一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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病んでみる*ミロカロス


貴方が居ないと生きていけません

シンヤに怒られた。

ミミロップが俺様を邪魔扱いしたから俺様も言い返して喧嘩になった。いつもシンヤは怒るけど今日はめちゃくちゃいつもより怒った。

俺様の腕を掴んだシンヤは無言で俺様を玄関の外に放り投げた…。シンヤは何も言わなかった…。ドアを閉める時にシンヤと目が合ったけどシンヤは俺様のことを凄く睨んでた。

でも、ミミロップは追い出さなかった。

何で俺様だけ外に出したのシンヤ…。やっぱりミミロップの言ってた通り、俺様は"邪魔"なのかな…。

 

「ふ、ぅうぇえ、うぁああああああ!!!」

 

シンヤ!

いっぱい謝るから許して!!!

玄関の扉は鍵がかかってて開かない!どうしよう!もう家に入れてもらない!どうしよう!

泣きながらドアを叩いたけどシンヤは開けてくれない!

ガリガリガリガリ…ッ、ガリガリガリガリ…ガッ、ガリガリガリガリ…ガリガリガリガリガリガリッガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ…ッ

開かない、開かないよ!

開けてよシンヤ!!開けて!ごめんなさいシンヤ!!開けて!!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!

一人にしないで、俺様も頑張るから、良い子にするから、お願いシンヤ、もう邪魔しないから、シンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤシンヤ!!

 

「うああああああああああ!!!シンヤー!!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!お願い許してシンヤ!!開けて!!もう邪魔しないから!!シンヤ!!ヤダよ!!シンヤ!!!」

 

捨 テ ら レ ル !!

置いて行かないで、嫌だまたひとりぼっち、嫌だ、置いて行かないでシンヤ…!

シンヤは捨てるって言ったら本当に捨てる!!またテンガン山に置いて行かれる!!嫌だ、シンヤ!!ごめんなさい、良い子にするから捨てないで!!お願いシンヤ!!

ガリガリガリガリ…ッ、ガリガリガリ…、ガリガリガリガリ…ガリガリガリッガリガリガリッガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ…ガガガガガッ…

 

「さっきからうるさい!!」

「ぅ、くっ…シンヤ…!!シンヤーッ!!」

「痛ッ!!」

 

勢いよく扉を開けたシンヤに飛びついたミロカロス。私はまだ怒ってるんだぞ!!、と怒鳴りシンヤはミロカロスを引っぺがし地面に乱雑に放り投げた。

べしゃりとシンヤの足元に倒れ込んだミロカロスが謝りながら手の甲で目元を拭った、その手は真っ赤…。

 

「…ッ!?!?な、なんだその手!!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

「分かった!分かったから!!」

 

泣きながら謝るミロカロスの手を掴めば、手の爪が欠けて剥がれての酷い怪我。

なんで!?あの短時間の間に何があった!?と慌てたシンヤは怪我の原因を探して辺りを見渡す。

 

「なにやったんだお前!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

「それはもう分かった!!」

 

早く手当てをしないと、そう思ってミロカロスを抱き上げてシンヤが玄関の扉に手をかける。

木で出来た扉には無数の爪跡と血……。

 

「こ、これか…!!!」

 

そういえばガリガリと音がしてた!!

謝るばかりで特に痛いだのと喚かない所を見ると混乱していて痛覚が無いらしいミロカロスをチラリと確認してから顔を歪めて出そうになる溜息は飲み込んだ。

ダメだ、放って置くとコイツ死ぬ…!

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

「分かった分かった…、もう怒ってないから…」

「俺様の、ことッ…捨て、ない、でッ…!」

「ああ、捨てないから大丈夫だ。大丈夫」

 

出来るだけ声色を優しくして、背をぽんぽんと叩きつつ優しくミロカロスの頭を撫でる。

嗚咽を漏らしながらも安心したのか少しずつ落ち着いて来たミロカロスを見てシンヤはほっと息を吐いた。

抱き上げたまま暫くそうしているとミロカロスは泣き疲れたのか寝息を立てて眠ってしまった。

赤ん坊かコイツは!と思いながらも不満を飲み込んでシンヤはリビングへと戻る。

ミロカロスとは違い罰として仕事を山ほど押し付けられたミミロップが抱きかかえられて戻って来たミロカロスを見て眉を寄せた。

 

「何ソイツー…寝てんの?」

 

腹は立っているが配慮として小さな声で喋るミミロップにシンヤは黙ったまま頷き返す。

ソファに寝かせてミロカロスの両手を掴んだシンヤはここで飲み込んでいた溜息を一気に吐き出した。

 

「なにそれ、えぐい…」

「玄関の扉がホラーみたいになってるぞ」

「ぅげー…」

 

疲れ切ったように溜息を吐いたシンヤは何度も溜息を零しながらもミロカロスの両手を治療した。

指に刺さる木片をとり、欠けた爪を丸く削り、指一本一本を丁寧に…。

 

「シンヤ、ソイツもポケモンだからほっといても治るって」

「でも、目を覚ました時に指が血まみれだと驚くだろ…」

「もー…(なんだかんだで甘いなー…)」

 

 

貴女が居ないときていけません

 

 

その後、

出掛けていた連中が帰宅して早々に誰もが悲鳴をあげた。

大慌てで自分の主人であるシンヤの安否を確かめる為に家に駆け込めばシンヤの背中にべったりとくっ付くミロカロス。

 

「何も言うな!!」

 

シンヤがそう言うのでみんな何も言えない。

 

*

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