「アルセウス!待て!それ大事な書類だから!」
「一番よく飛ぶようにする、案ずるな」
「駄目だって言ってるだろ!?」
自分と同じ姿のアルセウスを必死に止めようとするシンヤを眺めてミュウツーはにやにやと笑う。なんて面白い光景なんだろう。
我が子達よ、見ていろ一番飛ぶぞ!と紙飛行機を手に持ってハシャぐアルセウス。
「ジジイ!やめてやれよ!シンヤが嫌がってんだろ!」
「嫌がってない」
「お前はな!」
「私とシンヤは一心同体、同じ生命体だから嫌がってないのだ」
別個体だぞ!と怒るシンヤにアルセウスは「案ずるな」と何故か微笑んでみせた。
「心は同じだ…」
「私の心は今、喪失感に溢れてるけどな…!」
ギラティナがアルセウスから紙飛行機を奪おうとするも軽く足蹴にされて敗北していた。
パルキアとディアルガは逆らうのが嫌らしく大人しく紙飛行機が飛ぶのを見る為に待機…。
「折り紙だしてやるから…!それは、それだけは返してくれ…!」
「そぉれ、飛んでけ!」
「あああああああ!」
拾って来い!とのシンヤの言葉にミミロップ達が走り出した。
あの紙飛行機は反転世界の何処まで飛んで行くのか…。
「ギラティナ、早く帰ってもらえ。家の中がめちゃくちゃになる…!なんで一番年配のはずなのにこんなに幼稚なんだ…!」
「年寄り過ぎて退化してんだよ…きっと…」
「パルキアとディアルガも止めろ!」
「いや、逆らうのこわいし」
「機嫌を損ねる方が後々マズイ」
家中、落書きだらけだ…!と嘆くシンヤの後ろでチルタリスが掃除をしている。
幼稚だから、約束破ったから裁きをうけろ!なんて考えに至ったのだろうな。思考が幼いと人類滅亡とか制圧とかそういうことしか思いつかないもんだ、とミュウツーは当初の自分を思い浮かべた。
「おい、お前」
「ん?」
「お前は不思議な生命だな」
「…私が人工的に生まれたからか?」
「そうか…、それもまた良い。この世界に生まれ落ちたのならお前も愛しき我が子」
よしよし、とアルセウスに頭を撫でられてミュウツーは黙り込む。
それを見たシンヤは口元に小さく笑みを浮かべた。
「…そんなことを…シンヤの、姿と声で言われると……抱腹絶倒ものだな」
「なんでだ!」
「愉快愉快!」
全然、愉快じゃない!と納得がいかないらしいシンヤが怒っている。
「もっと可愛げのあることを言うかと思ったのに…」
「ああ、テラワロスって言えば良かったな」
「なんだそれは!?」
何処の言葉だ!と慌てるシンヤが面白い。
「テラがかなりとか凄く、ワロスが笑ったとか笑えるって意味だ」
「……え」
何それ、と呆けるシンヤの横で同じ顔のアルセウスがなるほど!と納得して頷いた。
「ワロスワロス!」
全然、ワロスな状況じゃない。とシンヤが肩を落とした。
「ギラティナ、ツーのことちゃんと見ててくれないと困る…」
「オレ!?」
「アイツ、変なことばっかり覚えてくるじゃないか…。ちゃんと面倒みなさい」
「シンヤが拾って来たんじゃん!」
「口答えするな」
「え。ごめん」
*
また遊びに来るぞ!我が半身よ!とテンションの高いアルセウスの手を片手ずつ掴んだディアルガとパルキアが帰って行った。
アルセウス、凄いポケモンの癖に中身が物凄く子供だった。私と同じ姿と声でやめてほしい、本当に。
「疲れたなぁ…」
「ああ、疲れたな…」
ぐったりするギラティナと私を見てミュウツーがプププと笑った。凄くイラッとする。
「アルセウスはなかなか面白い観察対象だったな」
「めんどくせーんだよあのジジイは!頭堅ぇくせして自分に都合悪くなるとブチ切れるしよォ!怒らせると強すぎるのがまためんどくせぇ!」
「最終的に納得がいけばどんな過程があろうとも全てを許す、広い心の持ち主だ」
「…ツーが、アルセウスを庇護しやがる…!裏切り者…!」
「あと、姿も良い。シンヤだから見た目で悪い印象は無い」
親指を立てたミュウツーにギラティナは小さく頷いた。
「うん、それはな。でもシンヤで馬鹿やられると腹立つじゃん?」
「シンヤの見た目じゃなかったら家から放り出してる」
「…はっ!?正論だ!お前、すげぇ!」
「そうだろう?あの見た目だったから許せていただろう?」
「ホントだ!考えてみたらオレ、クソジジイだって分かってるのに一発も殴ろうと思わなかった!」
「シンヤパワー」
「シンヤパワーすげぇ!」
きゃっきゃっとハシャぐ二人を見ていた私は、恥ずかしい…!
お前達、どこまで私のこと好きなんだ…!くそ、可愛いやつらだな…!
あははと笑っていたギラティナがピタリと固まった。
「ん?」
「どうした」
「ノックされてる…」
何が、何処が、と私とミュウツーが聞けばギラティナは電話でもするかのようにその場で話だした。
「なに?…あー、分かった。伝えとく。うん、良いよ。また今度な。はいはい、じゃあな」
お前、気持ち悪いぞ。とミュウツーの言葉にギラティナがうるさいと返事を返す。
「で、どうしたんだ?」
「ノリコが出入り口にしてる鏡をノックしてた。コンコンコンって」
「ああ、ノリコか」
「そんで、来週にオトウサンが帰ってくるんだって。カズくんもその時に帰って来るようにしてもらうからお兄ちゃんに伝えといてくださいって言ってた」
「げ。揃うのか。ツバキにも連絡しなければ…」
「今、げ。って言ったな」
「つい」
「頑張れよ、シンヤ。オレ達がちゃんと付いてるからな!」
ニカッと笑ってそう言ってくれたギラティナに頷いて笑みを返す。
よし、ちゃんと言おう。
*
シンヤがアルセウスに悪戦苦闘している頃、トゲキッスはミチーナのカフェへ来ていた。
「いやぁ、悪いね~後片付け手伝って貰っちゃって!」
「そんな!マスターさんにご協力してもらってるのは俺の方なんですから!気にしないでください!むしろどんどん何でも言ってください」
ミチーナの騒動もおさまり、再度のお礼とこれからもお世話になるマスターの手伝いをしにやって来ていたトゲキッス。
「キッスくん…!」
なんて良い子!素晴らしい!トレーナーの教育が行き届いてる!ヨルくんとチルくんしかり!そのトレーナーさん誰か知らないけど!と思いつつマスターは目に感動の涙を溜めた。
「それに比べて…、なってないなぁ…」
マスターはチラリと椅子に座るピジョットへ視線をやった。
「なんですか」
「オッサン、動きなさい」
「その呼び方、やめてくれません?」
紅茶を片手に眉を寄せるピジョットを見てマスターは溜息を吐く。
「キミね~、ご主人と同じくらい!とは言わないからさ、ちょっとは俺を敬いなよ。誰のおかげで美味しい紅茶が淹れられるんだい!誰のおかげで今のご主人と一緒に居られるんだい!」
「恩着せがましいこと言わないください」
「キッスくん、あの子ね~。ご主人に置いてけぼり食らったのよ」
「へ!?」
「ご主人ね、リザードンも連れてるんだけど。そのリザードンが修行してくるって何処ぞのリザードンの谷?とかいう所に一匹で勝手に出て行っちゃったんだよ」
「ええ!?凄く努力家なリザードンさんなんですね!」
「ねー。リザードンが自分に納得したら帰って来るよってご主人に言ったんだけど…、ご主人…ギャン泣きで仕事辞めてジョウト地方に追い掛けて行っちゃったんだ。
で、元々うちで働いてたピジョットくんはゲットされた後もうちの手伝いしてたもんだからさー。連れて行くと俺が大変になるってご主人が気を利かせて置いて行ってくれたんだよ。もー、それが超迷惑!ピジョットくんずっと拗ねてんの!」
「あぁ…」
チラリとピジョットを見たトゲキッスは眉を下げる。
自分の主人に頼まれたことだから、放り出して自分も追い掛けるわけにはいかない。そんなピジョットの気持ちが分かるトゲキッスはなんと言って良いのか言葉に迷った。
「どうせ、自分は二番目ですよ。二番目のポケモンだし仕方ないですよ。分かってますよ。みたいなことを考えている!」
「勝手に私の心を想像しないでください!」
怒るピジョットと笑うマスターを見ながらトゲキッスは考えた。
「ポケモンを連れたトレーナーさんは、手持ちの中でどのポケモンが一番大事でこのポケモンが二番目に大事で…とかあるものなんですかね…」
「え、そりゃあるんじゃないの?」
「俺達、ポケモンからすればトレーナーであるご主人は一人で永遠に一番なのに?」
「え!?そ、そうだね…。でもやっぱり、強い子が一番とか見た目が一番好きだからとか、バトルする時とかも順番決めるわけだし。やっぱり優先順位ってある、でしょ…?」
「じゃあ、きっと俺も一番じゃないですね…」
しょんぼりしたトゲキッスを見てマスターが慌てる。
俺がシンヤを一番好きだって言えば、他のみんなもシンヤを一番好きって言うだろう。じゃあ、シンヤの一番好きは、やっぱりミロさんなのかな。
「なんだか、悲しいです…」
「キッスくーん!ごめんね!ごめんね!俺が変な事を言ったばっかりに!キッスくんのご主人はキッスくんの事が一番好きに決まってるよ!」
「うう…、俺は一番じゃないんです…っ、ミロさんが…ミロさんが一番なんです…!」
「泣かないでぇえええ!!!!」
「適当なことを言うから…」
「ピジョットくん、フォロー!はやく俺をフォローして!」
「私だって傷ついてるんですよ…、そっとしておいてください」
「ううう…っ」
「ああああああ!」
ぐすぐすと泣き出してしまったトゲキッスの腕を掴んだマスターが「よし!」と声を張り上げる。
「俺が責任を持って聞いてあげる!」
「「…へ?」」
「キッスくんのご主人の所、連れて行って!一番じゃなかったら、俺がキッスくんを一番にしてやるぜ!」
「すみません、あの人、馬鹿なんです」
「……ぐすっ、」
*
泣きべそをかくトゲキッスの手を引いて歩くマスター、そしてその横に並ぶピジョットはため息を吐いた。
「本当に行くんですか」
「だって…、キッスくんを泣かせてしまったんだよ!?」
行くしかない!とヤケになっているマスターを見てピジョットは再度溜息を吐いた。
「それでキッスくん、ご主人は何処に住んでるの?」
「…それは、言えないです」
「い、言えないような場所に住んでる人なの…!?」
「はい」
「ええええええええ!?」
どういうこと!?と隣に居るピジョットに答えを求めるマスター。しかしピジョットも分からないと首を横に振る。
「お家、行けないの?」
「はい…。あの、所有者の方に許可を貰わないと入れないので…」
「どんな領地に住んでるのそれ!?」
「許可を貰えるよう交渉するのは可能なんですか?」
「……」
黙ったトゲキッスはチラリと川の方へと視線をやった。
マスターとピジョットが同じように視線をやるが特に何も変わった所はない。
「聞いてみます…」
川を覗き込むように座ったトゲキッスが「あのー」と川に声を掛けた。
どうしちゃったのこの子!とマスターはぶるぶると体を震わせる。
「シンヤとお話、したいって人が居るんですけど」
あれ…?どこかで聞いたことのある名前…。とマスターが思考を巡らせた時、川の中から返事が返って来た。
『キッス?なんだよ、珍しいな。お前からそんなこと言ってくるなんて』
「…ギラティナさん、」
『なに?』
「手持ちの順位ってどう思いますか!」
『……え、シンヤの手持ち?』
「はい…、俺は自分が一番じゃないってことを改めて実感してなんだか悲しくなりました…」
『おい、やめろ、手持ちにすら入ってねぇオレはどうなる!』
「……はっ!?」
『圏外か!?ランキング圏外!?…泣くぞ?マジで。』
うわ、ショックだわー。と落ち込む川の主にマスターは恐る恐る近寄って声を掛けた。
「も、もしもし?」
『誰だテメェは!』
「あ、この前に言ったカフェのマスターさんですよ」
『おお、チル達が世話になってる奴か。チル、喜んでたぜ。ありがとな』
「あ、いえ、どういたしまして~」
川の主、良い兄貴だな。と思いつつマスターは交渉を持ち掛けてみた。
「あのですね、キッスくんの順位云々に関して俺はキッスくんのご主人と一対一で!お話がしたいんですよ!こんなに良い子のキッスくんが何故一番ではないのかと!」
『……え、なんだお前。アホか?』
川の主にドン引きされたマスターはその場に膝から崩れ落ちた。
「あの声のお方、なかなかに真っ当な思考の持ち主なんですね。好印象です」
「え…」
*
美味しいお菓子作りますので、入れて下さい。と土下座した甲斐があって。マスターとピジョットは反転世界に入る許可を貰った。
ピジョットに関しては特に問題は無かったがトゲキッスは黙っておくことにした。
俺のおかげだよ!とマスターが誇らしげに語っているから…。
そして反転世界を見てマスターはこの世にはとんでもない所に住む、とんでもない人が居るもんだ。と悟り遠くを見つめた。
ポケモンが人の姿になるなんて、可愛いもんでしたね。ははは。
「ギラティナさん!ありがとうございます!」
「おう、美味い菓子いっぱい作れよ。ここ人数居るんだからな」
「了解しました!」
ギラティナってなんか聞いたことある名前だな、と思いつつもポケモンに詳しくないマスターは深く考えなかった。
が、横に居たピジョットは「マジですか…」と呆然とギラティナを見つめた。
「シンヤは?」
「あー、借り衣装選んでる。ほら、ドレス着せるって言ってただろ?」
「そうでしたね!楽しみですね!花嫁衣装!」
「おー…、順位がどうこう言ってたのにそういう所は素直に喜ぶ。お前ってホント良い子な」
「俺、ミロさんも大好きですから!」
マスターさん、こっちですよ!とトゲキッスに手を引かれて一軒の家へとやって来た。
そのまま連れられるまま中へと入れば、チルタリスが驚きの声をあげた後に「いらっしゃいませ!」と歓迎してくれた。
「マスターさん!ジョットさん!遊びに来てくれたんですか!チル嬉しいです!」
「ご、ご主人いる?」
「ご主人様ですか?リビングに居ますよ!チル、すぐにお茶をお持ちしますね!」
わーい、と喜びながらチルタリスがキッチンへと走って行った。
マスターはピジョットの方をチラリと見てからリビングの扉を開ける…。
「……」
「……」
パンフレットを睨みつけるシンヤの姿にマスターは思った。
見たことある人居るんですけどぉおおおおおお!!!!!シンヤさん、マジシンヤさん!生で見たの初めてなんだけどこれどうしたら良いの、俺の口から出てはいけない何かが出そう!くぁwせdrftgyふじこlp;!!!
「ん?キッスか、おかえり」
「ただいまです」
「その隣の男性とピジョットはなんだ?」
ピジョットくん、キミ一発で見抜かれてるよ!?とマスターがピジョットに視線をやる。ピジョットもまた驚きシンヤを見つめていた。
「お世話になってるカフェのマスターさんとマスターさんを紹介してくれたジョットさんです!」
「ああ」
ソファから立ち上がったシンヤが小さく会釈をした。
「どうも、うちのポケモンがお世話になってます」
「いえいえ!とんでもない!手伝ってもらえてむしろこっちが助かってますんで!」
座って!シンヤさんどうぞ座って!とマスターに促されてシンヤが「え、ああ…」と困惑しながらも再びソファに座る。
「シンヤさん、この度は夜分にお邪魔させて頂きましてありがとうございます…!」
「マ、マスターさん。ソファに座ってもらえるだろうか…?」
シンヤの向かいのソファの手前で正座したマスターを見てシンヤはどん引きした。
シンヤの提案もむなしく無視されてマスターの話は続く。
「今回は!シンヤさんに聞きたいことがあってきました!」
「はあ…」
「率直に聞きます!」
「はい…」
「シンヤさんの手持ちトップ3を教えて下さい。そしてこの子が自分の一番って子を教えて下さい」
「……はあ?」
え、なにこの人。とシンヤがトゲキッスとピジョットの方に視線をやるがトゲキッスとピジョットは困ったように笑うだけ。
渋々、マスターの質問に答えようとシンヤは考えを巡らせる。うーん、と考えた後に言った。
「特に無し」
「「「……」」」
ぶはっ!と扉の向こうで聞き耳を立てていたらしいギラティナが吹き出して笑う声が聞こえた。
「え、シンヤさんの手持ちで一番の子は…?」
「さあ?」
「一番大事にしてるポケモンは!?」
「全員、大事にしてるつもりだが…?」
「一番、二番、三番!順位を付けるなら!」
「じゅ、順位が必要なのか…?」
眉を寄せ、困った様子のシンヤを見てマスターは立ち上がった。
そして、拳を天井に上げた。
「さすが男前ぇええええええ!!!」
「小規模カフェの店主とは格が違いましたね、よっ負け犬!」
「ジョットくん、やめて!俺は今、上を向いてないと涙がこぼれるから!」
浅はかだった自分が恥ずかしい!と崩れ落ちたマスター。
困惑するシンヤにトゲキッスは笑顔を向ける。
「シンヤ!俺、一番じゃなくてもシンヤに大事にされてるなら幸せです!」
「何の話だ…?」
「俺、手持ちの中で…シンヤに一番だって思われてないことが悲しくなったんです…。自分はもしかしたら一番必要とされてないかもって…」
「……」
しょんぼりしたトゲキッスを見てマスターがまた慌て出す。
うーん、と考えたシンヤはトゲキッスに聞いた。
「お前が出会って来た人間の中で私は何番だ?」
「シンヤですか?シンヤは勿論、一番です!」
笑顔でそう言ったトゲキッスにシンヤも笑顔で頷いて返す。
「そうか、私も今まで出会ったトゲキッスの中でお前は一番のトゲキッスだ」
「…!!」
*
色紙を抱きしめて店へと戻ったマスターとピジョットはすっかり暗くなった窓の外を眺める。
「俺、このサイン。店に飾る…」
「ドン引きされても強引に無理やり書かせたサインでしたけどね」
「俺は感動したの!俺の出会った人間の中で一番カッコイイ人だった…!ああ、素敵…!シンヤさんマジカッコイイ…!」
浅はかな考えを持っていた自分が恥ずかしい!
ポケモンを思う真のトレーナーとはああいう人間であるべきだ!
「自分の手持ちに順位なんて付けない…。でも、世界中のポケモン達と比べた時…お前達がオンリーワンでナンバーワンだ…。カァッコイイィィィイッ!!!!」
「そんな風に言ってませんでしたけどね」
「脳内で捏造させといた!」
あはは!とマスターが笑った時、店の扉が開いた。
「「?」」
「おお!店、開いてる!」
「ああ!?おかえり!リザードンくんどうだったの!?」
「泣き喚いて渋々諦めてもらったよ!屈強な馬鹿デカイリザードン集団が超絶こわかった!」
ただいま~と抱きついて来た自分の主人にピジョットは苦笑いを零す。
最初のポケモン、最初の友達。一番最初を手に入れてるリザードンにはやはり敵わないのだろうと、諦めていた。
「お兄さん!お兄さんの紅茶が飲みたい!疲れた!」
「…今更ですが、紅茶を入れるピジョットってどう思います?」
「へ?そりゃ凄いし!最高だし!カッコイイし!世界一のピジョットだよ!」
「…ふふ、とびっきり美味しいの淹れてあげますね」
「やったー!」
でも、比べる対象が違えば自分も彼の一番になれるのだと知れて少し気が晴れました。
私もまだまだ青いですねぇ…。
「…俺も相棒探そうかな~」
「マジですか!何タイプが良いとかあるんですか?」
「うーん、詳しくないからなぁー…、あ、シンヤさんに相談してみようかな!」
「……え、シンヤさんって、あのシンヤさん?」
「ふふん♪」
「ああ!?そ、それは本物のサイン!?マスターなんで!そんなずるい!わあああああ!!」
「え!?それマジ泣き!?」
「俺もサイン欲しいぃいいい!」
*