TS復讐鬼は幻想に生きる   作:竜野 ニア

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15話 紅魔館攻略 完了

 

 少女は奥へと足を進め、一つの扉の前に立っていた。

 

「はぁ、お邪魔してます」

 

 憂鬱そうに中に入るとそこではレミリアとフランが待ち構えていた。

 

「ようこそ紅魔館へ。私はこの館の主、レミリア・スカーレット。そしてこちらが妹の」

 

「フランドール・スカーレットよ」

 

「……ロリっ娘吸血鬼姉妹」

 

 少女がボソリと呟いた後、

 

「とりあえず、君たちは話聞いてくれる人かな?」

 

「この紅魔館に侵入した以上、生きては返さないわよ」

 

「あ、この子もひとの話聞かない人だ」

 

 少女が諦めの表情になっていると、

 

「ねぇお姉様、もうやってもいい?」

 

「ええフランもう話すこともないし、遠慮なくやっていいわよ」

 

「いや、話聞いてくれなかったじゃん」

 

 少女がそうツッコんだ頃にはフランはすでに片手に炎を固めたような剣を持って少女に飛びかかっていた。少女はそれを槍で受け、

 

「おぉぅ、魔力武器か。でも圧縮が足りないね。私の師匠だったら叩き壊してたよ」

 

 そう言いつつ槍を一閃し、フランの剣をあっさりと霧散させる。

 

「!?」

 

「ならこっちはどうかしら?」

 

 その言葉にレミリアの方を見ると、緋色の槍が目の前まで迫っていた。

 

「ぐっ!?」

 

 その槍から近くにいたフランを掴んで盾にしつつ、身体強化を使ってフランをレミリアの方へ投げつける。

 

 それを受け止めたレミリアを横目に、パチン!と指を鳴らすと、レミリアとフランの間の空間が歪み、空間そのものを揺らす衝撃波が放たれる。

 

「とりあえず一人、っと」

 

 壁に叩きつけられ、落ちてきたフランの目の前に現れ、槍を突き刺そうとすると、フランがこちらに手を向けているのが見えた。

 

 フランがその手を握った瞬間、少女の右腕が爆ぜた。

 

「いっつ!?」

 

「フラン!よくやったわ!」

 

 必然的に槍を手放す事になった少女の背後に緋色の槍を携えたレミリアが現れ、少女に突き刺そうとするが、

 

「さすがに今のは痛かった」

 

 そこには何事もなかったかのように槍を持った少女が立っており、レミリアの持つ槍に合わせ、自らの槍を一閃する。

 

 するとあっさりとレミリアの槍は霧散し、少女の槍がレミリアに突き刺さる。

 

「があっ!」

 

 少女は背後でフランが立ち上がろうとしているのを感じ、

 

「今動かれると面倒たから、ごめんね」

 

 それだけ言うと、少女は再びパチン!と指を鳴らす。するとフランを囲むように空間の歪みが現れ、フランに全方向からの衝撃波が訪れる。

 

 それを直に受けたフランは、手足を本来曲がってはいけない方向に曲げ、身動きがとれなくなった。胴体に追加のダメージがないことを見るに、フランの動きを止める事が目的だったようだ。

 

 本来吸血鬼ならば数時間もすれば完治する程度の負傷ではあるが、それはこの戦闘にはもう参加出来ない事を指す。

 

「私の妹になにしてくれんのよ!!」

 

「いくらなんでもあんたら二人相手にするのはしんどい」

 

 レミリアは距離を取り、遠距離から弾幕を張り、少女をフランから離れさせるようにした。

 

 少女もフランを巻き込む気は無かったので、素直にそれに誘導される。

 

「空を飛べるっていうアドバンテージはかなりでかいよね。私は跳べても飛べないからな〜。あ、昔空飛ぶ箒を作ろうとした時の機能が残ってたっけ?」

 

 そう言いつつ穂先が後ろになるように槍を手放し、空中で止まったそれに槍の上に立つように乗ってみると、刃の部分に赤紫の魔力が炎のように灯り、空中でレミリアの弾幕を避け始めた。

 

「空を飛ぶのは結構だけどそれだと槍が使えないわよ?」

 

無問題(もーまんたい)、魔力武器は私の方が得意なんだよ?」

 

 そう言うなり、右手に赤紫色の槍を生成する。

 

「あら、言うじゃない。それならどちらが強いか勝負よ!!」

 

 さらにレミリアも緋色の槍を生成し、そこに魔力と妖力を込めていく。

 

「えー、まあ、さっさと終わるならこちらとしても大歓迎だけど」

 

 少女も赤紫色の槍に魔力と霊力を込めていく。

 

 お互いの槍が凄まじい光を放ち始めたところで、同時に槍を投擲した。

 

 緋色と赤紫色の光がぶつかり合い、一瞬の均衡の後、赤紫色の槍が緋色の槍を貫き、レミリアへと迫る。

 

「──ッ!?」

 

「あ、やば」

 

 少女が少しやりすぎた事に気付き、槍を止めようとするがすでに時は遅く、赤紫色の槍がレミリアに直撃する直前、

 

 紅い光が現れ、まるで最初からなにもなかったかのように赤紫色の槍がその場から消える。

 

 そしてその光を消した張本人は、

 

「……美琴、さすがにやりすぎ」

 

 白い髪の毛先と一房を紅く染め、静かに立たずんでいた。

 

 

─────────────────

 

 

「……かな……? ──遥ぁ!!」

 

「へぐぅ!?」

 

 その人影、遥を見た瞬間少女、美琴は先程までとは比較にならない速度で遥に接近し、抱きついた。

 

「半年近くどこ行ってたのよ! 彼方も一緒に行方不明だし大和も武龍も心配してたんだからね!」

 

「むぐむぐぅ……ぷはぁ!! 今彼方が行方不明って言った?」

 

 なんとか拘束から抜け出した遥が問うと、

 

「え? うん。だから遥と一緒にいると思ってたんだけど……彼方は?」

 

「……行方不明ってだれから聞いたの?」

 

「長老達だけど」

 

 長老というのは文霧家の元当主や元幹部クラスなど、そういった立場にいた者が年齢等の理由で次代に席を譲った後に就く立場で、年をとって権力に固執するようになった年寄りの集まりである。

 

 当主よりも影響力を持っており、いちいちやることなすこと口を出してくるので、遥や父親等は老害と呼んでいた。

 

「……あのくそじじいどもが」

 

「え? なんて?」

 

「……なんでもない。父さんはなんか言ってた?」

 

「あんた達がいなくなってから捜索隊を組織してそのまま続いてる」

 

「……まずいな」

 

 遥が苦々しそうに呟くが、それは誰にも聞こえておらず、

 

「ところで遥、その格好どうしたの? なんかすっごく可愛くなってるけど、あとそのメイド服可愛い!!」

 

「気がついたらこうなってた」

 

「ふーん、心当たりは?」

 

「ないことはない」

 

 どうやら美琴は仮にも久しぶりに再会した親友の性別が逆転してもたいして驚かないらしい。ぶっちゃけかなり頭おかしい。

 

 そんなやり取りを傍で眺めていたレミリアが、

 

「……とりあえず遥の知り合いならゆっくり話さない?」

 

「私は最初からそのつもりだったのに誰一人話を聞いてくれないんだもん。とりあえずあそこで寝てる吸血鬼ちゃん治してくるね。てか妖怪に治癒術って使っていいんだっけ?」

 

「……治癒術使えないわたしが知るわけないじゃん。自己治癒能力促進系なら大丈夫だと思うよ。てか美琴の空間爆砕をあれだけくらって原型を留めてるあたりさすが吸血鬼だな」

 

 それを聞いた美琴がフランに近き、治癒を開始してしばらく経つと、急にフランがムクリと起き上がり、

 

「ガアアアァァァ!!」

 

 次の瞬間、美琴が内側から爆ぜた。

 

 しかしその次の瞬間には美琴は何事も無かったかのように立っており、周りには血の跡一つ無い。

 

「ふっ、私が死んでも第二第三の美琴ちゃんが現れるのだよ!」

 

「「え、きもっ!」」

 

「きもい言うなや! てか遥は私の能力知ってるでしょ!?」

 

 そう言いながら美琴はフランの背後に一瞬て移動し、フランの首筋に手刀を当てる。そこから魔力を流し込み、フランの体内の魔力を乱してもう一度気絶させる。

 

「……遥、あいつの能力なんなの?」

 

 少し顔を青ざめさせたレミリアが聞くと、

 

「『時空を操る程度の能力』だね」

 

「……なによそれ」

 

「文字通り時間と空間を操る能力だね。だから咲夜の能力に対応できたし、距離を操ることでナイフは美琴に届かないし、空間を飛び越えることで転移も出来るし、させることもできる。さらに空間を直接揺らすことで衝撃波も起こせる。あと吹っ飛ばしても何事も無かったかのようにしてるのは死んだら死ぬ直前に時を巻き戻してるからだね。まあ、他にもいろいろあるけど」

 

 実際、能力自体の手数とその強力さなら文霧家の中でもトップクラスだった。

 

 まあ、概念を直接操るようなやつもいたが、あれは例外である。制限もあるし。

 

「実質不死身じゃない!」

 

「そうでもないよ。寿命じゃしっかり死ぬし時間と空間同時に操るのはまだあんまり出来ないみたいだし、能力使ったら一呼吸置かないと次使えないし」

 

「たいして変わらないわよ……」

 

 レミリアが呆れたようにそう言うとフランの治療を終えた美琴が

 

「最近は時間止めながら転移できるようになったんだよ?」

 

「それ何に使うの?」

 

 

─────────────────

 

 

 その後、目を覚ましたフラン達をなだめ、全員に事情を説明すると、全員なぜそれを最初に言わなかったのかと文句をいったが、美琴が「そもそも最初から言ってたけど話を聞かなかったの君達だよね?」と言うと全員心当たりがあったのか押し黙った。

 

 美琴は遥が家に帰る気がないと知るなり、自分もこちらに住むと言い、レミリアの「遥が春になったら出ていくからそれまでいていいわよ」という言葉でしばらく紅魔館に住むことになった。

 

「うへへぇ、遥のメイド服」

 

「わたし働いてるのに美琴は働かないの納得いかない」

 

 隣りの美琴を無視しつつ、そう言う遥に、

 

「だってそいつに家事任せてもろくな事にならないって言ったのあなたじゃない。」

 

「……まあ、そうなんだけどね」

 

 咲夜がそう言うと、しぶしぶ納得する遥。

 

 実際、美琴の家事能力はほぼ無いと言ってもいい。

 

 料理の手伝いくらいならしっかり監視していれば問題ないが、それ以外は壊滅的である。これなら料理以外は大丈夫な彼方の方がまし、というくらいには。

 

 そんな話をしているとレミリアが、

 

「そういえばもうすぐ遥も出ていくころだし、それもかねて今度温泉行くわよ」

 

 と、そんなことを言った。




最近新作の構成で投稿が遅くなってます
本来は今書いてるのが終わってからにしようと思っていたのですが、我慢出来ずに書いてしまいました
1話はもう書き終わってるんですが、なろうにも投稿しようと思っているのでアカウントを作るまで待ってください
またTSでVRです
よかったらそちらもお楽しみに!
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