ウルトラサクラ大戦Z   作:焼き鮭

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第七話「危機一髪!平和の祭典」(A)

 

 ――ゼットライザーの作り出す亜空間内で、摩上がメダル製造装置の材料投入口に、ガラス管に満ちた血液を流し込んでいた。合鉄ギルバリスに変身していた際に、ジードから抜き取ったものだ。

 そして装置のハンドルを回し、一枚のメダルを作り出す。その絵柄は……。

 

〈ロソス〉『ふふ……遂に成功だ……。完成したぞ……ベリアルメダルが……!』

 

 漆黒のウルトラ戦士が描かれたメダルをつまみ上げる摩上。

 

〈摩上〉『「おおッ……! 今度は作ってすぐに消滅しねーな!」』

 

〈ロソス〉『やはり……死んだ細胞のデビルスプリンターと、生きた肉体から採取した因子では訳が違うな……。やっとメダルを安定させることが出来た……』

 

 彼らはデビルスプリンターの大元である、ウルトラマンベリアルのメダルを作り出すために、ベリアルの遺伝子を継いでいるジードを狙ったのであった。

 

〈摩上〉『「しかし、ここまでして作る必要があるもんだったのか? こいつは」』

 

〈ロソス〉『もちろん……。このメダルがあれば、今までは一度使うと崩壊してしまっていた怪獣メダルも安定化させ……使い回せるよう加工できるのだ……。出力も上げられるぞ……』

 

〈摩上〉『「おおー! そりゃお得だな!」』

 

〈ロソス〉『ふふ……ただ使いやすさが向上するだけではない……()()()()()も可能となるぞ……』

 

 摩上が振り向いた先には、鎖で縛りつけられた二つの異形の影がある。

 

「グギャアアアッ!」

「ギャアアアアッ!」

 

 プレジデントGから借り受けた、二体の下級降魔が騒がしく吠えていた――。

 

 

 

(OP:檄!帝国華撃団〈新章〉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   第

  危 七

平 機 話

和 一

の 髪

祭 !

 

 

 

 その日の帝都は、早朝から街中の人間が落ち着かない足取りであった。

 その原因を、ラジオのアナウンサーが高らかに語る。

 

『全世界の華撃団大戦ファンの皆様、お待たせ致しました! 第3回世界華撃団大戦の舞台、ここ帝都東京に、続々と各国の華撃団が集結しております……!』

 

 

 

〈リク〉「華撃団大戦?」

 

 帝劇で、リクが初穂、クラリスを相手に尋ね返した。

 帝都に来てから日が浅く、知識が乏しいリクに、初穂とクラリスがおおまかな説明をする。

 

〈初穂〉「世界中の華撃団が集まって一番を決めるっていう、二年に一度のお祭りさ。世界中の人が注目してるんだぜ」

 

〈クラリス〉「私たち新帝国華撃団は結成からまだまだ日が浅く、チームとしてあまり認められてないのが現状ですので……これに優勝して、一個の華撃団としての地位を確立するのが目下の最大の目標なんです」

 

〈リク〉「なるほど……それが始まるから、みんな朝から忙しくしてたんだね」

 

〈初穂〉「ああ、いよいよ世界の華撃団が帝都に集まったからな。神山とさくらも今頃は、今年の開催国の代表として各華撃団のとこに挨拶回りしてるはずさ」

 

 話をしながら移動する三人。そうして劇場の食堂に差し掛かったところで、

 

〈ナシルマ〉「あッ、ジー……リクさ~ん」

 

 ナシルマとミースアが、もう一人見慣れない人物とともに、一個のテーブルを囲んでいるのに出くわした。

 

〈リク〉「ナシルマさん、ミースアちゃん」

 

〈初穂〉「何だ何だ、今日という日にこんなとこで優雅に昼食たぁ、いいご身分じゃねーか」

 

〈ナシルマ〉「いや~、朝からドタバタしててちゃんと食べてなくってさ~。腹が減ってはイグサも生えないって言うじゃん?」

 

〈初穂〉「それを言うなら戦も出来ぬだよ」

 

 ナシルマたちのテーブルの上には、オムライスの皿が並んでいた。

 

〈クラリス〉「またオムライスを注文したのですか? お好きですね」

 

〈ナシルマ〉「だってここのオムライス美味しいし~」

 

〈ミースア〉「宇宙レベルのお味です~」

 

 ナシルマとミースアの言葉に、彼らと一緒にいる人物が口を開いた。

 

「全くその通り。オムライスには幸せの全てが詰まっているんだ。特にここのオムライスは絶品だよ」

 

 その人物に目を向けるリク。

 まるで歌舞伎役者のように白粉を顔中に塗っており、年齢が外見からでは判別し難い。一見すると若者のようだが、柔らかく落ち着いた物腰はもっと上の、四十代五十代のようにも見える。性別も定かではない不思議な雰囲気の人で、傍らには何故か刀をテーブルに立てかけていた。

 

「おや……君は見ない顔だね」

 

 その人物の方から、リクに呼び掛けてきた。

 

〈白秋〉「私の名は村雨白秋だ。君は?」

 

〈リク〉「朝倉リクと言います。色々あって、今はここのご厄介になってまして」

 

〈白秋〉「……なるほど。何やらただならぬ事情を抱えているのに相応しい様子だ」

 

 リクを軽く観察した白秋がそう言い当てたので、リクは少しばかり驚いた。

 

〈リク〉「えッ、分かるんですか?」

 

〈白秋〉「ふっ……剣の道を生きていると、それくらいのことは見ただけでも察せるようになるものだよ」

 

〈クラリス〉「白秋さんはさくらさんの剣のお師匠さんなんですよ」

 

〈リク〉「へぇ……」

 

 村雨白秋について、クラリスが補足を入れた。

 

〈白秋〉「ところで、いよいよ華撃団大戦が開催されるね。巷では、特空機無しでの君たちの実力を疑問視する声が大きいが……私は、君たちの実力は決して他の華撃団に劣ってはいないと見ている。これを機に、世間の評判を見事ひっくり返してくれ。応援しているよ」

 

〈クラリス〉「ありがとうございます」

 

〈初穂〉「ああ! ばっちり優勝して、世間の目を覚まさせてやりますよ!」

 

 激励の言葉を送る白秋に、クラリスと初穂が意気込んで応えた。

 

 

 

 ――世界華撃団大戦開会式の当日。花組の面々が、他の華撃団と会場の芝生の上に並んでいるところを、観客席からリクがナシルマ、ミースア、デュエスと一緒にながめていた。

 

〈リク〉「あの人たちが他の華撃団か……。みんな強そうだね」

 

〈デュエス〉「中でも優勝候補に挙げられてるのは上海と倫敦、そして伯林の三つだ」

 

 デュエスがチームを一つ一つ説明する。

 

〈デュエス〉「上海は十五年前の降魔大戦から、新帝国華撃団誕生までの間、帝都の防衛を務めた実績持ち。倫敦は英国騎士の流れを汲む実力派ぞろい。そして伯林は過去二回の大戦の優勝者の、候補筆頭だ。どいつも一筋縄じゃいかねぇ相手なのは確かだな」

 

〈ミースア〉「ですけど、優勝は花組のみんなですよ~! ミースア、信じてますー!」

 

 ミースアの言葉にうんうんとうなずきながら、ナシルマがつぶやく。

 

〈ナシルマ〉「っていうか、特空機で出場できれば勝ったも同然なのにね」

 

〈リク〉「いや……それは流石にずるくない?」

 

〈デュエス〉「そもそも会場が壊れるだろ」

 

 リクたちが呆れて突っ込んだ。

 

 

 

 そんなやり取りはよそに、華撃団の隊員たちは開会の時を今か今かと待ち受けている。

 その中のさくらが、過去の帝国華撃団の、伝説の隊員、真宮寺さくらのブロマイド写真を取り出して誓いを立てた。

 

〈さくら〉(真宮寺さくらさん、見ていて下さい。わたしたち……頑張ります)

 

 やがて会場のメインモニターに、主催者のプレジデントGの顔が大きく映し出された。

 

〈G〉『私は世界華撃団連盟・事務総長のプレジデントG。ここに、第三回世界華撃団大戦の開会を宣言――』

 

 早速開会宣言を行おうとしたプレジデントGであったが――。

 その瞬間に、プレジデントGの顔が歪んで画面から消え、代わりに仮面の女の顔が現れた。

 

〈G〉『な、な、何だ一体!!』

 

 突然の事態に、会場中の人間が騒然となる。その反応に構わずに、仮面の女が言い放った。

 

〈夜叉〉『我が名は夜叉。幻都よりの使者である。封印の鍵である『帝鍵』を差し出しなさい。さもなくば……お前たちは、全て滅びるでしょう』

 

〈神山〉「な、何だ? どうなってるんだ……?」

 

〈シャオロン〉「演出の一環か?」

 

 いきなり開会式を乗っ取って、意味の分からないことを告げる夜叉に、神山たちはそろって困惑する。

 その中で、夜叉の顔をじっと観察したさくらが、ハッと息を呑んだ。

 

〈さくら〉「……!?」

 

 さくらの目に、夜叉の顔立ちと、己の憧れの人の顔が重なり――輪郭が一致した。

 夜叉が大きく腕を振ると――会場の外に停泊している空中戦艦の一隻が突如爆破される。

 

〈G〉「わ、わたしの船があああああああッ!!」

 

「わぁぁぁ――――――――ッ!?」

「きゃああぁぁぁぁぁ―――――――っ!!」

 

 その爆音によって会場に集まった観客たちから一斉に悲鳴が巻き起こった。しかしそれだけではない。

 会場の至るところに浮かび上がった、降魔の妖力によるゲートから無数のアンドロイド兵士が出現し、剣を振りかざして観客たちに襲い掛かり出したのだ!

 

「きゃあぁぁ―――――――――!?」

 

 瞬く間に大パニックとなる会場。デュエスはアンドロイド兵、バリスレイダーの姿に驚愕する。

 

〈デュエス〉「ギルバリスの使ってた兵隊だ!」

 

〈ナシルマ〉「ってことは、あの仮面の人は降魔!?」

 

〈リク〉「大変だ! 会場の人たちを助けないとッ!」

 

 一連の出来事が何らかの催し物などではないと悟ったリクたちや華撃団は、即座に襲われる人々を救うために行動を始める。

 

〈シャオロン〉「ユイ! すぐに司令に連絡を! 王龍を回してもらえッ!」

 

〈ユイ〉「う、うん!」

 

〈アーサー〉「こちらもすぐにブリドヴェンを!」

 

〈エリス〉「アイゼンイェーガーを急げっ!」

 

 各隊の霊子戦闘機を呼び寄せようとする華撃団だが……彼らの周りにも、観客を襲うより多くのバリスレイダーが出現して取り囲んだ。

 

〈アーサー〉「……悠長に待ってはくれないか」

 

〈エリス〉「やむを得ないな……応戦っ!!」

 

 華撃団隊員たちは剣や銃など各自の得物を抜いて、バリスレイダーに応戦していく。

 

〈神山〉「俺たちも行くぞッ!」

 

〈初穂たち〉「「「「了解!!」」」」

 

 花組もバリスレイダーを迎え撃とうとするが……さくらは立ち尽くして動かなかった。

 

〈さくら〉「あの姿……あの声は……まさか……」

 

〈神山〉「さくら!? どうしたんだ!」

 

〈初穂〉「ボーッとしてんなさくら! やられるぞっ!」

 

〈さくら〉「あっ……は、はい!」

 

 しかし神山たちの声に正気に返り、刀を抜いて押し寄せる敵を相手に構えた。

 

 

 

〈ナシルマ〉「ミースア! バトルモード移行!!」

 

〈ミースア〉「はいですっ!!」

 

 座席の背もたれに隠れるナシルマの指示でミースアが光とともに装甲に覆われ、戦闘形態となる。

 

〈ミースア〉「やぁーっ!!」

 

 足裏からジェットを噴射して宙を駆り、腕より砲撃を放ってバリスレイダーを次々撃ち抜いていく。

 

〈デュエス〉「おうらッ!」

 

 デュエスは棍を召喚してバリスレイダーの頭部を砕き、先端から光弾を撃って片っ端から破壊する。

 だがバリスレイダーの軍団は観客席の至るところにおり、大勢の人が襲われている。

 

〈ミースア〉「数が多すぎるです!」

 

〈デュエス〉「俺は左、ミースアは右から行け。ナシルマとジードは客を逃がしな」

 

〈ナシルマ〉「う、うん!」

 

〈リク〉「気をつけて!」

 

 四人は散開し、長方形の観客席を回って観客をバリスレイダーから逃がしていく。

 

〈リク〉「はぁーッ! 今の内に!」

 

〈女性〉「あ、ありがとうございます!」

 

 リクが体当たりしてバリスレイダーを突き飛ばした隙に、襲われていた人たちを非常口へ走らせる。

 しかしその彼に向かって、新たな兵士が斬りかかってくる!

 

〈リク〉「うわッ!」

 

 咄嗟に腕を盾にするリクだったが、バリスレイダーは後ろから別の者に切り裂かれ、活動を停止して崩れ落ちた。

 

〈蛇倉〉「全く……相変わらず無茶な奴だ」

 

 中国刀を肩に担いで嘆息した蛇倉の顔を見上げて、目を丸くするリク。

 

〈リク〉「ジャグラーさん!? どうしてここに……むぐッ!」

 

 瞬間、蛇倉の口がリクの口をふさいだ。

 

〈蛇倉〉「ここでの俺は上海華撃団の司令、蛇倉だ。ちょっと正義に目覚めてな」

 

〈リク〉「し、しぅーつぁん……?」

 

〈蛇倉〉「生憎だが、感動の再会を喜んでる暇はない。ウチのひよっこどもも危なそうなんでな」

 

 蛇倉が見下ろした先、会場の中央の芝生で、今も華撃団がバリスレイダーに応戦している。

 

〈蛇倉〉「一緒に来な。ガラクタの掃除と行くぜ」

 

〈リク〉「は、はいッ!」

 

 蛇倉に対する疑問は置いて、リクは観客の救出のために蛇倉と行動をともにしていった。

 

 

 

 バリスレイダーの集団と戦う華撃団の元へ、空から霊子戦闘機が二機投下されてくる。上海華撃団の王龍だ。

 

〈ユイ〉「シャオロン! 王龍だよ! きっと司令からだ!」

 

〈シャオロン〉「流石だぜ司令! これで逆転だ!」

 

 ユイとシャオロンがすぐさま飛び乗って、王龍の拳でバリスレイダーを端から殴り飛ばしていく。

 

〈ユイ〉『はっ! たぁーっ!』

 

〈シャオロン〉『はッ! 上海華撃団を舐めるなよ!』

 

 物量で押してきていたバリスレイダーだが、王龍の力によって一気に巻き返していく。

 しかし、

 

〈あざみ〉「はっ……!? すさまじい殺気……!」

 

〈アナスタシア〉「あれは……!」

 

 バリスレイダーの波を二つに分けながら、華撃団の前に仮面の女が進み出てくる。――この騒ぎを引き起こした夜叉だ。

 

〈シャオロン〉『頭のお出ましか! 行くぞ、ユイ!』

 

〈ユイ〉『うんっ!』

 

 シャオロンとユイは夜叉の左右から速攻を掛ける。

 

〈ユイ〉『これ以上好きにはさせないっ!』

 

〈シャオロン〉『帝都の平和は今まで通り、俺たちが守ってやるぜッ!!』

 

 二機の王龍の拳が、左右から夜叉に叩き込まれる!

 

〈初穂〉「やった!!」

 

〈エリス〉「……いや!」

 

 だが――拳は両方とも、夜叉の前で見えない壁にぶち当たったかのように止まっていた。

 

〈シャオロン〉『何ッ……!?』

 

〈ユイ〉『な、何て妖力……!』

 

 戦慄する二人へ向けて、夜叉が言い放つ。

 

〈夜叉〉「帝都の平和が、守れるものですか……偽りの華撃団に!!」

 

〈シャオロン〉『何だと……!』

 

 夜叉の振るった刀から斬撃が飛び、王龍を二機とも切り裂いた!

 

〈シャオロン〉『ぐわぁぁぁぁッ!?』

 

〈ユイ〉『わああぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

〈さくら〉「ユイさんっ! シャオロンさんっ!」

 

 夜叉は倒れたシャオロン機にとどめを刺そうと、抜き身の刀を手ににじり寄っていく。

 

〈さくら〉「や、やめてっ!!」

 

〈クラリス〉「さくらさん!」

 

 思わず飛び出したさくらだが、そのために夜叉の矛先が彼女に向く。

 

〈さくら〉「あ……!?」

 

〈初穂〉「お、おいさくら! 何立ちすくんでんだよ!?」

 

 夜叉ににらまれたさくらは、何故か刀を構えようともしない。初穂たちが焦るが、バリスレイダーの壁に阻まれてしまっていた。

 

 

 

〈神山〉「さくらッ!!」

 

 神山は戦いながら、脱出経路を確保するために非常口周りのバリスレイダーを斬り倒していたが、そのせいでさくらの元から遠く離れてしまっていた。ここからでは間に合わない!

 と、その時に、左手が彼の意思を無視して動き、ゼットライザーを取り出した。

 

〈神山〉「なッ……!? か、身体が勝手に……!!」

 

 刀をアクセスカードに持ち替え、ライザーに挿し込む。

 

[SEIJŪRO, Access Granted!]

 

 メダルを収めずにライザーのディスクをスライドさせ、展開されたゲートが神山を通り抜けると――彼の身体が、身長はそのままにゼットのものに早変わりしていた。

 

〈神山〉『「ゼット、これは……!?」』

 

〈ゼット〉『ウルトラ緊急事態だ。お前の身体を借りるぞ!』

 

〈神山〉『「こんなこと出来たのか!」』

 

〈ゼット〉『いつもの逆パターンだ。しかしパワーの消耗がウルトラ激しいから、活動できるのは地球時間で五十秒! 急ぐぜぇッ!』

 

 ゼットが光の速度で走り、バリスレイダーの包囲を強引に突破して、さくらの元へ駆け込む。

 そしてさくらに振るわれた夜叉の刃が、青い光の残像をすり抜けた。

 

〈夜叉〉「……?」

 

〈シャオロン〉「な、何が起きた!?」

 

〈ユイ〉「あっ! あれ!!」

 

 王龍から脱出したユイが指差した先、夜叉の背後で――ゼットがさくらを抱え上げていた。

 

〈さくら〉「ゼットさん……!」

 

 華撃団隊員たちは、突如現れたゼットに驚愕。

 

〈アーサー〉「あれがウルトラマンゼット……!」

 

〈ランスロット〉「何か小さくない!?」

 

〈ユイ〉「さくらを助けてくれたんだ!」

 

〈エリス〉「――羨ましい……!」

 

〈マルガレーテ〉「隊長!?」

 

 さくらをそっと下ろすゼットに、夜叉が猛然と斬りかかっていく。

 

〈夜叉〉「おのれっ!」

 

「ゼアッ!」

 

 ゼットはライザーを武器にして、夜叉の刃を弾いた。

 

〈夜叉〉「ちっ……!」

 

「ゼェアッ!」

 

 夜叉と激しく切り結ぶゼット。すさまじい圧力を放つ夜叉の妖力だが、ゼットのパワーはそれを押し返す。

 

「ゼアッ!」

 

 そして隙を見てトサカから光刃を放ち、夜叉の身体を斬りつける。

 

〈夜叉〉「うっ……!」

 

 夜叉の頭髪がハラリと舞い散り、血液が飛び散る。しかし負傷を妖力でふさいで戦闘続行しようとしたが、

 

〈エリス〉「そこまでだっ!」

 

〈アーサー〉「残るはお前一人だけだぞッ!」

 

 華撃団がバリスレイダーを全機撃破して、ゼットの加勢に回ってきた。逆に包囲される夜叉。

 

〈夜叉〉「……」

 

 流石に分が悪いと見たか、夜叉は外套を翻しながら何十メートルも跳躍し、会場から逃げ去っていった。

 

〈あざみ〉「逃げた……」

 

〈初穂〉「へっ! おととい来やがれってんだ!」

 

 夜叉が撤退すると、ゼットも制限時間が近づくので、猛スピードで非常口へ駆け込んでいく。

 

〈エリス〉「あっ、ゼット様!!」

 

〈マルガレーテ〉「隊長!?」

 

 会場の廊下に隠れ、人の目から逃れたゼットは、そこで息を切らしながら立ち止まった。

 

〈ゼット〉『やっぱ、この状態でのバトルはウルトラきついぜ……!』

 

 五十秒が経過し、ゼットの姿が神山のものに戻った。

 

〈神山〉「ありがとう、ゼット……!」

 

 

 

 ――会場の外で、亜空間に潜んで状況を窺っていた摩上は、騒ぎが落ち着いていくのを見て鼻を白けさせた。

 

〈摩上〉『「なーんだ、返り討ちにされてんじゃねーか。まぁこのまんま終わりでも構いやしねぇんだが……」』

 

〈ロソス〉『しかし、せっかくの機会だ……。ベリアルメダルの効果がどれほどか、試してみよう……』

 

〈摩上〉『「おおよ!」』

 

 摩上がライザーを掲げて、闇の波動を放つ。

 

〈摩上〉『「待たせたなぁ。テメェらの出番だぜぇーッ!」』

 

 

 

 夜叉とバリスレイダーを追い返して、危機を脱したかに思われた会場だったが――その外からいきなり黒い稲妻が地上から発生し、巨大怪獣が二体も立ち上がった!

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 一体は太く巨大な、鬼を彷彿とさせる二本角を頭部から生やした、蛇腹状の肉体を持つ怪獣。もう一体は長い尾と眼球の回転するアンテナ状の角を持った、半身がくすんだ黄金色の装甲で覆われた怪獣。どちらも、降魔融合獣を表す球体が胸部に埋め込まれている。

 摩上が怪獣メダル二枚をそれぞれ下級降魔に埋め込んで、巨躯の融合獣に変異させた、イ式スカルゴモラとロ式サンダーキラーである!

 

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