TS復讐鬼は幻想に生きる   作:竜野 ニア

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今回済まさないといけないイベントが多すぎて詰め込んだ感があったのに読み返してみるとそんなに長くない不思議。
今回、遥の種族が明らかに!?


4話 博麗神社にて

「それじゃ、私はそろそろ帰るわね」

 

 などと言いながら紫が両端にリボンのついた中に大量の目が見える裂け目の様なもの─スキマというらしい─に入っていこうとしたところで霊夢が、

 

「そういえばあんた今いくつなの?」

 

 と、聞いていた。

 

(12か13ってところかしら?)

 

 などと思いつつ紫が耳をすますと

 

「じゅうなな」

 

「「は?」」

 

 思わず2人揃って聞き返してしまった。

 

「いやだから17歳だって。姿かわったっていったじゃん」

 

 と、本人は供述しているが、元の見た目でもせいぜいが15歳である。

 

「てかわたしの年なんてどうでもいいでしょ」

 

「それもそうね…」

 

 と、釈然としないながらもスキマの中へ入っていく紫。

 

「……それじゃあ、私達も帰りましょうか」

 

「ん、」

 

 と言って霊夢が宙に浮いた瞬間、

 

「……しまった、紫にスキマで送ってもらえばよかったわね。あんた飛べるの?最悪私が抱えて飛んで─」

 

 などと言っている霊夢を遥は興味深そうに眺めながら、

 

「霊夢って面白い飛び方するね。風や重力を操るのではなく《浮遊》あたりの概念を直前操ってるのかな?これなら風や重力に影響されることなく、しかも慣性も無視して飛べるみたいだね」

 

 口調も少し変わり、今までにない程の長文を話す遥に驚く、

 

 今までは声に抑揚がなく表情も変えずに最低限しか話さなかったのだが、今はこころなしか目がきらきらしている気がするし、興味深いという気持ちが見て取れる。

 

「え、ええ私の能力がそういう能力だからね。それで、あんた飛べるの?」

 

「むりだった(・・・)よ?」

 

「『無理だった(・・・)』?じゃあ今は飛べるっての?」

 

 遥の言い方に引っかかりをおぼえた霊夢は再度聞き返す。

 

 すると遥はなんということもないように、

 

「できるよ?霊夢の飛びかたみたからね」

 

 ほら、と言い続いて唱える。

 

「『身体《浮遊》付与(セット)』よっと、おーこれ風や重力よりつかいやすい」

 

 おそらく遥の能力らしきものを発動させるとあっさりと浮きはじめる。

 

「な、なんで、どうやったのよ!?」

 

 しかしさすがの霊夢もこれには驚いたようだ。

 

 なにせ遥が言った通りその飛行法は霊夢の能力とほぼ同じものだったのだ。

 

「ん〜、わたしの能力?霊夢の飛びかた見たからまねてみた」

 

「真似てみた、ってまさか能力を模倣する能力!?」

 

 霊夢が驚きつつその考えを口にすると、

 

「ちがうよ?」

 

 本人によってあっさり否定された。

 

「そんなことよりはやくいこ?ほんとに日がくれるよ?」

 

 そう言って遥が指さした先には地平線に沈みはじめている太陽があった。

 

 

─────────────────

 

 

 その後、遥の飛行練習を兼ねて霊夢の家、博麗神社まで飛んでいくこととなった。

 

 遥は直ぐに飛行に慣れ、神社に着く頃にはアクロバットする余裕すらあった。

 

「空とぶの、たのしいね」

 

「そうね」

 

 霊夢は自身の能力が《空を飛ぶ程度の能力》というだけあって空を飛ぶ楽しさを人一倍よく知っているのだろう。直ぐに返事は返ってきた。

 

「ただいまー」

 

「おじゃましまーす」

 

 と、霊夢に続いて遥も中に入る。

 

 そのまま台所に向かうなり、

 

「さっさとご飯作っちゃうわね」

 

「手伝おっか?」

 

「あんた料理出来るの?」

 

「家じゃひまだったんで」

 

「そう、じゃあそれとそれ、任せるわね」

 

「りょーかい」

 

 といった具合いに料理はサクサクと作られていった。

 

「「いただきます」」

 

 といって夕飯が始まった。

 

 そこで霊夢は気付く。

 

「もしかしてあんた私より料理上手いんじゃないの?」

 

 という霊夢の言葉に、出来たご飯を美味しそうにアホ毛をぴょこぴょこさせながら食べていた遥は動きを止め、少し考えてから、

 

「……わかんない。友達や妹にはけっこう評判よかったよ?」

 

 と答える。遥からすれば暇つぶしにおぼえた技術なので、自分の腕がどの程度のものかわからないのだ。

 

 そもそも友人の内の1人や、妹の料理は……と、そこまで考えたところで首を振って思考を中断した。

 

「ふぅん、店出せるレベルだと思うけどねえ」

 

「それはさすがにお店だしてるひとに失礼では?」

 

 さすがに真面目に料理している人達と 暇つぶし程度の自分の料理を比べるのはどうかと思っていると、霊夢が

 

「まあいいわ。どうせ明日は忙しいんだからこの後直ぐにお風呂入って寝るわよ」

 

「ん、わかった。……ちなみになんでわたしは引きずられてるのかきいていい?」

 

 ちなみに2人とも既に食べ終わっており、片付けが終わったところだった。

 

 遥の問に霊夢は、

 

「お風呂入るわよ、って言ったじゃない」

 

「うん、いってらっしゃい」

 

 その言葉に霊夢は顔も向けず、

 

「あんたも入るのよ」

 

「……いっしょに?」

 

「一緒に」

 

「……なんで?」

 

「そりゃだってあんた、その長い髪洗うのも大変でしょ。だから洗ったげるわよ、てか洗わせなさい。あんたが元男でも私は別に気にしないわよ」

 

「えぇ……」

 

 自分が元男だということを忘れたのかとも思ったが、どうにもそうじゃないらしく、本当に気にしていないらしい。

 

(本人がいいならまあいっか)

 

 と、そこで抵抗をやめ、大人しく引きずられていく遥だった。

 

 

─────────────────

 

 

 その後、一緒に風呂に入ることになった2人だが、そこで霊夢は違和感をおぼえていた。

 

(たしかに私は気にしないけどさすがに気にしなさすぎじゃない?)

 

 霊夢からすれば遥はただの年齢と見た目が釣り合わないだけの女の子なので特に気にしないが、遥は元男と言っているにもかかわらず、霊夢の方へ視線を向けるでもなく、かといって無理に視線を逸らすこともなくまさしく自然体といったところである。

 

「私が言うのもなんだけどあんた元男なんでしょ?さすがに気にしなさすぎじゃない?」

 

 その言葉に遥はぼーっと虚空を眺めるのをやめ、

 

「妹とよくいっしょにはいってたしね。それに性別なんて個体差でしょ」

 

「へぇ、妹がいるんだ」

 

 後半はなんともコメントしずらかったのでスルーして、どうりで髪を洗うのが手慣れていたわけだと前半にのみ答える。

 

「うん、いたよ(・・・)。まあ、いっしょにはいってるときたまにあいつの目がたまにやばかった気がするけど……。てかさっきいわなかったっけ?」

 

 ほんの一瞬だけ遥の声のトーンが落ちたことに気付かず霊夢は、

 

「ところでさっきからずっと気になってたんだけど、その紋章みたいなの、なに?」

 

「?」

 

 頭上のアホ毛を『?』の形にしながら、霊夢が指さすお腹の方を見てみると、確かに下腹部に紅い紋章のようなものが描かれていた。

 

 それを目にして少し考えた後、

 

「……あぁ、なるほど、たしかにこれなら……」

 

 そう言う遥は、今までほとんど動かなかった表情を歪めて嗤い、その目は怒りや憎しみ等の暗いどろどろとした感情で濁っていた。

 

「は、遥?どうしたの?」

 

「……え?あぁ、ちょっと自分の種族がわかったってだけ」

 

 それを見て心配そうに訪ねる霊夢に遥はあっけらかんと答えた。

 

「あんたの種族、ってなによ」

 

合成獣(キメラ)だよ。この紋章は『生命の樹』っていって……」

 

 思わず聞いた霊夢に遥はあっさりと答え、簡単な説明を始めた。

 

 霊夢は風呂から上がったあたりでようやく遥の説明を理解したらしく、

 

「……えーとつまり、色んな種族の固有能力を使えるようになる、ってこと?」

 

 超ざっくりとまとめた霊夢に、

 

「まあそーゆーこと、紫と会ってから妖力が使えるようになっていたことから一度あった種族の能力は使えると思うよ。種族固有能力じゃないものは使えないみたい。霊夢の能力は使えないしね」

 

 と、少し苦笑いのような雰囲気をだしつつ答える。

 

 

─────────────────

 

 

 それから少し後、布団を敷いている時に、

 

「と、いうわけで今夜は私の抱き枕になってもらうわよ」

 

「うん、どういうわけ?」

 

「布団が2つ無いからね。それにちょうどいいサイズだし、抱き心地良さそうだし」

 

 遥の質問に霊夢はキッパリと答える。

 

「おしいれのおくにふとん見えたからね?ぜったい後半が理由でしょ」

 

 遥がジト目で言うと、

 

「私は抱き枕が欲しいのよ」

 

 霊夢のその答えに、逃げられない事を悟ったは、大人しくされるがままとなった。

 

「おやすみ」

 

「おやすみ〜」

 

 とだけ言って2人はかなり疲れていたらしく、睡魔は直ぐに襲ってきた。

 

 

 ───とても懐かしい夢をみた。




次回、過去編
お楽しみに
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