一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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リザード


そういうお年頃

子供だった頃は甘えたり構ってもらうのが普通だった。

でもオレはもう子供じゃない、そりゃ大人でもないかもしれないけど遊んでって甘えたり構って欲しくてずっとくっついてるなんて……、もう出来ないじゃんか……。

もう子供扱いしないで欲しい、ヒナリからしたら子供かもしんないけど、抱きつかれたらなんかすげぇ恥ずかしいし遊ぼうって言われても素直に頷いたら自分がまだまだ子供みたいで嫌なんだよ。

そういうオレの気持ちを分かって欲しいけどヒナリは気付いてくれないし、オレにリザードくん可愛いねーなんて言ってくるし!!そりゃヒトカゲの時は目玉ぐりぐりしてて可愛かったかもしんないけど今はリザードなんだぞ!?何処が!?むしろカッコイイとか言われたい年頃なんだけど!!

 

「リザード~……、寂しかったよな?ごめんな~、迎えに行くの遅くなって……」

「……」

 

よしよし、と頭を撫でてくるヒナリの手を払いのける。オレは子供じゃないんだから頭は撫でなくて良いし、ポケモンセンターに預けられて2、3時間忘れられて放置くらったからって別に寂しくて駄々こねるようなガキじゃないんだから大丈夫なんだよ!!

 

「……うう、リザードが怒ってる……」

 

怒ってねぇよ!!いや、ヒナリのその反応に怒ってはいるけど!!

ギャイギャイと鳴いてみた所でヒナリに言葉が通じるわけもなく……、ごめんなごめんなと謝りながらヒナリがオレを抱きしめる

 

「リザー!!{だから、そういうのやめろって!!}」

「うわあぁあ、嫌がられたぁああ!!」

 

もうちょっと考えろよ!としっぽでヒナリの手を叩けばヒナリはガクンと肩を落とした。

 

「俺の何が嫌なの?進化する前はあんなに仲良しだったのにさー……」

 

ヒナリがオレを子供扱いするのが嫌なんだよ!!って言ってみてもやっぱり言葉は通じない。小さく溜息を吐けば口から火が出た。

 

「う……、でも今日からは大丈夫なんだ!!」

 

何が?

 

「じゃじゃーん!!なんと新しい仲間をゲットしたんだぜー!!」

 

何だとぉおお!?いつの間に!?弱らせもせずにゲットして来たっつーの!?

 

「俺の行きつけのお店で働いてたお兄さんこと、ピジョットだよ。ピジョットお兄さんにリザードも相談とかすると良いよ、俺はするから!!」

 

お兄さんって……、ヒナリが憧れて尊敬してるとか言ってたお兄さん?会った事ねぇけど、ポケモンだったの?

ヒナリがボールからピジョットを出せば、ピジョットは目の前でポケモンの姿から人と同じ姿になった……。な、なにコイツ……!へんしんを覚えてるピジョット?

 

「お兄さーん!この子が可愛いオレのパートナー、リザードですよ!!」

「はじめまして、ですね。仲良くしましょう、リザードくん」

「……」

 

なんだよ、なんだよ、なんだよコイツ!!

ずるいじゃねぇか!!何でコイツだけ人の姿で人の言葉喋って、ヒナリと会話出来てんだよ!!

お茶淹れますか?なんて言ったピジョットにヒナリは大きく頷いた。

オレは何を言っても分かってくれないのに言葉が通じるなんてずるすぎる!!

 

「リザァ!!{オイ、ヒナリ!どういう事だよ!}」

「リザードも飲みたいのか?お兄さんの淹れてくれたお茶」

 

いらねぇし!!

ダメだヒナリとは話にならないと思ったオレはピジョットの傍まで走っていく。

 

「{何で人の姿してんだよ!}」

「何故なのかと聞かれると困るけれど……、気付いたら人の姿になれるようになっていたよ」

「{人の姿になれるのにゲットされるとか何考えてんだ……}」

「随分と警戒するんだね、私は自分の意思でヒナリさんと一緒に居る事を選んだ、それはいけない事かな?」

 

ピジョットの言葉に何も言えなくなった。

いけない事ではない、ヒナリがそう決めたんなら仕方がないけど……。

なんかずるい!!なんかムカつく!!なんか悔しい!!!

ピジョットはテーブルにお茶の入ったカップを置くとポケモンの姿に戻った。

 

「{私が嫌い?}」

「{嫌いじゃないけど……、人の姿になれるからムカつく}」

「{なら私と同じだ。私もリザードくんが嫌いではないけど羨ましくて少し憎らしい}」

 

うんうん、と頷きながらピジョットが言った。

……羨ましい。そっかオレは人の姿になれるピジョットが羨ましかったのかと気付くと、この心にあるずるいとかムカつくとか悔しいって気持ちは全部同じだった。

 

「{なんでだよ……、お前の方が良いじゃんか……}」

「{私は"お兄さん"だから}」

 

ピジョットの言葉は全く意味が分からなかった。

オレが首を傾げるとお茶を飲んでいたヒナリがオレとピジョットの間に入って来て涙目になりながらオレに抱きついてくる。

 

「お兄さんだけリザードと仲良くお喋りとかずるい!!俺も混ぜてぇええ!!」

 

人の姿になったピジョットがヒナリに声をかける。まあまあと宥めるピジョットを見てオレは小さく溜息と一緒に火を吹いた。

オレには出来ない事を出来るくせになにが羨ましいんだ。ヒナリと言葉が通じるくせに……。

 

「お兄さん、リザードが俺の何処が嫌だと思ってるのか聞いてよ!!」

 

チラリとこっちに視線を向けたピジョット。

 

「リザァ!!{オレを子供扱いするのが嫌なんだよ!!}」

「……なるほど」

「なんて?なんて言ったの!?」

「リザードくんも大人になりたいんだそうです」

 

言ってねぇえええ!!!

ピジョットの横で目を輝かせてるヒナリが不気味だ、嫌な予感しかしない。

 

「俺と……、一緒だったんだな!!そっかそっかそっかぁ!!俺と一緒にお兄さんみたいな大人を目指そうぜー!!」

「{どう考えても、ろくな大人じゃねぇよ!!}」

 

喜んでいるヒナリの手をさりげなく握ったピジョットは「じゃあ、まずはゆっくりお喋りでもしながらティータイムを」なんて言ってヒナリを連れて行く。

大人ムカツクゥウウ!!!

なんて思ってるオレはやっぱり子供なの、か……!?

 

 

そういうお年頃

 

 

"オレのパートナー、リザード"

そう言われるキミが羨ましくて意地悪をした私は嫌な奴、なんでしょうね……。

 

「{お前、いつか焼き鳥にしてやる……}」

「{私だって……、いつか同じように言われてみせますよ……}」

「{は?}」

「ちょ、ちょっと……、あの……二人とも俺を一人にしないで……、寂しいから……俺も混ぜて……」

 

 

(マスター、リザードとピジョットが二人で会話してて……、俺だけ仲間外れにされて泣きそうです)(むしろ泣いてみたら面白いんじゃない?)

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