一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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「ミロ、お前…何やってんの?」

「綿、植えてる」

「聞いても分からなかった…寝よう…」

 

ぐう、と突っ伏して寝るギラティナ。

せっせと庭に種付き綿を植えているミロカロスを見てからシンヤも小さく欠伸をした。

図鑑を見てたら眠くなって来た、うとうととしだした所で紙袋両手にヤマトがやって来た。

 

「ただいま!お土産にシュークリーム買って来たよ!」

「そうか…おかえり…」

「チョコシューだよ!」

 

だから、なんだ。とシンヤが目を細める。

めちゃくちゃ人気店のチョコシューだよ!と更に念を押してくる。別に食べたくない、それで喜ぶのなんてブラッキーくらいだ。

人気店とか限定とか好きだからな…。

 

「みんなで食べてね」

「ああ…ふわぁぁ…」

「眠そうだね」

「ああ、ちょっと図鑑見てたら眠くなって来た」

「なんで今更、図鑑?」

「昨日、この地方に居ない可愛いポケモンと会ってな。なんてポケモンか聞きそびれたから探してるんだ」

「可愛いってどれくらい可愛い!?」

「めちゃくちゃ可愛い、もっこもこ」

 

えええええ!!!と叫ぶヤマト。相変わらず可愛いポケモンが好きだな。

 

「メリープとかワタッコじゃないの?」

「違うなぁ、メリープみたいに角っぽいのはあったな。緑色で…、風に飛ばされて行ったし、草タイプっぽい気はするんだが…」

「緑色の角っぽいのがあって、もっこもこ?もしかして、体は茶色系?」

「ああ!茶色だった!」

「エルフーンじゃない!?僕、イッシュ地方で見たよ!めちゃくちゃ可愛かった!」

「イッシュ地方の図鑑か!じゃあ、これじゃないな…」

 

見てた図鑑には載ってないな、と本を閉じたシンヤ。

イッシュ地方から飛んでくるエルフーン、どんだけ自由なの!?とヤマトが驚いていた。確かに遠すぎる距離だ。よく生きて飛んできたなアイツ。

 

「まあ、誰かが連れて来た可能性もあるしな」

「あー…それもそうだね」

「「密猟者とか…」」

 

嫌な想像が被った。と二人揃って顔を逸らしたシンヤとヤマト。

とりあえず、イッシュの図鑑取って来ると座布団から立ったシンヤ。じゃあ僕はシュークリームを冷蔵庫に入れるね、とキッチンへ向かうヤマト。

綿を埋め終わったミロカロスが一部だけ盛り上がった土にジョウロで水をやった。

 

「大きくなーれ、大きくなーれ♪」

「え…?それ、でかくなんの…?」

「知らない」

「……」

 

*

 

図鑑を広げて、シンヤの出会ったポケモンがエルフーンである事が確定した。

エルフーンを枕にして寝たい。と言ったシンヤにヤマトが深く頷き同意する。

 

「あ、僕、約束あるんだった。もう行かないと!」

「へえ」

「うん、アグノムと遊びに行く約束しててさ」

「アグノム…?」

「最新のトレンドが知りたいから本屋に雑誌でも買いに行こうか~って話になってね」

 

あはは、と笑ったヤマトにシンヤは苦笑いを返す。

 

「トレンドとか気にするのか」

「長く生きてると時代に疎くなるんだってさ」

「なるほど…」

「最近、ミッションにも協力してくれるから僕もアグノムに協力してあげないとね~」

「ふーん」

 

じゃあね、と手を振って出て行ったヤマトに手を振り返す。

出て行った後に、ブラッキーは?と思ったが自分が口を出すことでもないかと図鑑を閉じた。

それに、ブラッキーの好きそうな物ばかりお土産に買って来る時点で大丈夫だろう、と思いつつシンヤは欠伸をした。

 

*

 

結婚後、ジョーイと生活を始めたサーナイト不在。

ジョウト地方へ弟子の教育に行っているミミロップ不在。

カフェで働くサマヨールとチルタリスは遅くまで仕事で不在。

育て屋の閉店作業中であろうトゲキッスも不在。

コンテスト修行の為、ノリコに同行しているエーフィも不在。

 

黙々と食事をするシンヤとテレビに夢中のミロカロスとミュウツー。

がつがつ、と食事を頬張るギラティナを見て、ブラッキーが溜息を吐いた。

 

「めっちゃ静か…」

「(もぐもぐ)…んだよ、急に」

「いつも何かしらあった事を報告してくれるサナが出て行ってさー、気遣って話しかけてくれるチルとキッスも居なかったら、静か過ぎると思って…」

 

誰か、何かあった事、喋って、会話プリーズ。と盛り上がりを求めるブラッキー。

そんなブラッキーにミロカロスが笑顔で言った。

 

「今日、綿、植えたよ!」

「植えてたな~」

「なんかそういえば盛り上がってる土の塊があったな…」

「いや、意味不明だわ…それ…」

 

黙々と食事をしていたシンヤがスプーンを置く。

 

「実は昨日な、スーパーの帰り道に見た事の無いポケモンと会ったんだ」

「おお!そういうの!そういうの!」

「もこもこで可愛いポケモンでな、腹を空かせて倒れてたから、ポケモンフードやらを与えて満腹にしてやったらお礼に種付きの綿を貰ったんだ。それが今日、ミロが植えた綿だ」

「へー!そのもこもこで可愛いポケモンってなんなの?」

「最初、自分で調べてたんだが見当たらなくてな…、丁度お土産を持って来たヤマトに話したらイッシュ地方のエルフーンというポケモンだと分かった」

 

ふーん。と相槌を打つミュウツーとギラティナ。

エルフーンの情報よりも気になったお土産にブラッキーが食い付く。

 

「お土産?」

「ああ、なんか人気店のチョコシューだとか言ってたぞ」

「あああああ!!マジでかあああ!!!あの食べたかったやつかな!?」

「知らん。見てみれば良いだろ」

 

キッチンまで走って、バコーンと激しく冷蔵庫を開けたブラッキーが「うおおおおお!!やったぁあああ!!!」と声をあげている。食べたかったやつだったらしい。

そんな事はどうでも良いミュウツーが、そういえばと話を切り出す。

 

「助産行為の許可は貰えたのか?」

「ん?ああ、貰ったぞ」

「本当か!やったな!」

 

それは楽しみ!とミュウツーが目を輝かせる。

その楽しみは理解出来ん、とギラティナが再び料理を口に運ぶ。

 

「モモの出産予定日までにはミミローに帰って来てもらわないとな」

「まあ、ミミローだけならオレがすぐ繋げるから帰って来れるだろ」

「タケシも通してやれば良いだろ」

「いや、アイツ、サトシとかの知り合いじゃん…。ちょっと気まずいからヤダ…」

 

若干、顔見知りだしよぉと顔を歪めたギラティナ。

あの時を思い出すと…と落ち込みだしたギラティナを慌てて止める。

 

「もういい!思い出すな!」

「でも…」

 

この話はギラティナのトラウマスイッチなのですぐに話題を変えないとまずい。

どうしよう、と慌てているとキッチンから戻って来たブラッキーが箱片手に笑顔だ。

 

「チョコシュー食べようぜ!!!」

「よし、食べよう。すぐ食べよう」

「シンヤ、珍しくノリノリじゃーん!これめちゃくちゃ人気の店のやつでさー」

 

うんうん、と見事に話題が変わってくれた事にほっとしてシュークリームを口に入れた所でトゲキッスとサマヨールとチルタリスの残業組が帰って来た。

 

「ただいまです」

「戻りました…」

「ご主人様がデザートを召し上がってるの珍しいですね!」

 

本当だ、とトゲキッスに笑われたが、チョコシューは美味しかった。

 

*

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