一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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ムクバード※下ネタ注意


どうしてこうなった

 

「あの……、バトルっすか?」

「貴方が私に攻撃をしかけてくるのならお相手致しますよ」

 

野生ポケモンを探してたはずなのに、何故……。オレは見知らぬ男と対峙しているのか……。

しかもその男は自分の事を野生のムクバードだと言いやがる。

誰かー!変な人居るんですけどー!

良い大人がムクバードになりきってるんですけどー!!許されるのは子供だけだとオレは思いますー!!

 

「えーっと、あくまでムクバードだと言い張るならゲットしちゃうぞ~なんて……」

 

アハハ、と笑ってみせる。

ぶっちゃけこんな変な奴の相手をしてないでさっさと本当に新しいポケモンをゲットするべく歩きまわりたい。

オレの言葉でムクバードがニコリと笑った。

 

「では、勝負ですね」

 

そう言ったムクバードは一瞬で人の姿から本当にポケモンのムクバードになった。

オレは慌ててボールを取り出す。マジにポケモンだ!!マジにムクバードだ!!

人の姿になるポケモンなんて初めて見た!!とりあえず、ゲ、ゲットだ!!!

ムクバードに対してオレはメリープを出す。

相性的にはこちらが断然有利、弱らせてゲットしてやるぜ!!

意気込んだオレは数分後に泣き叫ぶ。

 

「メリープゥウウ!!」

 

ボロ負けした。

ムクバード、めちゃくちゃ強いんですけどぉおお……!!何が起こった、コイツ何なんだ!いや、ムクバードだけど!!

 

「勝負ありです。飛行タイプの私に手加減をして下さったみたいで……。お優しいですねぇ」

「……くぅううッ」

 

ニッコリと笑みを浮かべたムクバード。人の姿なもんだからその笑みがくそ憎たらしい!!

こうなりゃガチだ、タイマンだ。オレが戦ってやると服の袖を捲りあげる。

 

「オレが相手になってやる!」

「何をするんですか?メリープのように電気ショックを繰り出せるわけでもない人間様ごときが」

「にゃろぉおお……」

 

丁寧なんだか人を馬鹿にしてんのかどっちだ!!いや、もうどっちもなのか!?

珍しいとかそんな事はもうどうでも良い、このムクバード……絶対、泣かす!!笑ってられんのも今の内だ!貴方様を侮辱したこの鳥野郎目をどうかお許し下さいと土下座させてやる…!!

 

「拳で勝負だ!!」

「嫌です」

「はぁあ!?そこは乗って来いよ!!」

「私は飛行タイプなんですよ?そういう拳のバトルは格闘タイプに挑んで下さい」

「いや、お前……。今は人の姿なんだから、かかって来いよ」

「暑苦しいのは嫌なんです」

 

暑っ苦しくて悪かったなぁああ……。

ムクバードの胸ぐらを引っ掴めば「乱暴な…」と嫌そうに眉を寄せられた。

 

「人間なめんじゃねぇよ、マジ泣かすぞ」

「おや?そんなに自信が?」

「あるに決まってんだろーが!!人間同士ならではのやり方っつーのを教えてやらぁ!!」

 

頭は弱いが、鍛えてるから力の方は自信あんだよ!自分で言ってて悲しいけどなぁ!!!

オレの言葉にムクバードは考えるように視線を動かした。そしてゆっくりとオレに視線を合わせるとニコリと笑う。

 

「少し、興味がありますね」

「あ?」

「人間同士のやり方ですよ」

「おお」

 

じゃあ、とりあえずそのムカつく顔を一発ぶん殴ってやろうかと胸ぐらを引っ掴んだままもう片方の手で拳を作った。

ちゅ、と柔らかいものが口に触れてその拳は行き場をなくしたわけだが……。

 

「……なんで?」

「そういうお誘いなんでしょう?」

「いやいや……、ちょっと……」

「おやおや?自信ありと言っておいて……」

「いやいやいや!!」

 

誰がいつ男同士でイチャつこうぜ!なんて言ったよ!!今の乗りだとどう考えても拳のバトルフラグだろうが!!

 

「不能、でしたか……」

「違うわぁあああああ!!!」

 

バッチリガチガチに使えますよぉおおお!?

 

「ああ、じゃあ萎縮したとか」

 

何処までもコイツはオレを馬鹿にしたいらしい。

何なの、オレはコイツに喧嘩を売られてんのか?あ、これは乗って来いと?何でポケモンのしかもオスを相手にしなくちゃ駄目なの?

ぜってぇ、イヤ。

胸ぐらを掴んでいた手を離せばムクバードは首を傾げる。

 

「どうしました?」

「お前の相手なんてしてられるか!」

「おや?まだちゃんとした接吻もして頂いていないのですが?」

「誰がするか!」

「ああ、下手なんですか……」

 

違うわ!!

 

「貴方の自信は何処へ行ってしまわれたのやら……」

 

そんな自信をお前相手にかかげた覚えもないんだけどぉお……。

 

「言うだけ言っておいて、実は凄く……」

「何だよ……」

「小さい、とか?」

「ぶっ」

 

図星ですか!図星なんですね!とオレを見てクスクスと笑いだしたムクバード。

オレはムクバードの胸ぐらを再び掴みあげた。

 

「上等だゴラァアアア!!!」

 

 

どうしてこうなった

 

 

我に返り思う。

スッキリしました、ただ後悔しか残っていない。

なんでゲットしちゃったのオレ?

 

(まあまあでしたね)(あんなによがっといて!?)(私の体力はまだ半分も削られていません)(はぁ!?)

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