旧:逸見エリカのヒーロー   作:逃げるレッド五号 5式

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哀愁宇宙人 メトロン星人ウィード、登場。


第47夜 【メトロンの娘】

 

 

 

 

 

17年前…西暦2003年

 

東アジア 日本国中部地方 石川県金沢市

金沢港周辺市街地某所

 

 

 

ザーーーーーー!!!

 

 それは、梅雨入りしてから間もないとある日の夜だった。

 

「やれやれ。こりゃあ参った…突然雨に降られるとは。しかし、何事も備えあればなんとやら。収納傘を持っていて良かった」

 

 金沢市内は大雨に見舞われていた。

 記録的な豪雨によるとめどない雨粒に打たれる住宅街内の道を急足で傘を差しつつ進んでいるのは、黒いスーツを着たまだ若い壮年の男性である。

 

「継続高校……まだ入場ブリッジかゲートウェイが開いてくれていればいいのだがね…。この天気じゃあ分からないか」

 

 どうやらこの男は港に停泊しているらしい継続高校学園艦へ乗る予定であるようだ。

 通常どの学園艦も午後9時前後までは乗艦可能だ。

 まだ時刻は午後の7時を回ったところであるが、この大雨によって港付近の環境が今より荒れた場合、港の状況を鑑みるとして乗艦時間の巻き上げや即時終了もあるかもしれない。

 今日中には学園艦に乗らねばならないのか、男は急足から走りに変え、速度を上げて急ぐ。

 傘の覆う範囲より外側…足や肩に雨風が当たり濡れる。時折道路の水溜りに踏み込んだりもした。

 

「ここらの宿を探すのも面倒だ。間に合っておくれよ……………ん?」

 

 街路を一目散に走っていた男はふと何かに気づき前方の街灯下に目をやった。

 足も止まり、街灯の下にあるものが何なのか確かめるべく、先ほどの足取りも遥かに遅くゆっくりと近づく。

 街灯の下、暗闇の中のスポットライトに照らされている場所にあっのは、小さな折り畳み傘によって覆われ雨風から守られて置かれている、どこにでもあるごく普通の段ボールだった。

 

「…もしや捨て猫か、それとも犬か」

 

 雨風を凌ぐ傘が差されているということは、濡れてほしくないモノがその下にあるわけだ。

 世の中には、どうしようもない奴がやはりいるのか…そう男は思った。

 

「傘を差して置いていくとはな…そうまでするのなら、なぜ捨て置きなどするのか。変に情を残して捨てる…最後に苦しむのは本人だと言うのに……」

 

 やれやれと半ば呆れる男。しかし、男とて完璧な聖人であるわけもなく、ペット等を飼う予定すら立てていない彼にとって、街灯下に捨てられたモノを拾ってやるまでの気概は持ち合わせていなかった。

 

「…すまないね。許しておくれ」

 

 やや良心が痛むも、小さく謝罪の言葉を遠巻きからその段ボールに向けて掛けて、再び学園艦に向けて走ろうと男が背を向けたその時だった。

 

「――あああーー!おぎゃあ!おぎゃあっ!」

 

「!」

 

  驚いて男は振り返った。

  それは間違いなく人の声、それも赤ん坊の泣き声だった。

  男の顔は悲壮で染まった。彼は足早に街灯下の段ボールの元にまで戻る。

 

「……本当に、そうまでするのなら…なぜ…」

 

 優しく段ボールを覆う傘を退かし、自身の持つ傘で段ボールの()()が濡れぬように隠してやる。

 そして男は空いている左腕で器用に抱き上げる。

 彼が駆けつけ、抱き上げた頃には泣き声は止んでいた。

 

「――来るか?私と一緒に」

 

「ああぶ!」

 

「先ほどまでの泣き顔はどこに置いてきた。…そうか、ならば行こうか……ん?これは、手紙?」

 

 男は段ボールの中にあった小さな置き手紙を見つけ、手に取る。

 

「"この子をお願いします。名前は紙の裏側に"………そうか、お前の名前は――」

 

 

 

――――――

 

 

 

西暦2020年現在

 

7月26日日曜日 日本時間09:15頃

 

同国中部地方 石川県小松市 小松空港

 

 

 

 キィイイイイイン……!!!

 

「ケイ、輸送感謝する。助かった」

 

「オーライオーライ!また頼って頂戴ね〜!迎えは明日の昼前に!こっちも、ミホのオオアライにやられちゃって、サンダースも停泊組になったから、こうして学園艦の外に出るのもいい刺激になるから気にしないで!!」

 

「そうか…どうだった、大洗は、みほは……」

 

「ストロングなチームだったわ!あの子たち、相当強いわよ?これからもどんどん強くなると思う!」

 

 東日本太平洋側を現在航行している黒森峰学園艦は、大会二回戦の試合会場である石川県の金沢港に試合当日…今日中に到着することができていない。

 そんな時によく使われるのが一番に空路なのだが、自衛隊や民間の輸送機による戦車道競技車輌の輸送も特殊生物情勢下ということもあって頼ることは憚られた。

 そこで今回は同じ学園艦であるサンダース大附属高校に競技車輌の輸送協力を黒森峰学園が__まほの個人的な隊長同士のコネで__要請し、サンダースはこれを了承。当校の所有する米国産軍用超大型長距離輸送機__〈C-5M スーパーギャラクシー〉が太平洋上の黒森峰学園から日本海側の金沢までの競技車輌の列島横断空輸を担ってくれたのである。

 

「こうして面と向かって話すのは佐世保の一件以来だったな、そういえば」

 

「ええ、そうね。抽選会の時は席が遠かったし、私たちもあそこの喫茶…ルクレールに行こうとしてたら、トーテムモンスター(ジャシュライン)が出てきててんやわんやだったしね〜」

 

 空輸自体は無事に終え、今は貨物積み下ろし区画にて輸送隊の指揮を執ったサンダース大附戦車道チーム隊長のケイと、まほが車輌や物資の搬出を眺めながら上のような会話をしていた。

 

「――まあ何はともあれ、こうしてまたトークできてよかったし、二回戦頑張りなよマホ!」

 

「ああ。いつも通り、全力でやるさ」

 

「うんうん!いい笑顔!!その顔グッジョブよ!」

 

「そ、そうか?」

 

「イエス!前よりも柔らかくなったと思うわ!」

 

 まほの笑顔にケイがサムズアップし、負けないぐらいのスマイルを返した。少しまほは戸惑う。

 

「そ、そうか…?」

 

「そうよ!…何か、いいコトあったんだね」

 

「………ああ。あったよ」

 

 ケイにそう答えたまほの顔は、爽やかなものであった。

 今まで自信を持って言えなかったものを、断言して言えた気がした。

 

 

 

「戦車はこのまま会場まで行くんだね」

 

「ええ。アンタたちは四駆で、だけど……」

 

 複数機のギャラクシーから物資搬出している生徒の中に、エリカとハジメの姿もあった。

 試合会場までの段取りを再確認している様子である。男女別の移動手段について話しているが……

 

「だけど?」

 

「アンタが乗る四駆には私も乗るわ」

 

「ええ〜っ!?」

 

「私が見とかないとホント、何しでかすか分かったもんじゃないから。はいヒカルとマモル!私も乗っていいわよね?」

 

 ハジメの許可や了解は取らない気らしく、エリカはいつもハジメが連むメンツに()()()をする。

 何かを察したヒカルとマモルは拒む理由は無いとしてあっさりとエリカの願いは通ることになる。

 

「全然いいんじゃねーの?」

「僕も異論とかはないかな」

 

「よし。…あとは、田中!」

 

 良くも悪くも二年生とかなり繋がりのある整備科一年生の名前をエリカが呼ぶ。

 

「は、はい!なんでしょうか!?」

 

「アンタ、今日はここのメンバーのとことは別の車に乗って頂戴」

 

「りょ、了解しました!!」

 

 これでエリカがハジメの監視役として四駆に乗れることが確定した。エリカはどうだと言うように鼻を鳴らしてハジメの方を見る。

 

「何よ?嫌なの?」

 

「いや…強いて言うなら……?嬉しさ半分気まずさ半分…くらい?」

 

「減らず口は相変わらずなようね…、やっぱりお仕置きしてあげるわ」ガシッ!!

 

グリグリグリグリグリ!!

 

「ああ"ーーーーーーッッ!!??」

 

 

「アー……エリカとハジメも…元気そうね」

 

「ああ……」

 

 青空が広がる、積み下ろし区画の一角で、ハジメの悲鳴がこだましていた。

 

 

 ハジメがハンバーグにされかけてから20分が経った頃には、黒森峰戦車道チームは輸送機から車輌と物資の積み下ろしを終えて小松空港を発つところであった。継続高校との試合会場である金沢市かないわ海浜広場に隣接している、臨海演習場に向かうためだ。なお、今回は沿岸部の一部市街地も試合の交戦区域に設定されている。

 ハジメ達整備科は人数分の四駆に乗り込み、まほ達機甲科は競技車輌である戦車に乗って車列を形成して一般道を疾る。

 ちなみに、黒森峰戦車道チームが通過する公道は、戦車道連盟や文科省の要請で石川県警により交通規制が敷かれている。そのため、渋滞等に悩むことは無かった。

 出せる速度の関係上、機甲科よりも整備科の四駆車列が先行している。

 

「継続……あの弦楽器持ってる、帽子被った隊長さん。ミカさんがいるとこだよね…?」

 

「カンテレよ、いい加減覚えてあげなさい。……継続の、ミカさんの指揮は卓越してる。西住隊長に匹敵するレベルなのは間違いないわ」

 

 ヒカルの運転する四駆には助手席にマモル、後部座席にエリカと一緒にハジメが乗っていた。

 

「うん。去年の夏にやった練習試合すごかったもんね…」

 

「そうだよなぁ〜こっちの本隊を分断して各個撃破狙ってきたりな」

「僕らは観てた側だったけど、焦りやら何やらが全部僕らにも伝わってきたし。その、なんだろう……観ていて怖かった」

 

 黒森峰は過去に何度か継続とは練習試合等で交流していた。そのため、ある程度の記憶やらは各員に残っているわけである。

 特に、最近の継続高校戦車道チームは各方面から注目を受けるほどに頭角を現してきており、戦車道強豪校からはマークされつつあるのは皆が知っていた。

 

 機動力を活かした少数精鋭、徹底したゲリラ戦術…忍者戦法とも言われた東日本を代表する戦車道流派"島田流"に酷似したスタイルで戦う継続高校。

 数年前まではただ旧式戦車や軽戦車、そしてプラウダなどから半ば強引に()()()()()中戦車、重戦車をいくらか扱う雑多な集団で、金もなく物資も足らず、満足に戦えない。たまに驚かされることはあるが、取るに足らない弱小チーム…というのが評判であった。

 

「あの人…ミカさんって、みほや西住隊長と似た雰囲気を持ってるのよね」

 

「そっか、エリさんも直に会ってるんだっけ?」

 

 しかしそんな継続高校に転機が訪れたのは二年前である。

 継続高校にとある素性不明の女子生徒が入学し、戦車道チームに参加。戦車道での才能をたった1ヶ月で開花させたその生徒は、当時の三年生や隊長に絶大な信頼を置かれ、遊撃班として一年生で全国大会に出場すると自身の指揮する車輌での初陣で、敵チーム戦車5輌を瞬く間に討ち取る大金星を上げた。その後は一年生でありながら秋季大会には戦車隊の小隊長に任命され活躍するなどして、継続のエースと言われるまでとなった。

 だがいかんせん試合数が少なく、実際に他校が彼女との戦闘を経験することもあまり無かったために、二年生の秋まではある種の秘密兵器のような立ち位置になってもいた。それでも、彼女を知る他校の一部生徒から要警戒されるほどの人間だったのはたしかである。

 その風の如く突然現れた女子生徒と言うのが、継続高校戦車道チームの現隊長であるミカだ。

 

「たしかにミカさんはすごい選手だけど……私、苦手なのよね、あの人」

 

「まあ…エリさんの性格的にソリが合わなそうだよね…俺は一回しか会ってないけど」

 

「なーに私のこと全部知った気になってんのよ!」

 

「待って!なんでいきなりここでハンバーグの刑やろうとしてんの!?今日は朝に空港で一回受けたじゃん!!」

 

 ミカが正式に隊長へと就任してからは、継続高校の戦車道チームの評価は一気に覆った。以前と同様に黒星が多いものの、相手をあと一歩まで追い詰める試合が徐々に増えていったのだ。

 油断と慢心から足元をすくわれ、立て直せなかった相手チームからは容赦無く白星を奪う…得体の知れないチームが出来上がっていったのである。

 

「私のこと知った気になって……私は、全然アンタのこと……」

 

「え、エリさん?」

 

 さらに、彼女と継続高校に追い風が吹いているかのような出来事も多々起こった。その代表例が学園艦のあらゆる店からの資金提供や各種物資の援助だ。

 特に継続戦車道チームが困窮していた食糧問題の解決は記憶に新しい。この件は学園艦の外にはあまり周知されていない話ではあるが、彼女たち継続戦車道チームの面々が救われたことは間違いないだろう。

 試合中にも気軽に食べることができ、持ち物にかさばる心配の無い、継続町の一大名物……"シタマチ印の駄菓子"は最大の功労者だろう。駄菓子というレパートリーの富んだ戦闘糧食は彼女たちの士気を維持させる役割を果たしたのと同時に、絶大な人気を得るに至り、今や件の駄菓子は継続高校学園艦の名物の一つである。

 

「……っ、なんでもない…」

 

「で、でも――」

 

「なんでもないったら、なんでもないの」

 

「…うん。ごめん」

 

「(なんでアンタが謝るのよ……)」

 

 そんなミカ率いる継続高校との試合に臨むべく、試合会場へと向かう四駆の中では、エリカがハジメとのやりとりを経て何故か項垂れていた。

 

「…あー、後ろの二人?なんかあったか?俺運転しててあまり聞こえんかったんだが…」

「ナギさん、今は多分運転に集中してた方がいいよ」

「あ、ああ。分かった。なんとなく状況は…」

 

 運転担当である前席のヒカルが何がどうしたと後ろの二人の様子を確認しようとするが、マモルの計らいによりそれはやめさせた。ヒカルもここで無理に話題に入るのは無粋だと理解したらしく、運転に意識を向け直した。

 

(私も、アンタのこと全部知った気になってた……今のアンタが本当のアンタなのか、分からなくなってきた……)

 

 俯き一言も発さずに黙るエリカに、ハジメはどう声をかければいいのか分からなかった。

 故にハジメの伸ばそうとした手が止まる。手は向かうべき場所を失ったことで、自身の膝の上へと戻る。

 なんとも言えない雰囲気が車内を包んだ。

 

(エリさんに、何て言えば…いや、俺に言う権利があるのか…?分からない……)

 

 ここから2時間ほど後に、現地__臨界演習場に黒森峰戦車道チームは到着し、何もトラブルが起こることもなく継続高校との試合が開始された。

 

 

________

 

 

 

日本時間11:30頃

 

 

同県 金沢市 かないわ海浜広場

隣接施設臨界演習場 仮設観戦会場

 

 

 

『継続高校〈KV-1〉、走行不能!!』

 

ワァアアーーーッ!!

 

 

バタバタバタバタバタ!

 

『バーナインより指揮所(CP)へ。機内計器、並びに機外環境に異常ナシ。送れ』

 

『会場指揮所了解。12:00まで巡回を続行されたし。それ以降は後続が引き継ぐ。送れ』

 

 晴天の会場上空には連盟審判団の所有する双発機〈銀河〉と大会警備任務に伴う監視飛行の任に就いている陸自の観測ヘリ__〈OH-1〉が飛んでいる。

 そして歓声に沸き立つ観戦席の人々。

 丁度今、黒森峰側がまた新たに継続側の車輌を一つ屠ったところであった。

 アルプススタンドのように巨大な仮設大観覧席はおよそ三つ。その全てが横に隣接し、一つの巨大スクリーンを囲むように置かれている。その中央部にハジメと、テレポーテーションを用いて合流したイルマが観戦している。

 

「継続高校って、フィンランド…北欧の国をモデルにした高校なんだね」

 

「まあそうだな。あとは、豪雪地帯の石川の学校だからってのもあるかもしれないけど、湖沼だけじゃなく雪原での戦いに滅法強い。それに隊長さんがすごい優秀」

 

「へぇ〜。それじゃ、黒森峰の西住隊長や逸見さんと比べたら?」

 

「うーん……どうなんだろうな、実際」

 

 大観覧席の盛況具合は知波単対黒森峰の試合時の比ではなかった。

 何せ、観覧席の七割以上が継続の学園艦に住んでいる人々で占められている。地元の高校を応援しないわけがない。それと、学園艦にある商店が軒並みバックアップに回ってることも起因しているかもしれない。

 よく周りを見てみれば、継続の学園艦の出店から出されている飲食物を片手に応援している人が大半だ。特に上述の__戦闘糧食として好まれている駄菓子の割合が多い。

 そんな観覧席をグループで確保することは流石に黒森峰でも困難であったらしく、ハジメを含めた男女一部生徒らは点々と空いている席を見つけ観戦しなければならなかった。そのため、ハジメは他のメンバーとは離れた席で観戦することになったことと、イルマから自分も観戦したいと丁度連絡も来ていたこともあって二人並んで観戦するに至ったのだ。

 

「隊長さんとは会ったことあるのかい?どんな人だった?」

 

「あー……、掴みどころの無い人って、感じかな?」

 

 イルマから問われたミカについての話をしながら、ハジメはスクリーンに映る試合の動向を逐一確認していた。

 今は画面分割で、目覚ましい活躍をしている両校の車輌がハイライトされている。その中には先程の話題となった継続のミカや、黒森峰(こちら)側の隊長であるまほ、そしてその二人に引けを取らない人物であるエリカも勿論映っていた。

 

「…逸見さんすごいね。もう3輛も撃破しちゃった」

 

「あ……ああ、そうだな…」

 

 今回は二回戦…準々決勝にあたる試合のため、最大10輌編成の試合は両校にとっては最後である。

 準決勝は15、決勝は20と、5輌ずつ増えていき最終的には中隊規模のチーム同士の試合となる。数的有利をできる限り減らせるのは準々決勝までとなるわけだ。そのため数年に一、二度の頻度で準々決勝までの試合にて大番狂わせ(ジャイアントキリング)が発生することが稀にある。

 強豪校が一番に警戒しなければならないのは、実は初戦と二戦目であったりする。……決勝とはいえ、意外なところで足を掬われてしまうのは、黒森峰も()()に経験済みである。

 

「なんだろう…逸見さん、焦ってるように見える」

 

「エリさんだって必死なんだよ」

 

「問題はその必死ささ。どうしてあそこまで…」

 

「多分先輩方、西住隊長たちを勝たせたいんじゃないかな。去年、勝ってたら夏大10連覇だったんだ…。みほさんが悪いとかじゃなくて、どこかで、夏大は一位取って優勝旗貰うことが当たり前になってたんだと思う。その矢先にさ、取れなかった……」

 

 去年のやるせなさ__整備科であり直接試合に関われず、何も言えずにいた頃の記憶。ハジメは画面に映る引き締まった表情のエリカを見ながら、続ける。

 

「あの人が…西住隊長が就任したのが二年生の春。大型の大会なんて、今のところ夏大会しかないから、ここで優勝を取れなかったら西住隊長は優勝旗を握ることなく高校戦車道を引退しちゃう……だからだと思う。これまで先輩方の代まで当たり前に取ってきた優勝旗を、なんとかエリさんは西住隊長に渡す手伝いをしたいんだと思う……俺の勝手な解釈と思い込みだけどな」

 

「少し分かった気がする…逸見さんの気持ち、それにハジメの気持ちも」

 

「そっか…ありがとうな」

 

 理解を示すイルマに、ハジメは感謝を伝える。自分で抱え込んでいたモノを不完全ではありながらも外に吐き出せた。その機会を意識したわけではないにしろ、設けて聞いてくれたのは他でもないイルマである。

 礼を言わない理由は無かった。

 

「僕は、ハジメを支えるって約束したからさ」

 

 快く礼を受け取るイルマ。人間体の彼の顔には笑顔の中に若干の照れが混じっていることを付け足しておく。

 こうして幾分か心に余裕が戻ってきたハジメは、エリカ達の試合を観戦し、応援するべくスクリーンに体を向けようとした。

 すると、どこからか声が聞こえた。それも脳に直接語りかける__テレパシー系のもので、であった。

 

《――キミがこの星のウルトラマン。ウルトラマンナハトかな。アラシ・ハジメ君。驚いたよ、キミが学生だと知った時は》

 

「「!?」」

 

《そして、その横にいるのはザラブ星人の、イルマ君だったか。たしか出身の宇宙は私と同じであったと記憶している。心優しい、彼の協力者だ》

 

「ぼ、僕のことまで…!?」

「いったい何者なんだ…」

 

 普段から直に言葉を交わしているからだろう。何度かテレパシーによる会話は、ハジメも経験があるが違和感を覚えてどうにも慣れないらしい。それもいきなりとなれば尚更だろう。

 こちらをピンポイントで知覚しているだけでなく、隠しているハズの情報を握っている未知の相手から語りかけれたことで、二人は平静を装い席に座りつつも、付近を見回し探る。

 

《おいおい、落ち着きたまえ。キミらと敵対する気は無いよ。抹殺が目的ならこうしてコンタクトを取る前にとっくにやっている。チャンスなら幾らでもあったからね》

 

《どこにいる…?》

 

光の超人(ウルトラマン)の力を使ってごらん。そう遠くにはいないよ》

 

 ハジメは謎の声の主に促される形で、渋々ウルトラマンとしての超人の力の一部…気配探知に当て嵌まる能力を使う。

 ハジメを中心にして、常人には可視化できず察知もできないエコー…潜水艦のソナーのイメージに近い重円が広がっていく。

 

「――掴んだ」

「ほんとかい!?じゃあ、この声の人はどこに…?」

 

 すると意外にも早く声の主のものと思われる反応を掴んだ。

 

《おお!私を見つけてくれたようだね。流石、ハジメ君。伊達にウルトラマンをやってはいない》

 

 だが一つ、ハジメにとって想定外な点が一つあった。

 

「う、後ろだ。俺とイルマの、すぐ後ろ…多分、真後ろの席だ……」

「え……!」

 

 自分と相手との距離が想像よりも近すぎた。

 あまりにも近すぎたのだ。

 振り向くよりも早く、件の存在の方が早く動いた。

 

「正解だよ」

 

 背後から、近年日本でも一定層からの需要が増加しつつあるASMRなるもののような囁き声…それも大の男の声が耳元から……。

 数瞬の身体的、精神的硬直が訪れ、そのあとに全身にゾワっとした悪寒が走った。

 

「「どわああっ!?――」」

 

――シュパッ!!――ワァアアアーーーッ!!!

 

 状況を認識したハジメとイルマの素っ頓狂な悲鳴は、試合展開に沸き立った観客らの大きな歓声に包まれたことで付近の人々がハジメ達に注目するのは防がれた。

 もしも二人の悲鳴を聞いた者がいるならば、彼らの声はおろか、変顔と遜色ない目を見開き口をパクパクさせたなんとも言えない__一般の男子高校生がしないような凄まじい顔を見ていたはずである。

 

「そんな声を上げないでおくれよ。こちらにも非はあるが、私でもそれは傷つく。席に座り直したまえ。試合はまだ途中だ」

 

 ハジメが振り向いた先にいたのは、男だった。

 片手に赤青黄のトリコロールの奇抜なカラーリングが施された缶飲料を持ち、にやけ顔で二人を見下ろし観戦席に足を組んで優雅に寛ぎ座っている黒スーツ姿の男がいた。

 男からは仄かに麦茶の匂いがする。缶の中身はこれで分かった。

 

「……俺たちに何か用が、ある…んですか?」

 

 驚きから立ち直ったハジメは、第一に聞きたかったことを尋ねる。男はひどく細目であり見る者が見たら威圧感を与えるが、実際その目の中には冷たさは無く、寧ろ温かみが篭っていた。

 目の前のスーツ男が自分よりも年上の風貌かつ、上記のような雰囲気を醸し出していたことから、ハジメの質問には途中から取ってつけたような敬語が入った。不信感が未だに拭えなかったのも理由に違いない。

 

《何か悪事を私に働いてほしいのかね?それはあまり気が進まないから絶対にやらないが…》

 

 正直なところ、当たり前のようにテレパシーで意思を伝えてくる人間がいてたまるものか、といったところである。

 

「さて、ここからは実際に会話を交わしていこう。質問にも答えようじゃないか。…隣に座らせてもらおう。失礼する」

 

 よっこいしょとおっさん臭のする独り言を呟きながら、男はどかっとハジメの隣の席に座った。

 そしてハジメの方に顔を向け、屈託のない笑顔を見せる。

 

「よし。質問に答えよう。キミらに何か用があるのか…だったね。率直に言えば、世間話がしたかったのだよ」

 

「「はあ?」」

 

 周りの観客は3人の会話には興味を示さない。目前の巨大スクリーンに映し出されている試合風景に熱狂している。盗み聞きはされないだろう。

 男の取り敢えずの返答に難色を示して困惑の表情を返すハジメとイルマ。

 

「奇襲紛いのことをしておいてそれはないんじゃないかい?」

「せ、世間話って…何で俺達と」

 

「そっちのイルマ君は私と同じ存在…外からの来訪者だ。そしてハジメ君もまた、人とそれ以外との間で揺れている()()()()()()()だ。超人と言った方が良いかな。…キミらは少なくとも()()()()だ。似た者同士でしか分からない、話せないこともあるだろう?それに付き合ってほしくてね」

 

「…そっちの名前は?まだ聞いてない…ですよね?」

 

「おお、すまなかったね。大変失礼した。名乗りもせずにベラベラと話してしまった。悪い癖だな、これは。改めて、私は名をウィードと言う。上の名前は下町(シタマチ)だ。地球…日本で過ごす間はこの苗字を採用させてもらっている。ああ、しっかりと戸籍は登録しているとも。私も立派な日本人だよ」

 

「日本人たって……」

 

 目の前の異星人…ウィードと名乗った男は、ズボンのポケットから年季の入った古い革財布を取り出すと、保険証と普通免許証を2枚セットで二人に見せる。

 

「ほんとだ、偽造された跡も見えない。どうやら日本人としての国籍は持ってるようだね…。ねえ、ウィードさん、僕と同じ並行宇宙の出身って言ってたけど、見当がつかない。どこの星の人間なんだい?」

 

 イルマが異性由来の…"地球外超技術(メテオール)"による偽造を疑い鑑定したが、特に怪しい箇所は無かったようだ。

 

「私はメトロン星人だ。"幻覚宇宙人"とも呼ばれていた種族だね。この地球には、17年ほど前から滞在させてもらっている。ちなみに、最近この地球で騒いでいる星間同盟とは繋がりは持っていないよ」

 

「メトロン…星人?イルマは知ってる?」

「うん。メトロン星を母星とする異星人だ。宇宙でも類を見ないほどの高度な科学力を有し、幻覚宇宙人の別名の通り、……"宇宙ケシ"の実で作られた幻覚作用を持つ薬物を生産していた種族だよ」

「や、薬物…!?それなら、やっぱり危ないヤツなんじゃ…」

 

 ウィードの持っていたトリコロールの缶をイメージしながらハジメは思う。

 

 メトロン星人は、策略・謀略に長けた異星人である。

 持ち前の科学力と頭脳を活かし、星間戦争を誘発させ敵対勢力を潰し合わせたり、宇宙進出目前の惑星文明を上記の幻覚薬物__星間条約等の規約を破った危険ドラッグを与えて薬漬けにして自滅させ自分達の植民地として制圧するなど、狡猾な計画を企てる侵略性種族としてM78スペースの宇宙では認知されていた時期もある。

 種族全般が独特の感性を持った皮肉屋としても有名で、普段から何を考えているのかは多種族は分からないらしく、毛嫌いしている者もいると言う。

 

「アレはもう本星では待ったが掛けられ生産ラインから外されて作られてはいないし、私もこの星では製造も運用もしていない。それに、アレは薬物なんかではないよ。恐ろしい化学兵器さ。今では作るのも、使うのも、宇宙犯罪に走る浅はかな者達だけだ」

 

「俺達のいるこの地球には何をしに来たんですか」

 

「私は、情報を得に来たのだ。地球文明の情報をね」

 

「何のために?」

 

「別の次元…他の並行宇宙の地球との文明発展度を比べるためだ。ハジメ君達()()()には自覚はないかもしれないがね、どの世界でも、地球はある意味で()()()なのだよ。」

 

「特異点?」

 

「イルマ君も知らないようだね。いいかな?あらゆる並行宇宙で、地球を中心とした歴史の転換点は数多く存在する。だだっ広い宇宙にポツンとある辺境の惑星という輩もいるが、この星(地球)は不可思議なモノで満ち溢れているんだよ。時に地球…いや地球人は高位存在と対話できる存在となり得たり、またある時には宇宙全土を巻き込む戦役を引き起こし機械の怪物を使役して侵略戦争を仕掛ける側に化けることもある。これらはそのごく一例に過ぎない」

 

「そこで我々は考えた」とメトロンは続ける。

 

「我々の住む宇宙に害を及ぼす発展をしているか、それとも益をもたらす発展をしているかの調査と観測をすることにした。あらゆる宇宙の地球を6段階の脅威度でランク付けし、一定のランクを越えればその宇宙への進出・交流を中止し、撤収する。同じ宇宙から来た他の星人にもそれを通達し撤収を促す。……向こうがこちらの宇宙を見つける手掛かりを掴まぬうちにね。それほど地球にはあらゆる可能性があるのだ。」

 

 黒森峰と継続の試合を背景に、三人の話は続く。

 

「メトロン星人は、様々な世界の地球を注目しているわけですか?」

 

「そうだ。地球は特別なのだよ。こちらの地球には、五大英傑と名高いドリューやカラレス、ウルトラ兄弟のメビウスにセブンと言った戦士が来ただろう。我々の宇宙にいる彼らM-78星雲人…光の国出身のウルトラマン達は異常なほど地球に固執している。彼らも、キミたち地球人に自分らには備わっていない何かを見つけているのだろうね。地球が消えれば滅びる宇宙があるのも事実だ。だから彼らや、時に別の存在達もこの星に力を貸す」

 

「地球に、地球人にいったい何があるんですか?」

 

「それは宇宙によって違う。時に()()()()()()()()()()()()()()()であったり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()であったりもする。……これらはある意味我々には無い"多様性"だよ。超技術に限った話ではないが、その多様性が真に地球が狙われたりする理由でもある」

 

「あ…父さんが教えてくれたかもしれない。地球は他の星よりも、世界線を越えた時に変化の差が激しい星だって」

 

「そう、その差が問題なのだよ。変化…発展の差を数値化できれば、ある程度の物事に対する予想が可能となる。勝手な言い分だが、我々も手と手を携える相手は選びたいというわけだ」

 

 そう言うとウィードは缶をぐびっと一気飲みした。気分良さそうに小さく唸っている。その姿は最早昼間から晩酌を楽しんでいる一般的なおっさんと相違ない。

 一呼吸置き、スクリーンに映る継続の戦車隊を観ながら空いているもう片方の手で何処からか取り出したスルメを食べ始める。今までの話からは考えられないほど型にハマった完全なおっさんぶりである。

 

「私はそうした考えから創設されたメトロン星の惑星政府直属機関…"多次元戦略情報室"の者なのだ。日本でいうところの、内閣直轄の情報収集組織の拡大版といったところだね。この宇宙の地球を調査しに来たのは先ほど話したものが大半の理由で、本当に敵意も侵略の意図も無い」

 

「ウィードさん、一応聞いておきたいんだけど、この地球の今の脅威度はどこらへんなんだい?」

 

「___3。ちょうど中間あたりだ」

 

 あっけらかんとした…ケロッとした顔でイルマの方をちらっと見やってから、再びスクリーンの方に目を向けるウィード。

 彼曰く、この世界の地球は現在、科学技術__特に軍事分野のモノが急激に成長・進化しているからと言う。怪獣を倒すために生まれた新兵器や、それに伴い開発が早まり完成してしまった破壊兵器もそれに該当するらしい。

 

「道具は使いようと言うだろう?例えば、殺人鬼やテロリストでもなんでも良い。ソレらがキミら二人の目の前にいたとする。丸腰のヤツらに包丁かハサミか、はたまた裁縫の針の一つでも、渡そうとするかい?そういうことだよ。悪意ある者が善意やその他の無害な感情から生み出されたモノを渡されても、モノ本来の扱いをせずに非道に走る」

 

 そして最後に、脅威度の判別の最終的な決め手となるのは、地球人全体より求めた善悪意識の平均値だとウィードは二人に教える。一部の軍事国家__特に豪州連合の強行姿勢が脅威度上昇の一因であるらしい。

 過程がどうであれ、星間文明すら脅かすかもしれない科学力を獲得しつつあるのは事実であるとし、学園艦という超巨大艦船の建造技術を含めてウィードも一目置いているとのことだった。地球は次元…世界を越えたとしても、どこの宇宙でも途方もない影響力があるらしい。

 

「……ふう。一通り話したかな。すまないね、長話に付き合ってもらって。さあ彼女達の試合を観戦することに集中しようじゃないか。私は継続住みだからね、すまないがキミらの真横で継続を応援させてもらう。私はにわかじゃないよ?私もれっきとした戦車道マニアだからね」

 

「だからこの観戦会場に、ですか」

 

「地元を応援しないわけにはいかないだろう?」

 

 スクリーンに継続の戦車が映ると、それを目で追うウィード。その目は楽しげであった。

 気分がいいからか、ハジメとイルマにまた何処からともなく取り出してきた例のトリコロールの缶飲料を手渡してきた。

 

「見たところ、飲み物も持ってきていないようだったから、良ければこのお茶を飲むといい。継続名物の一つ、"眼兎龍(めとろん)茶"だ。味も品質も保証しよう。何せ私が提案した至高の商品だからね」

 

「"眼兎龍茶"…たしか、ある年を契機にメトロン本星で確認された清涼飲料水だったような…?実物は初めて見たよ。宇宙市場でも正式に出回っていたモノだね」

 

「……てことは、普通に美味しいお茶ってことか」

 

「そうとも。美味いんだな、これが。ささっ!一気にグビっと飲みたまえ!!」

 

「そこまで言うのなら、お言葉に甘えて…」カシュッ!

 

 促されるがままにハジメは缶のフタを開けると、口をつけて言われた通り飲んでみる。

 口に含み、味を確かめた後飲み込んだ。ハジメは目を見開きトリコロールの缶を見る。

 

「――!美味しい。本当に美味しいですね、これ!」

 

「ははは、嬉しいよ。…ちなみに毒物等の心配をしていたかもしれないが、キミレベルの…光の力を持つ者なら、混入されていたとしても我々の使う毒はほぼ通用しない。どちらにせよただただ美味いお茶ということだ」

 

「うん…美味しい。これは宇宙市場に出回るわけだね…」

 

「今は継続高校学園艦のご当地ドリンクではあるが、来年ぐらいには全国販売が始まる。セールスマンをやっていた時のコネが活きたよ」

 

「ん?やっていた…ですか?というより働いていたんですね…今は何を?」

 

 引っ掛かりのある言い方をされたハジメはウィードに聞き返す。ウィードの経歴に興味が湧いたらしい。

 

「今は駄菓子屋だよ。ほら、周りの人々が口にしてる菓子はみな私の店のものだ。嬉しい限りだね」

 

 だからどこからでもつまみやら菓子やらが出てくるのかと変な納得をしてしまうハジメ。

 

「……日本に降下し、移動拠点として学園艦に目をつけた直後の私は生活費に困窮していた。日本人としての戸籍も登録してしまっていた後だったから、税金も払わないといけなくてね」

 

 そういったところは律儀なのだなと、ハジメとイルマは心の中で思った。

 

「その時にね、ダメ元でとある飲料販売店に売り込みをしてみたんだよ。そしたらそこの店主さんが乗ってくれてね、ウチの会社で作らせてくれと言われて、その後は生活するのが苦にはならないぐらいの金が下りてくるようになった」

 

 自身の身の上話を、懐かしみながら穏やかな顔で語るウィード。

 

「その気前の良い店主からは従業員にならないかとスカウトもされたが、学園艦内のカモフラージュ施設が欲しかったし、やるべき事があったからね。丁重に断らせていただいた。そこからは継続高校学園艦を拠点とすると決めてから、そこの艦上市街地(継続町)の土地を買い、"駄菓子屋シタマチ"を開店した。私は駄菓子が好きだったのでね、自分の手で店を持ちたかったという欲もあった」

 

 そして今に至る…とウィードは締めた。

 懐かしそうな顔で余韻に浸っている彼を見るハジメは、目の前の人間が本当に異星人の擬態した姿であるのかと疑った。

 また、ザラブ星人であるイルマはハジメの日常に既に溶け込んでいるため、ハジメは違和感を感じなくなっていたが、たった今会った別の異星人からもそれと似た感覚を覚えていた。

 とにかくウィードの話は聞いていて退屈しなかったのは確かである。

 

「色々あったけれどね、今こうしてあの子達…継続の生徒達の頑張ってる姿を見ていると、幸せなのだよ」

 

 艦上店舗による継続戦車道チームへの援助活動を主導した店がウィードの経営する駄菓子屋(シタマチ)であったと言う。

 ウィードの持ち前の人柄と人脈のパイプを活かしての取り組みだったが、何故彼がそこまでやったのかは、二人には口にはしなかった。話す必要が無いと彼自身が判断したからかもしれない。

 

「なぜ、一つの学園艦…それもそこの戦車道チームの応援を?住んでいる地元だからっていうだけですか?」

 

「いいや?…ただ、どこの星でも同じなんだよ。子供は希望そのもの。種族の宝なのだ。頑張っている子供達を眺めていると、応援したくなるのが大人の性だと思うのだがね」

 

――パシュッ!!

 

『継続高校、〈T-34〉走行不能!!』

 

 ウィードの話を聞いている間に、試合は佳境に入っていた。

 継続側の残存車輌も3輌までに減少。何も障害物の無い平坦な草原地帯に追い込まれていた。黒森峰側の損害は小破や中破で留まっており、動ける車輌をかき集めて包囲陣を形成し、ジリジリと包囲を縮めている。

 

「あちゃあ…!またやられてしまったね……いやはや、流石強豪黒森峰。徹底した集団戦法、まったく恐れ入る。西住まほ君と逸見エリカ君、そして彼女らを支える分厚い選手層…今年も強いね、そちらの学校は」

 

「なっ!?二人の名前をどこで…!」

 

「月刊戦車道でよく特集に載ってるじゃないか、キミの学校は。もっと知見を広げたまえよハジメ少年。私は異星人ではあるが、気色の悪い中年オッサンになった記憶はない」

 

「すいません……」

 

 思わぬ返しにハジメは早とちりした恥ずかしさで赤面する。消え入るような声でウィードに謝る。

 だがいつまでも俯き気味なハジメではなく、特に自分からはウィードに振る話も無かったため、閉口して終盤に入ったエリカ達の試合を観る。

 

ドォオン!! ドン!! ドドン!!――シュパッ!

 

『黒森峰学園、Ⅲ号J型走行不能っ!』

 

「おおっ!ウチのBTが一匹屠った!!ハハハ、いいぞ!!」

 

 手を叩きながら子供のようにはしゃぐウィード。

 スクリーンでは黒森峰の包囲網を単身で突破した継続の隊長車兼フラッグ車(〈BT-42〉)が黒森峰本隊へ向けて爆走している様子が映っている。

 BT-42の砲塔上部、キューポラから白と水色のチューリップハットを被った女子生徒が顔を出す。継続の隊長でありエースのミカである。

 

 勇猛果敢か、はたまたただの蛮勇か、時折フェイントを掛けつつ黒森峰の隊長車に真っ直ぐ進んでくる。

 背後に残してきた二輌はBTについて来れず敢えなく撃破されていた。残るはミカのBTのみである。

 しかしこれはフラッグ戦。戦力差が圧倒的であったとしても、一発逆転の可能性がある限り、最後まで分からない。

 

「行けっ!フラッグを撃つんだ、ミカ!!」

 

 手を握りしめ、スクリーンに食いつくウィード。

 ハジメとイルマも固唾を呑んで試合を行く末を注視する。

 黒森峰本隊とBT-42の距離が残り300メートルを切った時に、本隊による制圧射撃が始まった。個々による自由射撃ではなく、指揮官…まほによって統制された集中攻撃である。

 それをBTはドンピシャのタイミングで回避。精度の高い攻撃ほど読みやすいものは無いというように華麗に黒森峰の攻撃を捌いていく。BTもお返しとばかりに砲撃を繰り出す。砲弾は弾かれてしまったものの、そこからは操縦士と車長のミカだけでなく砲手の腕もかなりものと分かる。

 

――ズドンッ!!!

 

「「「っ!?」」」

 

 このまま、ミカのBTが必殺の間合いまで詰めて黒森峰フラッグ車を討ち取るかと思った矢先だった。

 試合会場だけでなく、観覧席を黙らせる一発の砲声が響き渡った。

 それはスクリーンの画面外からの狙撃に近い砲撃だった。

 スクリーンにでかでかと映って観客の声援を一身に受けていたBTの砲塔後ろ右側面にいきなり穴が空いたかと思えば、続けて高速移動中であった車体がバランスを崩して横転する。

 

ガッシャアーーンッ!!――ガラガラガラ…

 

 観覧席を静寂が支配した。観客は声を上げることなく、動揺しているようで…というよりも何が起こったのか分からない様子である。

 そんな人々に今先程起こった現象の答えを、スクリーンが投影した。

 

「あ、アレは!ティーガーⅡ!!」

「ていうことは…逸見さんがやったってことかい?」

 

 静かに平野の緩やかな丘の頂上に佇む"王虎"。

 王虎…ティーガーⅡの上には銀髪をたなびかせ、涼しい顔をしている少女__エリカがいた。

 彼女のティーガーⅡの放った砲弾が、ミカのBTを撃ち抜いたのである。

 

『―継続高校フラッグ車、BT-42走行不能!!よって、本試合は黒森峰学園の勝利!!』

 

 ワァアアアーーーーーーッ!!!

 

 見方によっては横槍を入れた形になるかもしれないが、戦車道は集団スポーツだ。どんな形であれ、ルールとモラルの範囲内ならばそれも立派な戦術である。

 知波単戦に続き、圧倒的な火力を見せつけての勝利に、観客は湧いた。継続側の観客も、最初は地元校の敗北を惜しんでいたが、次第に両校の健闘を讃える盛大な拍手と歓声が増えていった。

 

「負けてしまったか…だが、良い試合だった。素直にキミ達黒森峰の勝利を讃えようじゃないか。継続の分も頑張っておくれ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ふむ…あとで継続の皆には駄菓子を渡しに行こうか。よく頑張ってたからね」

 

「?…ミカさん達とは知り合いなんですか?」

 

「ん?ああ、そりゃあ援助してる地元チームの隊長であるし、色々と交流もあるからね」

 

 ウィードがハジメの質問に答えた頃には、二校の試合後の挨拶が行われていた。

 隊長…チームの代表者である、まほとミカが握手をした後、主審の蝶野教官が整列している選手達にコールする。

 

『――それでは両校、礼!』

 

『『『ありがとうございました!!』』』

 

 スクリーン越しでも伝わる爽やかな、凛とした締めの挨拶。両校の選手達は、気分良く終われたことだろう。

 挨拶後は戦車道の試合の恒例行事でもある交流会が始まった。

 上述の様子を見ている観戦組のハジメ達も、交流会の方に向かうために、観戦会場をあとにする。

 

「それじゃ、俺たちは交流会の方に行かないといけないので、これで」

 

「そうかい。お疲れ様。私の話し相手をしてくれてありがとう。試合中だったのに済まなかったね」

 

「いえそんなことはなかったですよ」

 

 その際、ハジメと黒森峰の生徒ではないためこのまま解散する予定の___イルマはウィードに軽い会釈をしてから会場から出る…はずだった。

 

「……そうだそうだ、キミ達二人、交流会の後…午後は予定を入れているかな?」

 

「えーと、特には無いですかね…。今日は丸一日県内に滞在しますし」

 

 ウィードに呼び止められた二人は今日の日程を尋ねられた。

 隠す必要もないとして、ハジメは素直に無いと答える。それを聞いたウィードは嬉しそうにしていた。

 

「そうかい。なら、キミ達二人を継続艦上市街地(継続町)にある我が店に招待させておくれ。話を聞いてくれたお礼もしたいし、また話もしたいからね」

 

 念押しを怠らないウィード。確証を見せれない故に、信じてもらうには態度で示す他ない。

 敵意も害意も今のところは無いだけと一蹴される可能性もある。何せ彼らが出会ってまだ数時間すら経っていないのだから。

 

 最初はいくらか難色を示していたハジメとイルマであったが、観覧席の階段からハジメを呼ぶヒカルやマモルの声も聞こえてきたため、継続への訪問はする旨をウィードに伝え、改めて挨拶を交わしてから足早にその場を去っていく。

 

「………やはり若い……若すぎる。あのような少年が、どこの世界でも背負うには多すぎ、重すぎるモノを背負って戦っているのか…」

 

 二人の背中を、手を振りながら見送るウィード。

 彼は上のような小さい呟きをしてから、二人のように会場をあとにした。

 

 

――――――

 

 

 

日本時間15:45前後

 

 

同県 金沢市 金沢港学園艦停泊地

継続高校学園艦 艦上市街地区画出入り口

 

 

 

「……んで、結局来てしまったわけだけども」

 

「ここまで来たら行っちゃおう」

 

「そうだな」

 

 交流会を終え、宿泊先に車輌の搬入もし半日の自由時間を与えられたハジメは、継続の学園艦に乗艦する手前でイルマと合流していた。

 向かうはメトロン星人であるウィードが営む駄菓子屋である。

 

 

 

「――ハジメ、継続の学園艦なんかに何で…。それに横にいるのは佐世保の…」

 

 銀髪の追跡…尾行者も伴いながら。

 

(石川の知り合いと約束してるって…佐世保の、イルマと一緒じゃない……やっぱりハジメは何か隠してる。今日の試合終わりもそうだった。試合終盤あたりの話が変に噛み合わなかった。ただ余所見してたワケじゃないと思うし………確かめよう)

 

 

 

 

「駄菓子屋を経営する異星人…か」

 

「何か思うことがあるのかい?」

 

「いいや。ただ、いつかさ、異星人も姿を誤魔化すこともなく、地球に住むような日もあるのかな…なんて」

 

「…僕もその未来が現実になることを望んでる」

 

 ふと、ハジメは分からなくなった。疑問に思った。

 果たして、ウィードと…そして自身の横にいるイルマと、自分達地球人の違いはなんなのか。

「地球人も、立派な異星人だ」…そんな聞き覚えのない言葉が不意に頭の中で再生された。確かに自分の声だった。

 …この星で命を落としてしまったネリル星人のソーレや共闘したグレゴール人のこともある。地球人とそれ以外である異星人を隔て分ける真の要素は何だ?いや、そもそもそんな要素はあるのか?ある必要が果たしてあるのか?

 何故区別する?それは区別とは違う、差別に迫るものではないのかと。

 

 考え出したらキリがなかった。分からないことばかりだった。

 ハジメは普段から、イルマに対して地球人と同じ対応をしている。ハジメは自然と彼に分け隔てることなく接してきている。それは何故か?地球人の姿になれるから?いや、言葉で説明できるか怪しいものだったのである。

 

 (……線引きが出来ていると思った。区別が出来ていると思っていた…でも、違ったんだな)

 

 その答えもまた、探さなければならないのかもしれない。

 しかし、分からないモノも全てこの目で確かめると既に誓っていたハジメは、俯き続けることはない。

 暗い雰囲気を払拭して、ウィードと再び会い話すことに意識を向ける。

 

「――ここを、右に曲がれば…。あったよ!駄菓子屋シタマチ!」

 

「あ……ここか…ウィードさんのお店は」

 

 年季の入った木造建築の、いかにも昭和の駄菓子屋…昔ながらの佇まいをしている小さな店だった。

 周りの民家などには新築が多いが、新旧共に木造家屋が大半であり、町全体で可能な限り昔のような…昭和風情の溢れる町並みの保存をしようとしている努力が見えた気がした。

 たしかに、艦上市街地の景観を観光資源としている学園艦も存在する。しかしこの継続の町は、外の人間のためにではなく、内の人間――つまりは住人のための景色を保存しているのではと思わされる。

 過去に対する懐古の心を、この町は大事にしているのだとハジメは感じた。

 

ガラガラガラ…

 

「ごめんくださーい」

 

 僅かに空いていた店正面の引き戸を通れるぐらいにまで開け店内に一、二歩踏み入れてから店の奥にも聞こえるほどの声量でハジメが呼んだ。

 イルマは律儀に引き戸を閉めた後、店の中を見回し眺めていた。日本を学習しているイルマであるが、やはり手の届かない分野というモノはあるようで、店の至る所に置かれている様々な駄菓子を見てはしゃいでいた。

 

 店内からウィードの返事が返ってこないと思っていたハジメだったが、そこから少し遅れて戸の向こう側より「上がってきたまえ」と言うウィードの声が聞こえてきた。

 ウィードは顔を出しそうに無いので、勝手に上がってこちらに来いということだろう。

 

「…ならお邪魔させてもらおう」

「そうだね」

 

 菓子が陳列されている棚や箱の間を器用に二人は店の奥まで進む。

 店奥の引き戸…襖の前に置かれている玄関台のところで、外履きを脱いで上がる。

 ここでもう一度、一声掛けてからガラガラと襖を開けるハジメ。開けた襖の先には、ちゃぶ台が中央に置かれた和室が広がっていた。

 ちゃぶ台を挟んで湯呑みを持ってウィードが__地球人としての擬態を解除した元のメトロン星人の姿で__座椅子に座って寛いでいた。

 二人が部屋に入ってきたのを確認したウィードが、あからさまに大きな身振り手振りを加えながら、待ち侘びていたと言わんばかりに喜ぶ。

 

「やあ、ようこそハジメ君とイルマ君。私はキミ達が来るのを待っていたのだ」

 

 上記の歓待の言葉を受け、ハジメとイルマはポカンとした。……観覧席で会った際のテンションでは無かったために面食らった顔になったと言う方が正しいのだろうか。

 

「いやはや、すまないね。一度言ってみたかった台詞だったのだよ。…だからあまり気にしないでほしい。ささ、そこの座布団に座ってゆっかりしなさい」

 

 部屋の一角で固まっている二人に着席を促すウィード。

 彼の説明から、かつて同族が光の国の戦士__ウルトラセブンと対話した際の台詞を真似てソレっぽいことをしたかった旨が分かった。何の話か分からないハジメとイルマは曖昧な返事をしながら、用意された座布団に座るしか選択肢は無かった。

 

「…さて、改めてようこそ。駄菓子屋シタマチへ。話したいことと言うのは――」

 

――ガラガラガラ…

 

「ただいま」と店側玄関から聞こえてきた。ウィードはその声の主に戸越しに穏やかな声色で労いの言葉を掛ける。

 

「おかえり。今日のは良い試合だったよ。こっちにお客人が二人いる。自分の分のラムネかサイダーでも持ってからでいいから、彼らに挨拶してほしい」

 

 ハジメは、先ほどのやりとりの内容から、ウィードの話している相手が若い女性であることに気づく。それも、恐らく継続高校の生徒だろうと。

 

「ウィードさん、向こうの人とは一緒に住んでるんですか?」

 

 そしてその女性の声にハジメは聞き覚えがあった。

 

「ん?そうだね。なにせ家族だから」

 

「あの、娘さんがいたんですか?」

 

「だって聞かれなかったものだからね。それに私自身、話す必要の無い情報と思っていた。驚かせたようだから謝らせてもらう」

 

 謎は深まるばかりである。ハジメの予想通りなら、声の主だろう女性は――

 

「こんにちは。素の姿のウィードとお茶をするお客さんとは珍しいね。それも二人もいるなんて。私は……おや?キミはたしか、黒森峰の…」

 

「やっぱりミカさんだった…」

 

 サイダーとラムネの両方を手に持って肘で襖を開けてきたのは、継続高校戦車道チームの現隊長のミカだった。

 ハジメは驚いているが、もちろんイルマも例外ではなかった。試合中継のスクリーンに映っていた、相手チームの選手の一人が、異星人と繋がりを持っていたのだから。…当のイルマも、似たようなものであるが。

 

「ええと…黒森峰の整備科の…。そう、副隊長さん…逸見さんの担当整備士の男の子だったかな?名前は、ハジメ君?」

 

 チューリップハットを被ったままの頭に手を当てていたミカ。

 頑張って色々思い出したのだろう。彼女の眉間には苦しげなシワが寄っていた。

 

「はい。ハジメです。あの…ミカさん、今日の試合、お疲れ様でした」

 

「うん。こちらこそ、お疲れ様。……そうか、キミも()()()()だったんだね。それで、こっちの男の子がウィードみたく外から来た人…なのかな?」

 

「そうだともミカ。彼は私と同じ宇宙から来た、ザラブ星人のイルマ君だ。彼と…ハジメ君とは友達らしい。偶然観戦中に二人と出会ってね、こうして話に付き合ってもらっている」

 

「ウィード……どうせいつものようにだる絡みしたんだろう?」

 

「失礼だな、ミカ。こう見えても紳士的にだね…」

 

 ウィードとミカ、二人の関係は悪くないようだった。ウィードからはミカは家族だと説明されたが、その詳細をハジメとイルマは知らない。

 ウィードもミカも話そうとはしておらず、二人の家族としての関係はいつからなのか、それともミカも元よりメトロン星人…ウィードと同種族で地球人ではないのか、そう言った話を、ハジメは聞きたかった。

 しかし、部外の者がそうずけずけと問いただす権利は無いだろう。ハジメはそこを理解していた。

 

「……と、私達だけで話しているのは失礼だな。ここらがいい頃合いかな」

 

 ウィードはハジメとイルマに、少々彼らを置いて喋りすぎたとここでまた謝ると、()()の紹介をする。

 

 

 

「さて改めて……紹介しよう。この子が私の娘だ。彼女は正真正銘の地球人。私とは血の繋がりは無いよ。――それでも、家族だ」

 

 ウィードの言葉に、ミカは優しく静かに微笑んでいた。

 

 

 




はい。お久しぶりです。CODMW2を嗜みはじめた投稿者の逃げるレッドです。

投稿ペースが遅くて申し訳ありません。
就活が終わったかと思えば卒論だったり試験だったりゲームハマったり………言い訳は腐るほどできるので、これからの投稿を頑張ります。

エリカのヒーロー1は60夜前後で完結します。来たる2に向けて取り組んでいければと思っているので、よろしくお願いします。

デッカーではメトロン星人やグレゴール人が登場していましたね。エリカのヒーローに登場させた怪獣、異星人が出てきた時は、かなりぶったまげていました。なんか預言者みたいになれたようで嬉しかったです。

※報告です。 エリカのヒーロー第2夜のナハト初登場シーンの挿絵を更新しました。時間がある時に見てもらえると嬉しいです。

____

 次回
 予告

 継続町で駄菓子屋を経営しているメトロン星人__ウィードは、継続町の人々から慕われている人物である。
 そんなウィードの娘であるはずのミカが突然町中に飛び出していった。
 ミカを探すために町へ繰り出すウィードは、少し町を散策しようと、ハジメとイルマを連れ歩く。彼は町を歩く中で、二人に独白に近い想い出話と、今後の自身の行動を教える。

 世の中は、出逢いと別れの連続…。
 しかしそれを最初から素直に受け止められる人間は少ない。

「このさよならは、最後のさよならじゃない」

 次回!ウルトラマンナハト、
【愛された町】!

 あの日見た茜色の空を、キミは覚えているだろうか。

 
 

サイドストーリー アンケート(基本ほのぼの)

  • 紗希のトモダチ
  • ミチビキさん サンダース編
  • ミライVSマホ カレー対決
  • ハジメ、迷い家にて
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