一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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恋しちゃった*ヤマト


恋ってしょっぱい。

胸がドキドキする…!!

立ち寄ったポケモンセンターで出会った、笑顔が可愛らしい彼女に僕は恋をしてしまったかもしれない。

名前は聞けてない、っていうかドキドキして会話らしい会話も出来ない。

でも、ポケモンセンターで出会った彼女は「ヤマトさん、こんにちは」と挨拶をしてくれた。僕のことを知ってくれてるらしい、それなりに有名な仕事をしていて良かったと本当に思った。

 

「助けてドクター…」

「ポケモン専門だ」

「恋煩いって完全に病気だよね…」

「不治の病だな」

「はぁー…」

 

大きな溜息を吐けばシンヤは迷惑そうに僕を睨んだ。

幼馴染であり親友の悩みくらい親身になって聞いてくれれば良いのに!

 

「話くらい聞いてよドクター」

「ポケモン専門だ」

「ポケモンセンターで出会った子なんだけどさー…」

「聞くなんて言ってないのに…」

「ほら、シンヤはポケモンセンターよく行くでしょ?」

「あんまり」

「でも、顔見知り多いじゃん!!」

「同じ顔ばっかりだ」

「桃色の髪の毛でね、笑顔がすっごい可愛いんだよ!!そんでもってね、若い女の子にこの例えはどうかと思うけど優しいお母さんみたいな雰囲気があってさー」

「ジョーイか?」

「違うよ!ジョーイさんだったらジョーイさんって言うから!!」

 

知らねぇよ、とでも言いたげに眉を寄せたシンヤ。

でも確かにシンヤがポケモンセンターに来る人をみんな知ってるわけじゃないもんね…。シンヤを知ってる人は多いけど…。

 

「ジョーイさんじゃないけど、ジョーイさんと親しげに会話してたし。ナースキャップ被ってジョーイさんのお手伝いしてたんだよ…」

「なら手伝いに来てる人かなんかだろ、近所に住んでるんじゃないのか」

「シンヤ、今暇だよね?一緒に来てよ。僕、緊張して声掛けられないからさ…」

「うるさい、帰れヘタレ」

「ヘタレ!?そんな言葉何処で覚えたの!?」

「テレビ」

「悪影響!!」

 

今、読書に忙しい。と吐き捨てたシンヤの腕を掴んで無理やり立たせる。

ジョーイさんと親しいシンヤならそれとなく「そっちの彼女は?」なんて言って聞きだせるんだもん!!協力してもらうしかない!!

 

「はい、カバン持って!!」

「なんで私が…」

「行くぞー!!」

「一人で行けば良いのに…」

 

*

 

ポケモンセンターに着いて入口の影から室内の様子を窺う。

 

「変質者みたいだからやめろ」

「しーッ!!」

「先に入るからな」

 

え、と声を漏らしたところでシンヤはさっさとポケモンセンターへと入って行ってしまう。

そのシンヤを僕は慌てて追いかけた。

ポケモンセンターに入ればシンヤの目の前に"あの子"が居て思わずその場で立ち止まる。

 

「こんにちは、シンヤさん」

「ジョーイは居るか?」

「はい、奥に居ますよ。呼んで来ますね」

「ん、頼む」

 

ジョーイさんを呼びに行った彼女の背を見送ってからシンヤに駆け寄った。

 

「シンヤ…!!」

「お前の言ってた女をジョーイに直接聞けば良いんだろ?」

「いいいいい、今の子…!!」

「…は?」

 

キョトンとした表情のシンヤ。なんかちょっと珍しい表情…。

シンヤが眉間に皺を寄せたところでジョーイさんがシンヤに声を掛けた。

 

「シンヤさん、こんにちは。今日はどうかしたんですか?」

「いや、聞こうと思ってた事が解決したからもういい」

「え?」

「ラッキー貸してくれ」

「構いませんけど…」

 

首を傾げたジョーイさんが僕達に背を向けて歩いて行く。

僕の方を振り返ったシンヤはニヤリと笑った、そしてこちらに向かって歩いて来た"あの子"…。

 

「シンヤさん、ご用件はなんですか?」

「お前の名前をコイツに教えてやってくれ」

「ヤマトさんに私の名前ですか?えーっと…、ラッキーですけど…」

「ぅえ!?」

「解決して良かったな、ヤマト。ジョーイの助手のラッキーだ」

「ちょちょちょちょ、ちょっと待ってぇえええ!?!?」

 

ハハハハ、とシンヤが笑った。

首を傾げる彼女はやっぱり可愛い…、けど、ラッキー!?え、ちょ、嘘だよね、え、ラッキー?え、ジョーイさんのラッキーも人の姿になるの…!?え、え…え!?

ラッキーは好きだよ!!僕、ポケモン大好きだし!!でも、ラッキー…って…。

 

「…あの、どうしたんですか?」

「ほっとけ」

「チクショー!!ラッキー可愛いよ!!ラッキー!!!」

「ありがとうございます…?」

「馬鹿だな」

 

僕の恋はあっけなく終わった。

ポケモンは大好きだけどポケモンに恋をするなんて事はしない、もう二度としない…。

そして僕の恋が終わってから一週間後、また僕は出会ってしまった。

バッタリと、

シンヤの家の前で出会った彼女…。

儚げな雰囲気を纏った彼女は僕と目が合うと「こんにちは…」と頬笑み僕に挨拶をしてくれた。

 

「運命的…!!」

「…?」

「ああああの、シンヤの知り合いですか…?」

 

頷いた彼女に「僕、シンヤの幼馴染のヤマトって言います!」と言えば「知ってる…」と返された。

シンヤ!!僕のことを話してくれてたんだね…!!

感動しているとシンヤが玄関の扉を開けた。

 

「…玄関の前で何やってるんだお前達」

「シンヤ…!」

「こんにちは…、シンヤ」

「なんだまた遊びに来たのか?」

「うん…」

 

入って良いぞ、とシンヤに言われて彼女は嬉しそうに笑って家の中へと入って行く・

 

「シンヤ、今の子めっちゃ可愛い!!」

「可愛いよな、私もそう思う」

「紹介して!!今度こそちゃんとした運命的な出会いだよ…!!」

「…アイツ、オスだぞ」

「え、男の子…!?え、いや、その前にオスって…?」

「ポケモン」

「ちょっと待ってぇえええええ!!!?」

 

 

【恋ってしょっぱい。】

 

 

「あは、ははは…、ちなみに何のポケモンなんでしょうか…」

「スイクン」

「ぶっ!!!!ちょ、待ッ、お邪魔します!!握手して下さぁああい!!スイクンさぁああん!!」

「オイ!!靴を脱げ!!」

「生スイクン!!生スイクン!!!」

「お前の次の言動次第ではジュンサーさんを呼ぶからな」

「えぇっ!?」

「(ヤマト、久しぶりだ…)」

 

*

 

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