幼少の頃からの幼馴染が遠方まで出向きアブソルをゲットして帰って来た。
見た目が素晴らしくカッコイイポケモンだったのでオレも欲しいなぁと思っていたら知り合いの知り合いなんていうオレとは全くの他人がゲットしたから、とわざわざ送ってくれた。
良い知り合いを持ったなぁ、と思う。知り合いの知り合いには会った事ないけど。
で、オレの手元に来たアブソルはオレを見るなり嬉しそうに飛びついて来た。幼馴染のアブソルは大人しくてこうキリッとした感じがしたのだが……。
やけに性格が可愛すぎるが、まあ、見た目が大分カッコイイので良いだろう……、うん、見た目。
アブソルを手に入れた数日後、幼馴染に誘われて買い物に行く事になったのだが家を出ようとした時にアブソルにもの凄い勢いで引きとめられて家から出れない。
数分後、滝のような雨が降って来て……、数十分後に幼馴染から鼻声混じりに買い物中止の電話が掛って来る。
次の日、幼馴染は風邪を引いたらしい……、災難だな……。
なんかラッキー、その時は軽く物事を考えていた。
でも……。
なんかラッキー、じゃなくてアブソルが良い方に誘導してくれているような気がして来た……。
買い物で、これ買おうかな、と思った服をアブソルに見せれば大きく首を横に振られ、次の日にアブソルが広告をくわえてやって来た。
昨日買おうとした服が今日は半額だ……。
テレビが壊れたと嘆く幼馴染の話を聞いてオレもテレビを買い換えようかと考えてみる。電気屋に行ったがアブソルがデパートに行けとオレを押す。
デパートで仕方なく晩ご飯の買い物をするとくじが引ける券を貰った。
一等の大型テレビが当たった……。
どうにも事が上手く運ぶ。
アブソルを連れて散歩をしていると急にアブソルが走り出して。慌てて追いかければ怪しげなおじいさんが腰を押さえて地面に蹲っている。
病院に連れて行けば何故か次の日にお礼と言っておじいさんから食べ物やら高価そうな皿やらを貰った。ボディーガードを引き連れてやって来た怪しげなおじいさんは何処ぞの金持ちだったのか……。詳しくは聞かなかったけど……。
ある日の事だった。朝起きるとテーブルの上に朝食が並んでいる。
見知らぬ男が「何飲む?」とオレに声を掛けて来たので「コーヒーで……」と返事してみた。返事をしている場合ではない。
「……」
「はい、コーヒー。冷めないうちに食っちまってくれ!自信作なんだ!」
「……どちらさま?」
「アブソル!」
ニコニコと笑うアブソル……。
カッコイイ見た目のポケモンだったのに、なんで人の姿に……。納得のいかないまま座って朝食を食べ始める。
「あのさ、あのさ」
「なにか……?」
「こうやって、会話出来るのって良いよな!」
そう言ったアブソルが照れたように笑う。
オレが朝食を食べるのを見てまた嬉しそうに笑った。
「今日、出掛ける?今日な○○通りでな事故起きるみたいだから近づかない方が良いぜ!」
「……」
「あとな、これから電話掛って来るけど出ちゃ駄目だから」
「電話?」
オレがそう聞き返すと丁度、電話が鳴った。
チラリと電話を見てからアブソルに視線をやるがアブソルは首を横に振る。
暫くして電話が鳴り止んだ……、アブソルがニコリと笑う。
「ハルノスケにさ、聞きたかったんだけど。どんな事が幸せ?オレ、災いを予知出来るからハルノスケを幸せに出来ると思うんだよ!だってさ、災いの気配が全くない方へとハルノスケを連れて行けば良いんだもんな!」
「別に、そこまでしてもらわなくても……」
普通に暮らせればそれで良いんだけど……と思いつつ、最近の幸運過ぎる数々を思い返す。
災いを避けて全く災いの無い方へとオレは誘導されていたのか、なるほど。災いが全くないって事はそこにあるのは幸運……、本当に災いも幸運も無いって場合もあるかもしれないが……。
「でもなでもな、オレはハルノスケに好きになって欲しいからさ!ハルノスケの為に頑張りてぇの!」
「それは嬉しいけど、なんか幸運過ぎて逆に怖いから、やっぱり良い……」
「大丈夫!オレがついてるから!」
「いや、だから……」
「テレビで見たんだけどさ!億万長者って凄い幸せなんだろ?豪邸に住めるらしいぜ!プールとか家にあるのって幸せ?」
本当に遠慮したいんだけど……。
「オレ、ハルノスケに会えて凄い幸せだから!オレもハルノスケを幸せにしてやるな!」
「……あの」
「だってさだってさ、ボールから出て時にハルノスケの姿見た時すっげぇカッコイイーって思った!もっと頭撫でて欲しいし!偉いぞー大好きだぞーって抱きしめて欲しいからさー!」
えー……、何コイツー……。
見た目はオレと変わらない年に見えるけど中身が幼すぎないか。見た目は、普通の、いや、やっぱりアブソルなだけあってカッコイイというか整った顔してるけど……。
なんていうか、頭が残念……?
「一目惚れって言うやつかな?」
「……オレはアブソルに一目惚れしたんだけどな……」
「!」
見た目が凄く、カッコイイポケモンだったので……。
幸運スーパーアタック!!
幼馴染にアブソルが人の姿になってしまった事を相談してみたら、お前もか、と意外な返事が。
チラリと二人してアブソルの方へと視線をやる。今はポケモンの姿のままのアブソル二匹が少し離れた所で寄り添って眠っている。
「実はアブソルの事で……、凄く、困ってる……」
「お前もかぁああ!俺も超困ってる!アブソルってとんでもねぇ奴だよな!?」
「本当に……」
「だよなぁ……」
二人して大きな溜息を吐いた。
見た目だけで選んでしまったので災いを予知出来るなんて知らなかった。見た目だけのイメージと幼馴染のアブソルの姿からもっと大人しい奴なんだと思ってた。
「幸運過ぎて本当に怖いんだよな……、毎日どんな風に幸せになりたいか聞かれるし……」
「……え?」
「災いを予知してくれるだけで十分なのに」
「ちょ、うちの子は災いすら予知してくれないんですけど、っていうか、予知してても教えてくれないんですけど!?」
「……え、なんで?」
「俺の方が聞きたいぃいい!一番最近のはあれだ、○○通りでパレードあるから見に行ったら事故があって中止になった!何も見れなかったうえに凄い人混みで足踏まれたり突き飛ばされたり酷い目にあった!!」
「……」
「つか、その日、俺お前に電話したんだけど……」
「……アブソルが予知したので、電話に出ませんでした」
「……」
(アブソル……、交換しよーぜ!)(嫌)(お願いします!後生です!!交換して下さい!!)(嫌)