆく。愛里寿はヒッポリトの後を近からず遠からずの一定距離を保ちついて歩く。
洞窟内は、原理は不明だが青白く発光する氷柱の如き鍾乳石がそこかしこにできているためか、想像している洞窟内のイメージよりもいくらか明るかった。
足元を照らすほどには光量は確保されており、ヒッポリトの光源が逆に補助に回っているようにも感じられる。
鍾乳石の先端から垂れる雫が下の盃状の石に張っている水溜りに滴り落ちる度に出る小気味の良い音が鳴り響くだけで、洞窟内はひどく静まり返っていた。
「ふむ……この洞窟内の鍾乳石は、恐らく地球のエネルギーたる"マナ"を宿しているのだろう。これら一つひとつが強力な蓄電池のようなものと思っていいのかもしれない」
「マナ…?」
「アリスは初耳だったかな?"マナ"とは、ある種の条件を揃えない限り地球人だけでなく我々ですら肉眼では視認することのできない非科学的かつ霊的な力だ。……そして、かのガメラの力の源であり、"柳星張"が忌み嫌う力でもある」
「ガメラの…!」
「ここにマナが溜め込まれている鍾乳石…石柱がこの洞窟に存在しているのは、"柳星張"の封印のため。ニホンの御札などと同じ要領で扱われている。古代の人間達によって人工的に生成され、配置されたものだ。ニホンの自然崇拝の原点は"マナ"かもしれないね。いやはや、新しい発見だ」
「こんな暗くてじめじめした嫌な所で、その子は何十年何百年も閉じ込められてるの?……可哀想」
数々の仲間…同胞をガメラに殺された挙句、人間によって封印された悲運な生物___愛里寿のイメージはこんなものだった。
「しかしアリス、"マナ"はただの希少かつ特殊なエネルギーではないのだ。このエネルギーは、この惑星…地球上のあらゆるモノに偏在しているもので、物質、生物、エネルギー、さらには精神や空間、時間、次元にすら干渉し得る奇特な力を持っている可能性があると、私が進めている研究で分かってきた」
「それって…」
「そう。キミの姉であるエミリの蘇生にも利用できる代物でもあるのだ。……"柳星張"は心通わせる人間を媒介にして"マナ"を無害化し、さらに上位のエネルギーを錬成する。その物質が、真に必要なモノなのだ」
ヒッポリトの
疑問が晴れ、やるべきことが明確となった愛里寿には、活力が満ちていた。最近ではめっきりと見せなくなった人前での笑顔もこうなれば自然と思い出し浮かべれる。
そこから僅かに時は流れ、とうとう件の祠に二人は辿り着いた。
洞窟の最奥部には、封印…この洞窟内の鍾乳石と同様に青白く発光している小石やボロボロの御札が表面に散りばめられている、亀のものと思われる甲羅状の石祠が目の前にポツンと一つあるのみであった。
これが目的の祠で間違いないとヒッポリトが愛里寿に話す。
「――ここが最奥のようだね。アレが…封印を施した祠か。あの中に、かの怪獣の子供が眠っている」
「ここからはどうするのヒール?」
自分はここからどうしたらいいのか、という問いをヒッポリトに投げかける愛里寿。
それにヒッポリトゆっくり頷き、愛里寿と背の高さを同じにするために膝をつき屈む。そして手の中に握り持っていた親指大の墨色の勾玉を愛里寿に差し出した。
「これを。アリスが持つことでこの石の力も活性化する」
「この石…?勾玉…を持ってどうすれば…?」
「その目の前の祠を優しく撫でるだけでいい。"柳星張"の子供もキミと"共振する個性"を感じてきっと応えてくれるさ」
「分かった。やってみる」
ヒッポリトに促され、愛里寿は祠の前へ。
祠に貼られた、年季の入った幾枚もの御札が近づくの止めているかのようにも感じられる。
だがそれを愛里寿は気にする素振りを見せることなく、甲羅状の石…祠の上面を、勾玉を持った右手でそっと上から下へと撫でた。
すると、甲羅のあらゆる隙間から虹色の光が勢いよく飛び出した。
一瞬で洞窟最奥が昼間の地上と遜色無い明るさに包まれる。
その邪悪かつ、冒涜的でありながら、あまりにも美しい鮮やかな光は、この時を待ち焦がれていたかのように一層激しく瞬く。
「遂に復活した…!神が…旧世界の怪物が……!!」
封印が解かれる様子を見ていたヒッポリトはほくそ笑み、全身が歓喜で打ち震えていた。
そんなことを愛里寿は知るはずもなく、光の中を夢中になって覗く。
そこには光の中にうずくまっている小さな怪獣を見つけた。愛里寿は怪獣に優しい笑顔を向け、頭と思われる箇所を撫でながら声を掛ける。
「あなたも、独りぼっちだったのね。でももう大丈夫。私と一緒に行こう?私とあなたは同じ。最愛の誰かを失って、孤独だったもの同士。私とあなたは家族だよ」
愛里寿は自身の手を通して、怪獣の心臓が脈打っていることを知覚する。
この怪獣から、
「___だから」と愛里寿は怪獣に名を与える。
「あなたは私の弟であり妹。私がお姉ちゃんになる。だから、あなたのお名前は、"イリス"。これからは、私と一緒だよ」
名を受け取った怪獣…イリスは、ゆっくりと愛里寿の方へ顔を上げ、その深淵のように底の見えない黒い瞳を開けた。
――現世に邪神が降臨する。――
どうも。お久しぶりです。寒さに半袖で対抗している投稿者の逃げるレッドです。
今回も合間合間の世界や日本国内のお話となります。
ドーベル隊、数十夜振りの再登場。本世界での重戦車タイタンはEDFシリーズよりも機動性やら攻撃面がアップしとりますね。まあ劇中の活躍を見てもらったの今更感ありますが…
ギャオス殲滅のレクイエム砲直上発射は紺碧の艦隊を見返していて閃きました。
ちなみにカンミナーレはイタリア語で歩く、歩行と言う意味で、ラルヴァは幼虫と……を意味する単語となります。怪獣の肩書きやオリジナル個体、サブタイ、次回予告考えたり書いてる時が楽しいですね。
前回に取らせていただいたアンケートですが、【ザム星人の恩返し】に決定されました。現在は次のサイドストーリーのアンケートを集計中です。投票してくださると嬉しいです。
そしてこちらは、ハジメ君とナハトのver.2022となります。良ければどうぞ。ナハトの方は主人公紹介のところにも載せています。
【挿絵表示】
【挿絵表示】
今後もよろしくお願いします。年末までにはケリをつけたい。
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次回
予告
黒森峰の戦車道大会二回戦の相手はフィンランド風の学園艦、継続高校。
この試合に勝利すれば、準決勝へと進出できる。
試合当日、観戦席にてエリカ達を応援しているハジメ、イルマに継続高校学園艦の艦上都市"継続町"に長年住んでいる異星人_ウィードと出会う。
彼に敵意は無く、何故か継続の下町へと彼によって案内される二人。そしてウィードは自身が営んでいる駄菓子屋に二人を招き入れる。
「___紹介しよう。この子が私の娘だ」
意外な人物の登場に、ハジメとイルマは驚愕する…!!
次回!ウルトラマンナハト、
【メトロンの娘】!
キミは、継続町の夕陽を見たことがあるか。
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