一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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眠れなかった私は日が昇ったのと同時に荷物を握り締めた。

そして、玄関の扉を開けると待っていたのか家の前に立つギラティナとミュウツーの姿。

 

「ギラティナ…、ミュウツー…」

「全て見てしまえる自分の能力が悲しい」

「腹を抱えて笑ったのなんて初めてだ」

 

コイツ…、とギラティナと揃ってミュウツーを睨み付ける。

 

「二人で見てたのか?」

「見てた」

「いや、だってほら、シンヤ達が出て行ったのオレは分かっちゃうし…」

 

出て行ったの?

昨日の夜中の話じゃないのか?

 

「ツキの奴いつ帰るのかなぁ、って思って目で追っちゃうじゃん?」

「見てたってそっちか!」

「最初から面白かったが、途中から手を繋いで本気でハシャぎだした辺りから腹が痛くて堪らなかった」

「な、なんの話だ?」

「ヤマトに女のエスコートの仕方を教えるってのが始まりだった、よな?」

「ああ、熱く語ってたな」

「でも、ポケモンのメス前提のエスコートなんて使えないとかどうとか喧嘩になってじゃあ実際に体験してみろーみたいなノリになって…」

「ふふっ…!」

 

思い出しただけでも笑えるらしいミュウツーが肩を震わせて笑っている様子をギラティナが眉間に皺を寄せて睨んだ。

 

「じゃあ、昨日は二人でデートしてたのか」

「あー、ツキが本気で女を落とすデートをね。実践してたみたい」

「で、落ちたのか」

「…ッ、くっ…ダメだ、腹が痛い…!」

「残念ながら途中からメロメロだったわ」

 

アイツ、マジで凄いよ。とギラティナが目を細めて言った。ブラッキーが凄いってことか…?

 

「…どうしたら良い?」

「うぅーん…」

「とりあえず、ヤマトの方を見に行こう。それで感想を…ッ、聞いてみようじゃないか」

 

笑いながら言うな。

ヤマトはポケモンセンターに居るとギラティナから聞いて、ミュウツーの言う通りにするのは癪ではあったがヤマトの様子を見に行こうと思う。

 

そして、ポケモンセンターにやって来たが…。

 

「あ、シンヤだ。おはよー」

 

普通っ!!

まだ眠っていると思って直接ヤマトの宿泊してる部屋に繋いでもらったのに、コイツ起きてたし。ベッドに寝転がって漫画読んでるし。

 

「私が馬鹿みたいじゃないか!」

「な、なにが!?」

「お前、座れ!」

「えぇ…」

 

何怒ってるの…と言いながらヤマトがのそのそと起き上がってベッドの上に座った。

 

「朝から怒ってどうしたの?」

「お前、昨日ブラッキーと何があった!」

「え?」

 

私の言葉にヤマトはキョトンと間抜けな表情をしたかと思えばだんだんとその顔が赤く染まっていく。

 

「え、っと…」

 

やっぱり、普通じゃなかった…。

 

「シンヤは何を聞いた、の…?」

「ヤマトと付き合うかもしれない、って言われた」

「え、僕、ツキくんと付き合うの…!?」

「こっちが聞いてるところだ」

「あー…」

 

ブラッキーと同じような反応で口篭るヤマト。

いや、付き合うことに反対しているわけじゃない。私も同性で相手がポケモンのミロカロスとそういう仲なわけだし。二人が本気でそう思っているなら私はどうぞお好きにと言えるんだが…。

 

「本気なのかそうじゃないのかハッキリしてくれ、ドキドキして眠れない!」

「凄く気が合うんだよねー…、一緒に居て楽しかったし…」

 

でも、それが本気なのかって聞かれちゃうとなぁと口篭るヤマト。

 

「でもなぁ…」

「ハッキリしろ」

「僕、女の子が好きなんだよね!」

「は?」

「だから昨日のことは、なんだろう。現実じゃないようなそんな気がしてる…」

 

いや、まあ。女の子が好きだと言われてしまえばブラッキーの方もそうだとは思うが…。

 

「じゃあ、好きじゃないのか」

「いや、好きか嫌いかで言われると好きだよ?」

「なら、言い方を変える。付き合いたくないのか」

「……ツキくんが付き合いたいって言うなら付き合っても良い」

 

それは、

 

「付き合いたいってことなんじゃねぇの?」

「おそらく」

 

いつの間に居たのか、ギラティナとミュウツーがうんうんと頷いていた。

 

「つーか、やることやっちまったんだから仕方ねぇだろ!あっこまで出来たらもう、なぁ!」

「だな」

「…!やることやっちまった!?…ヤマト、お前!」

「ちょぉおおおっとぉおおお!!!!」

 

顔を真っ赤にしてギラティナに飛び付いたヤマト。

流れに流される様は滑稽だったとミュウツーが笑った。お前ら、見てたって…なんてデリカシーの無い奴らなんだ…。

 

「シンヤ…、違うんだよ!いや、違わないけど違うんだよ!」

「…いや、好きにしてくれて良いんだ。私はとやかく言うつもりはない、幸せにさえなってくれればそれで…」

「僕の目、見て言ってくれない!?」

 

ガクガクとヤマトに肩を揺さぶられる。やめろ、寝てないから体調悪くて吐く。

 

「大丈夫、私は一生お前とは親友でいるつもりだ」

「そんな決意表明いいから」

 

大丈夫、って何さ。とヤマトは眉を寄せる。

 

「まさかヤマトがブラッキーとそんなことになるんて思いもしてなかったから、もう何て言ったら良いか分からない。とりあえず、お前座れ」

「え、うん」

 

再びベッドに座り直したヤマトを見下ろして溜息を吐く。

 

「まあ、ブラッキーは良い奴だし。お前のことを幸せにしてくれるとは思うぞ」

「うん…?」

「「ん?」」

 

ん?ってなんだ。とギラティナとミュウツーを振り返れば。

逆じゃね?と言われた。逆じゃねってなんだ。

 

「シンヤは見てなかったから把握出来てないんじゃないのか?」

「いや、言ったじゃん」

「大雑把な説明過ぎたと思うぞ」

「え、そう?」

 

オレ、説明下手だからなーと言いつつギラティナが眉を寄せる。

 

「えーっと、ツキが女を落とすデートを実践したんだよ」

「聞いたぞ」

「で、ヤマトを落とす予定が残念ながら途中からツキの方がメロメロになっちゃって」

「んん?」

「っていうか、ツキの奴って面倒見良い奴だからヤマトのこと放っておけなくなったんだろうなー。途中でヤマトが女と付き合ったことないとか会話しててさ」

 

うんうんと頷いたミュウツーに対してヤマトがなんでそこまで知ってるのと大慌てでギラティナの腕を掴んだ。

 

「初キスもまだとか会話になって、じゃあしてみる?っていう凄い展開になって」

「ひぃいいい!!!やめてぇえええ!!」

 

ヤマトがギラティナの口を両手で塞いだ。

もごもごともがくギラティナを押さえつけたヤマトの顔は真っ赤だ。

しかし、ギラティナの口を塞いだものの隣に居るミュウツーの口は塞がれていない。

 

「ヤマトは最初、嫌がっていたがツキの奴がもうその時はノリ気でな。勢いでヤマトを押し倒してそのまま、ツキの奴が女役をやった」

「……!?」

「わぁああああああ!」

「…ぷは!いやホント、アイツ、マジで凄いと思ったもん俺!アイツ、床上手ってやつだよな!」

「意外な一面だったな」

 

ニヤニヤとギラティナとミュウツーが笑う。

ヤマトは顔が真っ赤でその場にうずくまった…。

 

「ヤマト、お前…うちのブラッキーを……!」

「ご、ごめんなさぁぁい!!」

「で、感想は?」

「え…凄かった、いやいや何を言わせるのさ!!」

 

ミュウツーに怒鳴るヤマトを見て私は眩暈がした。

まさかの逆だった。ブラッキーの奴がまさか…。

 

「お前はもう良い!私は帰ってブラッキーの様子を見てくる!アフターケアぐらいちゃんとしろ!」

 

ギラティナの作った出入り口を通って家まで戻っていったシンヤを見送ったヤマトはポツリと呟いた。

 

「アフターケアってなに…?」

「ぶふっ…!」

「シンヤ、優しいー。抱かれたーい」

 

*

 

家へと帰って来たシンヤを見てチルタリスが首を傾げる。

 

「ご主人様、お出掛けしていたんですか?」

「ああ、まあな。ブラッキーは?」

「ツキさんはおニ階です」

 

今日のご主人様は早起きだなーとチルタリスはのほほんと二階へと向かう主人を見送った。

ちなみにシンヤは寝ていない。

二階の部屋へと入ればテーブルの上にブラッキーのボールが置いてあった。おそらく中で寝ているのだろう。

少し考えてからシンヤはブラッキーのボールを持って自室へと戻った。

ボールから出そうとボタンを押そうとしたが、起こしては可哀想かと躊躇う。

いや、でも、後に回してしまえば他の連中も起きてきて、うるさくなって話どころじゃなくなるだろう。カチ、とボタンを押してボールを軽く投げればポケモンの姿のブラッキーが眠たそうに体を起こした。

 

「ブラァ…?」

「話は聞いた」

「…あー」

 

人の姿になったブラッキーは目を瞑って顔をしかめた。

 

「何処も痛くはないのか」

「ん、丈夫だから平気」

「お前が望むならヤマトに責任は取らせるぞ」

「いや…オレが、ね。自分でやったことだし」

 

勢いってこわいね、と苦笑いを浮かべるブラッキー。シンヤは深く溜息を吐く。

 

「…シンヤ、怒ってる?」

「怒ってない、怒ってはいないが…私だって困惑ぐらいする」

「オレ…」

「ん?」

 

「シンヤが好きだよ」

 

「……」

「みんな好きだけどな、シンヤが好きだ」

 

ごめん、と言って目から涙を零したブラッキーを見てシンヤは目を瞑った。

―すまん…。

その言葉を飲み込んでシンヤは頷いた。

 

「ありがとう」

「はは…、心配してくれてありがと、でも平気。眠いからさ、寝て良い?」

「ああ、…おやすみ」

「うん、おやすみ…。シンヤ」

 

ころんと部屋に転がったモンスターボールを見てシンヤは深く息を吐いた。

 

「私の阿呆め…」

 

 

いつだって気付くのが、遅い。

 

*

 

眠たいから、

オレはいつだって嘘を吐いた。

目なんて冴えたよ、眠れないよ。

 

ああ、みんな好きだなんて損だよなぁ、

ミロカロスのことが大嫌いで居られたら、オレはきっとミロカロスに嫌悪感たっぷりでライバル宣言出来たのに。

オレって本当にバカだよなぁ、

でも女好きの大馬鹿野郎で居なきゃミロカロスに疑われちゃう。シンヤを困らせてしまう。

結局、困らせて、悲しい顔…させちゃったけど、さ…。

 

面と向かって勝負しようとしたタモツが自分と被ったんだ。

お前から奪ってやる、ボクじゃダメかと顔を歪めたタモツが自分に見えたんだ。

自分に見えたし、シンヤのミロカロスへの愛もよく見えてオレは思わず自分に見えたタモツを抱きしめた。

あそこでああしないとオレが泣いてしまいそうだったから。

 

でも、最後の最後までシンヤ達の前で女好きの大馬鹿野郎でいられたオレは頑張ったよな。

でもさ、でもさ、ずるいよな。

 

 

「ミロは私が一生幸せにする、譲ってやれなくてすまないな」

 

 

突き刺さって消えない。

仕方ないんだ、オレの気持ちなんて最初からシンヤに届いてない。

オレってずるい嫌な奴。

大好きなみんなを失いたくないからふざけて掻き回して、

相手に真剣に向き合わない自分が報われるわけがない、仲良くなった女の子達にも悪い、フィーにだって悪いことしてる。

気付いてないわけない…、

でもさ、オレは嫌な奴だから…苦しい思いをするのがオレだけなんて嫌じゃないか。

 

冗談っぽく伝えた告白なんて、あの鈍いシンヤに届くわけなかった。

そこでオレと同じように傷ついてくれてるフィーの存在にオレは安心してた。オレだけじゃない悲しいのはオレだけじゃない。

ずっと一緒に居た片割れはいつだってオレを支えてくれてた。それはフィーの幸せじゃ、ないんだけど…。

 

苦しい、悲しい時は楽しいことして忘れる、

楽しいこと大好き、みんなでわいわい遊んでる時は悲しいことなんて忘れさせてくれる。

 

あの時だって、

ポチちゃんとユキワラシと楽しく遊んでればいつものオレらしかった。

なのについ、ヤマトと盛り上がっちゃって…。

女の子と仲良くなれるのはやっぱりオレの方に下心がないからで、心の奥底でオレが望む行動を女の子達にやってあげれば良いわけで…。

オレはつらつらと饒舌に自分の願望を語っていたってわけだ。

、らしくないことをしてしまった。

ヤマトと居るのが楽しかった。シンヤと長年付き合ってきただけあって、シンヤの会話で盛り上がるし、

オレの行動や言葉に本当に楽しそうに反応を返してくれるから、楽しくて楽しくて楽しくて…。

優しいから、縋った。

あのシンヤの言葉を聞いた後だったのが良くなかった、

苦しさを埋める為に優しいヤマトに縋って、オレはあの時…きっと…、

 

――シンヤの名前を呼んだ……。

 

でも、ヤマトは何も言わなかった。

聞こえてなかったら良いな、あの距離で聞こえてないはずがないんだけど。

帰ると言った時に黙って頭を撫でてくれた優しいヤマトを傷付けただろうな…

 

ヤマトに申し訳ない気持ちで帰ったら、シンヤが居てそれどころじゃなくなったけど…。

オレ、あの時にシンヤになんて言って欲しかったんだろう。

望むような言葉なんて返って来ないのが分かりきってたのに、なんで言ったんだろう。

ヤマトは優しいからきっとシンヤには何も言わないでいてくれる、そう思ってたのに。

なんで自分から言っちゃったんだオレ…。

 

「オレ、ヤマトと付き合うかもしれない」

 

ああ、あれかな。

きっとシンヤにあの顔をさせたかったんだ。嫉妬が浮かび上がる、あの珍しい表情をして欲しかった…。

だって、見ちゃったもんなぁ…。

でもあの時はもう大好きなシンヤと向き合うのが怖かった。

あの左目の赤がオレを責める。ミロカロスがオレを見てる。

勝てない、と思ってる癖に諦めきれないオレは馬鹿だ。

あの赤がオレの赤であったならどんなに幸せだったか、

想像したって、手に入らないけれど…。

 

 

 

 

 

「ツキ!いつまで寝てるんです!」

 

光と共に現実に引き戻された。

怒った顔でオレを見てるフィーはもう夕方ですよ!と怒鳴った。

ずっとボールの中に居たらしいオレはポケモンの姿のまま「ごめんごめん」と笑ってみせた。フィーが困ったように笑う。

 

ごめん、

オレはきっと本当にお前の片割れだ。

オレ達は凄く似てる、似すぎてる。これで双子じゃなかったらなんだっていうのか。

お互い手が届かない相手に惹かれすぎた。フィーの方はオレ次第だったかもしれないけれど…。オレはフィーと同じだから。

 

リビングに行けばシンヤがソファに座って本を読んでいた。

ポケモンの姿のまま足元に近付いてシンヤを見上げる。チラリとこちらを見たシンヤは黒と赤の瞳でオレを見た。

 

「ブラァッキィ…?」

(傍に居ても良い…?)

 

本を閉じたシンヤは黒と赤の瞳を閉じて笑った。

 

「勿論だ」

 

言葉にしてしまえば鳴き声でだって伝わるのに、

オレは馬鹿だったなぁ。

 

 

 

シンヤ、愛してたよ。

これからもみんなと同じ、大好きだ。

 

 

*

 

次の日、おはようと声を掛けて来たヤマトを見てブラッキーがビシと固まった。

いつもと同じ、シンヤの家に遊びに来たヤマトがいつも通りに声を掛けてきた。

そんなヤマトのいつも通り過ぎる行動に驚いたのだ。

 

「ツキくん?」

「お、おはよ…」

 

ああ、こういう時に限って誰も居ない。

外に出ればギラティナが居るけどフォローなんて出来る器用な男じゃないし、とブラッキーは視線を泳がせる。

 

「シンヤは?」

「ポケモンセンターに行ってる」

「そっか、じゃあ入れ違いになっちゃったかなー…」

 

ソファに座ったヤマトを見てブラッキーは考える。

ここは謝っておくべきなのか、それとも無かったことにするべきなのか…。

 

 

「待ってても良い?」

「え、ああ、うん」

「じゃあ、待ってるよ」

 

 

にこりと笑ったヤマトがテーブルの上に置いてあった雑誌を手にとって開いた。

ぺらりとページを捲る音がする。

 

「あ!今度さ、ミッションでここの近く行くんだよ!」

「え、どれ?」

「これこれ、オススメスイーツNO.1っていうの」

「マジで!?ギラティナのやつさー、地方外だとなかなか繋げてくれないんだよなー」

「あはは、それはお土産買って来いってことだね」

「分かっちゃった?」

「どの味が良い?全種類買えたら買うけどー」

「いちご、いや…メープルも捨て難い…」

「僕はチョコだね!」

「チョコならオレ、こっちのページの奴が良いんだよ」

「んー?」

 

ペラペラとページを捲っていると買い物に出掛けていたチルタリスとトゲキッスが帰って来た。

 

「ただいま戻りましたー」

「ただいまです」

「「おかえりー」」

「あ、ヤマトさん、いらっしゃいませ!」

「ケーキ買って来たんで食べましょう!」

「キッスー!なんて気が利く奴!」

「僕、チョコ!」

「待て、オレもケーキはチョコ派だ!譲らねぇ!」

「な、なんだと!?」

「チョコケーキいっぱいありますから…」

「仲良しさんですね!」

 

*

 

ただいま、と帰って来たシンヤは二人並んで普通に会話するヤマトとブラッキーを見て固まった。

そして咄嗟に隣に立っていたミュウツーへと視線をやる。どういうことだ、と当然答えを求める意味を込めて。

しかしミュウツーもまた困惑した表情をシンヤに返す。

 

「(ど、動揺している私が可笑しいのか…!)」

「(いや、私も理解不能だ…!聞いて来い!)」

「(お前が行け!)」

「(私はそこまで親しくない)」

「(ずるいぞ!親しい方が聞きにくいだろ!)」

 

何こそこそ喋ってるの?とミロカロスに声を掛けられてシンヤとミュウツーは揃って肩を揺らした。

 

「「いや、別に」」

「?」

 

ヤマトとブラッキーの関係を知っているのはシンヤとミュウツーとギラティナだけ。当然、ベラベラと喋る気などシンヤには最初から無い。

当の本人たちが何事もなくしているのならそっとしておくのが良いだろうとシンヤとミュウツーは顔を見合わせて頷いた。

 

静かに言葉を飲み込んだ二人に対して、

「お前、昨日の今日で来るとか大物か」と盛大にヤマトを笑い飛ばしたギラティナのことをシンヤが知るのは少し後のことである。

 

「お前にはデリカシーが無いのか!」

「普段から無ぇよ!」

 

開き直って言えるお前が一番大物だ、とミュウツーは心から思った。

 

「すげぇ怒られた。拳骨くらった。痛い」

「称賛に値するな」

「…なにがぁ?」

 

*

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