これでいちいちまどろっこしい言い方をする必要はありませんね!
「んで、何か聞きたいことはある?」
黒髪の少女が聞くと、
「なまえ」
「え?」
よく聞き取れなかったらしく、黒髪の少女が聞き返すと、
「ふたりのなまえ、まだきいてない」
白髪の少女がもう一度言うと黒髪の少女は納得したらしく、
「そーいえばそうね、私は
「れいむにゆかり…ん、おぼえた。おれ………わたしは
「わかった、遥って呼んでいい?」
黒髪の少女、霊夢の言葉にコクリと頷く白髪の少女改め遥。
「じゃあとりあえず聞きたいことだけきくね?霊夢たちも聞きたいことがあったらきいていいよ」
どうやら遥は自分が一方的に聞くのをどうかと思ったらしく、そう言葉をつけ足す。
どう考えても銃を突きつけて質問をしていた人間の言葉とは思えないがその時々によって変わるらしい。
「じゃあ次の質問、ここって幻想郷であってる?」
「「……!!」」
しかしその質問に2人はかなり驚いたようすである。
「?……どうしたの?」
「私達一度もここが幻想郷だって言ってないわよね?」
霊夢のその質問に、
「うん、だからきいたんじゃん」
遥はなんということもないように答える。
「貴方、口振りからして外から来てそこまで時間が経ってないのよね?」
今までの会話中傍観に徹していた紫が思わず口を挟む。
「そと、ってのは幻想郷の結界の外のことだよね?そうだよ?すこし前にこっちで目を覚ましてさっきまで歩いてたとこ」
「じゃあどうやって幻想郷の事を知ったのよ?外の人間は幻想郷の事は知らないはずよ」
その紫からの質問に、少し考える素振りを見せてから、
「どうやって、っていわれても……家の資料にあったからだけど?それよりなんでわたしがここにいるのか知りたい」
そう言うなり遥は今まで事を話し始めた。
自殺した事、気がついたらこちらにいた事、そもそも元は男だった事、
この容姿に見覚えがある事に関してはややこしいだけなので言わなかった。
なぜ自殺をしたかに対しては「家から逃げてきた。」と答えた。
「元男?その見た目で?」
「なんで自殺しただけで幻想入りするのよ。ってよくよく見たら貴方人間じゃなくなってるわね」
と、霊夢と紫では気になるところが違ったらしい。その答えに遥は、
「あ、やっぱりそう思う?わたしもうすうす人間じゃない気はしてた」
紫はしばし考える素振りを見せると、俯いていた顔を上げる。
「まあいいわ、今考えてもわからないことを考えていても意味ないしね。歪みの原因も貴方でしょうし、とりあえず貴方は今夜泊まる所も無いでしょう?もうすぐ日も暮れるし今夜は霊夢の家に泊まっていきなさい。後のことはそれから考えればいいわ」
「「へ?」」
紫の言葉に霊夢と遥の声が重なる。その反応に、
「仕方ないでしょう?妖怪に襲われても大丈夫そうとはいえ、ここらで野宿させる訳にもいかないし」
「……まあ、私はいいけど」
「え?いいの?」
紫に答えた霊夢の言葉に、遥が更に驚いたように言う。
「べつにあんた1人泊める位なんの問題もないわよ」
「え、いや、でも、もとおと──」
「今は違うんでしょ?それなら大丈夫よ」
と、遥のセリフに被せる様に霊夢が言う。
「それとも他にあてでもあるの?無いでしょ。大人しく家に泊まっていきなさい、紫が言うなら無いとは思うけど、どこかで野垂れ死にでもされちゃ寝覚めが悪いのよ」
それだけ言うと、霊夢は腕を組み、もう意見を変える気が無い構えである。
「………」
そこまで聞くと、ここまで言われて断るのも失礼だし、そもそも断る理由が無い事に気がつき、
「……よろしくお願いします」
とだけ答えた。
それを聞くと霊夢は、最初からそうすればいいのよとばかりに鼻を鳴らす。
こうして遥の幻想郷1日目の夜は霊夢の家で過ごすこととなった。
霊夢はまだ自分が神社に住んでいるとは明言していないので、『霊夢の家』という表現です。
遥は霊夢の家が神社である事には気づいてます。