(特空機用格納庫)
〈デュエス〉「おー来た来た、キングジョーの腰」
〈モフロ〉「あとは脚が来れば、回収はおしまいじゃな」
〈さくら〉「デュエスさーん、モフじいさーん!」
〈初穂〉「作業は順調かー? あれ、ナシルマとミースアがいねぇじゃんか」
〈デュエス〉「ナシルマなら早速特空機三号の設計図の仕上げに行ってるぜ。ミースアもいつものように一緒だ」
〈さくら〉「設計図の仕上げですか?」
〈モフロ〉「この前に話したが、三号予定機の資材には大量の特殊合金が必要じゃ。これが一番の問題だったが……それがこの通り手に入ったからの。今すぐにでも建造に取り掛かろうと、ナシルマ君ははしゃいでおったわい」
〈さくら〉「すごいやる気ですね!」
〈初穂〉「ナシルマの奴、ロボット超好きだよな。霊子甲冑にだって興味深々だったし」
〈デュエス〉「……時々思うが、あいつよくロボット好きでいられるよな。自分の星がロボットでえらいことになったってのに」
〈モフロ〉「そこは生まれついてのものとしか言えんのう。何せあの人の血筋じゃ」
〈さくら〉「そう言えば、特空機の設計って全部ナシルマさんが一人で手掛けてるんでしたっけ」
〈初穂〉「何かちょっと意外だよな。ナシルマがそんなに頭いいってのは」
〈さくら〉「ちょっと初穂、それはいくら何でも失礼だよ」
〈デュエス〉「いや、気持ちは分かるぜ。普段があの軽いノリだからな」
〈モフロ〉「はは。人は見掛けによらんということじゃて」
〈さくら〉「でも、何も設計の全部をナシルマさんだけに任せることもないんじゃないですか? 協力して作業に当たれば……」
〈デュエス〉「いやいや。繰り返すが、あいつあれでロボット工学に関しちゃやべぇ腕だぜ。下手に口出ししても、足を引っ張るだけだ」
〈初穂〉「そうなのかよ?」
〈デュエス〉「ああ。俺も指先には自信あったが、あいつの技術力の程を見た時は正直舌を巻いたぜ」
〈モフロ〉「うむ。あれぞまさしく天武の才じゃ」
〈さくら〉「へぇ……そんなにすごいんですか……」
〈デュエス〉「だが本人にゃ言うなよ。すぐ調子づく野郎だからな」
〈初穂〉「けど、そういう割には最初のセブンガー、そこまですげー機体とは思えねーんだけどな」
〈さくら〉「ちょっと初穂……」
〈初穂〉「そりゃ、最初はでかさに度肝を抜かれたぜ? けど今回みてぇなロボット見てたら、そこまででもないんじゃ? って気がしてさ。せめて、実用時間はもっと長くできねぇのかよ?」
〈さくら〉「もう、それが出来るなら初めからするに決まって……」
〈デュエス〉「いや、やろうと思えば出来るぜ」
〈さくら〉「えっ!? 出来るんですか!?」
〈デュエス〉「動力源をネオマキシマドライブなり何なりに取り換えればいいだけだからな。それだけで稼働時間はいくらでも伸ばせる」
〈モフロ〉「しかし、それはやらなかった。何故か分かるかな?」
〈初穂〉「さぁ……アタシには分かんねぇや」
〈さくら〉「右に同じです……」
〈デュエス〉「答えはな、この星の文明レベルに沿ったもんじゃなきゃ、もしもの時に修理が出来なくなるからだ」
〈さくら〉「えっ、もしもの時って……」
〈モフロ〉「彗星組はひとえにすみれさんのご威光によって活動が出来ておる、非常に不安定な立場の部署じゃ。もし何かあった場合、わしらは最悪帝都にいられなくなるかもしれん。その時残された地球人で修理、ないし整備できん物が特空機に搭載されておったら、いかんというのは分かるじゃろう?」
〈初穂〉「あー、そういう問題があるのか……」
〈デュエス〉「その辺気ぃ遣って、特空機は造ってんだよ。だから一番重要な動力には、信頼性が高い蒸気併用霊子機関で統一してるって訳だ」
〈さくら〉「なるほど……」
〈初穂〉「兵器一個造るにも、色々考えなきゃいけねーんだな」
〈モフロ〉「うむ。性能の高さだけで兵器の価値は決まらんのじゃよ。いざという時に信用できる物でなくてはいかん」
〈さくら〉「でも……そもそも、モフじいさんたちが帝都にいられるかなんてこと、気にしなくていいようになれば、そんな心配とは無縁になりますよね。わたしとしては是非そうなってほしいんですが……」
〈初穂〉「だな。それが一番だぜ」
〈モフロ〉「ホッホッ。嬉しいことを言ってくれるの」
〈デュエス〉「けど現実はそう簡単じゃねぇからなぁ。とりあえず、WLOFが今の感じじゃあ無理のある話だ」
〈さくら〉「ですよね……。どうにかならないでしょうか……」
〈モフロ〉「ふふ、気持ちだけで十分じゃよ」
〈デュエス〉「おッ、脚も運ばれてきたぜ。これで全部だな」
〈ナシルマ〉「おーいみんなー! 回収終わった? こっちもちょうど設計図仕上がったところだよー! もうすぐに作業始めようよ!」
〈ミースア〉「さくらちゃんと初穂ちゃんと、何話してたですかー?」
〈さくら〉「……ううん、何でもないよ。わたしたちも手伝うね!」
〈初穂〉「特空機三号か……どんな機体になるか楽しみだな!」