魔法の森の奥深く、ちょうど以前遥が目を覚ました場所。
突然、そこに1つの人影が現れた。
制服のような白いブラウスに、赤いラインが2本入ったスカートを履き、真冬で外が寒いためか、黒いコートを着込んでいる。
「………」
その人影は、少し辺りをきょろきょろと見回した後、とある方角で動きを止める。
「……みつけた」
そう呟いた直後、その場からその人影が消えた。
その人影が見ていた方角は、ちょうど紅魔館が建っている方角だった。
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霊夢と魔理沙が訪ねてきてから1ヶ月程経った。
あれ以来たまに紫が遥に尋問、もとい質問をしにやってきたり魔理沙が本を盗みにやって来たのを遥が追い払ったりと忙しくも平和な日々が続いていた。
ちなみに紫は文霧の事を知らなかった。他の賢者なら知っているかもと言っていたが、その賢者達がどこにいるのかも知らないとのこと。
それを聞いた時の全員の反応は「なんだこの賢者使えねぇ」である。
現在、紅魔館で昼食の時間が終わり、レミリアが紅茶を飲み、フランが部屋へ戻ろうと椅子から降りた時の事だった。
「そういえば遥、今日のおやつ何?」
と、フランから質問があった。
「今お昼食べたとこなのにもうおやつ心配かよ……」
フランが言っている通り、最近のおやつは遥が作っている。
紅魔館に来た当初、試しに作ってみたお菓子が好評だったのである。咲夜の負担を減らす為にもそれ以来おやつは遥の担当である。
ちなみになぜお菓子作りが上手いかというと、彼方と大和が特に甘い物好きだったからである。
どのくらいかというとおしるこイッキのみ3杯する位である。
ちなみにこれは大和の記録で、彼方は4杯である。遥と武龍は1杯までで美琴が2杯である。
下位3人は2人をドン引きして見ていた。という話である。
この話を咲夜にすると、
「あんた達バカじゃないの?」
と、言われた。遥達としてはおしるこイッキのみ対決が始まり位には暇だったというだけなのだか。
そして現在、フランの質問にレミリアも気になっていたようで、優雅に紅茶を嗜みつつも耳をそばだてているのが分かる。ティーカップを傾いてるが、そのカップは空である。
そちらに気付かないふりをしつつ、
「人里で寒天見つけたから2人が前に食べたがってたバケツプリンやってみようかと」
「「!?」」
2人の目の色が変わった。レミリアなどカップを落としそうな勢いである。落とすなよ?
3人がそんな会話をしていた時だった。
「「「!?」」」
突然、巨大な力の波のようなものが吹き荒れ、ドォォン!!という音とともに紅魔館の門が吹き飛んだ。
先程から戦闘の気配はしていたが、たまにある事なので3人とも特に気にしていなかったのだが、門が吹き飛んだとなれば別である。
気配を探ると、既に美鈴は倒されたようである。
「美鈴が倒されたか。バケツプリンは一旦お預けね」
「!?」
レミリアの言葉にフランが信じられないといった顔をするが、レミリアはそれを無視し、
「遥、念の為パチュリーを呼んで来て。あと咲夜を──」
と、レミリアが言いかけた所で咲夜が現れ、「行ってまいります」とだけ言葉を残して再び消えていった。
「……さすが咲夜ね。……遥、どうしたの?」
レミリアが振り向くと、遥が微妙な顔をしつつ、門の方を見ているのに気付いた。表情は変わっていないが、この数ヶ月の付き合いでレミリアもかなり遥の表情が雰囲気で分かるようになっていた。
「ん、あー、いや、なんでもない。パチュリー呼んで来るね。……咲夜じゃ相性最悪だろうし」
そんな遥の最後の言葉は誰にも聞こえていなかった。
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時と場所は変わり、紅魔館に轟音が響き渡る少し前、紅魔館の門の前。
美鈴は珍しく起きていた。といっても今から寝ようと思っていたところではあったが。
「ふぁぁ………?」
突然、目の前に人影が現れた。つい先程までは人の気配などしなかったというのに。
その人影は白いブラウスに赤いラインの入ったスカート、黒いコートを着込んでおり、黒い髪を後頭部で1つにくくった少女だった。
「あの〜すみませ〜ん。人を探して──」
「何者ですかあなたは!!」
少女が何か言っていたが、美鈴にはそんなものを聞いている余裕は無かった。
気付いてしまったのだ。少女から発される異様な気配に、魔力量はパチュリーには少し届かないものの、魔理沙は優に超え、霊力は霊夢に迫るかもしれない。
遥はそれ以上だったが、あくまでそれは人間ではない、という前提があってこそだ。
この少女は普通魔力か霊力に偏るところを、非常に高い位置でバランスが保たれていた。
さらに美鈴には視えていた。その少女がかなりのレベルで武術を扱える事を。
「え、何者って言われても……」
「この先には通しませんよ!」
そう言うなり、美鈴は少女の首筋に蹴りを放つ。
見事な体制できまったお手本のような蹴りだった。
が、
「……危ないな〜。私じゃなきゃ死んでたよ?」
「な!?」
その蹴りは少女の腕一本で受け止められていた。
少女は蹴りを受け止めた直後に足をドン!!と鳴らし、受けた衝撃を全て地面に流していた。地面には大きなヒビがはいっている。
「……攻撃された、って事は仕返してもいいよね?」
「!!」
突然、少女の脚が跳ね上がったかと思うと、普通の人間では反応出来ない速度で美鈴に蹴りが迫っていた。
「へー、これを躱すんだ。……
美鈴が蹴りを防がれた事で動揺していなければ気付いたかもしれない。今の蹴りが遥の
美鈴が遥が妖刀を召喚するところを見たことがあれば気付いたかもしれない。今の武器召喚方法が遥と全く同じだったことに。
こうしたさまざまな要因を元に、今回の騒動は始まった。
少女はたった今召喚した、刃先から石突まで黒に、白い幾何学模様が幾重にもはしった槍を美鈴に向け、美鈴が構えた──
その瞬間、赤紫色の光がほとばしり、美鈴と門をまとめて吹き飛ばした。
威力としては魔理沙のマスタースパークをも超える、まさに魔砲であった。
「……明らかに厄介な相手を私がわざわざ相手にするはずないじゃん」
そう呟いた後、少女は気を失っている美鈴に歩み寄り、
「あれ、妖怪に治癒術って使っていいんだっけ?妖怪を治した事はないからな〜」
少女は少し悩む素振りをみせた後、
「ま、いっか。放っときゃ治るでしょ」
と言って紅魔館の入口へと足を向ける。その行動はどうかと思うが、実際放っておけば治るのだからなんとも言えない。
そして、少女は紅魔館の扉に手をかける──