書庫から部屋へと移動する途中、ふと足元を見た時に包帯があった。
塊でとかではなく、廊下を真っ直ぐ白い包帯が線を引くように放置されている。
何があった!!
ここがスタートだと言わんばかりに包帯は私の足元から白い線を引き続いている。
辿るしかないだろう。
足元の包帯を拾ってクルクルと手の中で巻いていく。
廊下を難なく通り過ぎる。
リビングに続く包帯はどうやら庭へと出て行ったようだ、リビングを通り抜けて庭へと出る。包帯は更に家の外にまで続いていた。
本当に何があった…。
クルクルと包帯を巻きながら敷地の外へと出る。森の中へと進む包帯をクルクルと巻きながら進んで行く。
これは随分と歩かされてる気がする、というか包帯をこんなに無駄にしてどういうつもりなのか…。
ドンドンと薄暗くなっていく森の中を歩いていけばその先に見知った姿があった。
サマヨールが木の陰で寝てる。
いつも巻いている包帯は付けていないところを見ると、この包帯はサマヨールのものだろう。
「サマヨール」
揺すってみたが起きない。
仕方がないのでカゴの実を口に押し込んでみる。(ポケットに木の実を入れる25歳)
「ん……、主…?」
「こら。昼寝は別に良いが、包帯で遊ぶんじゃない」
「…包帯?」
私の手にある包帯を見てサマヨールが目を細める。
覚えがないらしい、そのまま自分の手や顔を触って更に分からないと言わんばかりに首を傾げた。
「こんな所で何をしてるんだ?」
「今日は…ゴーストタイプの祭りがある…」
「ほお」
サマヨールが指差した先には地面の上に点々と小さな水溜りが森の奥へと続いている。
「なんの祭りだ?」
「縁起の良い祭りでは…ない…」
少し口籠るサマヨールを見て、これ以上は聞かないでおこうと口を閉ざした。
ぼんやりと火の玉が辺りに灯る、鬼火だと思われるそれを眺めているとゾロゾロとゴーストタイプが遠くから行列をつくりやって来た。
百鬼夜行みたいだと思いながらゴーストタイプが通り過ぎる様を眺めていると。
手に持っていた包帯がクッと引っ張られた。
視線をやれば包帯の端を持ったゲンガーがキシシと笑っている…、そのゲンガーを見てサマヨールが「お前…ッ」と少し声を荒げた。
「ゲーンゲーン!!」
「こっちこっち?なんなんだ?」
「主…構わなくて良い…」
「ゲーンガー!!!」
「めちゃくちゃ呼んでるんだが…。あと、手元から包帯がドンドン無くなってる。持って行かれるぞ?」
「くれてやれば良い…」
動こうとしないサマヨール。
せっかく巻いた包帯がシュルシュルと音を立ててまた白い線を引きながら遠退いていく。ゲンガーのやつが端っこを持っていったもんだから…。あーあー…。
包帯が視界から消える、それでもゴーストタイプの行進は終わらない。
手を振るジュペッタに手を振り返しておどろおどろしい光景を眺めた。
一番最後、ムウマージがパチンとウインクしたのを見てゴーストタイプの行進が終わった。
ゴースだけで何匹くらい居たんだろうな…、数えれば良かったと思いつつぼんやりとムウマージの背を見送った。
「なんだったんだ?」
「…主は…野生ポケモンにも好かれて困る…」
「ん?」
「ゴーストタイプについて行っては駄目だぞ…主…」
「子供じゃないんだからついて行かないだろ」
「ゲンガーを追おうと思った…」
「…んん、まあ…思わなかったこともない…」
否定出来ない、と思いつつ頷く。
サマヨールがすっと手を出したかと思うと私の左手を握った。
「帰ろう…」
「それは良いが…なんで手…」
「主…この森に、こんな薄暗い場所は存在していない…」
「……」
「パレードだけ…見に来ようと思い立って良かった…」
ほ、と息を吐いたサマヨール。
待て……、私、危険だったのか…?
「ゴーストタイプを…侮ってはいけないぞ、主…」
「肝に銘じておく…」
薄暗い森をサマヨールに手を引かれながら歩く。
途中、なんとなく聞いてみた。
「なんで包帯、盗られたんだ?」
「催眠術を掛けられたみたいだ…」
「なんでだ」
「私が主の…ポケモンだからだろう…」
「……」
サマヨールは私のポケモン
↓
自分のポケモンの私物だと思われる包帯発見
↓
辿る
↓
サマヨール寝てる
↓
眠らせたゲンガー登場
↓
私、ゲンガーに呼ばれてついて行く
↓
ど、どうなる……?
「ポケットに木の実入れてて良かった!!」
「…まあ、そうだな…」
頷くサマヨールを見て、少し野生ポケモンに対して警戒心を持とうと思った。
『 貴 方 ガ 欲 シ イ … 』
「シンヤー、聞いて聞いてー」
「ブラッキー、お前また夜遊びしてたのか…」
「今日、祭りあったんだって!!」
「……」
「一番綺麗な魂集めるの誰かーって祭りでさぁ、魂いっぱいあって面白かった」
「………」
「来年はシンヤも一緒に見に行く?」
お断りします。
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