遥が妖夢を吹っ飛ばしてから数分後、妖夢を回収し、博麗神社の縁側に寝かせておいた遥と霊夢は吸血鬼が住むという紅魔館に向かっていた。
「にしてもあんた戦闘になると口調変わるわね」
そんな霊夢の言葉に、
「あーゆーときだとしゃべりやすい。ふだんはブレーキみたいなのがかかってしゃべりにくい。だからひらがな表記になる」
「……なんでそんな事になってんのよ」
霊夢が最後の言葉を無視し、理由を訪ねると、
「たぶんからだがかわった後遺症みたいなものだとおもうからそのうち治る。」
「ふーん早く治るといいわね。……もうすぐ着くわよ」
そう言って霊夢が前方を指さすと、今飛んでいる巨大な湖の向こうにこれまた巨大な紅い館が見えた。
「………でっか」
遥はその館を見て呆然としていた。
文霧の本家も道場等が敷地内にあったので、土地の広さなら負けていないが、建物はここまで大きくはなかった。
ちなみに本家というのは遥が住んでいた離れがあった所の事で、それ以外の文霧の家が分家という。といっても全て文霧家なので本部と支部の関係が近い。分家はいろいろな所にあるらしいが、遥は外に出られなかったので行った事は無い。
そうこうしている間に紅魔館の門の前まで来ていた。
「ぐぅ………ぐぅ……」
そこでは赤みがかった髪に緑色のチャイナドレスをきた女性が
「……ここのセキュリティ大丈夫?てか立ったままねるってすごくない?」
(一応警戒はしてるみたいだけど、確か中華の武術の周囲の空間と感覚を繋げる技術……《円》だっけ?わたしも似たようなことは出来るけどここまで広範囲はさすがに無理だな。一定範囲内なら360度視えて便利なんだよね。空間把握系は美琴が得意だったっけ)
普通は数十メートルから二百メートルもいけばいい方だというのに目の前の女性はこの館の敷地全体を把握してるようである。
おそらく霊夢と一緒にいるから見逃されたのだろう、と考えながら門を開けて中へ入って行く霊夢に続いて遥も館の敷地内へ入っていく。
紅魔館のやたらと大きな扉を開け、中に入る霊夢に続くと、突然目の前に銀髪に青の瞳のメイドさんが現れた。
(今空間は歪まなかったな……てか戦闘用
「いらっしゃい霊夢、本でも盗みに来たのかしら?」
「私を
「………あ、はじめまして人間みたいなヒトガタのナニカ、文霧 遥です」
「はじめまして、この紅魔館のメイド長をしおります、
少し考え込んでいた(もちろん冥土服に関してではない)遥が自己紹介すると、そのメイドさん、十六夜 咲夜もそれに返す。
「いざよい さくや………満月?」
「そうよ、昔レミリアお嬢様が付けてくださった名前よ」
遥の疑問に咲夜が少し誇らしげに答える。
ちなみに遥達が言っているのは十六夜という満月が少し欠けた月の前の夜で満月、という意味である。
その後咲夜について行くき、案内された部屋に入ると、コウモリのような翼を生やし、薄い桃色のゆったりとしたワンピースに同色の、赤いリボンの付いたナイトキャップを被り、水色の髪に血のような真紅の瞳の少女がいた。
少女は遥達が部屋に入って来たのに気付くと、
「あら霊夢こんにちは、そちらの方は?」
という言葉に遥は先程と同じように挨拶すると、その少女は優雅に礼をして、
「はじめまして、私はこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ」
と言った。特徴からしてこの少女、レミリアが霊夢の言っていた吸血鬼だろう。
(ロリっ娘吸血鬼?というか吸血鬼といえば髪色は金銀白灰黒のどれかでは?)
遥は先程からかなり失礼な事を考えているが、もちろん誰も気付かない。
そんなどうでもいい事を遥が考えている間に霊夢とレミリアが話していたらしく、いつの間にか話がまとまっていたらしい。
「それじゃ、この館で働くならちょっとした試験を受けてもらうわよ。というか家事能力高いなら霊夢が神社に住ませようとすると思ったけど」
「確かに私も楽したいけどしばらく忙しくなりそうなのよね」
─────────────────
その後試験を突破した遥は咲夜に待っていろと言われたのであてがわれた部屋のベッドで寝転がっていた。
ちなみに試験は紅魔館のメンバー全抜きだった。
あと霊夢は試験が終わると帰った。
(さすがにつかれた。単純な身体能力ならレミリアとその金髪の妹、フランだっけ?が一番で能力込みでフランの方が面倒だったかな?何回手足吹っ飛ばされたことか…。技術面なら思った通りあの門番、確か
ちなみに遥がとった攻略法はレミリアとその妹、フランドール・スカーレットに対しては2人の吸血鬼から手に入れた身体能力を使い対応し、2人が使っていた魔力と妖力を固めた武器を真似して剣をつくり、
門番こと
咲夜に対しては時止めの能力、正しくは自分自身を光の速度まで加速させる能力があると判明したので、自分の高速移動とレミリアたちから手に入れた《霧化》の能力により一時的に光速まで加速し、咲夜の時間に殴り込みに行く事に成功、
紫髪の魔法使い、パチュリー・ノーレッジに対しては魔導書を展開して弾幕をはりながらその場から動かなかったので高速で接近し、直接殴った。高速といっても先程の光速移動でコツを掴んだため音速を優に超えている。
結局、刀も銃も使う事はなくほぼ素手だったが、途中から適当になったのは遥が連戦で疲れていたからである。
(レミリア達の魔力武器を同じ方法で正面から力づくで壊した時の2人の驚いた
遥がそんなことを考えていると、ドアがノックされ、咲夜が入ってきた。
「制服の調整終わったから着てみて」
そう言って咲夜が渡してきたのは黒いワンピースに白いエプロンを付けたものと、フリルの付いたカチューシャ、つまりはメイド服である。
遥の仕事とはメイドとしての咲夜の手伝いである。遥にもやることがあるので今、秋の始めから冬の終わりまでである。
遥が着替えるためにブラウスを脱いだ辺りで咲夜は遥から見てへその右辺りと胸の中央に刺傷のような痕がある事に気が付いた。
「その胸とお腹の傷痕、どうしたの?」
疑問のままに咲夜が聞くと、遥は自分の傷痕を見、
「あぁ、むかし自分で刺した」
と、事も無げに言った。
「は?」
咲夜が驚いて言葉を失っている間に遥はメイド服を着終え、
「……ねえ、なんでこんなピッタリなの?わたし採寸されたおぼえないんだけど」
「え?あぁ、私もした覚えは無いわよ」
「……じゃあなんでこんなピッタリなの?」
「メイドはなんでも出来るのよ」
「……メイドすげぇ」
そんなこんなで遥の就職試験は無事終了し、遥はしばらく紅魔館のメイドとして働く事となった。
戦闘シーンは長くなりそうなのでダイジェストです