シンオウに住むオレはカントーに住む友人とポケモンを交換した。
進化前から大事に育てたポケモンだったけど友人のどうしてもという願いに応えて元相棒ガブリアスとお別れをしたわけだ。
強面な顔してるけど甘えん坊で可愛い奴だった、元気でなガブリアス!!今度会う時は友人とバトルする時だ!!それまでにもっと強くなれよ!と……。
友人の呆れる声を聞きつつ、オレは泣く泣く……本当に号泣してボールを友人へと送った。
泣きすぎて吐くかと思った。
画面の向こうで申し訳なく思ったのか、ごめんなと謝る友人に首を横に振る。
<「送ったシードラにりゅうのうろこ持たせといたからさ、立派なキングドラになってると思うぜ!!」>
うん、それはそれで凄く嬉しい。
<「じゃあ、またな」>
「おう!」
お別れは寂しいけど新たな出会いに感謝しようじゃないか……。
地面と水でタイプは違えどオレの好きなドラゴンタイプだし文句なんて何もねぇよ。次会った時にバトルしたら確実にオレの方が有利だし。
よし、と頷いて友人から送られたボールを開ければ想像していた通りのキングドラが現れたけど……、想像してた色と違う!!!
「もしもしもしもしー!?」
<「な、なんだよ……」>
呆れたように電話に出てくれた友人にキングドラの色が違うと言えば「そうなの?」と返された。
シードラの時はちゃんと青かったけどなー、他のと比べると違ったのかなーって……、気付けよ!!!!
*
家に帰って子供の頃に使っていたビニールプールを引っ張り出した。せっせと膨らませて水を入れれば準備万端、ビニールプールの中にキングドラを出せばキングドラはオレをじっと見つめて来た。
うーん、やっぱりデカイなー。
まあ、ガブリアスもでかかったから別に気になんないけどさ……。ガブリアスには抱きつけたけどキングドラには無理そうだな……。手、無いし……、肩組むとか完璧無理じゃん……、うわ、ちょっとまた寂しくなってきた……。
「……」
はあ、と小さく溜息を吐いたオレが気に入らなかったのかキングドラはどばぁっとオレに水をかけてきた。
凄い勢いで痛ぇし、しょっぱいし、びしょぬれになったしで……、テンション超下がったんだけど……。なんだっけこの技、しおみず?
「何すんだよ!!」
「……」
「シカトか!!くそ、コイツ嫌な奴だな……」
ガブリアスなら~なんて思ってしまうオレがいるじゃないか!!もっと友好的に接してくれても良いのに!!
「せっかく会えたんだから仲良くしてくれよ」
「……」
「オレはポケモンとスキンシップするのが好きなんだよ、抱きついたり肩組んだり手繋いだり……。まあ、お前とはあんまり出来ないかもしんないけどさぁ……」
はあ、とまた溜息が零れた。
抱きついたら濡れちゃうもんなぁ、肩もねぇし、手もねぇし……。スキンシップ大好き、触れ合い万歳のオレからしたら寂しい……。
ガブリアスは甘えん坊だったから抱きついたら抱きつき返してくれたんだけどねぇ……、フカマルの時は手繋いで歩くのめっちゃ楽しかったもんなぁ……。やべぇ、思い出で涙でそう。思い出がセピア色で思い浮かぶんだけどぉおお……。
「もう晩ご飯だから帰るぞフカマル!!」
コクンと頷いたフカマルと手を繋いで帰って夕暮れ頃、夕焼け色の空を眺めながら家に帰ったあの日……。
ガブリアスのフカマル時代……、可愛さ異常だった……。
「う、ううっ……、ガブリアス……」
「……」
お前の可愛さは異常だった。超癒しだったフカマル時代。今日の夜、アルバム抱えて寝るわオレ……。
腕で目元をごしごしと擦っていると頭をぐわしと鷲掴みにされた。ギリギリと頭を握り潰さん力で掴まれて……、めっちゃ痛ぁああい!!!
「いだだだだだっ!!!って、誰だお前!?」
ビニールプールにはキングドラの姿はなくて、何故か居るのはオレの頭を鷲掴みにしてしかも凄く不機嫌そうにオレを睨んでらっしゃる紫色の髪した男!!
何この人、目赤くてすげぇコワイ!!!
「テメェ……、男の癖にめそめそと鬱陶しいぞ……。しかも口を開けばスキンシップがしたいだの……、お前は女か」
「め、女々しくて……、すいまそん……」
噛んだ。
っていうか、アンタ誰ぇええ!?
「ぐちぐちと前の男ひきずりやがって……!このオレが前の野郎より劣ってるとでも言いてぇのかテメェはよぉ!!!」
「え、え?え?前の男って……え?っていうか本当にどちら様?」
「紫色したキングドラだ!!文句あんのか!?」
「いや、無いっす!!全然無いっす!!紫色バッチコイです!!」
オレの言葉を聞いて「よし」と頷いたキングドラ?がそのままオレをがしっと抱きしめた。
「え、っと、何故に抱きしめるのでしょうか……?」
「はぁあ!?テメェがこうするのが好きっつったんだろうが!!」
「あ、うん、そうだけど……」
何で人の姿してるのかは全く分からないけど、このキングドラはオレを慰めてくれてるのだろうか?
なんだろう、お前の寂しさはオレが埋めてやるぜ!的な感じなのか……?
「あとはなんだっけか?肩組んで、手繋ぐんだったか?」
「やってくれんの?」
「まーな、しゃーねぇしな、お前はオレのトレーナーだからな、命令は聞いてやるよ」
別に命令はしてないけど……、まあ良いか。
あはは、と笑えばキングドラは眉間に皺を寄せた・
「怒ったり泣いたり笑ったり、忙しねぇなテメェ」
「テメェじゃない、オウキ。ちゃんと覚えてくれよな」
「おー」
忘れなかったら覚えとく、と付け足したキングドラとは結構仲良くやっていけそうだ。
言葉で意思疎通出来るとか超便利!!
「でも何で人の姿してるわけ?」
「何でかは知らねぇけど……、やっぱりオレが素敵すぎる紫色だからじゃねぇ?」
「マジか!!すげぇな紫パワー!!」
「カッコイイだろ」
「超カッコイイ!!」
不可能を可能にする色
「ポケモンが人になるとか不思議だなー、完全に人の姿になってんのかなー?ちゃんと"ついてる"のか気になるなー」
「気になるってどの辺がだよ」
「え、どの辺ってその辺とか?」
「待て、この辺は別に気になるような所でもねぇだろ」
「トレーナーの命令には従うんだよな?」
「テメ!!それはずるいぞ!!」
「そんな恥ずかしがるような事でもないだろー」
「見せるような所でもないだろ!!」
「はい、あーんして」
「……」
人間と全く同じでした。
ちゃんとついてた!!のどちんこ!!
(そういや、言い逃したけどオレの癒しだった超可愛いガブリアス……、メスだから女の子だよ)