あと、前回は咲夜視点だったのですが、今回からは主人公のシリウス視点です。
部屋で支度をして、朝食をするために食堂へと向かっていると
「シリウス、おはよう。」
さっき部屋を出て行ったソフィーアに出会った。
「おはよう。さっきは直ぐに出て行ってしまったけど、どうしたの?」
「!な、何でもないの。支度がまだ終わってなかっただけだから。」
「そう、ならいいけど。」
少し慌てているようだったから心配したけど、これなら大丈夫かな?
「これから食堂いくけど、一緒に行くだろう?」
「ええ、そうね。あ、そういえば寝付けなかったみたいだけど、体調大丈夫?ってあなたの能力じゃ、聞くまでもなかったわね。」
「心配してくれてありがとう。さすがにあれを使うまでもないよ。」
僕たち二人は魔法使いだ。もっともソフィーアは魔力量も多く、魔力のコントロールもうまく、様々な魔法を使える。しかし僕は癒すことと強化することしかできないし、魔力量はソフィーアよりも多いがすべてを使えるわけではない。この世の中では僕のような単一もしくは二つしか魔法の属性を持たないものをBS魔法使いという。BSとはBorn specializedの略称なのだが、それは名ばかりであり大抵は単一、多くても二つしか魔法が使えない落ちこぼれとされる。単一である分魔法の質では勝っていることが多く、職業とマッチすれば普通の魔法使いよりも収入は稼げるらしいのだが、やはり魔法使いの中では風当たりが強い傾向にある。私は王族の一員ということもあってかこの国ではそういう差別的な扱いは受けていないが、これから留学する日本ではどうなのだろう。と考えていると
「シリウス様、ソフィーア様、朝食の準備が整いました。」
咲夜が呼びに来てくれた。
「ありがとう、ちょうど今いってたところだったから。」
そうして食堂へと僕たちは向かっていった。
「おはようございます。お父様、お母様。それにガワハルドさん、サラさん。」
食堂では既に僕とソフィーアの両親が座っていた。私の両親はこのクリサリス皇国の女王であるルナアイズ・クリサリスと父親の神威切嗣だ。クリサリス皇国は古くから男女差別を嫌い、王になるのは女性でも男性でも国民思いで王として能力を持っているならよいという考えの元成りたっている。元々クリサリス王族だったお母様とガワハルドさんが主に二人でどっちが王になるか決めたらしいけど、どうして・・・
「シリウスちゃん、おはよー!!!」
こんなに息子にだだ甘で毎朝一回30秒は抱き着かないと満足しないお母様を女王にしたんだ・・・
「「シリウス(様)から離れてください!!!」」
と見事にシンクロしたソフィーアと咲夜二人の抗議の声が食堂に響いた。これもいつもの光景である。毎日抱き着いてるんだから、もうよくないか別にとか思っている。慣れるとは怖いものだと思っていると、
「むぎゅーーー」
あれ、三十秒過ぎてないか?だんだん息苦しくなってきたんだけど。
ちなみに僕は身長140cmくらい(25歳でこの身長は非常にコンプレックスである。)でお母様は170cmくらいあるのだから、二つのメロンに挟まれているわけであって、別にそれで今更興奮したりはしない。だが息苦しいくこのままでは窒息死まっしぐらである。こうなったら、
「すこやかなれ」
この技は対象の傷を癒すというよりも血行のような体内状態を改善させる技である。これで息苦しさはなくなったから大丈夫。
「その辺にしておいた方がいいんじゃなかな、ルナアイズ。いくら留学して会えなくなるからって長すぎると思うよ。シリウスはもう能力まで使って相当息苦しそうだけど。」
「そうなの?ごめんね、シリウスちゃん。シリウスニウムを補充しないといけなくて。」
「うぱあ、やっと解放された。ありがとうお父様。」
あとお母様、シリウスニウムとは一体何なのですかと思っていると、あからさまに安堵しているソフィーアにガワハルドさんが近づいて行って
「ソフィーア、私もソフィーアニウムを、ぐはぁぁぁ。」
抱き着こうとして、ソフィーアの魔力で強化済みの鉄拳に吹き飛ばされた。前言撤回、どっちが国王でも変わらなかった。まあ、ガワハルドさんがこんなことをするのは珍しいけど。
「パパ、何をするのよ」
とソフィーアが抗議していると
「パパ、もしかして浮気なうですかぁぁ。今から留学する娘の大切さを思い出して娘に飛び掛かるなんて、ふふふ(笑)」
般若が出現した。サラさん普段は柔らかな印象のひとでソフィーアと同じですごく優しい人なんだけどな、怒ると怖い。
「ママ、違うんだ。これは浮気じゃない。親子のスキンシップなんだぁぁぁぁ。」
本日二度目鉄拳炸裂。大丈夫かなガワハルドさん。
こうして親子の朝は始まったのだった
まさかの主人公能力初使用が母親の胸の中という(笑)
あと、この主人公実は25歳なんです。しかし、高校生として留学します。
これはどういうことなのか、皆さんの想像の翼を広げていただけると幸いです。