ウルトラサクラ大戦Z   作:焼き鮭

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第四話「艱難辛苦!二号ロボ起動」(B)

 

 特空機用格納庫に、ナシルマの喜びの叫び声が轟いた。

 

〈ナシルマ〉「えぇー!? ほんとにやってくれるの!? クラリスちゃん!」

 

 クラリスがウインダムの起動役になるのを、承諾したのだ。

 

〈クラリス〉「はい。ひと晩考えて、決心しました」

 

〈ナシルマ〉「いやーありがとうありがとう! 助かるよ!」

 

〈ミースア〉「これでカオルさんに怒られないで済むです~!」

 

 手放しに喜んでいるナシルマたちとは別に、さくらやデュエスはクラリスのことを案ずる。

 

〈さくら〉「クラリス……本当に大丈夫なの?」

 

〈デュエス〉「言い出しといて何だが、無理してくれなくたっていいんだぜ」

 

 そんな二人に、クラリスはふるふると首を振った。

 

〈クラリス〉「心配しないで下さい。ちゃんと気持ちに整理をつけましたから。破壊にしか使われなかった重魔導でも、皆の希望になれるのなら……!」

 

 一瞬モフロと目が合ったクラリスは、彼と無言で微笑を交わした。

 

〈ナシルマ〉「よーし、それじゃあ早速……」

 

 作業に取り掛かろうとしたナシルマだが、その瞬間に、降魔出現の警報が鳴り渡った。

 

〈あざみ〉「! また降魔……?」

 

〈アナスタシア〉「昨日に引き続いて……最近多いわね」

 

〈神山〉「ともかく行こう、みんな!」

 

 神山が花組を引き連れ、昨日と同様に指令室へ急いだ。

 

 

 

 しかし指令室でより驚くこととなる。

 

『ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!』

 

 モニターに映し出されているのは、昨日と同じ場所で、テレスドンが暴れている光景なのだ。

 

〈さくら〉「えっ!?」

 

〈あざみ〉「そんな……!」

 

〈初穂〉「どういうことだよおいっ! あれ昨日倒したじゃねぇか!」

 

 混乱する花組。時間が昨日に戻ってしまったかのような錯覚を受けていた。

 

〈神山〉「デュエス、これは一体……」

 

〈デュエス〉「……テレスドンに再生能力はねぇし、となると別個体か? だが生体反応の波長は全く一緒だ……」

 

 分析するデュエスも、真相を理解できていなかった。

 困惑する場を取り仕切るように、すみれが呼び掛ける。

 

〈すみれ〉「どんな仕掛けがあるにしても、やることは変わりないわよ、神山くん」

 

〈神山〉「は、はい」

 

〈さくら〉「出撃ですね、神山隊長!」

 

 さくらが意気込んで呼び掛けたが、神山はすぐには命令を出さなかった。

 

〈神山〉「少し待ってくれ。今回、クラリスは残ってウインダム起動実験を始めてほしい」

 

〈クラリス〉「えっ!?」

 

 全員が神山の発言に驚きを見せる。

 

〈初穂〉「い、今からやるのかよ!?」

 

〈アナスタシア〉「帰投してからにすれば……」

 

〈神山〉「いや……」

 

 画面上のテレスドンを、警戒した目で見る神山。

 

〈神山〉「昨日の戦闘で分かった通り、セブンガーじゃ正直厳しい。万が一の時には、ウインダムの力が必要になるかもしれない」

 

〈あざみ〉「だからって……」

 

〈神山〉「もちろん起動できてもぶっつけ本番の出撃になるから、クラリスには大きな負担になってしまう。クラリス、無理だというのならはっきり言ってくれて構わない」

 

 神山は判断を本人に委ねる。当のクラリスは、最初こそ戸惑いを見せたものの、すぐに決心して神山に向き直った。

 

〈クラリス〉「やります……! 必ず起動に成功してみせます!」

 

〈神山〉「ありがとう……! それじゃあクラリス以外はすぐに出発だ! 帝国華撃団・花組、出撃せよ!」

 

〈さくらたち〉「「「「了解!!」」」」

 

 クラリスのことを彗星組に託し、神山たち五名は直ちに現場へ向けて出撃していった。

 

 

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 建物を次々粉砕して暴れるテレスドンの前方へと、アナスタシアの駆るセブンガーが飛んでくる。

 

〈花組〉『『『帝国華撃団・参上!!』』』

 

『セブンガー、着陸します。ご注意下さい』

 

 四機の霊子兵装が投下され、セブンガーが着陸すると、テレスドンもそちらへ振り向いた。

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 向かってきたテレスドンの頭を掴んで抑えつけるセブンガー。機動力で劣る以上、接近戦に持ち込んだまま逃がさない作戦だ。

 

〈アナスタシア〉『はぁっ! 硬芯鉄拳弾、発射!』

 

 掴んだ首を上に向かせて固定し、顎に右腕を突きつけてロケットパンチを発射。至近距離から強烈な一撃を叩き込んだ。

 

〈初穂〉『よっしゃ! 決まったぜ!』

 

〈さくら〉『やった!?』

 

〈神山〉『……いや!』

 

 テレスドンの動きが停止したので一瞬歓喜した初穂たちであったが……テレスドンは倒れはしなかった。

 

「……ギャアオオオオオオウ!」

 

 テレスドンが上向きになった首をやおら下げる。

 

〈アナスタシア〉『くっ……! 芯をずらされたわ……!』

 

 ロケットパンチを射出する一瞬、テレスドンは自分から首を上げることで、クリーンヒットを避けたのであった!

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 テレスドンのぶちかましがセブンガーに炸裂する!

 

〈アナスタシア〉『きゃあぁっ!』

 

〈さくら〉『アナスタシアさん!』

 

〈初穂〉『野郎ぉっ!』

 

 セブンガーが背面から倒れ込んだ。そこをすかさず狙おうとするテレスドン。初穂らが阻止しようと攻撃を集中するが、やはりテレスドンの表皮を破ることは出来ない。

 

〈アナスタシア〉『くっ……!』

 

 持ち直そうとするアナスタシアだが、今の攻撃でセブンガーの腰部に深刻なダメージが入り、立ち上がれない。このままではアナスタシアが危ない!

 

〈神山〉『させるかぁッ!』

 

 神山は雄叫びとともにゼットライザーを起動した。

 

〈神山〉『「真っ赤に燃える、勇気の力!」』

 

[ULTRAMAN! ACE! TARO!]

 

〈ゼット〉『ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

 

〈神山〉『「ウルトラマン! ゼェ―――ット!!」』

 

 流れるようにメダルをスキャンして、ウルトラフュージョンする。

 

[ULTRAMAN-Z! BETA-SMASH!!]

「ジェアッ!」

 

 変身して飛び出したウルトラマンゼットが、テレスドンの首に腕を回して捕らえた。

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

「ゼアッ!」

 

 密着したままテレスドンを引っ張ってセブンガーから引き離し、膝蹴りを脇腹に入れてひるませてエース・クラッシャーを決めた。

 

「ゼアァッ!」

 

 素早く立ち上がったゼットがドロップキックを仕掛ける……が、テレスドンは身をひるがえして回避。ゼットの蹴りが空振りして、地面に落下する。

 

〈あざみ〉『かわされた!』

 

「ゼアッ! ゼアッ!」

 

 チョップを振るって追撃を掛けるゼットだが、テレスドンは後ろに下がってかわし続ける。

 

〈ゼット〉『何だ!? 昨日よりも動きが良くなってるぞ!』

 

〈神山〉『「というより……こっちの動きが読まれてるような……!」』

 

 神山のこめかみに冷や汗が垂れた。テレスドンは明らかにゼットの打撃の軌道をあらかじめ見切っているとしか思えない身のこなしで回避しているのだ。

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 ゼットの攻撃後の隙を突いて、テレスドンが溶岩熱線を吐いてくる。

 

〈神山〉『「うわぁぁッ!」』

 

 猛烈な火炎を浴びせられたゼットが倒れ、噴射の勢いで押されていく。

 

〈ゼット〉『ウルトラ熱っちぃ!!』

 

〈さくら〉『ゼットさぁんっ!!』

 

 たった一日で強くなったテレスドンに、ゼットが苦しめられる。

 

 

 

 一方の帝劇の格納庫では、ウインダムの起動実験が執り行われていた。

 

〈ミースア〉「クラリスさん、搭乗完了ですー!」

 

〈ナシルマ〉「ウインダム、起動用意完了!」

 

〈デュエス〉「いつでもいけるぜ、モフじい」

 

〈モフロ〉「うむ。クラリスくん、頼むぞい!」

 

 モフロの合図で、コックピットに搭乗したクラリスは、深呼吸しながら持ち込んだ魔導書の表紙に手の平を乗せた。

 

〈クラリス〉『この帝都に生きるたくさんの人を守るため……私の破壊の力を受け入れてくれた大事な仲間たちのために……あなたの力が必要なの……! ウインダム、お願い……! 目覚めてっ!!』

 

 意識を集中して魔力を高め、極限まで練り上げたところで重魔導の力を発動する。

 

〈クラリス〉『Grace de Diable!!』

 

 重魔導によってすさまじい圧力を加えられた霊力がウインダムの霊子機関を一気に駆け巡り、コアたる霊子水晶を刺激した!

 

 

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 テレスドンの両眼が怪しく輝くと、高速できりもみ回転しながらゼットに突撃する。

 

「ウワァァァァッ!」

 

 回転しながらの体当たりの威力は途轍もなく、ゼットもはね飛ばされて倒れ込んだ。

 テレスドンは上にそれた後にぐりんと180度反転して急降下し、ゼットの真上から襲い掛かる!

 

「グワアアアァァァァァァァァ――――――――ッ!!」

 

 急所であるカラータイマーがある胸部に回転攻撃を食らい、たまらず絶叫を上げるゼット!

 

〈さくら〉『ぜ、ゼットさぁんっ!!』

 

〈初穂〉『くそぉっ! 助けねぇと!!』

 

〈あざみ〉『あ、危ない! あれに触れたらこっちの機体がバラバラになる!』

 

 焦って無謀に飛びかかろうとする初穂を、あざみが必死に止めた。

 

〈初穂〉『けど、このまんまじゃ!!』

 

 初穂が叫んだその時――何かが横から猛スピードで飛び込んできて、テレスドンを弾き飛ばした!

 

「ギャアオオオオオオウ!?」

 

〈初穂〉『何だ!?』

 

〈さくら〉『あ、あれは……!』

 

 テレスドンを吹っ飛ばしてゼットを救った、銀色の巨影をさくらたちが見上げた。

 

「ジュッ……!」

 

 身を起こしたゼットの視線の先で、その機体の各部からプシューッ! と蒸気が排出される。

 

「グワアアアアアアア!」

 

 振り返って両腕を掲げたのは、特空機二号機ウインダムだ!

 

〈クラリス〉『皆さん、お待たせしました! ウインダム、起動完了です!』

 

 そのコックピットで操縦しているクラリスが、仲間たちに呼びかけた。

 

〈さくら〉『ウインダム! 成功したんだ!』

 

〈初穂〉『おおー! やったぜクラリス!』

 

〈あざみ〉『すごい……!』

 

〈神山〉『「クラリス……よくやってくれた……!」』

 

 クラリスの活躍に沸き立つ神山たち。脱出したアナスタシアもウインダムを見やり、力強くうなずいた。

 

 

 

 ウインダムを出撃させ、指令室に駆け込んだ彗星組も、モニターで状況を確かめて大喜びであった。

 

〈ナシルマ〉「やったー!!」

 

〈ミースア〉「ウインダム強いですー!」

 

〈デュエス〉「ギリギリ間に合ったな」

 

 すみれがモフロたちの方に向いて、感謝の意を示す。

 

〈すみれ〉「これで帝国華撃団にまた新たな力が加わりましたわ。ありがとうございます」

 

〈モフロ〉「いえ。今回は、クラリスくんの尽力のお陰でもありますよ」

 

 椅子に腰掛けているモフロはモニターを見つめ。うなずいてクラリスの健闘を祈った。

 

 

 

〈クラリス〉『行きます!』

 

 ウインダムの背面に接続した魔導書型のクラリス用魔力増幅ユニットが輝き、ウインダムの両手が高速で回転する。

 

〈クラリス〉『地獄に落ちて下さいっ!』

 

 その回転から竜巻が発生してテレスドンを撃ち、更に額からのレーザーショットが命中する。

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 ウインダムの激しい連続攻撃に、テレスドンが倒れてもがき苦しんだ。

 

〈初穂〉『すっげぇ威力! あの怪獣を圧倒してるぜ!』

 

〈あざみ〉『動きも速い……! これならいける!』

 

〈さくら〉『クラリス、お願い!』

 

 ウインダムの予想以上の性能に、さくらたちは勝利を確信する。

 だが……。

 

〈摩上〉『「――っくしょぉッ! 帝国華撃団め、いいとこを邪魔しやがって……!」』

 

 テレスドンの内部の暗黒空間で、摩上が逆上して毒づいた。

 このテレスドンは、怪獣メダルとライザーの力を用いて、摩上が変身したものなのであった!

 

〈ロソス〉『兄弟、こちらもそろそろ本気を出そうじゃないか……特訓の成果を見せてやれ……!』

 

〈摩上〉『「よし来たぜ兄弟!」』

 

 ロソスの呼び掛けで、摩上が右手にライザー、左手に怪獣メダルと降魔メダルを握る。

 

〈摩上〉『「帝国華撃団……喜んでられるのも今の内だッ!」』

 

 摩上がテレスドンメダルの嵌まっているライザーに、新たに二枚メダルを追加してスキャンした。

 

TELESDON! JIRAHS! EKISHA!

PARASITE-LOSOS! RO-SHIKI ERIMAKITELESDON!!

 

 ウインダムの隣に並んだゼットだったが、起き上がったテレスドンの様子がおかしいことに、クラリスとともに不審がった。

 

〈神山〉『「何だ……?」』

 

 そして彼らの前で、テレスドンの肉体が変容する!

 

「ギャアオオオオオオウ! ピギャ――――――!」

 

〈ゼットたち〉『!!?』

 

 テレスドンの首回りにいきなり広い襟巻きが生え、体表に毒々しい縞模様が走り、胸の妖力を放つ赤い球体が現れたのだ。

 ジラースメダルと液射メダルを使って強化変身した、降魔融合獣ロ式エリマキテレスドン!

 

 

 

 クラリスとウインダムの活躍を応援していた彗星組も、テレスドンの変身に驚愕した。

 

〈ナシルマ〉「あれは!?」

 

〈ミースア〉「降魔融合獣になったですー!!」

 

〈すみれ〉「ですが、どうしていきなり……!」

 

 デュエスは冷や汗混じりにうつむき、思考した。

 

〈デュエス〉「まさか……怪獣の中に誰かいるんじゃ……!」

 

 

 

「ギャアオオオオオオウ! ピギャ――――――!」

 

 ロ式エリマキテレスドンが、襟巻きから増幅した超振動波を光線状に放出。ゼットとウインダムに同時に食らわせる。

 

「ドワアアアァァァァァッ!」

「グワアアアアアアア!」

 

 ゼットが吹っ飛ばされ、ウインダムも膝を突く。そのウインダムに向けてエリマキテレスドンが口を開く。

 口内から毒々しい液体が弾丸のように発射され、ウインダムの装甲を貫通した!

 

〈クラリス〉『きゃあああああっ!』

 

 ウインダムも倒れ、クラリスが悲鳴を上げる。機体に重大な損傷が入り、ウインダムの機動に大幅な障害が発生する。

 

〈神山〉『「クラリス! くそッ!」』

 

 起き上がったゼットは敵の攻撃を止めようと、咄嗟にゼスティウム光線を発射した。

 

「ギャアオオオオオオウ! ピギャ――――――!」

 

 しかし襟巻きから発生した振動波のバリアに止められ、反射された!

 

「ウワアアアァァァァァァァァァ――――――――!!」

 

〈さくらたち〉『ゼットさん!!』

 

 自分の光線を食らったゼットが絶叫し、カラータイマーが赤く点滅する。危険信号だ!

 

〈ゼット〉『誠十郎、花組メダルだ! みんなの力で、奴の妖力を打ち破るぞッ!』

 

〈神山〉『「ああ!」』

 

 神山が腰のホルダーを開いて、初穂メダルを取り出す。

 

〈神山〉『「真っ赤に躍る、東雲神楽!」』

 

 メダルを交換してスキャン!

 

[ULTRAMAN! ACE! HATSUHO!]

 

〈ゼット〉『ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

 

〈神山〉『「ウルトラマン! ゼェ―――ット!!」』

 

 ゼットライザーを掲げて、トリガーを押した!

 

『ヘアッ!』

『トワァーッ!』

『うらぁっ!』

 

 ウルトラマンとエースのビジョンが飛び、大槌を振り下ろす初穂のビジョンと一つの光になる!

 

[ULTRAMAN-Z! KAGURA-SMASH!!]

「ゼアッ!」

 

 真っ赤な明かりの下の神社の舞台から飛び出したのは、胸周りや腰に赤い注連縄を回したウルトラマンゼット・カグラスマッシュだ!

 

〈初穂〉『おっ!? あれアタシのメダル使ったのか! イカす姿だぜ!』

 

 自分のメダルが選ばれた初穂が軽くはしゃいだ。

 

「ギャアオオオオオオウ! ピギャ――――――!」

 

 エリマキテレスドンが再び超振動波を放ってくる。

 

「ムンッ! ゼェアッ!」

 

 対するゼットは四股を踏むと、燃え上がった両手で円を描き、炎の盾を作り出して攻撃を受け止めた!

 

「ジュアッ!」

 

 ゼットが攻撃を止めている間に、ナシルマがクラリスに指示を飛ばす。

 

〈ナシルマ〉『蒸気噴射がまだ機能してる! ホバー移動で体当たりだ!』

 

〈クラリス〉『分かりました!』

 

 ウインダムの各部スリットからジェットが噴射し、地面からわずかに浮き上がる。

 

〈クラリス〉『まだまだこんなものでは負けません! 破壊の力を、平和のための力にすると決めたのだから!!』

 

 そのままスライドするように突進し、エリマキテレスドンに肩からぶち当たった。

 

「グワアアアアアアア!」

「ギャアオオオオオオウ! ピギャ――――――!」

 

 不意打ちをもらったエリマキテレスドンがよろめいて後ずさる。それを追いかけたウインダムが襟巻きを掴んだ。

 

〈クラリス〉『ここですっ!』

 

 そして思い切り引っ張り、首から剥ぎ取る!

 

「グワアアアアアアア!」

「ギャアオオオオオオウ!」

 

 襟巻きを引き千切られたテレスドンが、首を押さえてもがき苦しんだ。

 

「ウオォッ!」

 

 ゼットはパンッ! と両手を重ねると、その間に生じた炎が実体化して大槌と化した。

 

「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」

 

 持ち直したテレスドンがウインダムに向けて液体弾丸を発射するが、そこに割り込んだゼットがハンマーで打ち返す。

 

「ダァァッ!」

 

 跳ね返ってきた液体弾が、テレスドンの喉を貫通した。

 

「ギャアオオオオオオウ……!」

「ゼアアァァァァッ!」

 

 ゼットはハンマーを燃え上がらせて、グルングルン横回転。

 

〈神山・ゼット〉「『ゼスティウムハンマー!!」』

 

 遠心力をつけてハンマー投げ!

 

〈クラリス〉『Grace de Diable!』

 

 クラリスも呪文を唱え、ウインダムの機体が発光した。

 

〈クラリス〉『Arbitre dènfer!!』

 

 ウインダムの全身から大量の魔法弾が放出され、ハンマーとともにテレスドンを押し潰す!

 

「ギャアオオオオオオウ!! オオオオウ!!」

 

 攻撃に呑み込まれたロ式エリマキテレスドンが大爆発し、その爆風でメダルが吹っ飛び、気づいたゼットがキャッチした。

 

〈神山〉『「これは……?」』

 

 メダルが神山の手に移り、彼の目が表面の絵柄を視認する。

 

〈神山〉『「これもウルトラメダル? ……いや、これに描かれてるのは降魔じゃないか!」』

 

 それは変身に用いられた液射メダルであった。

 

〈神山〉『「何でこんなものが……!」』

 

〈ゼット〉『ウルトラメダルの技術を使って誰かが作ったんだ……! こんなものが悪用されたら大変なことになる!』

 

〈神山〉『「だが、一体誰が……」』

 

 降魔メダルは神山の手の中で弾け飛んで消滅した。しかし、彼らの心に一抹の不安を残す。

 

〈クラリス〉『ゼットさん……!』

 

 それでも、今はクラリスにうなずいて返答し、空に飛び立って雄々しく去っていった。

 

「ジュワッチ!」

 

 

 

 格納庫に戻ったウインダムを、花組と彗星組が見上げる。

 

〈ナシルマ〉「今回得られた起動データを元に、ウインダムを改修するよ」

 

〈ミースア〉「これでいつでも起動できるようになるです~」

 

〈アナスタシア〉「ひと安心ね」

 

〈ナシルマ〉「うん。カオルさんにどやされないで済むよぉ」

 

 ほっと胸を撫で下ろすナシルマに、皆が苦笑した。

 

〈さくら〉「ウインダム……わたしたちもよろしくね!」

 

〈初穂〉「頼りにしてるぜ!」

 

 さくらや初穂がウインダムに呼び掛けていると、ミースアが提案した。

 

〈ミースア〉「せっかくですし、記念に写真撮るですよー!」

 

〈さくら〉「あっ、いいねそれ!」

 

〈あざみ〉「じゃあ、いつもの勝利のポーズで」

 

〈モフロ〉「ではわしが撮ってあげよう。みんな、並びなさい」

 

〈デュエス〉「生命エネルギー吸い取る気じゃねぇだろうな」

 

〈モフロ〉「わはは、もうそんなことはせんよ」

 

 モフロがカメラを構えて、ウインダムの正面に花組の面々が並んだ。

 そして神山がクラリスに呼び掛ける。

 

〈神山〉「よし、キメ台詞はクラリスにお願いしよう」

 

〈クラリス〉「わ、私がやるんですか?」

 

〈初穂〉「そりゃあ、クラリスが一番の戦功なんだからな! しっかりキメてくれよ!」

 

〈クラリス〉「そ、それでは……」

 

 コホンと小さく咳払いしたクラリスを中心に、花組が凛々しくポーズを取った。

 

〈花組〉「勝利のポーズ、決めっ!!」

 

 

 

 ――爆心地から逃れて帝都の路地裏に身を隠した摩上は、ひどくいら立っていた。

 

〈摩上〉「ちっくしょうがッ! またやってくれやがったな、帝国華撃団めがッ!」

 

〈ロソス〉『……ウルトラマンゼットだけならまだしも、特空機とやらと連携されたら厳しいものがあるな……』

 

 その背後から……コツコツと足音が近づいてくる。

 

「見たぞ。お前が怪獣の正体だな」

 

〈摩上〉「ああん?」

 

 振り向いた摩上の視界に入ったのは――仮面を顔につけた、怪しい女であった。

 

 

 

 今回のゼットと帝国華撃団の活躍ぶりを、蒸気テレビのニュース映像で上海華撃団がながめていた。

 

〈ユイ〉「ふ~ん……さくらたち、すっかり強くなったものだねー」

 

 感心している少女は上海華撃団の戦闘部隊、五神龍の隊員、ホワン・ユイ。彼女のひと言に、隊長のヤン・シャオロンが不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

〈シャオロン〉「ふんッ! 特空機が強いだけだろ。俺が乗ってたら、降魔融合獣なんてもんは単機で倒してやってるさ」

 

 大言を吐くシャオロンだったが、その尻が突然第三者の手でギュッ! と握り潰された。

 

〈シャオロン〉「いッ!?」

 

「無駄に張り合うな、シャオロン。すぐカッカするのがお前の悪いところだ」

 

 シャオロンの尻をひねり上げた男に、二人の目が向けられる。

 

〈ユイ〉「あっ、司令!」

 

〈シャオロン〉「し、司令……ケツ掴むのはやめてくれよ……痛ってぇ……」

 

「嫌なら、簡単に背後を取られないように警戒するんだな。お前もまだまだ修行が足りないぜ」

 

 上海華撃団の司令官が、テレビに映っているゼットの姿に注目する。

 

「ほう、ウルトラマンゼットか……」

 

〈ユイ〉「司令も知ってるの? って、そりゃ知ってるか。世界的な大ニュースだったもんね」

 

〈シャオロン〉「宇宙から来て、怪獣と戦う巨人か……。イマイチ信用は出来ねぇが、戦いぶりを見る限り、熱い魂を持ってることは確かみたいだな」

 

 ゼットに感心するユイとシャオロンとは別に、司令官もゼットの顔を見つめて、ニヤリと何やらほくそ笑んだ。

 

「ふふ……面白そうだ。ちょっくら、会いに行ってみるかな」

 

 

 

(ED:桜夢見し)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『花組のウルトラナビ!』

 

神山「今回紹介するのは、ウルトラマンタロウだ!」

あざみ「タロウはウルトラ兄弟の六番手。ウルトラの父とウルトラの母の実子。他の兄弟は、あくまで兄弟のように強い絆で結ばれているという義理の関係」

あざみ「人気は高く、『ギンガ』ではヒカルたち主役陣の導き手となった。最近では息子のタイガも登場して、スポットが当たる機会は初代やセブン並みに多い」

あざみ「『Z』ではベータスマッシュに使うメダルの一枚。胸に並んでる突起物や、炎を扱う能力は彼由来のもの。ウルトラダイナマイト等の技を使うタロウは炎のイメージが強い」

ゼット『そして今回の華撃団隊員はアイリスだ!』

あざみ「本名イリス・シャトーブリアン。最年少ながら霊力が群を抜いて強く、超能力を行使できる。その能力は戦場においても強力だったけど、精神的な幼さのために最強戦力とは言い難い。むしろ回復といったサポート能力が光る」

あざみ「それでは、また次回」

 




 
アナスタシア「アラスカで発見された謎の石器が運び込まれた帝都を、冷凍怪獣が襲撃したわ! さくらがウインダムの中に閉じ込められてしまった! キャプテン、さくらを救出して!」
「次回、『神工鬼斧!ゼットランスアロー』。太正桜に浪漫のZ!」
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