一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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朝起きたら雪はやんでいた。

ツイてるな、日頃の行いはあまり良いとは言えないがラッキーだ。

 

「イーブイ」

 

私の寝る布団の上で寝ていた二匹のイーブイに声をかける、冷静なイーブイは床に降りたが能天気なイーブイがなかなか降りない。

さっさと行ってユキワラシを捕まえてさっさと戻ってきたい私は布団を持ち上げて能天気なイーブイを床に落とした。

 

「ブィ!!!」

「雪で遊べるぞ」

 

私がそう言えば能天気なイーブイが目を輝かせる、早く外に行きたいのか扉の前で尻尾を振ってまっている姿はまるで犬だ。

身支度を済ませてジョーイさんに挨拶をして外に出る、あまりの寒さに体が縮こまる。こうやって肩をすぼめていると肩が凝って困るな……。

寒いと思いながら歩き始めた私の傍で積もる雪にぼふぼふと音を立てながら突っ込む能天気なイーブイ……理解出来ない。

まだ足跡の付けられていない道を音を立てながら歩けば私の足跡の上を歩く冷静なイーブイ、小さな体では雪に埋もれてしまうからだろうが……、その隣で雪の中を潜る様に進む能天気なイーブイの行動は本当に理解出来ない。

見てるこっちが寒い……。

 

 

草むらに突っ込んでいく能天気なイーブイを少し離れた所から見守る。

早朝という時間もあってあまりにも寒いのでタマゴを抱きかかえながらの傍観だ……。さっさとユキワラシ出て来てくれ……。

 

「ブイー!!!」

 

出たか!!と思えばニューラとバトルをしだした能天気なイーブイ……、ニューラは要らん。

 

「お前も行け」

「ブイ」

 

仕方ない、と言って冷静なイーブイが草むらに入っていく。

能天気なイーブイの活躍が期待出来ないと踏んだんだろう、私も期待するのはやめた。

 

「ブイブイブイー!!」

「ニューラー!!!」

「ブイー!!」

 

ああ、寒いな……。

暫くして能天気なイーブイがニューラを倒した、切り傷を作りながらもまた草むらへと走って行く。

ガサガサと草むらを揺らす音が聞こえた、冷静なイーブイが戻って来たのかと視線をやれば傘を被ったポケモン、ユキワラシが飛び出して来る。そのユキワラシを冷静なイーブイが追いかけていた。どうやら見つけて追い回していたらしい

 

「ユキー!!!」

「ブイ」

 

チラリとこっちを見た冷静なイーブイに「でんこうせっか」とポツリと言えば冷静なイーブイはユキワラシ目掛けて走り出す。

弾き飛ばされたユキワラシが積もった雪山にぶつかって目を回していた。カバンからモンスターボールを取り出して投げればユキワラシはボールの中に吸い込まれる。

赤いランプを付けてボールがカタカタと揺れる。少し長い間揺れていたかと思えばランプは消えてボールも静かになった。

 

「ブイ!」

「ん、ご苦労様。捕獲完了だ」

 

ボールを拾い上げると草むらから能天気なイーブイがユキワラシを追いかけて飛び出てきた。

一匹で良い、と思ったのと同時にそういえばとさっき捕まえたばかりのユキワラシの姿を思い出してみる。

今、能天気なイーブイが追いかけているユキワラシの傘は藁の様な薄いオレンジだ。ツバキと戦っていたユキワラシの傘も薄いオレンジだった。

 

捕まえたのは、傘が青くなかったか?

 

「……傘はユキワラシの服みたいなもので着替えたりするのか?」

「ブイ」

 

首を横に振った冷静なイーブイ、どうやらユキワラシの事情なんて知らないらしい。

まあ、ユキワラシはユキワラシだから良いだろう。さっさとポケモンセンターに戻ってヤマトに送ろう。

 

「イーブイ、帰るぞ」

「ブイ!?」

 

ユキワラシは!?と言いたげにこっちを振り返ったイーブイに手に持っているボールを見せてやる。

パチパチと瞬きをしたイーブイは追いかけていたユキワラシを放って冷静なイーブイの横に並ぶ。

 

「帰るぞ」

「「ブイ!!」」

 

 

ポケモンセンターに入れば待っていたらしいツバキが大きく手を振った。

 

「シンヤさーん!!ゲット出来た?」

「ああ、捕まえた」

「見せて見せて」

 

ユキワラシをボールから出せば笑顔だったツバキの顔がみるみる驚愕の表情へと変わっていった。

 

「え、この子……」

「ユキワラシだろ?」

「そうだけど、色違いじゃん!!あたしが欲しいよ、この子!!」

「諦めろ」

「ケチ!!!」

 

なんか似た様な会話をした気がする。

ユキワラシをボールに戻して、研究所へと電話をかける。

 

「……」

<「あ、シンヤ、おはよう」>

「おはよーございまーす」

 

私の隣に居たツバキが代わりに返事をした。

 

<「初めましてー」>

「はじめましてー、ツバキです!!」

<「僕はヤマトです、よろしくねー」>

 

あはは、えへへと笑っている二人を無視してボールを研究所に送信した。

 

「ユキワラシ、送ったからな」

<「え」>

「じゃあな」

<「え!?」>

 

ブツンと電話を切ればツバキが何ともいえない表情で私を見ていた。

特に話す事がなかったのと色違いだとぐちぐち言われるのも嫌だったのとまだ朝食も食べてなくて空腹だったからが理由だ。

 

ぐ~……。

 

空腹を告げる音が聞こえた。私ではなくツバキの腹から。

顔を赤くしたツバキが誤魔化すように笑い出す。

 

「お、お腹空いたね~」

「そうだな」

 

朝食を食べ終えてキッサキシティのポケモンショップに立ち寄った私は少なくなって来た薬を買いだめする。

 

「キッサキ神殿に入りたいのに入り口で門前払いされた」

 

トボトボと帰って来たツバキの第一声だった。

 

「神殿というくらいなんだからそう簡単には入れてくれないだろ」

「あたし、これでも殿堂入りしたのに」

「へぇ」

 

殿堂入り、何のだ?とは話が長くなりそうだったので聞かなかった。

 

「あ!!あたし、ファイトエリア行く!!」

「いってらっしゃい」

「シンヤさんも一緒に……」

「行かない」

 

肩を落としたツバキが手を振ったので小さく手を振り返してやる。

ツバキの背を見送っているとチラリとツバキが振り返ってまた手を振った。今度は振り返してやらなかった。面倒だったからだ。

その後、口元を手で押さえ芝居がかったように泣きながら走って行った。とんだ茶番劇だ。

 

ポケモンセンターに戻って暫くするとヨルノズクが窓をくちばしで突いていた。

 

「ホー」

「ツバキの……」

 

ヨルノズクが足を突き出す、その足には紙が括り付けられていた。

 

< ツバキちゃんへの連絡はここにお・ね・が・い >

 

ヨルノズクは再び空へと飛び立った。

 

*

 

ツバキと別れ、さてこれからどうしようかとコーヒーを啜る。

ポケモンセンターの出入り口を眺めながらぼんやりと考えた。キッサキシティを出るのは良いが下山が面倒だ。だからと言ってここにずっと居るわけにも行かないし……。

小さく溜息を吐くと青いポケモンを連れた青い格好の男がポケモンセンターに入って来た。何処までも青が好きなのか帽子もマントも青い。パッと見で連想させるのはぼんやりと記憶にあるどこぞの谷のカバの様な生き物の友達で緑色の旅人……いや、どうでも良い事か。

再びコーヒーを啜ると冷静なイーブイが私の足を前足で突いた、視線をやれば困ったような呆れたような表情で私を見ている。

ポケモンセンター内に出して自由にさせていたが、そういえば能天気なイーブイが……。

 

「アイツ、何処行った」

「ブイ……」

 

冷静なイーブイもどうやら見失ったらしい能天気なイーブイを捜索する事にした。

辺りを見渡しても見付からない所を見ると宿泊施設の方か食堂の方か、はたまた外か……外だと最悪だな。

近くに居れば良いのにと思いつつ植木の後ろやソファの後ろなど隠れて見えない所を探してみた。居なかった。

 

「お前、双子のテレパシー的な何かで分からないのか?」

「ブイ~」

 

無茶言うなと返される。まあ私も無茶を言ったなぁとは思う。それに仲は良いが本当に双子かどうかは定かではない。

はあ、と溜息を零すとポンと肩を叩かれる。そこにはさっきの……。

 

「スナフキ……」

「え?」

「いや、何でもない」

 

危うく最後まで言う所だ。もう言ったも同然だがこの世界に緑色の旅人が登場する物語が無い事を祈ろう。

 

「何か用か」

「さっきから何かを探している様子だったから」

「ああ、手持ちのイーブイが一匹居なくなって……」

 

チラリと冷静なイーブイに視線をやれば青い格好をした男はニコリと笑う。

 

「それなら私に任せてくれ」

 

私が首を傾げれば青い格好の男は隣に居た青いポケモンに声をかけた。

ルカリオ、と呼ばれたポケモンはガウと返事を返す。二足歩行する犬のようなポケモンだ。

 

「イーブイの波動を探してみるよ」

「波動?」

「ふふっ、あらゆるものは気やオーラといったものを発しているんだ、それが波動」

「ほう」

「私とルカリオはその波動を感じ取る事が出来る能力を持ってるんだよ」

 

私が頷けば男は再びルカリオに視線をやった。それを見て頷いたルカリオが目を瞑る。

少しの間そうしていたかと思えば目を開けて「見つけた」と一鳴き。

 

「見つけたみたいだ」

「そうみたいだな」

 

駆け足で歩き出したルカリオの後を追う。

出入り口の方に向かっていると思えばルカリオはポケモンセンターの外に出てしまった。最悪のパターンだ。

人々が歩いて雪が踏み固められた道を進む、暫く歩けば何とキッサキシティを出て近くの草むらへとルカリオは進むのだ。

 

「何処まで行ったんだ、あのバカは」

 

「ブイ……」

 

草むらへと入って行ったルカリオが能天気なイーブイの首根っこを掴んで戻って来た。じたばたと暴れていたイーブイは私と冷静なイーブイの姿を見て嬉しそうに尻尾を振る。

 

「ブイー!!!」

「ブイーじゃない」

「ブイッ!!」

 

怒られているという事に気付いたらしい能天気なイーブイはルカリオの後ろに隠れる、とは言っても大きさも違うのでルカリオの足の間からはバッチリ見えて隠れきれていない。

今回ばかりは冷静なイーブイも自分の味方をしてくれないと思ったらしい能天気なイーブイが言い訳をしだした。

 

「ブイー、ブイブイブイ!!ブイー!!」

「うるさい、お前はおやつ抜きだ」

「ブイ!?」

 

しゅんと落ち込んだ能天気なイーブイを青い格好の男が抱きかかえた。

 

「こっそり特訓して強くなりたかったみたいだから、大目に見てあげたらどうかな?」

「イーブイを見つけてくれたのは感謝してるがそれは出来ない」

「何故?」

「私はイーブイにポケモンセンターから出るな、と言っておいたのにイーブイは約束を破ったんだ。おやつ抜きぐらい仕方ない」

 

能天気なイーブイの頭を撫でた青い格好の男は苦笑いを浮かべてイーブイを地面に下ろした。

 

「外に出たいなら出たいと言ってから出るべきだったな」

「ブイー……」

「分かれば良い」

「ブイ?」

「おやつは抜きだ」

「……」

 

再び落ち込んだ能天気なイーブイを見て冷静なイーブイがやれやれと溜息を吐く

そういえば飲みかけのコーヒーを置きっぱなしだ。

 

「驚いた」

「?」

「キミはポケモンの言葉が分かるのか」

「ああ、何となくだ」

 

へえ、と言って嬉しそうに笑った青い格好の男。

 

「私はゲン。キミの名前を聞いても良いかな?」

「シンヤだ」

「シンヤ……」

 

小さく言葉を繰り返したゲンに私は提案する。とりあえずポケモンセンターに戻らないか?と……。

外に出る予定が無かっただけにフード無しは寒い……。ゲンはマントを着てるから良いかもしれないが私はフードを置いてきてしまったんだ。凍え死ぬ。

白い息を吐きながらポケモンセンターへと戻る道を歩いていると前を歩いていたルカリオが急に止まって私の方を振り返った。

 

「何だ?」

「ガウガウ」

「タマゴ?」

 

カバンの中に入ったタマゴを取り出してみたが特に変わった様子は無い……。そう思った時に急にタマゴが光りだした。

 

「!!」

「チョケピィー!!」

「おお!!」

 

タマゴからポケモンが生まれたと思えば、タマゴからタマゴが生まれた。なんという事だ……。まだ体の半分以上がタマゴじゃないか……。

 

「はりたまポケモンのトゲピーだね、おめでとう」

「はりたまポケモンのトゲピー?コイツはこういうタマゴみたいポケモンなのか?」

「そうだよ」

「ならこれで良いのか……、まだちゃんと生まれなくてタマゴのままなのかと……」

「シンヤは変わった事を言うね」

 

クスクスと笑い出したゲンに何も言えなくなる。ポケモンを知っていれば一般的な事なのだろう……。今度研究所でポケモン図鑑を見せてもらおうと思う。

 

「チョケチョケ」

「お前はオスか?メスか?」

「チョケ?」

 

駄目だ、まだ話が通じない。

隣に居たゲンが「どれどれ」と言ってトゲピーを覗き込む。うんと頷いたゲンが笑っていった。

 

「オスだね」

 

オスだったか……。いや、別に悪い事ではないがオスだったか……。

生まれたがカバンにトゲピーを戻して再びポケモンセンターに向かって歩き出した。後でボールに戻しているイーブイニ匹にもトゲピーを見せてやろう。

 

 

ポケモンセンターに戻り、ゲンとコーヒーを飲みなおす。

足元では大人しく並んで座るルカリオと冷静なイーブイの周りを能天気なイーブイとよちよちと覚束ない足取りのトゲピーが走り回る。

 

「ブイー!!」

「チョケー!!」

「「…」」

 

ルカリオと冷静なイーブイはとても迷惑そうだった……。

 

「ふぅ、シンヤはまだキッサキシティに滞在するのかい?」

 

コーヒーをテーブルに置いたゲンがそう言ったので私も同じ様にテーブルにコーヒーを置いた。

 

「出来れば早く移動はしたいんだが今から下山をするわけにもいかないし、明日か天候の次第では明後日か……」

 

「そうだね、見る限りじゃ手持ちに空を飛ぶを使えそうなポケモンは居ないみたいだし」

 

ツバキのヨルノズクを帰さなければ良かったなぁと思った。

 

「私はこれからミオシティに行こうと思ってるんだ、そこで良かったら一緒に行くかい?」

「ミオシティ?」

 

地図を広げて場所を確認する。

随分と家の場所は遠いが歩いて帰れる距離だし、雪道をまた歩くよりはマシか……。

 

「行く」

「私のボーマンダに乗ればすぐに着くよ」

「ゲンに会えて私はツイてるな、雪道を歩かずにすむ」

「ふふっ、シンヤは寒いのが苦手みたいだな」

「まあな」

 

*

 

風の音が凄い、雪景色を見下ろす様に覗き込むとゲンに「落ちちゃうよ」と制された。

少しの間の空の旅、それも飛行機や鉄の塊に乗り込むんじゃなく生き物の背に直接乗って飛ぶ。

大地に降り立った時にやっと安堵の息を吐いた。

 

「結構、コワいな」

「そう?慣れれば快適だよ」

 

ボーマンダをボールに戻したゲンとミオシティ内を歩けば私の視界には『ミオ図書館』と書かれた看板が目に入った。

ここが今の私の一番求める場所だ!

 

「私は図書館に行く」

「一緒に鋼鉄島に行かないの?鍛えるには持って来いなのに」

 

危なく道連れにされる所だ。

私には鍛える理由なんて無いし、むしろ知識を得る方が必要だ。

じゃあな、とゲンに片手をあげればその手をガシリと両手で掴まれた。

 

「…」

「名残惜しいけど、また何処かで」

 

ぎゅっと手を握ってゲンはルカリオと共に船着場へと消えて行った。

手の中には電話番号の書かれた紙が……、どいつもこいつも押し付けるのが好きだな。

 

 

ミオ図書館に入り本を物色する、ファンタジーな物語や理論を語る本はあまり必要無い。

欲しいのはこの世界の知識、ポケモン図鑑なるものが充実していないのが残念だったがこの世界の始まり、神話なる本を読んでみた。

この世界はポケモンが創ったものらしい。

 

『はじまりの話』

 

はじめにあったのは混沌のうねりだけだった、全てが混ざり合い中心にタマゴが現れた。

零れ落ちたタマゴより最初のものが生まれでた。

最初のものは二つの分身を作った。時間が回り始めた、空間が広がり始めた。更に自分の体から三つの命を生み出した。

二つの分身が祈るとものというものが生まれた。三つの命が祈るとこころというものが生まれた。世界が創り出されたので最初のものは眠りについた。

 

この話が本当なら神と言っていいポケモンは今も眠りについているのだろうか……。

隣の本棚にあった『おそろしい神話』と書かれた本を開いてみる。

 

そのポケモンの目を見たもの一瞬にして記憶がなくなり帰る事が出来なくなる。

そのポケモンに触れたもの三日にして感情がなくなる。

そのポケモンに傷を付けたもの七日にして動けなくなり何も出来なくなる。

 

本を棚に戻した。

おそろしい神話には三体のポケモンの事が書かれているのだろう、これは最初のものが自分の体から生み出した三つの命の事ではないだろうか……。

隣の棚にあったのだから関連性は無くもない……。子供の興味心と恐怖心をかきたてるポケモンだと思う。

 

『シンオウ昔話』と書かれた本を手に取った。何処の世界でも昔話はあるものらしい。

 

シンオウ昔話その1

海や川で捕まえたポケモンを食べた後の骨を綺麗に綺麗にして丁寧に水の中におくる、そうするとポケモンは再び肉体を付けてこの世界に戻ってくるのだ。

 

「これを読んで実際にやってみようと思った子供が居たらどうするんだ……」

 

ポツリと小さく独り言を呟いて本のページを捲った。

 

シンオウ昔話その2

森の中で暮らすポケモンが居た、森の中でポケモンは皮を脱ぎ人に戻っては眠り、またポケモンの皮を纏い村にやって来るのだった。

 

「……」

 

これだとポケモンじゃないような気がするのは私だけか?ポケモンの皮を被って村に来るただの人間じゃないか。

昔話に文句を言っても仕方が無いのでページを捲る。

 

シンオウ昔話その3

人と結婚したポケモンが居た。ポケモンと結婚した人が居た。昔は人もポケモンも同じだったから普通の事だった。

 

「おお」

 

ポケモンは昔、人の姿をしていたらしい。

これが本当にあったとすればポケモンは自分たちの意思で人の姿を捨てて生きる事を決めた事になる。

私も、潔く人間を捨ててポケモンとして生きてみたいと思った。

 

時計を確認して本を棚に戻す。

ミオ図書館を出てポケモンセンターへと向かえば途中、コダックを連れた女の子を見た。

犬や猫よりもポケモンが賢くて感情豊かで言葉も理解し易いのは、元人間の名残なのかと……。

 

 

 

「実は人の姿になれたりとかしないのか?」

 

借りた部屋でこっそりイーブイに聞いてみた。

 

「ブイ!!」

 

*


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