一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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怒る*サマヨール


お慕い申しておりますので

「落ち着いて下さい、二人ともー!!」

 

ポケモンの姿のミロカロスとミミロップに大声で呼びかけるトゲキッス。

今日も今日とて喧嘩が勃発してしまったらしい。

 

「ミロォオオ!!」

「ミミィイイ!!」

 

リビングの中央を陣取って睨み合う二人。

部屋の隅に追いやられたエーフィは大きな溜息を吐いた。

こそこそとリビングを出て行ったチルタリスは慌てて主人であるシンヤの部屋へと走って行く。

一色触発……。

いまにもハイドロポンプを放ちそうなミロカロスにいまにも十万ボルトを放とうとするミミロップ。

自室にこもって仕事をしていたシンヤとそれの手伝いをしていたサマヨールがチルタリスに呼ばれてリビングへと入って来る。

荒れるリビング……。

窓ガラスは無残に割れているし……。

いまにも攻撃をしようと睨み合うポケモン二匹……。

 

「…何してるんだ!!この馬鹿二匹!!!」

 

シンヤが怒鳴りながら二人の間に割って入ったのと同時にミロカロスのハイドロポンプとミミロップの十万ボルトが放たれた。

 

「ミロ!?」

「ミミィ!?」

「…なッ!?」

 

ハイドロポンプと十万ボルトがシンヤ目掛けて放たれた。

攻撃をしてからシンヤの存在に気付いたミロカロスとミミロップが声を上げたがすでに遅い。

危機を察知したシンヤは側転で攻撃を避ける。

 

「…ッ!!」

 

シンヤの避けた攻撃はミロカロス、ミミロップへと当たった。

十万ボルトで麻痺するミロカロスに壁に叩きつけられて目を回すミミロップ。

 

「ミロォ~…!」

「ミ、ミィ……」

「…ッ…、ッ危うく、死ぬ所だ!!」

 

びっくりした!!本気で死ぬかと思った!!と叫びながら心臓を押さえてしゃがみ込むシンヤ。

その光景を見ていたトゲキッス達は絶句……。

 

「…ッ、今、本当に当たるかと思いました…!!」

「シンヤさんが当たったら本当に死んでましたよ…!」

「こぉぉえぇぇええ!!!マジびびったぁあ!!オレ、心臓止まるかと思った!!」

「ご主人様ぁあああ!!!」

 

その場に座り込んだシンヤにチルタリスとトゲキッスが駆け寄った。

パチパチと拍手をしたサーナイトは目を輝かせて「シンヤ、カッコイイですわー!!」とキャーキャーと声をあげている。

 

「私は今、自分の反射神経の良さを褒めてやりたい…」

「良かったー!!シンヤ、無事で良かったですー!!」

「ご主人様ぁ…!!」

 

激しい動悸がするらしいシンヤは胸を押さえながら深呼吸をする。

麻痺しているミロカロスが泣きながら人の姿に戻りフラフラと覚束ない足取りでシンヤへと近寄る。

 

「シンヤー…!!」

 

そのミロカロスの肩をサマヨールが掴んだ。

ミロカロスの肩を掴んだサマヨールはその場にミロカロスを座らせて、目を回すミミロップのお腹を踏んで起こす。

 

「ぎゃふっ!!!」

 

起きたミミロップを引き摺ってミロカロスの隣に座らせてサマヨールは二人を睨み見下ろした。

 

「……ぇと」

「…ッ、なんで腹踏むんだよぉ…体中イテェのに…」

「お前達が悪い、主に土下座して謝罪しろ…!!」

「「……」」

 

め、めっちゃ怒ってる…!!

サマヨールの赤い目がギラリと二人を睨む。

いつも優しげな声が刺々しい…、サマヨールに睨まれたミロカロスとミミロップはシンヤの方を向き正座をする。

 

「「ごめんなさいっ!!」」

「お前達が喧嘩をするのは勝手だがな…、主の命を脅かすような真似をすれば許さない…」

「「すみませんでしたッ!!」」

「もっと床に頭を付けて謝れ…!」

 

二人の頭を押さえつけたサマヨール。

ガン、と床に頭を打ち付ける音が聞こえたがサマヨールは気にしない。

 

「「ごめんなさい~!!!」」

「わ、分かった!もう良い!!放してやれサマヨール!!」

「これぐらいで良いのか…?この際、もう二度と喧嘩出来ないくらい痛めつけて置いても自分は構わないと思うが…」

「「…ッ!?!?」」

 

ゴーストタイプ、こぉぉわぁあああい!!!

口元を手で押さえたブラッキーがエーフィに視線をやる、エーフィはブラッキーの言わんとする事が分かったのか強張った表情のまま頷いた。

パチパチと拍手をするサーナイトが目を輝かせながら「サマヨールさん、素敵ですわー!」と声をあげる。

 

「うぇええ、ごめんなさい…!もうしません!!シンヤ、ごめんなさい!」

「ごめんなさーい!!ワタシが悪かったからー!!許してー!!」

 

二人の頭から手を離したサマヨール。

解放された二人はすぐにシンヤへと飛び付いた。

 

「今度、家の中で喧嘩したらサマヨールにお前達を任せる事にしようか」

「主がそう言うなら自分がキツく仕置きしよう…」

「「もうしません~…!!!」」

 

やれやれと溜息を吐いたサマヨールを見てトゲキッスとチルタリスは顔を真っ蒼にさせる。

泣くミロカロスとミミロップの頭を撫でながらシンヤは心の中で密かに「サマヨールは怒らせないようにしよう…」と思った。

 

「オレ、ゴーストタイプこわい…」

「奇遇ですね私も同じことを思いましたよ…」

「カッコイイですわー!!男らしいですわー、頼もしいですわー!!」

 

自分の事じゃ怒ったりしないサマヨール。

主であるシンヤの危機が絡むとさすがに怒ります。

 

 

…… お慕い申しておりますので ……

 

 

「サマヨールさん、ちなみにお仕置きってどんな事をするんですの?」

「…どんな事と言われると…、とりあえず両手両足の爪を剥いでだな…」

「まぁ!!」

 

ガクガクと震えるミロカロスとミミロップの耳をエーフィとブラッキーが慌てて塞いだ。

誰かオレの耳も塞いでぇええ!!とブラッキーが悲鳴を上げた所でやっとシンヤがサマヨールの口を塞ぎに飛びついた。

 

「それは拷問だ…!!」

「…もご、?」

「チルタリスが気絶したぞ…」

「…、む。すまん…?」

 

*

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