バスローブ一枚の姿で、ターニャは扉をノックした。
緊張。不安。期待。そして、自分でも恥ずかしいが、興奮。
「入ってくれ」
「失礼します」
扉を引くと、部屋は薄暗かった。枕元の小さな電灯が唯一の光源だ。その中で、エーリッヒはベッドに腰かけていた。変な感想だとターニャも自覚しているが、彼はバスローブが様になっていた。
部屋に入って、扉を閉めて、そこからどうすればいいかわからず、ターニャは立ち尽くした。こんなことは初めてだ。知識にもない。見当もつかない。
「おいで、ターニャ」
いつになく甘い声がターニャの胸を高鳴らせた。言われるがままにそばへ寄り、彼の腕に包まれる。
まだシャワーの湿度が残っていて、いつもより唇が柔らかかった。
「もっと強く、抱きしめてください」
返事の代わりに力が増した。
「もっと」
少し苦しい。自分でも馬鹿げたことだが、ねだっているのは自分なのに、求められている気がして心地よかった。
「もっと」
本格的に頭がだめになったらしく、苦しさで息が荒くなるほどに気分が昂る。
バスローブがはだけて、ターニャの肉体にかすかな光が差した。
ターニャは自分の年齢と経歴が恨めしかった。こんなに幼く、そして傷だらけの醜い体で、エーリッヒに何ができようか。
「何を考えているかわかるから、先回りして答えるが……君の体にも私は愛おしさを感じている」
「……小児性愛?」
「違う。いや、もはや否定できないが。君の傷痕にこうして口づけできるのは、私の特権だろう?」
エーリッヒの唇が触れただけで、身体中のいたるところが熱くなった。
自覚したつもりだった。しかし、それを上回る勢いで、女性という自身の性質にターニャの思考は塗りつぶされていった。
「君はもう子を成せる体だが、あらゆる意味でまだその準備ができていない。だから、これを使わせてくれ」
エーリッヒがベッドの脇に置かれた棚から取り出したのは、小さな包みだった。薄く、小さく、まるで個包装の菓子を思わせる見た目だ。エーリッヒの指先がそれを開き、中身を取り出す。その用途を聞いて、ターニャは使用に同意した。
「君がこれを知らない様子で安心した」
「知識としては、ありますが。あなたはお使いになったことがあるのですね」
「いや……若いころの話だ」
「ふけつ」
「その時のおかげで君を傷つけずに済む」
「……ただのわがままですが、私が最初でありたかったです」
エーリッヒが女性にとって魅力的であることはターニャも身をもって体感している。過去に嫉妬していたらきりがない。しかし、今だけは彼を困らせたかった。
「それはすまなかった。どうしたら許してくれる?」
ターニャはエーリッヒの唇をついばんだ。
「いっぱい愛してくれたら、許してさしあげます」
年齢を考えるとあまりに倒錯的であることは承知の上ですが、これが創作物であり、異なる世界の話であり、二人が本心から望んでいる行為であることを重々お含みおきいただければと思います。