一日千秋の思い   作:ささめ@m.gru

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「「さいしょはグー!!じゃーんけーん、ポーン!!!」」

 

グーを出したヤマトとチョキを出したシンヤ。

その場で勝敗は決まった。

 

「僕の勝ちだね、シンヤ…!!」

「くそっ…!!!」

「それじゃ、僕はこっち貰ってくよーん!!」

「フードが良かったのに…!!」

 

その場に膝をついたシンヤ。

不本意ながらもボーダーの服を受け取った。

 

*

 

何故こんな状況になっているか。

それはシンヤ宅にヤマトがやって来たのが事の発端だった。

書類を抱えたヤマトは来るなりシンヤにその書類を押し付けてじゃんけんを持ちかけたのだ。

 

「シンヤ、じゃんけんしよ!!勝った方がどっちに行くか選べるってことで!!」

「どっち…って、なにがだ?」

 

うん、と頷いたヤマトが出したのは赤いマントと白黒のボーダー服。なにこれ、とその服を凝視するシンヤ。

 

「マグマ団とアクア団のユニフォームです」

「どっちも要らん!!」

「ダメなんだってー!!捜査なの!!仕事なの!!」

「一人で行け!!」

 

話を聞けば、ジラーチの眠る故郷のファウンスの事件以来、マグマ団の捜査をしていたヤマト。

そのマグマ団がカイオーガを捕まえたとの情報が手に入ったらしい。しかし、マグマ団の目的はあくまでグラードン。カイオーガを狙うのはアクア団だ。

そこでアクア団を調べてみればアクア団もまたグラードンを捕えているという情報が入った。

ようするに敵同士がお互いに欲しいポケモンを手に入れてしまい、古代ポケモンが悪の手に渡っている状況だという。

 

「大変でしょ!!」

「お前の説明がざっくり過ぎて危機感ゼロだけどな…」

「とりあえず潜入捜査!!マグマ団に行くか、アクア団に行くか、じゃんけんで決めよ!!」

「私、関係あるのか…?」

「グラードンとカイオーガが暴れたら誰が止めるの!!」

「そこでなんで私だ!!」

「シンヤなら大丈夫だもん」

「(信憑性もないのに、真顔で言われたっ!!)」

「それにほら、怪我とかしてたらね?」

「取って付けたように正当な理由を添えるな」

「さすがにあんな大きいポケモン、キャプチャ出来ないし。っていうか、藍色の玉と紅色の玉をマグマ団とアクア団が所持しちゃってる時点でポケモンレンジャーの僕にはもうどうすることも出来ないっていうか…」

「……」

「アクア団とマグマ団がグラードンとカイオーガ操るのも時間の問題だし…」

「…お前、色々気付くの遅くないか?」

「気付いた時には時既に遅し!!ってやつでした!!」

「このバカ!!!」

「返す言葉もない!!」

 

というわけで、冒頭に戻る…。

 

色々と文句もあるが不本意ながらアクア団の船に潜入中…。

このボーダー服に水色のズボン、変なマークのバンダナ…なんで私がこんな格好…。寒い…長袖が着たい…。

はあ、と溜息を吐いてから捕えられているグラードンを見上げる。

眠らされているのかグラードンは微動だにしない。しかし、グラードンの捕まっているこのコンテナ内は若干暖かい…。

ヤマトにグラードンをなんとか助けて!なんて言われたがこんな状況で助けられるわけがない。下手に動けば潜入してるとバレるじゃないか…。

はあ、ともう一度溜息を吐いた時。

グラードンを捕えるコンテナ内でこそこそと動く影を発見。

そういえば"イズミ"とかいうアクア団の作戦隊長の女がマグマ団の方に潜入してるんだから、こっちにもマグマ団の奴が潜入しててもおかしくないよな。

ならあそこに居るのはマグマ団……。

 

「…アオギリに報告してやろう」

 

それで少なくともコイツは潜入してる奴じゃないって思わせとくか。すまん、マグマ団の見知らぬ連中よ…。お前たちを売って来る。

 

「アオギリ様、グラードンに近付く不審な奴らを見つけました!!」

「なにィ!?」

「おそらくマグマ団の連中かと思われます…」

「すぐに捕えろ!!」

「はっ!!」

 

ヤマトの奴は上手くやっているだろうか…。

 

*

 

「シンヤは上手く潜入してるかなぁ…」

 

一応、一般人だし…。

潜入捜査なんて向かないよね…。

やっぱり巻き込むべきじゃなかったかな、でもさすがに僕一人じゃ…。

 

「そこのお前、マグマ団の者ではないな?」

「なッ!?!?」

「アクア団の者か?」

「い、いや、僕はマグマ団ですけど!!」

「先程から行動が怪しい、何か探っていただろう?」

「ぅぐっ…!!」

 

バレたぁあああ!!

一応、プロなのにバレたぁあああ!!

 

「大丈夫。オレはポケモンGメンのワタルだ」

「ワ、ワタルさん!?」

「そっちは?」

「あ、ポケモンレンジャーのヤマトです!」

「ポケモンレンジャーだったのか、なら心強い」

「ととととんでもないです!!」

 

あまり大きな声は駄目だ、と口元で人差し指を立てたワタルさんを見て僕は慌てて口を閉じて頷いた。

まさかドラゴン使いでありポケモンGメンのワタルさんとこんなところで会うなんて!!

 

「単独でここに来たのか?」

「いや、僕の方は二人で…、ポケモンに詳しい友人がアクア団の方に潜入してます」

「ポケモンに詳しい友人…レンジャーではなく?」

「あ、はい、ポケモンドクターのシンヤって知ってます?」

「知ってるに決まってるだろ!!」

「声…!声大きいです…!!」

「す、すまない…!」

 

シー、と次は僕が口元で人差し指を立てた時。

辺りに警報音が鳴った。なんだなんだ、と辺りを見渡せばワタルさんが走って行ってしまう。

慌てて追いかけようとしたが大きな爆音ともの凄い振動に思わずその場に膝を付く。

 

< カイオーガが戦艦から逃走、カイオーガが戦艦から逃走 >

 

「えええええええ!?!?」

 

まだ僕なんにもしてないのに!!

シンヤにまたバカって怒られるー!!

 

*

 

「そこの貴方、この整理を」

「はい」

 

って、受け取ったら。もの凄い量の書類だった…。

こんなところに来てまで書類整理をやらされるとは思わなかったぞ…!!

畜生、と心の中で悪態を吐きながら書類に目を通せばアクア団が独自に調べたらしい古代ポケモンの情報に水ポケモンのデータ…。

あ、意外に面白い…!!

部屋に籠り、ひたすらデータ整理をしていると大きな爆音。

え、なに?と部屋から出て近くを通った団員に聞けば「アオギリ様が捕えられたカイオーガが逃げ出したのだ!」と返された。

カイオーガ、いつ捕まえた。

煙をあげる戦艦を見て、とりあえずと室内に戻り書類を漁る。貰えるもん貰って帰ろうとカバンにデータディスクやら書類やらを放り込む。

重たいカバンを持って外に出れば外は大荒れ、大嵐。

カイオーガが雄叫びをあげて暴れ回っているのが見えた。酷いありさまだ。

全く…カイオーガの方を見に行ったヤマトはなにをしているのか!!あのバカ!!

大波に船は島へと乗り上げる、船内はもうめちゃくちゃ。乗っていたアクア団の者は避難したらしい。

とりあえずグラードンの安否を確保だ!!とグラードンの眠るコンテナへと行けばコンテナの前に見知った連中が。

 

「そこで何をしている!!」

「ひぃ!?って…シンヤじゃねーか!!」

「アンタなにその格好!!アタシ達の誘いを断っといてアクア団に入るなんてー!!」

「アホか!!どう考えても潜入捜査だろうが!!」

「ニャるほど!!」

 

二人と一匹が納得した時、バチバチと嫌な音。

咄嗟に身を屈めれば二人と一匹に放電の攻撃、これは十万ボルトだ……。

背後を振り返れば異様な模様を体に浮かび上がらせたピカチュウが居た。サトシのピカチュウ…だよな?

 

「ピィカアアアア!!」

「ピカチュウニャ!!」

「あの模様は…?」

「なんか様子も変ね…」

 

様子が見るからに変なピカチュウ。そのピカチュウを呼ぶサトシの声。

そのサトシの声を無視してピカチュウはコンテナの上へと飛び乗った。

そんなピカチュウを見て、喜々としてピカチュウを捕えようとするロケット団。お前達は相変わらずピカチュウが好きだな…。

見事、返り討ちにあったロケット団が空の彼方へと飛んで行った…。

なにをしに来たんだ。

ロケット団を見送った後、ピカチュウへと視線を戻せば雄叫びをあげ放電し続けるピカチュウ。明らかに雷を呼んでいる…。

コンテナを破壊する気らしい、それはそれで好都合かもしれない。この状況でカイオーガと渡り合えるのはグラードンくらいだ。いっそぶつけてしまおう。

ボールから出したトゲキッスに飛び乗ってその場から離れる。

先程まで立っていた場所には大きな雷が落ちた、グラードンが目覚めたため大きな地震、そして島の中央にあった山が噴火した。

グラードンの日照り効果で辺り一面の雨が止み、空に青空が…。

 

「おーおー…」

「キィッス…」

 

空の上から観察してみる。

カイオーガは見つけたグラードンになみのりで攻撃、それをグラードンはソラービームで撃破。

グラードンの頭の上に乗ったピカチュウは後で助けてやるとして、今は頑張れ。なんとかカイオーガを止めてくれ。

紅色の玉を通じておそらくカイオーガはアオギリの悪い思考に飲まれている。ポケモンが単体でここまで暴れることなんて相応の理由がなければありえない。

一方、暴走していないグラードンはこの場では唯一のカイオーガを止める手段だ。

ピカチュウの体に現れている模様はグラードンのもの。ピカチュウは今、グラードンの手足も同然なんだろう。ピカチュウの技を使って相性の悪さを打破しようとするとは…。

意外とグラードンの奴、賢いな…。

トゲキッスに合図してグラードンの目線のところまで近寄る。大きな目と視線が合った。

 

「グォオオ!!」

「よし」

 

後は任せたぞ。

 

*

 

空の上から観察していると、何故かドラゴン使いのワタルが居た。

そのワタルとサトシがカイリューの背に乗っているのを見つけて、トゲキッスに呼びかけられ下を見れば海面に赤いギャラドスに乗ったタケシ達。

また危ないことしてるなぁ、と見守っていれば。

グラードンの攻撃、ソーラービームがカイオーガに直撃した。

アオギリの体から紅色の玉が出て来る。

その一方でグラードンの頭の上に乗っていたピカチュウの体から藍色の玉が出て来た。

そのままグラードンの頭の上からピカチュウが海へと落ちて行く、それを見てカイリューの背に乗っていたサトシが追いかけて海へと飛び込んだ。

咄嗟にミロカロスのボールを掴んだが海面を泳ぐ大きな影が見えてボールをカバンに戻した。

 

「…」

 

カイオーガがサトシを助けたのを確認してから、空中に浮かぶ藍色の玉と紅色の玉に手を伸ばす。

こちらを見つめるグラードンと目が合って私は頷いてその玉をカバンの中にしまった。

なんだかんだとアイコンタクトを取れてしまう辺り不思議でならん。

小さく息を吐けば陸から両手を振り大声を張り上げるヤマト、ポケモンレンジャーのくせにお前の姿をここでやっと見たぞ私は。

主にサトシ達が頑張ってたよな…。

 

「シンヤー!!大丈夫だったー!?」

「ヤマト!!お前が何をしてたのか私に教えてくれ!!」

「ワタルさんの腰巾着でした!!ごめんなさい!!」

「役立たず!!」

「返す言葉もない!!」

「役立たずのお前にこの情報をくれてやるから上に提出してこい!!」

 

てーい、と上から分厚いファイルを落とせばヤマトがそれを避ける。地面に落ちたそれを拾ったヤマトはファイルを開いてから私を見上げた。

 

「シンヤ様ー!!」

「二度とお前の仕事は手伝わない!!」

「そんなこと言わないで!!本気で言わないで!!僕、シンヤに頼る気満々だから!!」

「この二流レンジャー!!」

「それめっちゃ傷付くっ!!」

 

ヤマトと言い争っている間にグラードンが火山、カイオーガが海へと消えてゆく。

その姿を確認してから私はサトシ達と合流した。

 

「シンヤさん!!」

「サトシ、ピカチュウの様子はどうだ?大丈夫だったか?」

「はい、ピカチュウは大丈夫みたいです!!」

 

サトシの肩に乗ったピカチュウ。

放電のし過ぎで疲労はしているだろうがそれ以外に特に異常は無いらしい。少し休めば回復するくらいか、大丈夫だな。

 

「はじめまして、シンヤさん」

「はじめましてだな、ドラゴン使いのワタル」

 

手を差し出してきたワタルの手を握り返し、握手を交わす。

その間に分厚いファイルを抱きかかえたヤマトが割って入る。お前、邪魔だぞ。

 

「っていうか、シンヤ!!藍色の玉、紅色の玉!!それどうするつもり!?」

「これは私が管理する」

「レンジャーとしてそれは見過ごせない!!渡して!!っていうか、くださいコノヤロー」

「ダメだ。グラードンからの頼まれものだからな」

「そっか、グラードンからの…って嘘吐けぇ!!いつ頼まれた!」

「アイコンタクトで」

「どんだけ通じ合ってんの!!!」

 

飛びついて来たヤマトの足を踏みつければ悲鳴をあげて離れた。

そのヤマトを見てからワタルがこちらへと視線を向ける、その表情はなんとも不安げだ。

 

「その玉は危険です。持っていればその玉にシンヤさんが取り込まれてしまう、今日みたいなことを引き起こしてしまうかも…」

「大丈夫だ、気にするな!」

「気にするっての!!」

「うるさいっ」

「なんで僕にだけ相変わらず厳しいの!?」

 

あっちいけ、と言ってやればヤマトは泣き真似をしながらサトシ達の方へと駆けて行った。

それを見てサトシ達がクスクスと笑っている。

 

「シンヤさん…」

「大丈夫だ」

 

ワタルにもう一度そう言ってやれば、ワタルは困ったように笑ってから頷いた。

 

「あと、シンヤで良いぞ?同い年くらいだろ?」

「あ、そうだよねぇ。僕とシンヤは同い年なんだよ、ワタルさん」

 

そういうヤマトはワタルさんって言ってるけどな…。まあ、四天王の一人を呼び捨てにするって感覚はヤマトに無いんだろう。

 

「いや、オレは…その…」

「「?」」

「シンヤさんはシンヤさん!って感じだよね!!」

「確かにそうかも!!」

「みんなそう呼んでるからそう思うのかもな!」

「ピッカ!」

「ジョーイさんにジュンサーさんもみんなシンヤさんって呼んでるもんなぁ…くぅっ、羨ましい!!」

 

タケシ、いつでも代わってやるぞ。

あと私と年が近いであろうロケット団は敬称なんて付けて来ないからそんなことは無いと思う。

ピカチュウは私のこと、シンヤさんって呼んでくれるけどな。ポケモンは大抵、呼び捨てで呼んで来るし…。サトシのピカチュウは礼儀正しい良い子だ。

 

「オレは!!」

「なんだ」

「シンヤさんのファンなんです!!サイン貰って良いですか!!」

 

えぇー…。

 

「じゃあ、僕、ワタルさんのサイン貰っとこうかな!!」

 

えぇー…。

 

*

 

ワタルとヤマトが責任を持ってサトシ達を送って行くというのでその場で別れた。

別れたのは良いが、目の前で繰り広げられる言い争い。私はまた面倒な奴らと知り合ってしまったらしい。

少し前に会ったレックウザ、アイツはまだ素直な良い子だったよなぁ…。

 

「おれがどれだけ心配したと思ってんだぁああ!!」

「あー…うるさい、ホントうるさい、暑苦しい…。捕まったのはお互い様なんだからもう良いだろ、ホントうざい」

「なんだよ!!もうちょっとこうさぁ!!グラードンが居なかったら今頃どうなってたかわかんなかったぁ…!!みたいな可愛いこと言えよぉおお!!こっちはそれちょっと期待して頑張ったんだってぇええ!!」

「うざい、きもい、近寄るな。今回は悪かったと思ってお前の領地増やしてやったんだからもう良いだろ」

「そんな投げやりの態度は嫌だ!!もっとなんか期待してた!!」

「変な期待したお前が悪いんだろ?死ねば?」

「死っ!?おま、そんなこと言うなよ!!!おれはお前のことを考えてだなぁ!!!」

「うーるーさーいー…、もう一回さ、おれのこと忘れてくんない?っていうか、一生忘れて。お互いに忘れよう、そして永遠の別れを言おうじゃないか」

「嫌に決まってんだろうがぁああ!!おれが居てお前が居る!!おれらこそ永遠の愛を誓い合った存在だろうがぁ!!」

「誓ってないよー、いつ誓ったー?お前の脳内で勝手におれをいいように扱わないでホント、マジできもいしうざいし、暑苦しい~…」

 

叫ぶように言葉を発するグラードン、それに対してふわふわと気だるげに言葉を返すカイオーガ。

そう私の目の前に居るこの人の姿をした二人…。あの後、私の前に現れ双方の玉の管理を任せることについてお礼を言いに来た。そこまでは良かったのだが顔を見合わせたかと思うと言い争いを初めてしまったのだ

なんだろう、大規模な痴話喧嘩…?でも、多分両方オス…。

 

「シンヤ!!なんとか言ってやってくれ!!カイオーガになんとか言ってやって!!!おれがどれだけ心配して考えて行動したのか言ってやって!!」

「いやいやー、お前の行動云々よりお前も捕まってるんだからその時点でなんとも言えない。今回の話はもう終わり、おしまい、さよなら、ばいばい、永遠に」

「永遠イヤだっつってんだろぉおおお!!!」

「うるさい、これ以上近寄ったらホントお前の領地減らす。すり減らす」

「意地でもおれは拡げてやるわぁあああ!!!!ちくしょう!!お前はおれのもんだからな!!!」

「うーざーいー…、おれはおれのものだから、っていうか海はみんなのものだからー」

 

まあ、なんとなく見てて分かった…。

グラードンはカイオーガのことが凄く好き、でもカイオーガはグラードンに対して冷たいと…。

…あれ、なんかこんな光景見たことある気が…いや、見たことはないが…なんか似たようなことが…。

 

「シンヤー!!なんとか言えよぉおお!!」

「シンヤ、その暑苦しいのどうにかしてー…」

「……」

 

うん、帰りたい。

そして、私は家に帰宅……。出来るわけもなく、手持ち総動員でなんとか落ち付けようと思ったら更に拍車がかかってしまった。

 

「おれさぁ、おれさぁ!!長年好きだっつってんのにカイオーガはさぁ!!海広げておれが近付けないようにしやがるしよぉお!!」

「悲しいねー…」

「でもでも、ワタクシはグラードンさんの想い通じてると思いますの!!カイオーガさんも長いお付き合いで素直になりきれないところがあると思いますわ!!」

「マジで!?あれか、ツンデレってやつ!?でもおれ、デレてるところ見たことねぇんだけど!!!」

「これからですわ!!ね!!ミロさん!!」

「そうなの?」

「そうですわよ!!だってミロさんも長年のシンヤへの想いが通じて、シンヤはデレましたわ!!」

「ミロ!!お前すげぇなぁ!!!」

「そうなの?」

 

…そうなの、か?

グラードン側の会話に内心首を傾げる。

そしてそのままカイオーガ側に視線をやればこっちもこっちで凄い。

 

「ホント、暑苦しいんだってー…好きとか愛してるとか、ホント海の底で寝てたいのに地震起こして邪魔しやがるし…」

「それはウザイな!!もう相性的には勝てるんだから半殺しも良いんじゃねぇの!?」

「そう思うー?おれもそうしたいんだけど、争うと人間達も巻きこんじゃうから困りものなんだよな」

「力が強い立場ならではの難問だな…」

「ゴーストタイプの良い技教えてよ、ほら呪いとか有りじゃん?」

「あれ、でも自分もダメージ来るぞ!!」

「それに、グラードンの性格上…呪いたいほどおれのことが好きなのかと思わせる可能性もなくはない」

「それもうざいなー…」

「もうシカトが良いとワタシは思う!!」

「シカトしたらしたであのバカ、暴れるんだけどどうしたら良い?」

「うわー、それなんかどっかで見たことある感じだ…何処ぞの低能思い出すー…」

「考えようによっては、主が折れたと言っても間違いではないが…あの二人は幸せそうだ…」

 

…私、折れたのか…?

何故かチクチクと私まで攻撃されている気がしなくもない…気のせいだとは思うが、ダメージがこちらに来るのは何故…?

心配げに見守るトゲキッスとチルタリス…。

この二人は唯一の癒しだな、と思いつつ溜息を吐いた。

 

「帰りたい…」

 

 

ちなみに。

グラードンからの預かり物。

藍色の玉と紅色の玉は家の玄関に並べて飾りました。

 

*

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