一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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「というわけで、と言ってもどういうわけか理解出来ないと思うが、お金を貸して下さい」

 

プラターヌの研究所まで来たシンヤが土下座をする姿にプラターヌは持っていたカップを落として割り、咄嗟に自分までも土下座をした。

 

「うおおおおお!ようこそシンヤさーん!!!お金なんていくらでも持って行ってくれぇええ!!!」

 

やったぜ。とシンヤの後ろに立っていたジジイトリオ+幼児が拳を握った。

ギラティナがギリリと奥歯を噛み締める。

プラターヌに貰ったお金を持ってガレットを買いに行ったアルセウス達を放って置いてシンヤはプラターヌに出されたコーヒーを飲んで、ほっと一息ついた。

 

「いやぁ、デセルシティから連絡は来てたけど、シンヤさんまでフーパに『おでまし』させられていたとはね!」

「術後に抜けた直後だったから何も持ってなくてな…、あ、あと電話も貸してくれ」

「どうぞどうぞ!」

 

申し訳ない、と頭を下げたシンヤにとんでもございません、サイン下さい。と色紙を手にプラターヌが笑った。

いや、書くけども…と思いつつ、色紙を受け取り慣れた手付きでサインするシンヤ。

 

「あの、壁とかに貼ってる記事は…」

「ああ!全部、シンヤさんのだよ!そういえばツバキから聞いたけど、この記事に一緒に写ってる彼はミュウツーなんだって!?」

「さっき、ガレット買いに行った中に居ただろ…」

「嘘!?シンヤさんしか見てなかった!!」

 

色々と語り合いたいんだ、と言ってソワソワするプラターヌを見て、コイツうぜぇな。と思いながらもギラティナは黙って様子を見守った。

 

*

 

散々、語られ捕まり続けたシンヤはガレットを土産に戻って来たミュウツーに大興奮するプラターヌにやっと解放された。

プラターヌの助手に電話を借りて、ズイのポケモンセンターへと電話を掛ける。

 

「あー、連絡が遅れたすまん」

<「大丈夫ですよ。シンヤさんが死んだらみんな死ぬんですから。平和だから生きてるんだろうなーって思ってましたし」>

「お前、相変わらずムカつくな」

<「やだ~、もうそんなに褒めないで♪」>

 

ズイのジョーイ。本当にムカつく。と眉間に皺を寄せたシンヤ。

 

<「で、今何処なんです?」>

「カロス地方のミアレシティだ、プラターヌ研究所に居る」

<「やだ!お土産待ってるわ!」>

「殴りたい」

<「はーい、思っても口に出さなーい」>

 

ミミロップは?とシンヤが聞けば、ジョーイはポケモンドクター志望の子が居てそっちに向かわせたわ。と話を続けた。

ミミロップが弟子をとりたいだなんて、天変地異の前触れか何かだろうか。とシンヤは眉を寄せる。ギラティナに続いての人間嫌いも良い所なのに。

 

<「ミミローくんなりにシンヤさんの事を思ってるのよ」>

「…?、思ってもらってるのは十分伝わってるぞ?」

<「ふふふ」>

 

なんだその笑い。気持ち悪い。とシンヤが顔を歪めた所でジョーイの背後でサーナイトの大きな声が響く。

 

<「ジョーイさん!大変ですわー!!シンヤは!シンヤは何処ですの!?」>

<「今、カロス地方よ~。丁度、電話中」>

<「シンヤ!?どうしてカロス地方になんて居るんですの!?」>

「色々あって…」

<「しかも手術着で!?」>

「うん、それより、大変な事ってなんだ」

 

シンヤの言葉にサーナイトがハッ!と目を見開く。

 

<「そうですわ!ノリコちゃんが…!ノリコちゃんがリボンをゲットしたんですの!!!」>

「そんな凄い事が起こるから、私がこんな目にあったのか…!!」

<「兄としての一言目がそれって…」>

<「お祝いですわー!!」>

 

キャー!と喜ぶサーナイトの横でジョーイがシンヤに冷たい視線を送る。

サーナイトの声に気付いたギラティナがどうしたの?とシンヤの後ろから通話画面を覗き込んだ。

 

<「ノリコちゃんがリボン初ゲットしたんですのよ!」>

「マジかよ!?あのノリコが!?」

<「ええ!」>

「相当、今回のコンテストレベル低い当たり大会だったんだな!やったな!」

<「ですわね!」>

 

ぐっ!と親指を立てた二人を見て、オイコラ、と流石にシンヤもツッコミを入れる。

 

「ノリコは頑張ってただろうが!」

<「いやいや、シンヤさんも一言目、酷かったですよ?」>

 

ん?と誤魔化そうとするシンヤにオイ、とジョーイからのツッコミが入る。

 

<「とりあえず!お祝いしますから!早く帰って来て下さいまし!」>

「そうだぞ。早くシンオウに繋げろギラティナ!」

「遠いと結構、キツイのに…!」

 

頑張るよぅ、と目元を拭ったギラティナ。

いつの間に近付いて来ていたのか、ガレットを食べながらミュウツーが通話画面を覗き込む。

 

「ミアレガレット、美味いぞ」

<「「ずるい!」」>

「あ!余計な事を言うな!」

 

*

 

ツバキ経由でジョウトのポケモンセンターに送られたミミロップは早速、ポケモンドクター志望生に会いに来ていた。

転送して貰える辺り、ポケモンに生まれて便利だよなぁと思いつつ白衣の襟を整えてポケモンセンターのロビーへと向かった。

 

「あ、ミミロー先生。彼よ、ポケモンドクター志望のタケシくん」

「はじめま…ッ!?!?」

「あ゙?」

 

ミミロップの姿を見て固まったタケシという男。

なんで途中で止まったの?と理解出来ずにミミロップの顔が歪む。

 

「なに?どうかした?」

「ミミロー先生が、あまりにお美しくいらっしゃるので…っ、このタケシ、感動にうち震えております…っ!!てっきり男性だとばかり…!」

「いや、オスだし」

「そんな馬鹿な!?」

「ふふ、ミミロー先生は男性よ」

「そんなぁあああ!!!」

 

ワタシ、この弟子ちょっとヤダな。と思いながらミミロップは眉間に皺を寄せた。

そんなミミロップにラッキーが声を掛ける。

 

「んぁ?電話?ツバキかな?」

「ラキラッキー」

「サナか~、なんだろ…」

 

え?ラッキーと会話してらっしゃる?と首を傾げるタケシにジョーイが微笑みを返す。

 

「ついでにタケシくんも紹介しときますかねぇ」

「あ、ありがとうございます!」

 

ご一緒させて頂きます!と敬礼したタケシを連れて電話を取ったミミロップ。

通話画面に映ったサーナイトを見てタケシが「ほあ!?」と奇声をあげた。

 

「やかましい!」

「ぁ、すみません…!しかし、いや、あの…シンヤさんのお知り合いのサナさんでは?」

「あれ?知り合いだったの?そーだよ、っていうか、ワタシはシンヤの弟子だし」

 

な、なんと!?と驚き固まるタケシにサーナイトが「お久しぶりですわねぇ」と笑った。

 

「それより、何?あ、シンヤ、大丈夫だった?」

<「ええ、大丈夫そうでしたわ。シンヤはカロス地方のミアレシティに居るそうですわよ」>

「はぁ?また遠くに…」

<「それよりも!ですわ!」>

「なにぃ?シンヤより重要なこと?」

<「ノリコちゃんがコンテストでリボンを初ゲット致しましたの~!」>

「あ、そう…」

<「反応薄いですわよ!?初ですわよ!初!」>

「ノリコさんというと、シンヤさんの妹さんですよね!おめでとうございます!」

<「ええ!とってもおめでたい事ですわ!でも、タケシさんが何故、ミミローさんと一緒に居るんですの?」>

「ポケモンドクター志望のやつ、こいつ」

<「タケシさんが!?まあ!それはシンヤもびっくりしますわよ!」>

「自分もびっくりです!まさか憧れていたシンヤさんのお弟子さんであるミミロー先生にご指導頂けるようになるなんて…っ!」

 

そのタケシの言葉にミミロップの目がキラリと輝く。

 

「シンヤに憧れてる時点でお前は見込み有りまくりだ!合格!ワタシに任せろ!立派なポケモンドクターにしてやる!」

「ありがとうございます!」

 

シンヤを尊敬する者に悪い奴は居ない。そんな持論を持つミミロップはビシリと親指を立てた。

そんなミミロップはぶっちゃけ、ノリコはどうでも良かった。

 

「まあ、でもフィーの苦労が報われたな」

<「本当に!リボン一個取ってしまえば、もっともっと自信が付いてグランドフェスティバルまでの道も遠くないですわ!」>

 

タケシの知らぬ所でコンテスト経験者達は語る。というか、経験者からすればリボン一個にどんだけ時間掛かってんだよ、というのがミミロップの本音であるがシンヤの妹なのでその言葉は飲みこんだ。

 

「今度、シンヤにもちゃんとタケシのこと紹介するからな」

「ありがとうございます!でも、まだまだ未熟ゆえシンヤさんにお会いするのがお恥ずかしいくらいなんですが…」

「ジムリーダー経験とブリーダー経験あってのドクター志望だろ?恥ずかしい事なんか無ぇよ。シンヤも喜ぶと思うぜ」

「ぁ、ありがとうございます…!」

<「とりあえずー、シンヤがカロス地方から帰って来たらお祝いするので、ちゃんとミミローさんも帰って来て下さいませー」>

「おっけー」

<「タケシさんもご予定空いてましたら、ズイのポケモンセンターまでミミローさんと来て下さいまし!」>

「自分も宜しいのですか!?」

<「ええ!勿論ですわ!ワタクシの奥さんも紹介致します♪」>

「奥さん…?」

 

通話画面の向こうでウフフと笑ったサーナイトにタケシの表情が困惑で歪む。

 

「え?結局、式挙げんの?」

<「ユキコちゃんと相談して、ドレス三人で着ちゃいましょう!って話になりましたの!モモさん達みたいな盛大なのはするつもりは無いんですけど、シンヤがしたみたいなので良いんじゃないかってことで!」>

「あー、良いんじゃね。楽だし」

<「白無垢も捨てがたいという事で白無垢も四人分レンタルしますの!」>

「四人?」

<「せっかくならミロさんの白無垢も見たいでしょう?」>

 

えー…別にどうでも良い。みたいな顔をしたミミロップにサーナイトが付け足す。

 

<「その旦那様の和装も♪」>

「見たいです。お願いします」

 

絶対に似合うじゃん!紋付き袴が似合わないわけないじゃん!と喜ぶミミロップ。隣で聞いていたタケシが申し訳なさそうに手をあげた。

 

「あ、あの…お話について理解出来ない所が…」

「え?どこ?」

「まず、サナさんの奥さん?というのは?」

「ああ、サナはいわゆるオカマ。オス…じゃなくて、男なんだよ。んで、そのサナに惚れたズイのジョーイと結婚すんの」

 

言葉も出ず、パクパクと口を開閉させるタケシにサーナイトが困った様に頬笑みかける。

 

「で、では、三人のドレスだったり、ミロさんの白無垢というのは…」

「えーっとな、シンヤの弟は知ってるか?」

「はい、カズキさんですよね。アラモスタウンでお会いしました」

「うん。アイツも結婚すんだよ。だからカズキの嫁さんとサナとジョーイさんがドレス着るだろ?」

「…」

「そんで、身内だけでなんだけど、ミロはシンヤと洋装で簡単な式挙げたんだわ。でも、和装はやってねぇから一緒にやろっかな~って話」

 

オッケーですか。と聞いたミミロップにタケシはコクコクと頷いた。

衝撃的過ぎるが、シンヤとミロの仲は知ってたのですんなり納得。

 

「とてもおめでたい事と思いますが、自分はサナさんが男性であったのがショックであります…!」

 

ぶわ、と涙を流したタケシにサーナイトはとどめを刺した。

 

<「ちなみにフィーさんも男性ですのよ~」>

「ぐはぁっ!?!?」

「大袈裟な奴だな…」

 

*

 

「わあああああん!!フィーさぁぁん!!!やったよぉおお!!!」

「知ってますよ、見てたんですから…」

 

リボンを片手に駆け寄って来るノリコにエーフィは笑みを返す。

ムウマージはとうとうノリコの説明を理解してやったぜ!なドヤ顔である。

 

「これで、これでやっと、スタート地点に立てました…!」

「そうですね」

「これも、フィーさんが、のんを見捨てずに鍛えてくれたお陰ですぅ…っ」

 

ううう、と泣きだしたノリコの頭にエーフィはチョップをかました。

 

「痛い!」

「何を泣いてるんですか。まだスタート地点でしょう!あと四つ!当然、集めますよね?」

「も、勿論です!!」

「演技もバトルもまだまだ技術を上げていかないと、シンヤさんには到底追い付けません」

「はぃ~…」

 

しょんぼりと肩を落としたノリコを見て苦笑いを浮かべたエーフィは落ち込むノリコの額を指で押さえた。

 

「まあ、でも初リボンですから、お祝いですね」

「!!」

 

やったやった!とハシャぐノリコ。

ノリコとエーフィのやり取りを遠目で見てたカズキとユキコは顔を見合わせて笑った。

 

「なんだあれ、超ウケる」

「もう、言っちゃダメですからね、カズキさん」

「いやぁ…片割れとしては、あれは言ってやりたいんだけどなぁ…」

 

思い出して笑いを堪えるカズキにユキコは苦笑いを浮かべる。

観客席で見てた誰よりも、ノリコが優勝した瞬間に泣いて喜んで、一目散にサーナイトに報告の電話をしたエーフィの姿を。

 

「あんなの知ったらノリコ、もっと喜ぶのによ~」

「そこはフィーさんの男としてのプライドってものがありますから!」

「なんだよ、お前、女のくせに」

「カズキさんこそ、男のくせに!」

 

む、と顔を見合わせてから、同時にフと笑みを零したカズキとユキコ。

そんな二人に「よう」と背後から声が掛った。

 

「イチャイチャしやがってよォ」

「エイゴさん!」

 

シンヤにリハビリ治療を受け、一応、治療完了の承諾を得たエイゴがヘラリと笑った。

 

「エイゴさんもコンテスト見に来てたんですか?」

「んー?いや、ふれあい広場でゴロゴロしてきた帰り~」

「ふれあい広場って…、入れないでしょ…」

「受付の姉ちゃんに入れて?ってお願いしたら入れてくれたぜ?」

「……」

 

チッ、世の中、イケメンに甘過ぎんだよ畜生。と内心思いつつも口には出さないカズキ。

お二人はコンテスト見にデート?と聞かれて、ユキコがニコリと笑う。

 

「カズキさんの双子の妹さんが出場されてたんです」

「へぇ!どうだったの?」

「ふふん、オレの妹はやる時はやるんスよ!」

「優勝か!」

 

ぐっ、と親指を立てたカズキに、おお、と驚いてみせたエイゴ。

 

「妹、コーディネーターなんだなァ。グランドフェスティバルもそろそろか?ん?」

「…いや、それは、まだちょっと…」

「ちょっと足らねぇ?あのリボン何個よ?」

「…………四個ッス」

「……………」

 

黙り込んで、少し考えたエイゴ。

そしてニコリと笑った。

 

「私、シンヤさんのリハビリの成果で思った事がすぐに口に出なくなったんだ!凄くね?」

「言ってるようなもんだよ!!」

「え、じゃあ言った方が良いの?」

「やめてっ!オレの大事な片割れなんだ!」

 

言うなよー!絶対に言うなよー!と両手で顔を覆い喚くカズキを見て、笑うエイゴ。

 

「リハビリ受けたけど、やっぱり人の嫌がってる顔が好き~」

「このクソドエス野郎が!っていうか、バンギラスの方はどうなんスか」

「元気よ?」

「いや、元気かどうかじゃなくて…」

「あ~…、そくばっきーな所な」

 

そくばっきー、ってなんだよ。と思いつつも、何となくは分かったのでカズキは頷く。

 

「良い感じ」

「お、マジですか」

「うん、何やっても嫌がんないし、可愛いよ」

「アンタ何やってんだ!?」

「いやいや、バンちゃん悦んでるよ?知りたい?私のやってるコ・ト♡」

「お断り申し上げます。決して口にしないで下さい。お願いします」

「良いな、その顔」

 

そそる、と言って笑ったエイゴ。

カズキは心の中で思った、兄にこれ以上の負担は掛けたくはないが、コイツにはまだリハビリは必要なのではないかと…。

 

「仲良くされているなら、何よりですね!」

「だよねェ~」

 

うわぁ、オレの嫁、純粋過ぎて、うわぁ…!

頭を抱えたカズキが小さく溜息を吐いた。

 

「そういや、お二人さん、結婚式いつ?さすがに私もご祝儀くらい包むよ?」

「あ、いや、そんな結婚式っていう程のことやらないんで良いっすよ」

「そうなの?」

「ドレスと白無垢着て貰って、ちょっとわいわいやろうかなぁ程度っす。エイゴさんも時間あったら来て下さいよ、予定決まったら連絡するんで」

「おー、そんな堅苦しいやつじゃないなら参加させてもらおっかなァ。反転世界でやんの?」

「一応、集合はズイのポケセンで、場所はミチーナのカフェでやらせてもらおうかなぁと思ってマスターには相談してます」

「マスターんとこか!じゃあ、絶対行く!」

 

あそこ大好き~、と笑ったエイゴにカズキが微笑み返す。

 

「なんか最近、あそこに新メンバー入ったよな。コーヒー淹れるの下手な子、可愛いけどさァ」

「あ~…ミカっすね」

「あの子、ポケモンっぽくない?なんか人になれる子とか普通に仕事してたりするって聞いてから、なんとなく違うな~って思う子いるんだよねェ…」

 

まあ、リハビリの成果の出てる私は聞いたりしませんけども、と頷いたエイゴにカズキは目を見開く。

 

「見分け付けられる人、珍しいと思いますよ…?」

「そーなの?でも、当たってるかわかんねぇよ?」

「少なくとも、ミカは当たってます」

「ふ~ん…、何のポケモンかまで予想出来るようになったら面白ぇかな?あんまりポケモン、詳しくないけど、あのミカちゃんって子は私の好きなゴーストとか悪系っぽい」

「いや、ズバリだしソレ!?」

「マジ?やったね~♪」

 

でも、当たった所で何の役にも立たないけど、と付け足してエイゴはヘラヘラと笑った。

そんなエイゴにカズキは一つ提案してみる。

 

「ポケモン研究とか興味ないっすか?」

「は?」

「オレの幼馴染、ポケモン研究の博士なんですけど。何となくでも見分けられるその観察力が優れてる人って貴重だと思うんです…」

「いや、私、愛無き男ですよ?」

「自分でそれ言えるくらいに回復してるんだから、大丈夫でしょ」

「え~…」

「ちょっと、幼馴染のツバキ博士に伝えとくんで!考えといて下さい」

「ええ~…」

 

カズキの提案に不安げな視線を送るユキコ。

そんなユキコにカズキはニコリと笑顔を向けて見せた。

 

 

(オレ、育てんのは得意なんだよなぁ…)

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