「…(じー)」
「…」
「…(じー)」
「…」
「…(じー)」
「…なんだ…」
見つめること1時間。
無視を決め込んでいたらしいシンヤがワタクシの方へと視線を向けた。
眉を寄せ、目を細めながら嫌そうにこちらを見たシンヤ。
ワタクシの口から思わず舌打ちが漏れる。
「チッ」
「な、なんなんだ…!!」
「なんだかんだと聞かれたなら答えてあげますわ!!」
「(何処かで聞いたようなセリフだな…)」
「肌質がムカつきますの」
「(えぇー…)」
「なんですの!!そのツヤツヤ!!キメの細かさに思わず嫉妬ですわ!!毛穴はど・こ・に!!あるんですの!!」
「痛い痛い痛い!!掴むな!!痛い!!」
嫌がるシンヤの顔を掴んでこちらへと無理やり向かせる。
グキ、と若干痛い音がしたのは気にしませんわ。
こうして触ると更にムカつきますわ…、ツヤツヤスベスベ…。睡眠不足に不規則な食事で絶対に不健康なはずなのに…!!
「男の人の肌ってわりと荒れ難かったりするのかしら…」
「…いや、お前もおと…」
「憎らしいですわ!!」
「うぐっ!!」
ぐい、と無理やり上を向かせればシンヤが苦しげな声を漏らした。
シンヤが手をばたつかせているのを避けていると不意に視界に入ったソレ…。
「あらー…」
「なん、だっ!!放せ!!」
「シンヤもやっぱり人間なんですのね」
「あぁ!?」
「今のもの凄いガラの悪い感じの声でしたわよ…」
「手を放せ…!」
シンヤの顔から手を放せば、はあ…とシンヤは大きく息を吐いた。
首を擦るシンヤにそーっと手を伸ばして、見つけたソレに触れてみる。
「…!」
「ここ
「…なんだ」
「ホクロがありますの」
耳と髪の毛で隠れているホクロ。
シンヤにホクロがあることに少し驚きですわ。
「ホクロなんてその辺にもあるだろ」
「他にもありますの?」
「あるに決まってるだろ、手首のところにもあるぞ」
ほら、と左手の掌をこちらに向けたシンヤの手首には確かに小さなホクロがあった。
腕の関節のところにもある、と右腕の袖を捲ったシンヤ。本当にわりと結構あるんですのね。
「へその横とわき腹にもあったな」
「…へー」
「…」
頷けばシンヤはそのままテーブルに置いたままの書類へと視線を戻した。
思わず声が漏れる。
「え?」
「…?なんだ?」
「見せてくれないんですの?」
「は?」
てっきり腕やらと同じように見せてくれると思って待っていたのに。
おへその横とわき腹、と言えばシンヤは嫌そうに顔を歪めた。
「そんな所、別に見なくて良いだろ…」
「見せてくれたって良いじゃないですの!!」
シンヤの服を捲ると「ぎゃー」とシンヤの口から珍しい声が漏れた。
その声を聞き付けてなのか、ミミロップさんが何とも表現し難い表情でワタクシたちを見ていた。
「なにやってんの…」
「シンヤのホクロを探してるんですの」
「はぁ…?シンヤってホクロあんの?」
「あるに決まってるだろうが!!」
お前たち私をなんだと思ってるんだ!!と怒鳴るシンヤの服を更に捲りあげるとシンヤは逃げようと椅子から立ち上がった。
逃すか、と足を引っかければシンヤは床に転ぶ。ちゃーんす、ですわ!!
「あ、本当にわき腹にホクロ発見ですわ!!」
「マジでホクロあるし…」
「おへそも見たいですわ」
うつ伏せに倒れるシンヤに「仰向けになって」と言えば拒否されてしまう。
仕方がないのでそのまま背中を見てやろうと更に服を捲った。シンヤが「ぎゃー!」とまた悲鳴をあげた。
「腰のところにもありますわ!」
「ここ、肩のとこにもあるじゃん」
ミミロップさんがシンヤの服の襟首を引っ張ってそう言ったので服の中を覗き込めば確かに肩のところにもホクロを発見。
わりと探せばあるもんですのね。普段、長袖をよく着ている人だから気付きませんでしたわ。
「足とかにもあるかもしれませんわね」
「足の裏にあったらヤバイな」
「ワタクシ、お尻にあったら可愛いと思いますの」
「やめろっ!!放せ!!離れろ!!」
「ちょっと見るだけですわ」
「やーめーろー!!!」
Curiosity killed the cat.
(好奇心 は 猫をも 殺す)
ゴンゴン、と音が二回。
一回は見事にワタクシの脳天に落ちましたわ…クラクラする…!!
「いい加減にしろっ!!!」
「ごめん…」
「反省しますわ…」
クラクラする視界には確かに顔を赤くしたシンヤが見えて、反省すると言ったもののニヤニヤ笑ってしまったのは仕方ないことですわね。
「サーナイト!!!」
「いや~ん♪」
ワタクシのご主人様には可愛らしいところもありますのよ?
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