ウルトラサクラ大戦Z   作:焼き鮭

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第二話「正体不明!透明怪獣現る」(A)

 

 ――ゲネガーグが青い巨人、ウルトラマンゼットによって撃破された後、人通りが戻った帝都の一角にて、ふらふらとおぼつかない足取りで道を行く一人の男がいた。

 

〈摩上〉「うぅ……」

 

 摩上沙太郎である。彼は頭を手で支えながら、思い切り顔をしかめていた。

 

〈摩上〉「何だったんだ、さっきのは……。変な虫みてぇのに飛びつかれて、ひっくり返って気絶して……けど身体はどこもおかしくねぇ。夢でも見てたのか……?」

 

 一人でブツブツ言いながら、頭を振って気を取り直す。

 

〈摩上〉「まぁいいや。今日はもう帰って、メシは適当に……」

 

『……郎……上沙太郎……』

 

〈摩上〉「……ん?」

 

 突然、どこからか声が聞こえて、はたと立ち止まった。周りに目を走らせるが、自分に向かって呼び掛けているような人影は見当たらない。

 

〈摩上〉「何だぁ? 空耳か……?」

 

『摩上沙太郎……俺は、お前の中から呼び掛けている……』

 

〈摩上〉「うわぁッ!?」

 

 “声”がはっきりと聞こえ、摩上はひっくり返りそうになるほど驚いた。

 それは確実に、己の内部から聞こえてきているのだ。

 

〈摩上〉「なッ、な、何だぁぁ!? お、俺、やっぱどっかおかしくなっちまったのか!? い、い、医者を……!!」

 

『落ち着け……』

 

 パニックになりかける摩上を、脳内に直接聞こえる声がなだめる。

 

『周りの人間どもがお前を見てるぞ……目立ちたくはないんだろう……?』

 

〈摩上〉「あッ……」

 

 指摘されて我に返り、道行く人々がこちらに奇異の目を向けているのに気づいて、慌てて平静を装った。

 

『そうだ、それでいい……。俺としても、今の段階で注目されるのは避けたい……』

 

〈摩上〉「お、お前、何なんだよ。一体何が起こってんだ……?」

 

『これから、その説明をしてやる……。とりあえず、どこか人目がないところに移動しろ……』

 

〈摩上〉「お、おう……」

 

 いきなり己の身に降りかかった事態に困惑しながらも、摩上は指示に従い、人の目を避けるようにして場所を移していった。

 

 

 

(OP:ご唱和ください 我の名を!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   第

  正 二

透 体 話

明 不

怪 明

獣 !

現

る

 

 

 

〈ミースア〉「は~い隊長さん、ここ座ってこれ被って下さいです~」

 

〈ナシルマ〉「じゃ、モニターに映すよ」

 

 大帝国劇場の司令室。帰投した花組はすぐにここに召集され、神山がモニター前の席でヘルメットのような装置を頭に被せられた。

 そして指令室のモニターに、ウルトラマンゼットの姿が大きく映し出される。メットを通して、神山と同化しているゼットの精神をモニター上に表示しているのだ。

 

〈初穂〉「うわっ出た! さっきの巨人だ!」

 

〈司馬〉「ほ、本当にこれが、誠十郎の中にいるってのか?」

 

 司馬の問いに、デュエスがおもむろにうなずく。

 

〈デュエス〉「ああそうだ。ウルトラマンには他人と一体化する超能力もある。要するに合体って訳だ」

 

〈クラリス〉「合体……!」

 

 クラリスがちょいちょいとデュエスの肘をつついて、耳打ちした。

 

〈クラリス〉「そのお話、後で詳しく聞かせて下さい」

 

〈デュエス〉「は? 何でだ?」

 

〈クラリス〉「いいから」

 

〈すみれ〉「ウルトラマンゼットとおっしゃったかしら。わたくしは神崎すみれと申します。そしてわたくしたちは、帝国華撃団という組織ですわ」

 

 帝国華撃団代表のすみれが、ゼットに自己紹介した。ゼットの方もお辞儀で返す。

 

〈ゼット〉『どうも。俺はウルトラマンゼット。光の国、M78星雲の宇宙警備隊のメンバーです』

 

〈デュエス〉「M78星雲のウルトラマンか」

 

〈ミースア〉「ゼットさんは、どうしてこの地球に来たですか~?」

 

 ミースアが質問すると、ゼットが順を追って話していく。

 

〈ゼット〉『デビルスプリンターというものを知ってるだろうか』

 

〈すみれ〉「デビルスプリンター……。忘れたくとも忘れられませんわ」

 

〈こまち〉「帝都にもそう呼ばれる隕石が落っこちてきて、えらい大変なことになったんや」

 

 劇場の売店担当兼、輸送空挺部隊・風組のメンバーの大葉こまちが説明した。

 

〈ゼット〉『デビルスプリンターは宇宙のあちこちにも飛散して、怪獣が凶暴化して暴れ回る事件が続いてる。正直、宇宙警備隊も手が足りてない状態だ』

 

 デュエスが神妙な顔でうなずく。

 

〈ゼット〉『その対応策に俺の先輩たちの力が込められたウルトラメダルが開発されてたんだが、さっきのゲネガーグが光の国を襲撃してきて、メダルやそれを使うアイテムを丸呑みして逃げ出したんだ。俺は師匠のウルトラマンゼロと一緒に追いかけたんだが、師匠は四次元空間に呑み込まれちまって……俺が一人で奴を追って、ここに来たって訳だ』

 

〈デュエス〉「そんなことになってたのか……」

 

〈アナスタシア〉「スケールの大きな話ね……」

 

 想像以上に規模の大きいゼットの事情に、帝国華撃団は息を呑んでいた。

 

〈あざみ〉「メダルといえば……さっきみんなで拾い集めた」

 

〈神山〉「ああ。それがウルトラメダルというものらしい」

 

 花組は帰投する前に、神山の要請で戦闘の跡地に散らばっていたメダルを手分けして集めていたのだった。

 

〈ゼット〉『だが、明らかに数が少なかった。どこか遠くに飛んでいってしまったものもあるはずだ。どうにか全部回収しないとな』

 

〈さくら〉「大丈夫です、ゼットさん!」

 

 さくらが意気込んで申し出た。

 

〈さくら〉「神山隊長のお命を救っていただいた恩もありますし、わたしたちが全面的に協力致します! 必ず、ゼットさんの探し物を全部見つけてあげますよ!」

 

〈ゼット〉『ありがとう。こちらからも、よろしくお頼み申す!』

 

 いきなりゼットの言葉遣いが古めかしくなったので、皆の頭上に?マークが浮かび上がった。

 

〈ゼット〉『……俺の言葉遣い、どこかおかしいところがあったんかいな?』

 

〈こまち〉「今まさにあるで」

 

〈神山〉「あー……ゼットは地球の言葉に慣れてないみたいなんだ」

 

 神山が苦笑いして弁明した。

 

〈デュエス〉「光の国で習得しなかったのかよ」

 

〈ゼット〉『まだ勉強途中だったんです。元々地球に来る予定じゃなかったし……』

 

〈ナシルマ〉「何だか頼りないなぁ。ゼットって何歳なの?」

 

〈ゼット〉『大体五千歳だけど……』

 

 ゼットの返答に、彗星組が驚く。

 

〈ナシルマ〉「わっか! そんなに若くて大丈夫なの?」

 

〈ゼット〉『確かに宇宙警備隊には入ったばかりだけど……』

 

〈デュエス〉「そんな若手が大事なアイテムの回収係なんて、人手不足ってのはマジみてぇだな」

 

〈ミースア〉「ゼットさん、地球のことで分かんないことがあったら、いつでも先輩のミースアを頼ってくれていいですよ~!」

 

〈ゼット〉『ど、どうもありがとうございます』

 

 宇宙人たちの会話に、地球人たちはどんな顔をすればいいのかに困る。

 

〈カオル〉「五千歳で若手とは……宇宙人の年齢感覚はどうなっているんでしょうか……」

 

〈司馬〉「逆に地球人が短命すぎるのか? 分かんねぇぜ……」

 

〈神山〉「ま、まぁともかく、新しい仲間が出来たのは喜ばしい。これからよろしくな、ゼット!」

 

〈ゼット〉『ああ!』

 

 神山とゼットが言葉を交わしていると、さくらが背後に気配を感じ取った。

 

「ほぉ、新人のウルトラマンか」

 

 振り向いたさくらの視界に飛び込んだのは、全身毛むくじゃらの怪人の顔!

 

〈さくら〉「きゃああああっ!?」

 

 思わず悲鳴を上げて椅子から転げ落ちたさくらだったが……すぐに起き上がってため息を吐いた。

 

〈さくら〉「何だ、モフじいさんでしたか……」

 

〈モフロ〉「すまんな。驚かせてしまったか」

 

 怪人の名は、ワイルド星人モフロ。彗星組の整備班長を務めている人物である。

 

〈初穂〉「さくら、いい加減慣れろよな、モフじいの顔に」

 

〈カオル〉「失礼ですよ、さくらさん」

 

〈さくら〉「す、すみません」

 

〈ナシルマ〉「モフじいも、僕みたいに地球人の姿を取ったらいいのに」

 

〈モフロ〉「はは、わしはもう老いぼれじゃて。今更着飾ろうなんて、恥ずかしいだけじゃ」

 

 杖を突いて歩くモフロに、ミースアが椅子を回して腰掛けさせてあげた。モフロの顔は、毛皮に覆われていて分かりづらいが、しわくちゃの老人のものだ。

 

〈デュエス〉「モフじい、今日は休めって言ったじゃねぇか。司令室に出てきちゃって」

 

〈モフロ〉「あれだけの大騒ぎ、すっかり遠のいたこの耳にも聞こえるて。せっかく新しい子が来たというのに、挨拶もなしでは寂しいからの」

 

 モフロがミースアに椅子ごと回されて、ゼットに向き直る。

 

〈モフロ〉「話は聞かせてもらったよ、ゼットくん。この歳になって、新しいウルトラ戦士と知り合うとは思わんかった。まぁこれからよろしく頼むぞい」

 

〈ゼット〉『こちらこそ、よろしくでございます』

 

〈モフロ〉「わはは、地球の言葉も覚えていくといい」

 

 次いで、神山たちの方に身体の向きを回してもらう。

 

〈モフロ〉「帝国華撃団の諸君も……わしの人生経験から言うと、今回のような事件は、もっと大きな事件の前触れになるものじゃ。きっとこれから、今まで以上に厳しい戦いが起こることじゃろう。しかし、こうして新しい仲間も出来たことじゃ。しかと己が務めを果たし、地球を守り抜きなさい。もちろんわしも、精いっぱいの後援をするよ」

 

〈神山〉「はい! ありがとうございます、モフじいさん」

 

 モフロからの激励に、花組がたたずまいを正した。

 ここでこまちが意見する。

 

〈こまち〉「ところで、ゼットさんのことはどう宣伝してく?」

 

〈ナシルマ〉「えッ、宣伝?」

 

〈こまち〉「あったり前やないの! せっかくすごい新ヒーローがウチに加わったんや。どんどん宣伝して、ジャリンジャリン儲けなな!」

 

 張り切るこまちだが、ゼット当人が待ったを掛けた。

 

〈ゼット〉『いえ、それは勘弁してくれ』

 

〈こまち〉「えっ!? 何でや!?」

 

〈ゼット〉『ウルトラマンは基本、他の星の文明には不干渉がルール。俺も、俺という存在が騒ぎを呼び込むことは望まない。だから皆さんとは無関係の宇宙人ということにして下さい』

 

〈デュエス〉「それがいいな。それにWLOFは宇宙人がお嫌いみてぇだ。神山がウルトラマンだなんて知られちゃ、どんなちょっかい出されるか分かったもんじゃねぇぞ」

 

 WLOFの名前が出されると、彗星組はそろって渋い表情になった。

 

〈すみれ〉「そうですわね……。では、ゼットさんのことは他言無用。絶対に外に漏らしてはいけませんわよ。皆さん、いいですわね?」

 

〈さくらたち〉「了解!」

 

 こまちも残念そうではあったが、すみれの決定には逆らえなかった。

 

〈すみれ〉「では神山くん、ゼットさんに我らが誇る大帝国劇場を案内してあげてちょうだい」

 

〈神山〉「分かりました」

 

 神山からヘルメットが外され、立ち上がったところで、デュエスが彼に呼び掛ける。

 

〈デュエス〉「そうだ。神山、ちょっとウルトラメダルを見せてくれ」

 

〈神山〉「え? これか?」

 

 腰のメダルホルダーから、ゼロメダルを出して手渡す神山。

 

〈デュエス〉「ふーん……」

 

 デュエスがメダルをしげしげと観察して、

 

〈デュエス〉「ちょっと借りるぞ」

 

〈神山〉「え? まぁいいけど……」

 

〈デュエス〉「ナシルマ、一緒に来い」

 

〈ナシルマ〉「何なに? いきなりどうしたの?」

 

〈デュエス〉「いいから来い。用事が出来た」

 

 ナシルマを連れて退室していくデュエス。神山らはその後ろ姿を、怪訝に見送った。

 

 

 

 夕刻の無人のミカサ記念公園まで来た摩上は、ベンチに腰を落ち着けて、頭の中に響く声の話を聞いた。

 

〈摩上〉「……つまり、お前は宇宙から、あの化け物鮫の体内に潜んで来たって訳か?」

 

『そういうことだ……。名乗り遅れたが、俺の名はロソス……寄生生物ロソスだ……』

 

 脳内の声は、そう名乗った。

 

〈摩上〉「寄生生物?」

 

〈ロソス〉『単体じゃあ何も出来ない身体だから、俺に近づいたお前の中に入り込んだという訳だ……。地球の言葉は、お前の脳の言語野から学習した……』

 

〈摩上〉「そ、そうか……。じゃあ、もう用はねぇんだったら、とっとと出てってくれよ……。俺の身体に害が出る前によ……」

 

〈ロソス〉『そう釣れないことを言うな……。害などないし、何より用ならまだある……』

 

〈摩上〉「俺に何の用だってんだ……?」

 

〈ロソス〉『心して聞け……。俺は力を得るために、光の国を襲撃し、ウルトラメダルとライザーを奪った……』

 

〈摩上〉「ライザー……これのことか?」

 

 摩上が取り出したのは、ロソスに寄生された際に拾おうとしたウルトラゼットライザーの同型機である。

 

〈ロソス〉『そうだ……。そいつは上手く使えば、俺にも力を与えてくれる……。ゲネガーグを使って奪い取ったまでは良かったんだがな……』

 

〈摩上〉「で……俺にどうしろってんだよ」

 

 問いかけると、ロソスがほくそ笑んだかのような気配を感じた。

 

〈ロソス〉『そいつの力の恩恵を……お前にも与えてやろうというんだ……』

 

〈摩上〉「お、俺にも……?」

 

〈ロソス〉『そいつには、人間の身体がないと使えないようにセーフティが掛かってやがる……。初めは、お前の身体を乗っ取っちまうつもりだったが……ふふふ……お前はなかなかねじ曲がった精神をしてるようだな……気に入ったぞ……』

 

 愉悦の感情をにじませて、ロソスが摩上に誘いを掛ける。

 

〈ロソス〉『俺にお前の力を貸せば、お前に人間を超えた力を与えてやろう……。俺と手を組もうぜぇ……?』

 

〈摩上〉「お前と……?」

 

〈ロソス〉『お前の記憶の一部を垣間見たが、コソコソ人の物を盗んでしのぎを削る、しみったれた生活をしてるようじゃないか……。俺と手を組むなら、もうそんな生活はおしまいにしてやる……。地球上の誰一人として、お前に逆らえないようにもなれる……! どうだ……?』

 

 誘惑するロソスだが、摩上も流石にすんなり受け入れたりしなかった。

 

〈摩上〉「いきなりんな壮大な話されてもな……。考える時間はくれねぇのか?」

 

〈ロソス〉『クク、なかなか慎重な奴だ……。じゃあ、まずはライザーを使って何が出来るのかを、試させてやろう……。返事はそれからでいい……』

 

〈摩上〉「このライザーってもんを使って?」

 

〈ロソス〉『ククク……その前に、必要なものがある……。準備のために、しばらく俺の言う通りに行動してもらおうか……』

 

〈摩上〉「何か奇妙なことになっちまったが……ホントにすげぇ力が手に入るんだろうな? まぁそこまで言うんだったら、見させてもらうぜ……」

 

 話を決めて、摩上がベンチから立ち上がった。

 

 

 

 帝都に脅威が訪れた時には、霊子兵装を纏って勇敢に戦う帝国華撃団だが、平時の際には、舞踏と演劇で観客を楽しませる“帝国歌劇団”として活動している。

 現在公演している演目は「ダナンの愛」。クラリスが脚本を手掛けたオリジナル作品で、完成度の高さから人気を博し、今は追加公演の最中であった。

 

〈神山〉「いらっしゃいませ! はい、どうぞ」

 

 大帝国劇場の入場口が開くと、入場客を歓迎してチケットを切るモギリの役を務めるのは神山だ。売店ではこまちが様々な商品を取り扱う。

 

〈こまち〉「らっしゃいらっしゃい! 新商品に話題の大巨人、ウルトラマンゼットのブロマイドを仕入れてるで!」

 

〈子供〉「お姉ちゃーん、セブンガー人形くださーい」

 

 セブンガーのブリキ人形は花組を差し置くレベルの人気で、連日即完売である。

 ホールではセブンガーの着ぐるみ(中身はミースア)が子供たちとの触れ合いをしている。

 

〈子供〉「わーい、セブンガー!」

 

 入場受付が済んだ神山は、賑わう劇場ホールを一望して満足げに微笑んだ。

 

〈神山〉「劇場の方も、すっかり客足が集まるようになったな。これもみんなの頑張りのお陰だ……」

 

 そんな彼の懐が軽く震える。小型蒸気情報端末スマァトロンに着信が入ったのだ。

 

〈神山〉「ん? ……ゼット?」

 

 電文の宛名は、ウルトラマンゼットになっていた。

 

『皆破道して嚥下肝やってるんですか』

 

〈神山〉(破道して嚥下肝? はどうしてえんげきも、皆はどうしてえんげきも……ああ、どうして演劇もやってるのかってことか……)

 

 変換ミスまみれで一瞬戸惑ったが、言いたいことを理解して回答する。

 

〈神山〉「降魔は地下の霊脈に滞留する邪気から生まれてくると言われてるんだ。それを歌と踊りで祓い、清めるのも華撃団の大事な役割なんだ。それに……ただ敵を倒すことだけが、帝都防衛じゃない。人に笑顔と感動、そして活気を与えるのも、人を護ることだと……俺はそう思う」

 

『なるほろ わかり真下』

 

 どこかの誰かのように、電文の扱いに慣れていない様子のゼットであった。

 

 

 

 数日後の深夜、帝都の市街地の路地裏に、摩上はロソスの命令で足を運んでいた。

 

〈摩上〉「今度は何させようってんだよ」

 

〈ロソス〉『フフ……準備は整った……。いよいよ本番に移ろうと思ってな……』

 

〈摩上〉「あッおい!?」

 

 ロソスが摩上の腕を動かし、ライザーと三枚のメダルを取り出させる。

 

〈摩上〉「このメダルは何だ?」

 

〈ロソス〉『デビルスプリンターを使って作り出した、いわば怪獣メダルだ……。ネロンガと、エレキング、そして三枚目は……』

 

 三枚目のメダルの絵柄は、摩上にも見覚えがある異形の横面だった。

 

〈摩上〉「こいつは……降魔か?」

 

〈ロソス〉『この地球の怪物の力も、なかなかに使えそうなんでな……。さぁ、それを使って、お前に力を与えよう……』

 

 ロソスがこれらのアイテムの使用方法を説明し出す。

 

〈ロソス〉『まずはライザーのトリガーを押して起動しろ……』

 

〈摩上〉「こうか……?」

 

 摩上がトリガーを押すと、彼の目の前に、禍々しい輝きのゲートが出現した。

 

〈摩上〉「うわッ!?」

 

〈ロソス〉『その中に入れ……』

 

〈摩上〉「だ、大丈夫なんだろうな?」

 

 おっかなびっくりと、摩上がゲートをくぐって亜空間の中に消えていく……。

 

 

 

[MAGAMI, Access Granted!]

[ELEKING! NERONGA! KAGIZUME!]

[PARASITE-LOSOS! I-SHIKI THUNDERKING!!]

 

 

 

 ――深夜の帝都の住宅街に、突如轟音が鳴り響いた。

 

〈帝都民〉「きゃあぁ――――――!?」

 

〈帝都民〉「うわあああぁぁぁ―――――!?」

 

 町の一区画の住人たちが、次々に外へ脱出していく。

 彼らの住宅が、突然、何の前触れもなく、“上から”崩壊していくからだ。

 

〈帝都民〉「ど、どうなってるんだ!? 地震でもないのに……嵐でもないのに……家が壊れてく!!」

 

 住宅が崩れ、避難を余儀なくされた住民たちはそろって混乱に陥っていた。

 彼らの見ている前で、家屋の破壊はどんどん連鎖し、また一軒と家が崩れ去っていく。

 

「キイイイイイイイイ! ゲエエゴオオオオオオウ!」

 

 崩壊した家屋の中心、“何もない場所”から、獣の咆哮のような不気味な音が月夜に響き渡った……。

 

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