ウルトラサクラ大戦Z   作:焼き鮭

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第十話「残酷無比!宇宙海賊登場」(B)

 

 バロッサ星人の攻撃で負傷したミースアとデュエスはナシルマ、司馬に助けられて、コンテナの陰に運ばれていた。

 

〈司馬〉「ミースアちゃん、大丈夫かい?」

 

〈ミースア〉「は、はいです。ありがとうです……」

 

〈ナシルマ〉「デュエスは? 脇腹をやられてるけど……」

 

〈デュエス〉「平気だ……それより視覚が効かねぇ……」

 

 強烈な閃光で焼かれたデュエスの目は、まだ回復していない。

 

〈デュエス〉「状況はどうなってる?」

 

〈ナシルマ〉「それが……」

 

〈モフロ〉「まずいと言わざるを得ん……」

 

 そっと顔を出して確認するナシルマたちの視線の先では、バロッサ星人が開けた場所でセミ少女を無理矢理組み伏せて、銃口を頭に向けているのだ。

 

〈ニニー〉『うえ―――ん! ママぁ―――――!』

 

〈ミンミ〉『ニニー! お願いです、娘を放して!』

 

〈スクアロ〉『黙れッ! 騒ぐんじゃねぇ!!』

 

〈神山〉「おいやめろッ! その子はまだ子供だぞ!」

 

〈スクアロ〉『騒ぐなと言ったぞ! このガキがどうなってもいいのかッ!!』

 

 バロッサ星人はセミ少女に突きつけた銃をちらつかせて脅迫してくる。

 

〈さくら〉「くぅっ……!」

 

〈スクアロ〉『お前ら、もっと下がれ! こいつを助けたいんだったらな!』

 

 人質を取られてはどうしようもなく、神山とさくらはコンテナの横まで後ずさってバロッサ星人から離れる他なかった。

 無限に乗って大型格納庫に戻ってきた初穂たちも、霊子戦闘機用の扉から中に入ることが出来ずに歯がみしていた。

 

〈初穂〉『くっそー……! 無限は取ってくれたってのに……!』

 

〈アナスタシア〉『これでは近づけないわ……』

 

〈クラリス〉『あざみさん、どうにかなりませんか……?』

 

〈あざみ〉『無理……流石に遠すぎる……』

 

 バロッサ星人は身を隠す遮蔽物がない場所に陣取っていて、気取られずに接近することは不可能だ。無理に手出ししようものなら、セミ少女がどうなるか分からない。

 

〈スクアロ〉『誰か一人だけ出てこい! キングジョーのエネルギーを充填させて、飛べるようにしろ! 十秒以内に出てこないと、こいつを殺すッ!』

 

〈モフロ〉「いかん……!」

 

 バロッサ星人の要求にモフロが出ていこうとするのを、ナシルマが慌てて止めた。

 

〈ナシルマ〉「駄目だよモフじい! 危ないよ! ここは僕が行くから……!」

 

 モフロを押し留めて、代わりにバロッサ星人の前に出ていくナシルマ。

 

〈ナシルマ〉『分かった、要求通りにする! ただ、充填完了には五分は掛かる。それまで待って……』

 

〈スクアロ〉『遅いッ! 四十秒でやれ!!』

 

〈ナシルマ〉『四十秒!? それは無理だ!』

 

 無茶苦茶な要求を、バロッサ星人はセミ少女を盾に押し通そうとする。

 

〈スクアロ〉『このガキがどうなってもいいんだな』

 

〈ナシルマ〉『ッ……分かった……』

 

 ナシルマは逆らうことが出来ず、タッチパッドを使ってキングジョーを操作し、分離形態から結合させてエネルギーを充填させていく。

 

〈神山〉「くッ……こっちが思考する時間も与えないつもりか……!」

 

〈さくら〉「どうすれば……!」

 

 四十秒という短い時間で、この状況の打開策を見出すことが出来ず、非常に焦る神山たち。このままでは、バロッサ星人の要求を呑んだとしても、セミ少女が無事に解放される保証もない……。

 

〈白秋〉「さくら」

 

 苦悩するさくらの横から、いつの間に移動してきたのか、白秋がバロッサ星人から見えないように呼び掛けてきた。

 

〈さくら〉「師匠……!?」

 

 白秋は口の前で指を一本立てて、静かにするようジェスチャーしてから、さくらにピッと人差し指を向けた。

 

〈白秋〉「教えただろう。未熟者は指先を見る。真の剣士は、相手の目を見る」

 

〈さくら〉「……?」

 

 白秋が何かのたとえ話をしている内に、キングジョーのエネルギー充填が完了してしまう。

 

〈ナシルマ〉『これでエネルギー充填は終わったぞ。早くその子を放してくれ!』

 

 バロッサ星人はニヤリ、と目で笑う。

 

〈スクアロ〉『ご苦労だったなぁ。下等動物』

 

 そして銃を向けて、タッチパッドを撃ち抜いて破壊した! これでキングジョーの発進を止められなくなった!

 

〈ナシルマ〉『あッ!?』

 

〈スクアロ〉『もう用はない。こいつにもなぁッ!!』

 

 更に反対の手に握った剣を振り上げて、刃をセミ少女の首に向ける!

 

〈ニニー〉『いやぁぁぁぁ―――――――――――っ!!』

 

〈ミンミ〉『ニニー!!』

 

〈ナシルマ〉『や、やめろぉぉぉぉッ!!』

 

 誰もが息を呑んだ瞬間!

 

〈白秋〉「おっと、少し待ちたまえ」

 

 白秋がおもむろにコンテナの陰から出て、手に持った“銀色の箱”を掲げた。

 

〈さくら〉「師匠……!?」

 

〈神山〉「は、白秋さん!?」

 

〈スクアロ〉「!?」

 

 場違いなほど落ち着き払った白秋の声で、バロッサ星人の手が思わず停止した。白秋は箱をヒラヒラと振って、その視線も誘導する。

 

〈白秋〉「これはロボットの最終起動装置だ。これがないと、発進はしないぞ」

 

〈ナシルマ〉「!?」

 

〈スクアロ〉『何!?』

 

〈白秋〉「そーら、これが欲しいか……」

 

 バロッサ星人が驚いて箱に注目している内に、白秋は箱を床に滑らすように放った。

 

〈白秋〉「そらっ!」

 

 バロッサ星人は反射的にセミ少女から離れて、箱に飛びついた。

 

「バロッ!」

 

 持ち上げてすかさず蓋を開き、

 鮮やかな黄色の玉子の生地を真っ赤なケチャップで彩ったオムライスと対面した。

 

「……!!」

 

〈白秋〉「はっはっはっ。大帝国劇場の絶品オムライス弁当だよ」

 

 この隙にセミ少女を片腕に抱え上げた白秋が高笑いし、蓋を開けた水筒を大きく振る。

 

〈白秋〉「お茶もどうぞっ!」

 

 中身の紅茶が飛ばされ、バロッサ星人にぶっかかった。

 

「バロォッ!?」

 

 白秋がチラリとさくらに目配せすると、さくらはハッ! とキングジョーから抜き出したバッテリーへ駆け出した。

 

〈さくら〉「やぁぁ―――っ!」

 

 抜刀した太刀でバッテリーのコードを断ち切り、掴んで引っ張ると、断面を床に出来た紅茶のラインに押し当てた。

 コードの電線から漏れる電流が、水面を伝ってバロッサ星人に襲い掛かる!

 

「バババババババババッ!!」

 

 感電してガクガク痙攣したバロッサ星人。その際に何か小さなものが三つ、こぼれ落ちた。

 

「バロッサァァァァァ―――――――――――!!」

 

 バロッサ星人はたまらず格納庫から飛び出し、地上に向けて逃亡していく。

 

〈神山〉「待てッ!」

 

〈初穂〉『待ちやがれぇーっ!』

 

 すかさず神山と初穂たちが追いかけていった。

 

 

 

〈市民〉「きゃあっ!?」

 

〈市民〉「うわぁッ!!」

 

 地上に出て逃走していくバロッサ星人の姿に、帝都市民は面食らって立ち止まる。

 しかし工事現場へ逃げ込んだところで、四機の無限に追いつかれて包囲された。

 

〈クラリス〉『もう逃げられませんよ!』

 

〈初穂〉『散々汚ねぇ真似しやがって! 年貢の納め時だぜっ!』

 

「バロッ!」

 

 四方を囲まれ、逃げ道を完全にふさがれたバロッサ星人。

 だが異次元人ギギの縮小光線銃を取り出すと、目盛りを反転させて、光線を自身に浴びせた!

 

「バロッサァァァ――――――――!!」

 

 光線の効果で肉体の細胞を拡大し、50メートル級の巨人へと変貌を遂げた!

 

〈初穂〉『何ぃ!?』

 

〈あざみ〉『おっきくなった……!』

 

〈アナスタシア〉『奥の手を隠してたのね……!』

 

 巨大化したバロッサ星人は、すぐには無限に攻撃せず、工事現場の盛土の前に立って背面に手を伸ばす。

 

「バロッ!」

 

 背中から取り出した剣を、盛土に突き刺して、次の物を取り出す。

 

「バロッ! バロォッ!」

 

 所持している刀剣類をありったけ盛土に突き刺して万全の用意を整えると、改めて刀を抜いて無限に振り向いた。

 

「バロォォ―――――……!」

 

〈初穂〉『くっ……!』

 

 ひるむ初穂たち。無限も軽く踏み潰せるほどのサイズから刀を振り下ろされたら、ひとたまりもないだろう。

 だがこの窮地に、神山が変身空間のゲートを開いて飛び込んだ!

 

[SEIJŪRO, Access Granted!]

 

〈神山〉『「刀槍矛戟、神秘の刃……!」』

 

[TIGA! DYNA! SAKURA!]

 

 ウルトラゼットライザーにティガ、ダイナ、そしてさくらのメダルをセットしてスキャンした。

 

〈ゼット〉『ご唱和ください、我の名を! ウルトラマンゼーット!!』

 

〈神山〉『「ウルトラマン! ゼェ―――ット!!」』

 

 ゼットライザーを掲げて、トリガーを押した!

 

『テャッ!』

『デヤッ!』

『やぁーっ!』

 

 ティガ、ダイナ、さくらのビジョンが一つの光となって、渦巻く桜の花びらから、ウルトラマンゼットが飛び出していく!

 

[ULTRAMAN-Z! SAKURA-FUTURE!!]

「デアッ!」

 

 背後に現れたゼットの気配に気づいて、バロッサ星人が振り返る。

 

「! バロォッ!」

 

〈初穂〉『おおっ! ゼットのお出ましだぜ!』

 

 体表に桜色のラインが走る、ウルトラマンゼット・サクラフューチャー! ゼットライザーを取り出すと、その能力によって刀身と柄が現れ、ディスク部分を鍔としたライザー刀で武装する。

 

「ゼアッ……!」

「バァロッ……!」

 

 ジリジリと円を描くように間合いを測り合うゼットとバロッサ星人。刀を構え直すバロッサ星人が、声を発する。

 

「バロッ! バロバロバァロ、バロッサァ!」

 

 既に格納庫外に出ているので、自動翻訳はされない。

 

〈神山〉『「何て言ったんだ?」』

 

〈ゼット〉『宇宙海賊の本当の強さを見せてやる、だと』

 

〈神山〉『「……」』

 

 神山が黙っていると、バロッサ星人が痺れを切らしたように向かってくる。

 

「バロォッ!」

「シュアッ!」

 

 ゼットも同時に駆け出し、互いに跳躍して刃と刃を交錯させる。

 激しい火花が飛び散り、位置を入れ替えて着地。バロッサ星人はすぐに反転して再度向かってくる。

 

「バロォッ!」

 

 対するゼットは刀で円を描き、光の魔法陣を作り出す。

 

「シュアッ!」

 

 その中に飛び込んで、姿を消した!

 

「バロッ!?」

 

 驚いて一瞬立ち止まったバロッサ星人の刀を、その目の前に現れた魔法陣から出てきたゼットの剣の振り上げが吹っ飛ばした。

 

「バッ!? バッ!!」

 

 続く横薙ぎをバロッサ星人は咄嗟に飛びすさってかわし、大量の武器を刺した盛土の元へ駆け寄っていった。

 

「バロッ! バロッ!」

 

 その中から一本剣を抜いて、追いかけてきたゼットに振り向きざまに振り回す。

 

「バロォッ!」

 

 後ろに退いてよけるゼット。体勢を直してから、迫ってくる剣を刀で受け止め、振り抜いて弾き飛ばした。

 

「シュアッ!」

「バロォォッ!」

 

 間髪入れずにひと太刀浴びせて、バロッサ星人が倒れ込む。

 

「バロバロォッ!」

 

 だがひと太刀だけでは大きなダメージにはならず、バロッサ星人は這い回るように盛土に戻って小ぶりの剣を抜いた。

 

「バロォッ!」

 

 それを振るうがすぐにまた弾かれた。神山が毅然と言い放つ。

 

〈神山〉『「魂のない剣に、強さなどないッ!」』

 

「バロォォ……!」

 

 それに威圧されたかは知らないが、バロッサ星人は四本目の剣を取りには行かずにジリジリとゼットから距離を取るが、

 

「バロッ!」

 

 不意に工事現場の土砂を握ると、ゼットに向かって投擲してきた!

 

「バロサァッ!」

「ジュッ!?」

 

 ゼットの顔面に土砂が浴びせられて、思わずひるんだ。

 

〈神山〉『「うわッ!? とことん卑怯な……!」』

 

「バロォォッ! バロサァッ!」

 

 バロッサ星人はひたすらに土を放って、ゼットの目潰しを狙う。

 それまで決闘に手を出さなかった初穂たちも、バロッサ星人の振る舞いに激怒。

 

〈初穂〉『おいっ! どこまで汚けりゃ気が済むんだ! 恥を知れ恥をっ!』

 

〈クラリス〉『はぁぁっ!』

 

 クラリス、あざみ、アナスタシアが射撃でゼットを援護。無限の攻撃を浴びたバロッサ星人の手が止まる。

 

「バロッサァッ!」

 

 改めて盛土のところに戻ると、今度は弾き飛ばされないように、右腕と一体になるマグマ星人のサーベルを装備してゼットに斬りかかっていく。

 

「バロバロォォッ!」

「シュアッ!」

 

 まっすぐ突っ込んでいって刺突を繰り出すバロッサ星人だが、ゼットは横に跳んでかわし、サーベルが後ろの建物に突き刺さった。蒸気管を貫いてプシューッ! と蒸気が漏出する。

 

「バロォッ!」

 

 すぐにゼットを追撃しようとするバロッサ星人だが……サーベルの切っ先が突き刺さった建物から抜くことが出来ない。

 

「ンッ!? ヌケナイッ!」

 

 鋼鉄製のパイプを貫いたので、それが引っ掛かってしまったのだ。サーベルが腕と一体化しているので、手放すことも出来ない。

 

〈初穂〉『へっ! 馬鹿な奴だぜ!』

 

〈あざみ〉『ゼット、今!』

 

  あざみの呼び掛けにゼットがうなずき、無防備のバロッサ星人に刀を振り下ろそうとする。

 

「シュアァッ!」

「バロッ!」

 

 しかしバロッサ星人の左の手の平を突きつけられて、思わず立ち止まった。

 

「!?」

 

〈神山〉『「ゼット、駄目だ! 見るな!」』

 

 神山が忠告するが既に遅く、バロッサ星人の手の平がグルグル回され、渦巻き模様を向けられたゼットがふらふらめまいを起こしてしまい、その間にサーベルを引き抜いたバロッサ星人の前蹴りを食らった。

 

「バロッサァッ!」

「ジュアァッ!」

 

 ゼットが仰向けにぶっ倒される。

 

〈初穂〉『あぁーもう何やってんだよー!』

 

〈アナスタシア〉『危ないわ! 早く立って!』

 

 アナスタシアが叫ぶもバロッサ星人がゼットに馬乗りになって、サーベルを何度も繰り出す。

 

「バロバロバロ! バロッサァッ!」

「ジュアッ!」

 

 マウントを取られたゼットは、頭を左右に振ってサーベルをギリギリかわすので精いっぱいであった。

 

 

 

 格納庫ではバロッサ星人が追い出されたことで、負傷者の手当てが行われていた。キングジョーのエネルギーは、ナシルマが別操作で抜き去る。

 

〈ナシルマ〉「これでよし……。危ないところだった……」

 

 白秋はセミ少女を下ろし、母親のところに返す。

 

〈ニニー〉『ママー!』

 

〈ミンミ〉『ニニー! よく無事で……!』

 

 ひしと娘を抱きしめたセミ女が、白秋に何度も頭を下げる。

 

〈ミンミ〉『ありがとうございます! ありがとうございます!』

 

〈ニニー〉『白秋さん、ありがとう!』

 

〈白秋〉「何、これくらい軽いものだよ。君が無事で何よりだ」

 

 白秋の元へ、さくらと手当てを受けたユイも駆けつけてくる。

 

〈さくら〉「師匠! 本当にありがとうございます!」

 

〈ユイ〉「すごい機転! 流石さくらのお師匠さんだね!」

 

〈白秋〉「いやいや。せっかくのオムライスを駄目にしてしまったのが残念だよ。まぁそんなことより……」

 

 白秋が、バロッサ星人が感電していた辺りを指差す。

 

〈白秋〉「さっきの奴が、何かを落としていったように見えたのは私の気のせいかな?」

 

〈さくら〉「……!」

 

 さくらも目を凝らして、バロッサ星人が落としていった物体の正体に気がつく。

 三枚のウルトラメダル! 先にWLOFの研究所から強奪されたものに違いない。

 

〈さくら〉「っ!」

 

 それに気づいたさくらは、すぐにメダルを拾い上げて格納庫から飛び出していった。

 

〈ユイ〉「あっ、さくら!?」

 

〈白秋〉「ふふっ……」

 

 ユイはさくらの突然の行動に目を見張り、白秋はしたり顔で微笑んでいた。

 

 

 

〈あざみ〉『はぁぁぁっ!』

 

 馬乗りにされたバロッサ星人から斬りつけられるゼットを助けるため、あざみ、クラリス、アナスタシアの三機が射撃を放つ。

 

「バロッ!」

 

 顔面の飛んでくる攻撃をサーベルで防ぐバロッサ星人だが、その隙に接近した初穂機が、燃えるハンマーをすねに叩きつけた。

 

〈初穂〉『うらぁーっ! 東雲神社の御神楽ハンマーだぁー!!』

 

「バロロロォッ!?」

 

 すねを殴られたバロッサ星人がたまらず飛び上がり、ゼットから離れた。

 

「ジュアッ……!」

 

 窮地から助けられたゼットだが、カラータイマーが点滅している。もう残り時間が少ない。

 そこにさくらが駆けつけ、持ってきたメダルをゼットに向かって投げ飛ばす!

 

〈さくら〉「ゼットさん! これを使ってぇぇ―――っ!」

 

 バロッサ星人がゼットにとどめを刺そうとサーベルを振りかざすが、それより早く、ゼットがメダルをキャッチした!

 

〈神山〉『「これは……!」』

 

〈ゼット〉『ウルトラの星のレジェンドの力が込められたメダルだ!』

 

 新しいメダルは、ジャック、ゾフィー、ウルトラの父のものだ。

 

〈ゼット〉『斬撃を強化する力がある! 行くぞ誠十郎ッ!』

 

〈神山〉『「ああ!!」』

 

 神山がゼットライザーに、新しい三枚のメダルをセットしてスキャンする。

 

[JACK! ZOFFY! FATHER OF ULTRA!]

 

〈神山〉『「おおおおおおッ!」』

 

 ゼットライザー刀の刀身が閃光を放ち、突き出されたサーベルを受け止めた。

 

「ジュアッ!」

 

 そしてそのまま破砕する!

 

「バロバロォォォォ!?」

 

 武装を破壊されたバロッサ星人が大きく狼狽。ゼットは更に刀を大きく円を描くように振るう。

 

〈神山・ゼット〉「『M78流・竜巻閃光斬!!」』

 

 遠心力を乗せて刀を突き出すと、刀身から竜巻が発生してバロッサ星人を呑み込む!

 

「バロォォォ―――――――――!?」

 

 竜巻に巻き込まれたバロッサ星人が空高くに打ち上げられていき、ゼットが刀を振り下ろして巨大光輪を飛ばす。

 

「シュアッ!」

 

 光輪は上空でバロッサ星人をズタズタに斬り裂いた!

 

「バロッ! バロバロバロバロッ! バロッサァァァァ――――――――――――!!」

 

 全身を斬られたバロッサ星人は、所持していた火薬類が引火したことで、すさまじい大爆発を起こす! 同時に激しい火花も散らして、空一面に花火が咲いたような光景となった。

 

〈さくら〉「わぁ~……!」

 

〈クラリス〉『綺麗です……!』

 

 予想外の打ち上げ花火にさくらたちが見とれる中、ゼットはその空に向かって飛び去っていった。

 

「シュウワッチ!」

 

 

 

 その後、神山たち花組は医務室のミースア、デュエスを見舞う。

 

〈さくら〉「ミースアさんもデュエスさんも、大丈夫ですか?」

 

〈デュエス〉「ああ。もう視力も戻った」

 

〈ミースア〉「ミースアも、修理完了ですよー!」

 

〈ナシルマ〉「二人もみんなも、大したことなくて良かったよ」

 

〈モフロ〉「うむ。死者が出なかったのが不幸中の幸いじゃ」

 

 安心して胸を撫でおろすナシルマとモフロ。花組もほっと安堵した。

 

〈神山〉「とんだ邪魔が入ってしまったが、これで三号機の建造も心置きなく続行できるな」

 

〈さくら〉「はい! 皆さんの無事が分かったところで、今回はここで勝利のポーズやりましょう!」

 

〈ナシルマ〉「おッ、いいねー! じゃあみんなで一緒にやろう!」

 

〈デュエス〉「いや、俺はそういうのは……」

 

〈初穂〉「ツレないこと言うんじゃねぇよー。ほら、入れ入れ!」

 

 花組、彗星組が肩を寄せ合って、ビシッとポーズを取った。

 

〈一同〉「勝利のポーズ、決めっ!!」

 

 華々しく勝利を飾った帝国華撃団だが、ここでふとアナスタシアが疑問を口にした。

 

〈アナスタシア〉「ところであの宇宙人、最期に何か言ってたみたいだったけど……あれは何と言ってたのかしら?」

 

 バロッサ星人の最期の言葉を、ナシルマが訳す。

 

〈ナシルマ〉「『俺の弟たちが、いつか復讐に来るからな』だって」

 

〈あざみ〉「復讐……」

 

〈初穂〉「へっ! 海賊なんかに負けるかよ! 纏めて掛かってこいってんだ!」

 

 初穂がすっかりいい気になって豪語したが、

 

〈デュエス〉「そんなこと、軽く言っちゃっていいのか?」

 

〈初穂〉「え?」

 

〈デュエス〉「バロッサ星人は一度に一万個も卵産むんだぞ」

 

 そのひと言にぶッ! と噴き出す神山たち。

 

〈神山〉「一万!?」

 

〈デュエス〉「つまり、弟たちってのは最大で……」

 

 万単位のバロッサ星人が帝都に攻めてくる様を想像し、花組はすっかり青ざめたのだった。

 

 

 

〈G〉「……帝国華撃団は、特空機三号の建造を再開したようだな」

 

 プレジデントGが、配下に様子を探らせた帝国華撃団の情報から、バロッサ星人を退けてキングジョーの改造を再開しているのを読み取った。

 

〈G〉「これでますます帝国華撃団の戦力が充実し、もっとでしゃばるようになったら、この十年間の工作が水泡に帰すかもしれん。ようやくここまで漕ぎつけたというのにな……」

 

 何かを目論んで一人思案するプレジデントGが、やがて結論を出した――。

 

〈G〉「この辺りで一つ、行動を起こすことにするか……」

 

 

 

(ED:桜夢見し)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『花組のウルトラナビ!』

 

神山「今回紹介するのは、ウルトラマンジャックだ!」

アナスタシア「ジャックは『帰ってきたウルトラマン』の主役戦士よ。番組名はこんなだけど、初代ウルトラマンとは完全に別人で、初代が再び主役になるという企画案の名残でこんなタイトルになったのよ」

アナスタシア「姿が初代とあまり違わないので客演での出番にはあまり恵まれないのだけれど、『オーブ』ではハリケーンスラッシュのカードの片割れで、ウルトラランスをモチーフとしたオーブスラッガーランスというアイテムが出るなど、大分スポットライトが当たったわ」

アナスタシア「『Z』ではゼットライザーを使った必殺技に使用するメダルの一枚ね。光輪は本編で実は一度しか使用していないけれど、ウルトラブレスレットのウルトラスパークは何度も活躍してジャックを助けたわ」

ゼット『そして今回の華撃団隊員はロベリア・カルリーニだ!』

アナスタシア「懲役千年を超える囚人で、減刑と賞与を条件に巴里華撃団に参加してるという異色の隊員よ。幼い時から迫害されてたために悪の道に走ってたけれど、本性では仲間想いという面もあるわ。歌劇では当然素性は明かせないから、サフィールという名前で舞台に参加していたの」

アナスタシア「それでは、次回でお会いしましょう」

 




 
いつき「遂に特空機三号の完成です! けれどそれも束の間、あざみちゃんにスパイ疑惑が!? あざみちゃんが降魔のスパイなんて、そんな訳ありませんよね、神山さん!」
「次回、『花組分裂!?偽りの忍者』。太正桜に浪漫のZ!」
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