──少し時は遡って、魔法の森と呼ばれる森の上空、少し睡眠をとって回復した少女達が飛行していた。
今回の歪みの中心と思わしき場所の周辺を飛んでいたのだが、
「なんにもないわよ?」
「そうねぇ」
黒髪の少女から思わずこぼれた愚痴に金髪の女性が答える。
休憩をとったとはいえ、昨日の夕方から働きずめの2人に弛緩した空気が流れはじめていたその時、
「「───ッ!!」」
ゾワリ、とした妖怪が発する妖気とも違う怨念の様なものを2人は感じとった。
「……今のは?」
「ぼさっとしてないで行くわよ!!」
思わず呆然とする黒髪の少女に金髪の女性が声をあげる。
先程の気配の中心を見つけた2人は、そこで人型の黒い靄が白髪の少女を襲おうとしている光景を目にする。
「くっしまった!」
少女が霊力弾を展開するも、靄が少女に到達するほうが早い。
「間に合わな…」
と、思わず思ったその瞬間、
パァン、と乾いたなにかが弾ける音があたりに響きわたり、
次の瞬間、少女に近ずいていた靄が弾け、跡形もなく消滅していた。
─────────────────
上空の2人が目を見張る直前、地上ではこのようなことが起きていた。
「「………」」
靄と少女はしばらく見つめ合っていた。
「……えーと…『だいいちむらびとはっけーん』、で良いのかな?」
「………」
「……なんかこたえてよ、べつに何もしないならほっとくし、邪魔するなら消すし」
「………」
少女が話しかけると靄は少女に走り迫ってきた。
しかし少女はとくに焦るでもなくただ感情の読めない瞳を靄に向け、淡々と言葉を紡ぐ。
「じゃあ消えるってことでいいんだね?」
そう言うなり少女は腰のホルスターから1発だけ弾丸の入っていないリボルバー拳銃を取り出し、唱える。
「『第二弾《存在否定》
少女の言葉とともに弾丸の内の1発が淡く紅い光を帯び、パァン、という乾いた銃声とともに弾丸が放たれる。
弾丸は誤る事無く靄の、人間でいう心臓部分に吸い込まれるようにして突き刺さる。
次の瞬間、靄は苦しむようにもがきだしたかと思うと、空気中に溶けるように消えていった。
それを確認した少女はすかさず銃を上空にいる2人に向け、再び唱える。
「『第三弾《存在否定》
と、銃を向けながら2人に訪ねる。
すると上空の2人は霊力弾を消しつつゆっくりと降りて来る。
(気をつけなさいあの弾丸、あたれば私や貴方でも死ぬわよ)
(人間の私はともかくなんで妖怪であるあんたまで死ぬのよ!)
(アレはそういうものだと認識しなさい、じゃないと本当に死ぬわよ)
金髪の女性と黒髪の少女の話が終わったところで、
「相談はおわった?ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
白髪の少女が話し始めると、黒髪の少女が拳銃を指して言う。
「その前にソレを下ろしてくれない?私達は
「………!!」
それを聞いた途端、ガチャリ、と拳銃の引き金に指をかけ、白髪の少女から常人なら下手をすれば気絶するほどの強烈な殺気が放たれる。
「「………ッ!!」」
とても人間の少女が放つとは思えない強烈な殺気に、2人は思わず息をのんだ。
(え、なに?私なにか間違えた?)
(多分ね)
慌てる黒髪の少女に金髪の女性が落ち着いて答える。
「聞きたいことがあるんでしょう?答えられる範囲なら答えるわ。安心しなさい私達は貴方の
その言葉を聞くと、白髪の少女は殺気を抑え、2人への質問を開始した。