一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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「ヤマトー、早くしろー!」

「待って待って!」

 

スーツを着込んだブラッキーとヤマトが慌ただしく式場へと駆け込んだ。

それを見つけたサーナイトは小さく溜息を零す。

 

「ヤマトさん!ツキくん!こっちよ!」

「ジョーイさん!ごめんね!遅くなっちゃって!」

「もう!何してたの!」

 

息を切らせながらヤマトがぺこぺことジョーイに頭を下げる。

その隣に立ったブラッキーが腕を組んで言う。

 

「シンヤが置いてったご祝儀、ヤマトが持って来るの忘れて途中で取りに戻ってたんだよ…。ギラティナの奴がシンヤに付き添ってるから出入りの自由がきかないこの状況で!ポケモンセンターまでとんぼ返り!ヤマトのバカ!」

「ほんと、…すみません…」

「はい、お水を飲んでしっかりして下さいまし!」

「あ、ありがとう。サナちゃん…」

 

ごくごくと水を飲み干したヤマトを見てからブラッキーは辺りを見渡す。

人間だらけの中でその小さな姿を見つけるのは難しいな、と眉を寄せた所で他の人間より背の高い見慣れた赤い髪の頭を見つけた。

 

「ミロ!」

「あ、ツキ!遅かったなー、ヤマト遅刻して来たの?」

「いや、時間通りにはミッション終わらせて来たんだけどシンヤが置いてったご祝儀をな、持って出るの忘れて途中で取りに戻ったの」

「アホだな~」

 

呆れたように息を吐いたミロカロス。

そんな二人のやり取りに苦笑いを浮かべたタモツにブラッキーは笑みを向ける。

 

「タモツ、今日はおめでとう!」

「ありがとう、ツキくん」

「これシンヤからタモツとポチちゃんに」

「え、ボク達にもですか!?リンとモモさんのお祝いなのに…」

「あの二人の分はヤマトに持たせてたから気にすんな!貰っとけ貰っとけ!味の保証はする!」

「食べ物なんですね」

 

うん、そう。と頷いたミロカロスにタモツはくすくすと笑みを返す。

 

「ポチちゃんは?」

「モモさんと一緒ですよ、ボクもさっき見て来たんですけどすっごく綺麗でした!モモさんキラキラしてました!」

「おおー!お披露目楽しみだなー!」

「今、ミロちゃんに聞いてたんですけどミロちゃんもウエディングドレス着たんですね」

「ああ、この前な。タモツ、お前の心を傷付けないのであれば写真を見せてやろう…。オレは持って来てる…ポチちゃんに見せようと思って…」

「だ、大丈夫ですよ!せっかくなんですからミロちゃんの綺麗な姿も見たいです!」

「じゃあ後で見せてやるよ!男らしくなったなタモツ!カッコイイぞ!」

「本当ですか!ミロちゃん!ボク、男らしくなってます!?」

「分かんないけど、よく見たらタモツ足が短いな。チビだな」

「「……」」

 

気にすんな、アイツの比較対象が足長いだけだから。標準だから。大丈夫だからとタモツの肩を抱いたブラッキーがタモツを慰める。

ガクリと肩を落とすタモツをブラッキーが慰めていると「あ」とミロカロスが声を発する。

パチパチパチ、と拍手と歓声にブラッキーが顔を上げればやっと本日の主役のご登場だった。

薄いピンクのドレスを身に纏うモモとその横で照れくさそうに笑うリン。

 

「おめでとーう!」

 

ブラッキーが両手を振れば二人も手を振り返す。

 

「きゃうきゃう!」

「あ、ポチちゃん!」

 

リボン付けて可愛い~と飛び付いて来た随分と軽くなったポチちゃんを抱えてブラッキーが笑う。

 

「わ、ポチちゃん痩せたね!」

「きゃう!」

「ツキくん!僕にも抱っこさせてよ!」

「やだ!」

「そんな…!」

 

両手を広げたまま固まるヤマトを押し退けてサーナイトが拳を握り締めた。

 

「ブーケをゲットしなくては!」

「あら!ゲットするのは私よ!」

「えぇ!?ジョーイさんにお嫁に行かれるのは悲しいですわ…!」

「俺様!俺様が取る!」

「ミロさんは別に要らないじゃないですの!」

「いやいや、取るのは僕だよ!」

「ヤマト、何処に嫁に行く気だよ…」

 

あはは、とタモツが笑った。

モモがくるりと後ろを向いて背後に高くブーケを投げる。

 

ブーケを目で追い空を見上げれば日差しの眩しさに目を細める。

 

 

「あー…、眩しい…」

 

 

*

 

賑わいごとがあると参加してしまうジョーイに代わってポケモンセンターを任されたミミロップは小さく欠伸をした。

それを目敏く見つけたサマヨールが笑みを零す。

 

「今、笑ったろ…」

「ああ…ついな…」

「あー!もう退屈!急患とか来れば良いのに!」

「そう言うな…、暇な方が良い場所だ…」

「そりゃそうだけど、こんな所でだらだらしてるなら家で勉強したい…。つか、シンヤについて行きたかった…」

 

深く溜息を吐いてテーブルに突っ伏したミミロップ。まあ、気持ちは分からないでもないとサマヨールは小さく頷く。

明日は知り合いの結婚式だからと張り切るブラッキーに当初はシンヤも出席する予定だった。だが、シンヤの方に急患が入ってしまったのだから致し方ない。

任務を終わらせて駆け付ける予定だったヤマトもシンヤの欠席という話を聞いて怒ったが、急患の相手が相手だったので納得せざるを得ない。

 

早朝にトゲキッスに乗って出掛けるはずだったのだが、シンヤに急患が入った同時刻頃にサマヨールとチルタリスが世話になっているカフェのマスターから連絡が入る。

明日、予約客が入っているのに右腕を骨折してしまったという悲しい知らせだった。

どうしても休めないが利き腕がこれでは仕事は出来ない、ピジョットだけでは店が回らないから手伝いに来て欲しいと。

 

他でもない世話になっているマスターの頼みを断るはずもなく、チルタリスとサマヨールをと思ったがシンヤは待てよと額を押さえる。

明日は結婚式でジョーイがポケモンセンターを空けるから人手を置いておけとジョーイに命令されているぞ、と。

しかし、サーナイトは結婚式の手伝いへとジョーイと共に行く。ミミロップ一人では何かあった場合の対処に困る。

ここはサマヨールをミミロップの助手にした方が安心だ。とミミロップとサマヨールがポケモンセンターの留守番担当を任されることになった。

 

では、カフェの手伝いに誰が行くのか。チルタリスとピジョットだけでは大変だろう、せめてもう一人とシンヤが辺りを見渡してみるがブラッキーとミロカロスは顔見知りということもあり結婚式への出席が決まっている。

エーフィは土下座をして頼みに来たノリコに連れて行かれた、コンテストに出場するから同伴して欲しいと頼まれずっと断っていたのだが、ノリコが最終手段として父親を連れて来たものだからエーフィは無理やり連行されて行った。実の父の登場にシンヤも何も言えず見送ったのはつい最近のことであった。

 

残るは飛行要因として必要なトゲキッス。

致し方ない。とチルタリスとトゲキッスがカフェの手伝い担当となった。

 

早朝から急患を診に出掛けるはずだったシンヤに移動手段が無くなった。さてどうするか、ツバキの所から急遽カイリューを送ってもらおうかと思案するシンヤの肩を叩いたのはミュウツーだった。

 

「もっとも便利な奴が残ってる」

 

その言葉にシンヤはすでにグースカと眠っていたギラティナを叩き起した。

残された留守番連中の移動が狭まるが行動場所が決まっているので大したことはない。こうして昨夜が慌ただしく過ぎ去ったのだった。

 

「はぁー、暇」

 

ミミロップが大きな溜息を吐いた時、ラッキーが大慌てて部屋へと駆け込んできた。

 

「ラキラッキー!」

「ぅえ!?マジか!」

「しっかりな…」

「おっしゃー!仕事だー!」

 

*

 

カフェの手伝いに来たトゲキッスは困っていた。マスターは骨折しているもののお客さんの相手をする為に店には居てくれてるし、何か分からない事があればすぐに聞ける状態で問題は無い。

ただトゲキッスは困っていた。

ピジョットが可哀想にと眉をひそめ、チルタリスがハラハラとこちらを見守っている様子を見てからトゲキッスはマスターいわく"いつも予約して来る面倒な客"に笑顔を向ける。

 

「お前、結構良いなァ」

 

ニヤニヤとその整った顔を歪ませる男にトゲキッスはどう対処したものかと困ったように笑顔を返した。

一緒に来た友人らしい男は我関せずとケーキを黙々と頬張っている。何故か目付きはあまりよくなくケーキを睨み付けるようにして食べている。

 

「なに?新しいバイト?」

「いえ、手伝いです」

 

へーと返事をしつつトゲキッスを舐めるように見る男。さすがに、とマスターが間に割って入る。

 

「イケメンくん、あんまり苛めないであげてくれるかな」

「まだ何もしてねぇだろーが」

「何もしてなくてもキミの対処にもう困ってるから」

「はぁー?常客の私になんだその言い方はぁ?」

「いや、いつも予約して来てくれてとっても嬉しいけどねー。店の子にちょっかい出すのはやめてほしいなー」

「だからまだ何もしてねぇーっての」

 

綺麗な顔してるくせに本当にガラ悪いコイツ。とマスターは内心思う。

ケーキを食べ終わったらしい隣に座っていた友人が「いい加減にしろよ」と言葉を発する。目付きの悪さに比例して穏やかな声だ。

 

「なんだよ…」

「まだ何もしてないって、これからしますけどね!って宣言してるようなもんだろ。やめとけ、マスターにもそっちの店員さんにも迷惑」

「いや、だってアレかなり良いよ?上玉だよ?色々とやったらアレはかなり良い表情で鳴くと思うんだけどなぁ!」

「キッスくん!買い出し!買い出し行って来て!今すぐに!」

「聞いたか!?キッスくんだってよ!名前可愛すぎんだけど!」

「もうやめとけって…」

 

買い出し行って来ます、と怯えながら店を出て行ったトゲキッスを見送ってマスターは深く溜息を吐いた。

 

「絶対に苛めないでね」

「迷うなぁ…」

 

不敵に笑うこの客は本当に面倒だ。

話題を逸らそうと思ったのか隣に座っていた友人が「そういえばさ」と話を切り出す。

 

「ムウマ、元気?」

「ああ、元気元気。隙あらば脱走してくれるから楽しいよ」

「……やっぱお前もっと優しくした方が良いって」

「私はいつでも優しいけどぉ?」

「優しさを感じられない」

「なんでだよ、今日もお祝いにお気に入りの店連れて来てやっただろ」

「お祝い?」

 

あ、お気に入りの店だって思ってくれてるのかとマスターが小さく苦笑いを浮かべた。

 

「ヨスガジム、クリアおめでとーう」

「…おお!ありがとう!それで誘ってくれたのか!ヤバイ!マジで嬉しい!」

 

これでポケモンマスターへと道が一歩近づいた!と喜ぶ友人に「それは知らねぇけど」と冷たく突き放す男。

 

「なんで、上げて落とすの…!」

「趣味だから。それより、マスター」

「なんだい?」

 

悪趣味!と怒る友人を無視して男は店の壁に額入りで飾っているサインを指差した。

 

「あれ、本物?」

 

ああ、気付きましたか。とニヤリと笑うマスター。

男の言葉に隣に座っていた友人が首を傾げる。

 

「何が?」

「お前見てねぇの?あそこの額の中にサイン色紙入ってるだろ?」

「うん」

「あれ、シンヤのサインっぽくてさ」

「シンヤ……、って!!!あのシンヤさん!?え、マジで!?だってあの人、サインとか全然書かないんだろ!?」

「そうそう、本物だったら超プレミア物だし、ここ来た事あるって事じゃん」

「マ、マスター!あれ!あれは本物ですか!?」

「ふふふふふ、あれは正真正銘!本物のシンヤさんのサインです!とある理由で俺はシンヤさんと知り合いなんだよねー!ふっふーん!サインは頑張ってお願いして無理やり貰っちゃったんだー!」

「すげぇえええええ!知り合いとかマジすかぁあああ!」

「マジかよ。こんな辺鄙で小ぢんまりしたカフェなのに…」

「辺鄙で小ぢんまりしてて悪かったね…」

「憧れのシンヤさん…!会いてぇええ!」

「あの人、今何やってんだろーなぁ。大分前になんかコンテストの事で雑誌載ってたけど」

「いや、その前にテレビ出てた。グリーンフィールドで怪現象が起こった時に居たの見たよ。解決後の新聞記事で一面飾って、今はポケモンドクターとして活躍してるって書いてたはず」

「ドクターとかすげぇな、ハイスペック過ぎる」

 

だよねだよね、と頷くマスターは「オマケにギラティナの反転世界に住んでる凄い人なんだよ…」と心の中でだけ呟いた。

 

「フルーツの追加買ってきましたー」

「キッスー、おかえりー!私の横座れー!」

「え、ええ!?」

「酔っ払いみたいな絡み方すんなよ…」

「(オマケのオマケにその子はシンヤさんの手持ちだよ、と自慢げに言いたい…)」

 

マスターは心の中でぐっと我慢した。

 

*

 

日も昇る前から大きな荷物を持ってシンヤは人が滅多に踏み入る事の無い土地へとやって来ていた。

出入り口を繋ぎ、目当ての場所まで連れて行く役目を担うギラティナが「あー」と小さく声を漏らす。

 

「この辺あれだわ、オレが死にかけたとこだ…」

 

嫌な思い出が蘇る、シンヤの包帯姿を思い出してギラティナはふるりと体を震わせた。

 

「目的の場所はこのもっと奥だそうだ、ギラティナ、暗いが飛んで行けるか?」

「ああ、問題ねぇよ」

「ギラティナの背に乗るのは初めてだな」

 

わくわくと目を輝かせたミュウツーにギラティナは冷ややかな視線を向ける。

 

「お前は自分で飛んで来い!」

「ケチか…!」

「喧嘩してないで早く行くぞ」

 

*

 

昨日、シンヤに急患が入ったのは突然だった。

ソファで本を読んでる途中につい眠ってしまったらしいシンヤが急に体を起こした。

手に持ったままだった本がバサと床に落ちてリビングに居た連中の視線がシンヤに集まる。

 

「シンヤ…?どうしたの?」

「……ああ、愛しき生命達よ。おはよう、今日はシンヤに相談があって体を借りることにした!」

 

やあ、と片手をあげたシンヤの姿にミロカロスは大きく口を開ける。

 

「ア、アルセウス…」

「シンヤが眠ってる間しか借りれないからな、本題を言おう」

 

この野郎…!とリビングに居た数人が怒りをぐっと堪える中、アルセウスは大袈裟な身振り手振りで言う。

 

「私の友人が深刻な病を患ったようでな、シンヤに診てもらいたい」

「アルセウスの友人ねぇ、ってことはポケモンセンターに連れて行けるような奴じゃないってわけか」

 

ミミロップの言葉にアルセウスは頷いた。

ほお、と興味深げにアルセウスを見たミュウツーは「それで何というポケモンだ?」とアルセウスを急かす。

 

「山深き神聖な場所に居る、やつの名はレジギガス…。友人の苦しげな気持ちが私に伝わって来る…、早く診てやって欲しい。頼んだぞ、シンヤ」

 

そう言って自分の胸に手を当てたアルセウスはぽすんとソファに横になった。

何事も無かったように眠るシンヤ、お互いの顔を見合ったポケモン達は渋々、眠る主人の肩を揺すった。

 

「シンヤ…」

「ん、んん…?ミミロップ…、なんだ…?」

「悲しい…急患のお知らせです…」

「………は?」

 

瀕死?と寝ぼけながら起き上がったシンヤにミミロップは今起きた出来事を説明する。

寝てるシンヤにアルセウス降臨しやがった、との言葉にシンヤが苦々しげに顔を歪める様は滑稽だったとミュウツーは語る。

 

「で、レジギガスを診て来いと…」

「そうそう」

「明日、結婚式じゃないか…」

「ほんとだ!レジギガスは後にしよ!な!シンヤ!」

「それはダメだろ…。私の分も見て来てくれ」

「えぇぇぇ…、ってことは俺様、一緒に行けないってことじゃんかぁああああ!やぁぁだあああああ!」

 

ミロカロスが悲鳴をあげる。それと同時にリビングの扉を勢いよく開けたギラティナがキョロキョロと辺りを見回した。

 

「あれ!?アルセウスの気配したのに!?」

「「「………」」」

「……気のせいか…?」

 

ぷ、とミュウツーが口元に手を当てて笑った。

まあ良いかと呟いたギラティナがシンヤへと視線を向ける。

 

「シンヤ、さっきカフェのマスターから連絡あったんだけどさ」

「マスターから?どうしたんだ?」

「明日、予約客入っててどうしても休めないのに右腕骨折したんだってよ。仕事出来ないしピジョットだけじゃ店回んねぇから手伝いに来て欲しいって」

「…なんだと!?」

「明日ァ!?」

 

よりにもよって明日ァ!?とミミロップが声をあげる。

なに騒いでんのか知らないけど伝えたからオレ寝直すね、と大きな欠伸をしたギラティナがリビングから庭に出てゴロリと寝転がる。

 

「とりあえず、ブラッキー。ヤマトに連絡してくれ…」

「ああ、オッケー。電話、電話!」

「カフェへの手伝いは自分とチルで行こう…」

「はい!」

「そうだな、サマヨールとチルタリスに………いや、待てよ…?明日、結婚式でジョーイがポケモンセンターを空けるから…」

 

ああ…とシンヤが額を押さえる。

「結婚式の日、私お手伝いにポケモンセンター空けますから!ポケモンセンターに式に出席しない子を置いといて下さいね!ゼッタイですよ!!!」と腹の立つほどに言われていたのを思い出した。

 

「ミミロップ、お前留守番だ…」

「…はあ!?急患は!?」

「それは私だけで行くが、ポケモンセンターに人手を置いておけとジョーイに言われてたの思い出した…」

「えぇぇぇ…、レジギガス診たかった…」

 

ガクと項垂れるミミロップ。

ミミロップの助手にはサーナイトを置いて行きたいが、サーナイトはすでにジョーイの所で明日の準備をする為に不在。

 

「サマヨール、ミミロップとポケモンセンターを任せる」

「了解した…」

「それでカフェの手伝いだが、チルタリスだけじゃキツイだろうからな…トゲキッスに行ってもらうか…」

「え、でも!キッスさんが一緒ではご主人様がお出掛け出来ませんよ!?」

「ううん…ツバキに連絡してカイリュー送ってもらうしかないな…」

 

今からですか…とチラリとトゲキッスが時計を確認する。

まあこの状況では仕方がない。とトゲキッスが眉を下げた時、ヤマトに連絡を終えたブラッキーが戻って来た。

 

「ヤマトに言って来たぜー、怒ってたけどレジギガスが病気らしくて診に行くって言ったら「二人には僕がちゃんと説明しておくから!」って言ってた。あと「レジギガスの事あとで絶対に教えてね!」とも言ってた」

「そうか、持って行こうと思ってた荷物やご祝儀はテーブルに置いて行くから忘れずに持って行ってくれ」

「おう。なんか他にもぐだぐだ言ってたけどめんどくさいからブチって来たけど良かったよな?」

「大丈夫だ」

 

いつものことだから、と言いつつシンヤが電話へと向かおうとソファから腰をあげた。

ツバキにもまたうるさく言われそうだなと考えるシンヤの肩をぽんとミュウツーが叩く。

 

「シンヤ、わざわざうるさいツバキに連絡してカイリューを呼び戻すまでもない」

「な、なんだ急に…」

「もっとも便利な奴が残ってる」

 

チラリと庭へ視線をやったミュウツー。視線を辿れば庭で寝ているギラティナの姿。

 

「ギラティナー!!!!」

「はっ、はいぃいい!?」

「明日は私とお出掛けだ」

「……へ?」

「私も行くけどな!」

 

え、ミュウツーも行くのか?と眉を寄せるシンヤに当然だと頷くミュウツー。な、なんの話?とギラティナがシンヤとミュウツーへ交互に視線をやった。

 

「シンヤ、まさかの手持ちゼロで出掛けんのかよ。大丈夫かな…」

「うわ、マジだ」

 

ブラッキーの言葉にミミロップが顔を歪めた。

遠出するらしいご主人のまさかの手ブラにブラッキーは考える。

 

「フィーがノリコに連れて行かれてなきゃなぁ…、つーか、どうする?サナが式場に居るわけだから…オレかミロ、やっぱ欠席する?」

「俺様、欠席したい…けど…、うぐぐ、タモツと約束してるし…。いや!やっぱタモツはどうでも良いかな!…な!」

「うん、可哀想だからやっぱ出席してやろうな!」

「じゃあ、ツキが欠席しろよ」

「いや、ポチちゃんと約束してるし、タモツが可哀想だからオレは結婚式に行く。つか、シンヤ達が朝一番に出て、ポケモンセンターとカフェにみんな出てって、結婚式出席組って一番最後に家を出ることになるじゃん。オレが居なかったら明日のミロとヤマトの準備を誰がするんだって話」

「……お前、絶対に出席だわ」

「だろ?」

「じゃあ、ワタシがポケモンセンターに一人残って、ヨルについてってもらう?」

「ミミローとラッキーちゃん達だけで何かあった場合、大丈夫だって言うんなら…」

「何かあった場合、めっちゃ困る…」

「ですよねー。さすがシンヤ、完璧な采配!……ギラティナとミュウツーに任せるか…」

「まあ、ギラティナが居れば大丈夫だろ」

 

白い方が好き勝手にしやがるけど、とミミロップが付け足せばブラッキーは小さく頷いた。

 

*

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