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モンスターハンターの世界では今年、夏場の原因不明の暑さによって南極大陸から古代遺跡が発見された
早速、ギルドは調査団を派遣、これを調べさせる事となる
護衛には腕利きのハンターとガンナーが同行し、夢と野心を乗せた調査団の飛行船は南極に到達するや遺跡に突入する
そこで彼等を待っていたのは『地獄』であった
「おぉぉぉらぁ!くたばんな!」
古代遺跡の薄暗い廊下をヘビーボウガンのマズルフラッシュが、赤いバンダナを額に巻いたベリショの黒髪女ガンナーを鈍く照らし出す
精悍な顔立ち、突き刺さるような眼、しなやかな筋肉が一瞬の光によって識別できる
「スマートガンのお味はどうだぁ!?
この醜い出来損ない野郎共ぉ!」
孔雀と子象を合わせたようなモンスターの叫び声が、彼女が銃口を向けた先の廊下で幾重にも木霊する
超高速で弾き出される弾丸がモンスターの身体を引き裂き、鮮血が体外に飛散すると、何かが溶けるような音も聞こえる
彼女が身を呈して守る廊下の後方には、同じく武装した屈強な男ガンナー達と、彼等に守られる、蒼白いを通り越えて紫色の顔をした調査団らしき男女が数名いた
部隊の全員がボウガン持ちのガンナー装備、彼等の中に大剣や双剣のハンター装備は1人も見られない
「よし、調査団の保護は完了した
全員、直ちにこの遺跡から撤収する
ポンチョ、ビリー、先導しろ!」
よく通る声が上がるや、明らかに並ではない2人のガンナーが斥候要員として先に出立する
「マック、ブレイン、ドレイク
後ろのバスケスを連れて後から合流しろ
ヒックス、ハドソンと何人かはここで4人の到着を待った後に追ってこい」
「「「はい少佐!」」」
テンガロンハットの大男・ブレイン
剃髪の黒人・マック、悪人面のドレイクが後方に走りだす
彼等に指示を飛ばした男の特徴は
『男ガンナー、身長190㌢、髪は茶、筋肉もりもりマッチョマン』のダッチ
普段の彼は葉巻を吹かし、ヘビーボウガンを2丁持ちでも難なく暴れ回る豪傑だが、部隊を率いる時の彼は理想的な部隊長の一面も持っている
そのダッチに命じられ、最後尾で
「グレネード!」
手榴弾をパーティー・クラッカー代わりにしてサプライズ登場、場を盛り上げ、バスケスの装填時間を稼ぐ
「ありがてぇ!リロード!」
弾切れ寸前だったのか、仲間のサプライズ登場にバスケスは喜び、長い砲身を相手に向けたまま下がるとボーガンの再装填を開始する
代わって入ったマックのLMG風ボーガンと、バスケスと同じヘビーボウガンを持つドレイクが口火を切る
2人がリロードするタイミングになると大男のブレインが前に出、必殺の『無痛ガン』でモンスターを掃射
轟雷の如き無痛ガンによって、明らかにモンスターの気配が薄まった事を確認した4人は一斉に撤収
ブレインが時間稼ぎをする間、マックによって廊下中に配置されていたクレイモアも大いに活躍した
バスケス達は先行する部隊と合流する途中、自分達の護衛として残されていたヒックスとハドソン、その他の数名のガンナーと合流、彼等はモンスターの強襲を防ぎつつ部隊の背中を追う
先行する部隊が残して行った痕跡やら、廊下の先で起きているドンパチ賑やかな音もあり、追走そのものは問題ない
しかし簡単にいかない
天井から、壁の穴から、床から、様々な所から新種のモンスターが無尽蔵に現れるのだ
その新種のモンスターは2種類
片方は小型の竜程度の大きさで頭部は後ろに長く、目と鼻はない異形のモンスター
刃物を通さない固く黒い外骨格を持ち、強力な爪、槍のように鋭利な尻尾と隠し顎は、いかなる装備を貫く戦闘型だ
もう片方は寄生昆虫型のモンスターで、蠍と蜘蛛を合わせた形
サイズ的には人間の頭くらいの大きさしかないのだが、長い尻尾と強力な脚で人間の顔面に張り付くと、大の男が数人でやっと剥がれる力を持つから侮れない
更に昆虫型に寄生された人間は、体内で育った戦闘型の幼体が胃袋ごと胸から飛び出る事によって、激しく苦しんだ後に絶命するとも付け足しておく
この新種がハンターにとって1番に厄介なのは、2種類共が協力して襲い掛かる事もあるが、そのどちらもに強酸性の血液を持つことだろう
ダッチが受け取った救助要請によれば、調査団の護衛任務に着いていた近接装備ハンターの多くは酸で殺され、もしくは無力化されたハンターは調査団員と共に生きたまま連れ拐われたとあったそうだ
寄生型のモンスターとなれば一刻の猶予もない
耐強酸性装備とガンナー装備を纏ったダッチ達は軍部の飛行船、ではなく信頼の置ける民間組合の武装飛行船で突っ込んできたのである
「ちくしょう!ちくしょう!
ただの調査団の護衛だって聞いたのに、なんだってこんな目に……!」
一向に減らない来客に、追走する仲間が次々と殺されていく中、いつも弱気なハドソンが泣き言を上げるながらも懸命に銃口をモンスターに向け、ライトボウガンのトリッガーを引き続ける
もはや追走部隊で生き残っているのはバスケス、ブレイン、マック、ドレイク、ハドソン、ヒックスの6人だけだ
先行するダッチの部隊のお陰で、比較的に攻撃の手が緩い先頭をヒックスとハドソンが担当
遊撃にバスケスとドレイクが着き、今は後方の援護
最もモンスターの攻撃が激しい最後尾を、屈強なブレインとマックが担当する形になっている
「クソッタレの調査団の連中め、訳のわからねぇモンスターを集めやがって!」
現状を喚くハドソンの心は、限界を超えた恐怖と戦場での昂りで、その照準と同じく滅茶苦茶
「どうだ!来やがれクソッタレ!
この俺が相手になってやるぞ!」
しかし威勢の良い叫びとは裏腹に、弾は明らかに当たってない
「射ち過ぎだハドソン!
下がれ、リロードしろ!」
ぐいっと肩を掴まれ、ハドソンは無理やり後ろに退かされると、前に出たヒックスが1人で黒い波を応戦する
頼りない発言を繰り返すハドソンをフォローするヒックスの、散弾銃とライトボウガンが火を吹く
仕方なくリロードをするハドソンだが、汗が滝のように流れて視界を妨げ、指先も恐怖でおぼつかないからか装填が上手くいかない
「ハドソン!まだか!?」
「やってる!やってるってんだよ!
なんで!なんで上手くいかねぇんだ!」
ヒックスの声にハドソンは益々、手元を狂わせてしまう
そんな彼の直ぐ脇を、誰かが通り抜ける
バスケスとドレイクだ
2丁のヘビーボウガンが、進行方向を阻害するモンスターを片付けたのであった
「ふぅ…バスケス、ドレイク、助かった」
素早くリロードを済ませながら、ヒックスが2人に礼を言う
「気にすんなよ、さっさと行こうぜ」
バスケスが砲頭をそのままに先頭を行く
「ヒックス…すまねぇ」
まごついていたハドソンが、ヒックスに詫びる
ヒックスは彼に生き残ろうぜと返し、バスケスに続いて前進する
「へっへっへ……長いリロードだったな
おむつのリロードも終わったかよ?ハドソン坊や」
「くっ!」
ドレイクがニヤニヤしながらハドソンを弄る
怒りのリロードを済ましたハドソンは、ドレイクを睨み付ける
「まだまだ元気そうだな、ただ早いとこ歩かねぇと、後ろのデカい奴等に殺されるぞ?」
ドレイクの言葉と視線になにかを察知したのか、バッと後ろを向いたハドソンの真ん前には、マックの恐ろしい顔面があった
威圧感が凄まじいマックのアップに、ハドソンは瞬時に固まる
「……とっとと行けよバカ野郎、どこのお坊ちゃんか知らねぇがな
今度しょーもない射撃とリロードをしやがったら、容赦せずに、その小さい尻を思い切り蹴飛ばしてやるからな……覚えとけ!」
「あ、ああ!」
モンスターより恐ろしいモノを見たとばかりに、バタバタと慌ただしく音を立てたハドソンは、ヒックスとバスケスの後を追う
おっかねぇ。とマックを軽く冷やかして、ドレイクもハドソンに続くのであった
「モンスターが俺の船に密航か?組合をなめんじゃねぇよ」
先行部隊はダッチの指示の下、退避用の飛行船に到達しており、現在はヒックス達の到着を待ちながら船を防衛していた
船内に潜入を試みたモンスターは屈強な乗組員によって残らず掃討されており、船内の安全は確保済だ
但し、パーティーは続いており、船着き場は実に賑やかなものである
この武装飛行船の指揮を取るトミーは船室に籠る事を由とせず、己の船に潜り込んだ密航者を撃ち殺し、甲板から蹴落とす
ついでに咥えていた葉巻も投げ捨てれば、放たれた葉巻は闇夜に放物線を描き、蠍型のモンスターに見事命中した
トミーは奮闘する船員を見、そしてダッチ達が出てきた遺跡の入り口を睨む
「…少佐、来ました!」
眼鏡を掛けた兵士・ホーキンスが追走部隊の姿を廊下の向こうに確認した
「ビリー!ポンチョ!行け!」
ダッチは追走部隊の援護に二人の兵士を遺跡に再突入させ、ヒックス達に合流させる
「他の者は飛行船に入れ!ここは俺がやる」
言うやライトボーガンを捨て、上着を脱ぎ、見事な肉体を晒したダッチは両手に『アルミ弾を光の速さで飛ばせる銃』を持ち、文字通りの殺戮砲台となってモンスターを消去していく
ダッチのお陰でポンチョとビリーを最後尾にしたヒックス達が飛行船に到達。因みにダッチの殺戮模様を脇目で見たブレインは『やる事が派手だねぇ』と洩らしたそうだ
動くモノが無くなった船着き場から一艘の飛行船が朝日の中、飛び立つ
一人で甲板に上がったダッチは葉巻を吹かし、遺跡を見下ろしていた
何を考えているのかは分からない。犠牲者の事か、あの未知のモンスターの事か、次の戦場の事か
その彼に只一匹、船に乗り込んでいた蠍型のモンスターが飛び掛かった
それは完全に虚を突いた必殺の間合い、死角からの飛び掛かり
だが
「ふん」
ダッチはモンスターを片手で受け止めてしまった
長いを尾を己の豪腕に巻き付かせ、寄生管を伸ばし、うねるモンスターに驚きもしない
「丁度良い、貴様には証人になってもらう」
こうしてダッチ達と調査団は新種モンスターの素材と生きた証拠と共に帰還、世界中に今回の一件を広め、強酸性装備の部隊を編成する事となる
しかし、さしものダッチも気付きはしなかった
自分達が撤収する姿を監視するモノが遥か上空、宇宙にあった事を
『狩リノ…時間ダ』
ドンパチしたかっただけです!
モンハンにも酸を纏ったり、ばら蒔いたり、住み処とする個体はいましたが、エイリアンの血液ならアレ等の比じゃねーなと思い、ハンター装備の皆さんには犠牲になってもらいました
作者は笛なので、コロコロですね(笑)
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