1話 幻想探索
少年が自殺をしていた次の日の朝、とある神社には2人の人影があった。
1人は黒髪に黒目の紅白の肩の出た改造巫女服に大きな赤いリボンをした少女、
もう1人は金髪に紫の瞳、ゆったりとした服の上に前掛けのようなものを掛け、ナイトキャップを被った妙齢の美女である。
今その2人が荒い息を吐きながらぐったりとしていた。
「なんで急にこんなに結界が歪むのよ!」
少女が口を開くともう1人の美女も口を開く。
「知らないわよこれまでここまで歪んだことなんてなかったのに……とりあえず少し休憩したら歪みの中心を見に行くわよ」
この2人は昨日の夕方頃に結界に異常が発生してからというもの、夜が明けるまで結界の調整をしていたのだった。
「…わかってるわよ」
それだけ答えると少女はその目を閉じた。
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一方少し時は戻ってとある森の中、
(……どこだここ)
自殺したはずの少年は戸惑っていた。
(俺は確かに《必殺》の魔弾で自殺したはずなんだけどなぁ…)
最期の記憶を掘り出すも確かに自分は引き金をひいているはずなので死んだ筈なのだ。
というより死んでないとおかしい。
(にしても最期だからと言って俺もよく喋ったもんだな)
自分の最期を思い出し、苦笑いする。
(そろそろ移動するか…ここが異世界とかなら死ぬ必要ないし、この場所がまだあの世界ならまた死ななきゃだしな…)
そこで起きあがろうとしたところで異変に気がついた。
(俺、こんな髪長かったっけ?)
自分の白髪が目に入ったのだ。
確かに切るのが面倒で肩口まで伸びていたが、断じてこんな腰まで届く座ってもぎりぎり踏まない位の長さではなかった筈だ。
「なにこれ………!?」
元々年の割に高めだった声が更に高いソプラノボイスになっていた。
服装もシャツはそんなに変わっていないが、履いていたズボンは制服のような折れた膝程の長さの黒いスカートに変わっていた裾には2本の赤いラインがはいっている。
更には下半身に意識を向けると…。
「あー、うん……まあいっか」
無かった様だが本人は気にしていない様である。
仮にも元男としてのプライドはないのだろうか。
「まあ、このへん探索するか…」
(この場所にはなんとなく心当たりあるしな…)
と、森の奥の方を眺めながらそうぼやくのだった。
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しばらく森の奥を眺めた後、少女はきびすをかえし、眺めていた方角と反対側へ歩きだした。
そちらに行っても意味がない、という勘と歩きだした方角から水の音がしたからである。
古今東西世界異世界水のある所に文明あり、と相場が決まっている。
しばらく歩いていると、小さな泉が見えたので、水面を覗くとそこには
以前と変わらない特徴的な白髪に、こころなしか以前より明るくなった紅い瞳、頭上にアホ毛をふよふよと踊らせた美少女がいた。
年は見たとこ小学六年生位だが、制服のような服装もあってか中学生に見えなくもない。
「はぁ、やっぱりか…」
ため息を吐いたのは自分が女の子になった事に対してではなく、その外見に見覚えがあったからだ。
もちろんその少女が知っていた人物はアルビノ体質ではなかったので髪も目も白くも紅くもなかったが、それにしても瓜二つだった。
「まあそれに関しては後でかんがえるとして」
ここまでで気づいた事がいくつかあった。
まず1つ目、自分の性別が変わっていること。
2つ目、外見がよく知る少女のものであること。
3つ目、今まではアルビノ体質で長時間直射日光にあたる事が出来なかったというのに、現在何の問題もないこと。
4つ目、いつもに比べて少し引っかかる様な感じがあり、言葉が発しにくいこと。
5つ目、以前と比べ、身体能力が比べ物にならないほどに上がっていること。
(1つ目は恐らく2つ目と繋がっており、こころあたりがない事もない、だとすると俺が生きてるのもこんな所にいるのも説明がつく)
(3つ目と5つ目も恐らく繋がっているが原因は不明、これが1番おかしい気がする、もともと身体能力は高かったけど数キロ先の小さな水音を聞き取れる程ではなかったと思う、まあとりあえずはラッキー位に思っておけばいいかな?)
(4つ目はマジでわからん、あいつはそんな口調じゃなかったし、とんできた勢いで脳に障害でもでたかな?)
疑問は尽きないがまずは人里を探すのが先である。
そんなものは無い、という可能性もあるにはあるが、ここが少女の予想通りの場所ならばあるということを知っている。
ついでにここがそこまで広くないということも。
(とりあえず歩くか)
泉から流れている川に沿って歩いていると、そこには闇を固めたような人型の靄がたたずんていた。
「…………」