ウルトラサクラ大戦Z   作:焼き鮭

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第七話「危機一髪!平和の祭典」(B)

 

 目につく敵は全て撃退し、観客も会場から全員逃がして、ひと息つけるかと思われたが、そこに観客席の向こうの背景にイ式スカルゴモラとロ式サンダーキラーがそびえ立った。

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 その威容に驚愕する華撃団隊員たち。

 

〈あざみ〉「怪獣! しかも二体も!」

 

〈初穂〉「やべーぞ! 今特空機出せねぇってのに!」

 

 焦りを覚える花組。何しろ六人全員が開会式に出席していた訳だから、特空機で出撃する人員が劇場に一人もいないのだ。

 動揺しているところに、非常口から出てきた神山が叫ぶ。

 

〈神山〉「みんな、ひとまず外へ! 会場にいたら危険だ! 脱出口は確保した!」

 

〈アナスタシア〉「ええ!」

 

〈クラリス〉「皆さんも急いで下さい!」

 

 各国華撃団が全員神山の誘導に従い、会場から脱出していく。

 外でナシルマたち彗星組と、蛇倉とリクと合流した。

 

〈蛇倉〉「どうやら全員無事みたいだな」

 

〈ユイ〉「司令!」

 

〈シャオロン〉「すまねぇ司令……! 王龍をやられちまった……!」

 

〈蛇倉〉「構わん、お前らが無事ならどうとでもなる。それより……」

 

 悔やむシャオロンを軽く慰めた蛇倉が、暴れ出す降魔融合獣たちを見上げ、次いでリクを一瞥した。

 デュエスがドンと肘で小突くと、リクがハッとなって身を翻す。

 

〈リク〉「うわー怪獣だー! 助けてー!」

 

〈アーサー〉「あッ、待つんだ! そっちは危険だぞ!」

 

 わざとらしく叫んで、降魔融合獣の進行先へと走っていくリク。事情を知らない者たちが動く前に、神山がその背中を追いかけていく。

 

〈神山〉「彼のことは俺に任せて下さい! 皆さんは、他の市民の避難誘導を!」

 

〈ランスロット〉「あっ、ちょっと……!」

 

 有無を言わせぬ内に蛇倉たちが畳みかける。

 

〈蛇倉〉「一人をゾロゾロと追いかける必要もないだろ。ここは各華撃団で手分けして、市民の安全確保と行こうじゃないか」

 

〈アーサー〉「上海華撃団の司令がそうおっしゃるなら……」

 

〈エリス〉「では急ごう。伯林華撃団、私についてこいっ!」

 

〈ナシルマ〉「帝国華撃団花組は帝劇へー! 間に合うかな……」

 

 どうにかごまかし、神山とリクを人目がない場所へと行かせることに成功した。

 

 

 

〈神山〉「よし、この辺でいいだろう」

 

 角を曲がって各国華撃団の目から完全に隠れた場所に移動したところで、神山とリクは立ち止まった。

 

〈リク〉「行きますよ、神山さん!」

 

〈神山〉「あッ、少し待ってくれ!」

 

 ウルトラマンに変身する前に、神山がさくらメダルをリクに差し出す。

 

〈神山〉「降魔融合獣は霊力がないとダメージを与えられないんだ。花組メダルを一枚貸そう!」

 

〈リク〉「ありがとうございます! じゃあ!」

 

 神山とリクが同時にゼットライザーのスイッチを押す。

 

〈リク〉「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 二人を頭上からゲートが呑み込み、超空間内でそれぞれのアクセスカードを手にする。

 

[RIKU, Access Granted!]

 

〈リク〉『「参上! ユナイト! アップ!」』

 

 リクが神山から預かったさくらメダルと、エックスメダル、オーブメダルをセットしていく。

 

〈リク〉『「天宮さん! ウルトラマンエックス! ウルトラマンオーブ!」』

 

 ディスクをスライドさせ、メダルをスキャン。

 

[SAKURA! X! ORB!]

 

〈リク〉『「はぁぁッ! 咲かすぜ! 桜!!」』

 

 スキャンが完了したライザーを胸の前に置いて、トリガーを押した。

 

『やぁーっ!』

『イィィィーッ! サ―――ッ!』

『ジェアッ!』

 

〈リク〉『「ジィィィ―――ドッ!」』

 

 さくらのビジョンが抜刀し、エックスとオーブが宙を飛び、初代ウルトラマンとベリアルのビジョンが重なり合ってリクが変身する。

 

[ULTRAMAN-GEED! SAKURA-RISING!!]

 

 ベリアルの双眸、渦巻く桜吹雪、X状の閃光、O型の光輪を抜けて、光と闇の渦の中からウルトラマンジードが飛び出していく!

 

「ハァッ!」

 

 神山も己のアクセスカードを再びゼットライザーに挿入した。

 

[SEIJŪRO, Access Granted!]

 

〈神山〉『「望月忍法、秘伝の神業!」』

 

 こちらは二枚のウルトラメダルと、あざみのメダルをセットする。

 

[ZERO! AZAMI! LEO!]

 

 神山の背後に立ったゼットが腕を広げる。

 

〈ゼット〉『ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

 

〈神山〉『「ウルトラマン! ゼェ―――ット!!」』

 

 高々とゼットライザーを掲げて、トリガーのスイッチを押す。

 

『ハッ!』

『にんっ!』

『イヤァッ!』

 

 飛び交うゼロとレオのビジョンと、真上から着地したあざみのビジョンが一つとなり、ゼットの姿を変化させる。

 

[ULTRAMAN-Z! SHINOBI-EDGE!!]

「ジェアッ!」

 

 戦いの中で日が傾き、夕焼けに染まる空の下に、二人のウルトラマンが轟音を立てて着地する。

 桜色のカラーリングでプロテクターを染めたウルトラマンジード・サクラライジングと、ビームランプやカラータイマーの周りに十字手裏剣型の装飾を施したウルトラマンゼット・シノビエッジだ!

 

 

 

 亜空間内から二体の降魔融合獣を操る摩上は、二人のウルトラ戦士の登場に苛立たしく舌打ちした。

 

〈摩上〉『「もう出てきやがったか! せっかく神山誠十郎をペシャンコに出来るいいチャンスだってのによぉ!」』

 

〈ロソス〉『ほぉ……恨んでいる相手がいるのか、兄弟……』

 

 ロソスが摩上の言動にいささか興味を持った。

 

〈摩上〉『「ああ。今の帝国華撃団の隊長やってる男が、俺が帝国海軍だった時の同期なんだ。だが野郎は俺を陥れやがった!」』

 

〈ロソス〉『何と、そんな因縁が……』

 

〈摩上〉『「海軍の資金を誰かがくすねてるって疑惑が起こった事件があったんだが、野郎は独自調査の結果だとか抜かして俺が犯人だと決めつけやがった! そのせいで俺は逮捕、どうにか壁越えしたがそこからずっと逃亡生活だ! 俺がどん底に落ちたのはあの野郎のせいだッ! あの時奴は、どんだけ俺じゃねぇと訴えても、聞く耳持たなかった!! まぁ俺なんだけどな」

 

 途端、ロソスが大爆笑する。

 

〈ロソス〉『うわははははははははッ! ワーッハハハハハハハハハハハ!! なるほど、それは復讐しないとなぁ!!』

 

〈摩上〉『「おおよ! テメェら、さっさと邪魔モンをぶっ潰しちまいなぁッ!」』

 

 摩上がライザーから闇の波動を発し、降魔融合獣に命令を出した。

 

 

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 スカルゴモラが振動波を、サンダーキラーが電撃を纏って、建ち並ぶ建物を薙ぎ倒しながら突進してくる。それを堂々迎え撃つゼットとジード。

 

「ハッ!」

「ゼアッ!」

 

 正面から向かってくる敵を、ゼットがスカルゴモラ、ジードがサンダーキラーにぶつかって止めた。密着状態から打撃を打ち込むもあまり効果はなく、それぞれの鈎爪を叩きつけられて姿勢を崩す。スカルゴモラが覆い被さるように迫るのを、飛び跳ねるように起き上がったゼットが止め、ジードがパンチを繰り出す。そこにサンダーキラーの長い尾が飛んできたので咄嗟にキャッチし、ゼットががら空きの背面に一発見舞った。直後にスカルゴモラに殴り飛ばされたが、尻尾を放したジードが前蹴りでやり返す。ロ式サンダーキラーが口吻から発射した液体弾を側転で緊急回避し、改めてゼットとともに融合獣たちを抑え込む。

 

「グッ!」

「ゼアッ!」

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 だが振り払われ、ゼットはヘッドバット、ジードは尻尾の振り回しを食らってはね飛ばされた。

 

「ギャオオオオオオオオ! ピッギャ――ゴオオオオウ!」

 

 スカルゴモラが地面を強く踏みつけると、岩石が複数浮かび上がり、弾丸となってジード、ゼットに襲い掛かる。

 

「ウワァァッ!」

「ジュアアァァッ!」

 

 ショッキングヘルボールを食らって転がる二人。しかし起き上がりざまに反撃を仕掛ける。

 

〈神山・ゼット〉「『ゼット手裏剣!!」』

 

〈ジード〉『レッキングリッパー!』

 

 頭部から手裏剣状の光刃を投擲するゼットと、腕を振って赤い刃を飛ばすジード。それぞれスカルゴモラとサンダーキラーに命中!

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ!」

 

 スカルゴモラは膝を撃たれてガクリと片膝を突いたが……。

 

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 サンダーキラーにはレッキングリッパーがまるで効いておらず、液体弾でジードを撃ち返した。

 

〈ジード〉『うわぁッ!?』

 

〈ゼット〉『ジード先輩!!』

 

 横に倒れたジードが、ぜいぜい息を切らす。

 

〈ジード〉『さ、さっきから変だ……! 身体が思うように動かない……!』

 

 

 

 帝劇へ急ぎながらも、戦闘の状況を視認した花組もジードに違和感を覚えていた。

 

〈あざみ〉「ジードがおかしい……! この前は、もっと機敏に戦ってたのに……」

 

 デュエスが冷や汗を垂らして、原因を分析する。

 

〈デュエス〉「もしや……花組メダルが、ジードの肉体と合ってねぇのかもしれねぇ……」

 

〈クラリス〉「どういうことですか!?」

 

〈デュエス〉「ジードはウルトラマンの中でも特異体質だからな……」

 

 ウルトラマンジードはベリアルの闇の因子を受け継いでいる、降魔の妖力のような負のエネルギーを有する戦士。同じウルトラマンの力ならともかく、花組メダルの霊力という正のエネルギーはジード自身の力と反発してしまい、彼に満足なパワーを与えてくれないのであった。

 

〈デュエス〉「盲点だった……このまんまじゃやべぇぜ……!」

 

〈初穂〉「だったらなおさら急がねーと!」

 

 花組が焦るが、戦闘の勢いは非常に速い。果たして間に合うか。

 

 

 

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

「ゼアッ!」

 

 クローに電撃を奔らせて襲い来るサンダーキラーからジードをかばい、疾風の身のこなしで翻弄するゼット。しかし、

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

「グワァァッ!」

 

 敵は一体だけではない。イ式スカルゴモラが鈎爪を振るってきて、更に振動波を流し込んでゼットを吹き飛ばす。

 

「ゼアァァァッ!」

 

〈ジード〉『ゼット!』

 

 ジードの首にはサンダーキラーの尻尾が巻きついて、高圧電流を浴びせて苦しめる。

 

「グワァァァァ―――ッ!」

 

 

 

〈摩上〉『「はっはーッ! いいぜいいぜぇぇーッ! とどめは俺たちの手で刺してやる……!」』

 

 ゼットたちを追いつめる降魔融合獣に上機嫌となった摩上は、自ら出撃するためにアクセスカードをライザーに挿入した。

 

MAGAMI, Access Granted!

 

〈摩上〉『「地獄の門を開けようぜぇ!」』

 

 酸弾の降魔メダルと、宇宙ロボット、宇宙恐竜のメダルをセットしてスキャン。

 

SANDAN! KING-JOE! Z-TON!

 

 摩上の背後に、ロソスの歪んだ輝きの双眸が浮かび上がった。

 

〈ロソス〉『恐れ慄けッ! 俺の名に!!』

 

〈摩上〉『「ヒア――――ハッハッハァッ!!」』

 

 ライザーから生じた三枚のメダルのビジョンが摩上に吸い込まれ、その肉体を異形の大怪物へと変身させていく!

 

PARASITE-ROSOS! HA-SHIKI PEDANIUM-ZETTON!!

 

 

 

 グワアッシ……グワアッシ……。

「ピポポポポポ……」

 

 戦場に摩上とロソスが変身した新たな降魔融合獣、ハ式ペダニウムゼットンが出現。強酸の塊を射出し、爆撃のようにゼットとジードに浴びせる。

 

「ジュワァァァァ―――――――!!」

「ウワアァァァァ―――――――!!」

 

 三体もの融合獣の猛攻撃に晒されて、がっくりと膝を突くゼットたち。カラータイマーが赤く点滅し、危機を表した。

 今にもとどめを刺されてしまいそうな状況だが、花組はようやく帝劇の前に到着したところだ。

 

〈アナスタシア〉「駄目……間に合わない……!」

 

〈ミースア〉「あとちょっとなのにー!」

 

 三体の融合獣は無情にも、ゼットたちに一斉に破壊光線を発射する!

 

〈神山〉『「うわあああぁぁぁぁッ!!」』

 

 神山が咄嗟に顔を腕で覆った、その時、

 天空から猛スピードで飛んできたふた振りの刃が、三体の光線を微塵に切り裂いた!

 

〈神山〉『「えッ……!?」』

 

〈ゼット〉『い、今の技は……!』

 

『俺の弟子を名乗るなら――根性見せやがれ!!』

 

 誰もが目を見張る中を、宇宙ブーメランをキャッチした巨人が青いマントを翻しながら着地し、同時に額のランプより緑のレーザーを照射して融合獣を纏めて転倒させた!

 

〈さくら〉「あ……新しいウルトラマンさん!?」

 

〈ナシルマ〉「おぉ―――!? あの人はぁぁぁぁッ!!」

 

 三人目のウルトラ戦士の降臨に、ナシルマが特に上ずった声を上げた。

 ジードは彼の名を呼ぶ。

 

〈ジード〉『ゼロ!』

 

〈ゼット〉『師匠! 無事だったんですね!!』

 

〈神山〉『あの人が……ゼットの……!』

 

 ゼットに振り向く横顔は、神山が初めに目にしたウルトラメダルのものとそっくり同じだった。

 

『へッ。俺の心配するなんざ、二万年早いぜ』

 

 その名は、ウルトラマンゼロ!

 

 

 

〈摩上〉『「なぁにぃぃぃぃぃッ!? 三人目だとぉぉぉうッ!?」』

 

 摩上もロソスも、ウルトラマンゼロの登場に愕然となっていた。

 

〈ロソス〉『奴はウルトラマンゼロ……! ブルトンをぶつけて四次元空間に突き落としたというのに……もう戻ってきたのかッ!』

 

 

 

〈ゼロ〉『何とかシャイニングの力で時間を逆行させて、ワームホールから脱出した訳だが、消耗したエネルギーを回復するのに時間が掛かっちまってな』

 

〈ジード〉『相変わらず、主役は遅れて来るって奴ですね』

 

〈ゼロ〉『ヘヘッ。頼もしくなったじゃねぇか、ジード。けどそんな色だったっけ?』

 

〈ゼット〉『師匠! 俺は!? 俺は!!?』

 

〈ゼロ〉『今から見せてみろ。お前がどんだけ強くなったかを』

 

〈ゼット〉『よっしゃあ! ウルトラやってやるぜぇッ!』

 

 ゼロの登場でゼットたちに気力が戻り、夕陽をバックにゼロと並んで立ち上がった。

 

〈摩上〉『「ちくしょうがッ! こっちだって三体だ! 焼き払ってやらぁぁッ!!」』

 

 摩上が吠えたのを合図に、降魔融合獣が一斉に前進していく。

 

「ピポポポポポ……ゼットォーン……」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

 

 ウルトラ戦士たちも、ゼロがマントを投げ捨てたのを合図として前に飛び出した!

 

「シェアッ」

「ハァッ!」

「ゼアッ!」

 

 ゼロが一番にハ式ペダニウムゼットンに飛びかかり、ゼロスラッガーを逆手に握って相手の胸部に走らせた。

 ペダニウムゼットンの装甲に深々と切り傷を刻み込む!

 

〈摩上〉『「なッ!? 痛でぇぇぇッ!! 霊力なしでッ!?」』

 

 ウルトラマンゼロの光は幾多の戦いの中で鍛え上げられ、強く、鋭く輝く。その閃きは如何なる闇も斬り裂く!

 

[ULTRAMAN-GEED! GARAXY-RISING!!]

「ハァッ!」

「キイイイイイイイイ! グオオオオ……!」

 

 ジードはさくらメダルをゼットに投げ返してギャラクシーライジングとなり、サンダーキラーの角を掴んで抑えつける。

 

[ULTRAMAN-Z! KAGURA-SMASH!!]

「ゼアァァァッ!」

 

 その間にゼットはカグラスマッシュにチェンジして、燃える大槌をスカルゴモラの角に振り下ろした。

 

「ピッギャ――ゴオオオオウ! ギャオオオオオオオオ!」

 

 頭に大槌を叩き込まれたスカルゴモラが一瞬押し返される。

 

〈ゼロ〉『ガルネイトバスタァァ―――ッ!!』

 

 そこにストロングコロナゼロの灼熱の光線が撃ち込まれて、火だるまとなる。

 すかさずゼットがとどめ!

 

〈神山・ゼット〉「『ゼスティウムハンマー!!」』

 

 下からのフルスイングがイ式スカルゴモラの顎を砕き、爆砕させた!

 サンダーキラーを引きつけているジードは、三つのメダルを再スキャン。

 

[GINGA! X! ORB!]

 

〈ジード〉『ギャラクシーバースト!』

 

 サンダーキラーの放つ光刃を打ち破って、斬撃が貫く!

 

「キイイイイイイイイ!グオオオオ……!」

 

 深手をもらった胴体を再生しようとするサンダーキラーだが、それより早くゼットとルナミラクルゼロが仕掛ける!

 

[ULTRAMAN-Z! SAKURA-EDGE!!]

 

〈神山・ゼット〉「『ゼスティウム桜吹雪!!」』

 

〈ゼロ〉『ミラクルゼロスラッガー!』

 

 二刀からの旋風と分身したスラッガーが貫通し、ロ式サンダーキラーも消滅!

 

「ピポポポポポ……ゼットォーン……」

 

 最後に残ったペダニウムゼットンには、ゼットランスアローとウルトラゼロランスで斬りかかっていく。

 

「ハッ!」

「ゼアッ!」

 

 師弟の槍がペダニウムゼットンを押し込み、ゼットが穂先を敵の腹部に向けレバーを引いた。

 

〈神山・ゼット〉「『アローショット!!」』

 

〈ゼロ〉『レボリウムスマッシュ!』

 

 衝撃の連続攻撃がペダニウムゼットンの姿勢を崩し、その隙にゼットが氷の矢をぶち込む!

 

〈神山・ゼット〉「『ゼットアイスアロー!!」』

 

 瞬く間に全身が凍りつくペダニウムゼットン。ここで三人のウルトラ戦士が集結。

 

〈ゼット〉『そろそろ決めますかぁッ!』

 

〈ゼロ〉『おい! お前が仕切んな!』

 

〈ジード〉『二人とも言い合いしないで! 行くよ!』

 

〈ゼット〉『行きましょう!!』

 

〈ゼロ・ジード〉『『ああ!』』

 

 三人そろっての、とどめの必殺光線!

 

〈ジード〉『レッキングフェニックス!』

 

〈ゼロ〉『ワイドゼロショット!』

 

〈ゼット・神山〉『「ゼスティウム光線!!』」

 

 三条の光線を叩き込まれたハ式ペダニウムゼットンは、急速に加熱されて大爆発!

 降魔融合獣を全て撃破した三人のウルトラマンは、夕陽に向かって燦然と飛び去っていった。

 

 

 

〈蛇倉〉「やれやれ。一時はどうなるもんかと思ったが」

 

〈シャオロン〉「すっげぇな……宇宙ってのにはあんな戦士がいるのか」

 

〈ユイ〉「ウルトラマンには驚かされてばっかだね」

 

 戦闘終了を見届け、すっかり呆けていたユイたちの近くに……グロッキー状態の摩上が通りがかった。

 

〈摩上〉「くそが……加減ってもん知らねぇのか……!」

 

〈ユイ〉「あっ! そこのあなた!」

 

 ユイに声を掛けられて、ビクッ! と肩を震わせ立ち止まった。

 そこへ駆け寄っていくユイ。

 

〈ユイ〉「逃げ遅れた人ですか? もう大丈夫ですよ! 怪獣はウルトラマンに倒されました」

 

〈摩上〉「そ、そうですか……」

 

〈ユイ〉「って、大丈夫ですか!? 何だかふらふらしてますが……病院までお連れしましょうか」

 

〈摩上〉「い、いえ! 一人で歩けますので……どうぞお気になさらず……」

 

 ユイの視界から顔を隠すように身をよじり、そそくさと立ち去ろうとする。

 しかし焦ったために、降魔メダルがポロリと転げ落ちた。

 

〈ユイ〉「あれ? 何か落としましたよ。メダル?」

 

〈摩上〉「ッ!!」

 

 メダルと聞いて、傍観していた蛇倉の顔つきが変わった。

 

〈蛇倉〉「おい! そいつを抑え――!」

 

 言い終わる前に、摩上がグリップをユイに突きつけ、衝撃波を食らわせた!

 

〈ユイ〉「きゃあああっ!!」

 

〈シャオロン〉「ユイ!?」

 

〈蛇倉〉「ユイ!!」

 

 倒れたユイに慌てて駆け寄るシャオロンと蛇倉。

 

〈シャオロン〉「テメェ何を……!!」

 

 激怒するシャオロンだが、振り返った時には、摩上は既に影も形もなくなっていた。

 

〈シャオロン〉「いない……!? 何て逃げ足だ……」

 

〈蛇倉〉「ユイ、大丈夫か」

 

〈ユイ〉「う、うん、何とか……」

 

 ユイに大事がないことを確認すると、蛇倉は摩上が落としていった降魔メダルを拾い上げる。

 

〈蛇倉〉「こいつは……まさか、さっきの奴が……」

 

 

 

 メダルを回収するのも惜しんで全力逃走した摩上は、冷や汗が顔中に溢れていた。

 

〈摩上〉「やべぇ……ツラ見られたか……?」

 

〈ロソス〉『ギリギリ見えなかったはずだ……しかし、警戒はされただろうな……』

 

 ロソスも上海華撃団に近づかれたことを危惧する。

 

〈ロソス〉『もっと強力なメダルを、早急に作っていかなければ……』

 

 

 

 風組と彗星組は、今回の騒動で無人となった会場に戻り、被害状況を確認していた。

 

〈こまち〉「いや~……えらいことになってもうたなぁ。華撃団大戦、どうなるんやろ」

 

〈カオル〉「中止にせよ続行にせよ、私たちも責任を取らねばなりません。会場の修繕費も……ああ、頭が痛い……」

 

 少なからず損壊した会場を見回して、頭を手で支えるカオル。

 

〈デュエス〉「しかしあの夜叉って奴、訳の分からんこと言ってたが……」

 

 グラウンドの中央の芝生を歩くデュエスは、ふと足下に目を留めた。

 

〈デュエス〉「これは……」

 

 ゼットに切られて落ちた夜叉の頭髪が芝生に引っ掛かっているのをつまみ上げて、ふむ、と顎をさすった。

 

 

 

 そして花組はリクとともに、帝都の外れの野原で、ゼロと密かに向かい合っていた。

 

〈ゼロ〉『あんたたちがゼットの仲間か』

 

〈神山〉「帝国華撃団と言います。ウルトラマンゼロさん、いつもウルトラメダルでお世話になってます。今回も助けていただき、どうもありがとうございました!」

 

 神山たちは深々とお辞儀して、感謝の意を示した。

 

〈ゼロ〉『ハハハ。いいってことよ、気にするな』

 

 更に彼らの頭上に、一隻の船が飛んでくる。

 

〈クラリス〉「わっ、見たことない船が!」

 

〈リク〉「僕の星雲荘だ!」

 

〈初穂〉「え? 船なのに?」

 

 そしてリクの前に黒い影が盛り上がって、白黒の怪人の姿に変わった。

 

〈アナスタシア〉「また何か出てきたわ」

 

〈あざみ〉「忍者!?」

 

〈リク〉「ペガ!」

 

 ペガッサ星人ペガはリクに抱き着いて、再会を喜んだ。

 

〈ペガ〉「リク、やっと見つけた! 捜したんだよ!」

 

〈リク〉「ごめんね、ペガ」

 

〈ペガ〉「あッ!? ど、どうも……」

 

 神山たちに気づいたペガは少しばかり恥ずかしそうにしたが、すぐリクに向き直る。

 

〈ペガ〉「大変なんだよリク! 君がいない間に、宇宙のあちこちでデビルスプリンターの影響を受けた怪獣が大暴れしてるんだ! 早く行かないと!」

 

〈ゼロ〉『だな。早く宇宙警備隊の任務に戻らないと、親父に怒られちまう』

 

 しかし、リクは神山たちを一瞥して、気まずそうに顔をしかめた。

 

〈リク〉「……ゼロ、僕はこの地球に残って……!」

 

〈神山〉「リクくん」

 

 リクの言葉を、神山が途中でさえぎった。

 

〈神山〉「他の場所でもデビルスプリンターの被害が出てるなら、君が助けに行ってあげてくれ。帝都の平和なら、俺たち帝国華撃団とゼットが守っていくから!」

 

 神山の発言に初穂たちが固くうなずく。

 

〈ゼロ〉『ふッ……ゼットと似たもん同士、上手くやっていけそうだな』

 

 神山たちの申し出で、リクも安堵を覚えた。

 

〈リク〉「分かりました。この地球を、皆さんに任せます」

 

〈神山〉「ああ……。それじゃあ、最後にみんなでやろう!」

 

 花組とリクたちは、ゼロをバックに並んでポーズを取った。

 

〈神山〉「勝利のポーズ、決めッ!!」

 

 そうして宇宙へ旅立っていくゼロとリクたちを、神山たちは大きく手を振って見送ったのだった。

 

 

 

(ED:Connect the Truth)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『花組のウルトラナビ!』

 

神山「今回紹介するのは、ウルトラマンオーブだ!」

さくら「オーブさんはウルトラシリーズ五十周年に登場したウルトラ戦士です! ゼットさんみたいに、歴代ウルトラ戦士の力をお借りして変身するフュージョンアップが一番の特徴ですよ!」

さくら「惑星O-50という新しい星で誕生したウルトラ戦士で、後にロッソさん、ブルさん、グリージョさん、フーマさんといった後輩の方々が登場しました」

さくら「『Z』ではジードさんのギャラクシーライジングのメダルの一枚としての登場です! 広がる光の輪は、オーブさんを象徴するものですよ」

ゼット『そして今回の華撃団隊員はエリカ・フォンティーヌだ!』

さくら「巴里華撃団花組所属の見習いシスターさんです! とても元気で心清らかな一方で、とてもドジで人の話を聞かない天然さんで、周りを振り回すこともしばしばです。出向した大神隊長には一番好意的で、巴里が舞台の『サクラ大戦3』ではメインヒロインを務めました」

さくら「それでは、次回もよろしくお願いします!」

 




 
白秋「怪獣のメダルを狙う謎の女たちが帝都で暗躍する。そして暴れる降魔融合獣。どんどん姿を変え強くなっていく合体怪獣に、ゼットはどんな戦いを見せてくれるのかな?」
「次回、『石破天驚!神秘の力』。太正桜に浪漫のZ!」

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