P「バック・トゥ・ザ・フューチャー」咲耶「Part.283」 作:はちコウP
1999年7月1日 午後8時30分
「……え?」
「何……?」
咲耶とプロデューサーは狐に摘まれた様に唖然としていた。一瞬のうちに周囲が暗くなっていたのだから。
ついさっきまで陽に照らされていた高速道路は、路肩に一定間隔で並ぶライトにより琥珀色に染められていた。
呆然としたままプロデューサーは車を走らせる。
「っ!?ヤバッ!」
前方に先行車のテールライトが迫っていたのに気がついて、プロデューサーは急ブレーキをかけた。
激しい摩擦音を立てながら車が急激に減速してゆく。
そしてあわや数十センチの差で前の車に激突する、その寸前に停車したのであった。
「ふぅ……危なかった……」
大きく息を吐いたプロデューサーが更に道の先の方へと目を向けると、多くの車が数珠繋ぎになっているのが見えた。どうやらこの先は渋滞中のようであった。
「咲耶、大丈夫か?」
「ああ。私は平気さ。それよりもこれは一体どういうことなんだろう?」
咲耶が首を左右に動かして周囲の様子を見渡す。
「いつの間にか夜になっている……」
「追い詰められてハイになりすぎて、無我夢中で運転してるうちに俺たち記憶が飛んじゃったのか?」
「そんなまさか……でも何にせよ奇妙だ。……あっ!後ろは大丈夫かい!?ヤツらは!?」
「そうだった!」
二人がサイドミラー越しに後方を確認すると、数台の車がゆっくりと近づいてきて停止するのが見えた。その中に例の黒いワゴン車は見当たらない。
「とりあえず撒けたってことでいいのかな?」
「そのようだね」
二人は顔を見合わせて安堵の溜息を吐いた。
その直後、背後からクラクションが鳴らされる。
前方を見ると渋滞は僅かに先へと進んでいた。
プロデューサーはゆっくりと車を進めてゆくのだった。
それから二人は次の高速出口から一般道へと降りることとした。
(あれ?この料金所って、入ってきた所からそんなに離れていないような……)
出口の地名表記を見てプロデューサーが違和感を抱く。だが次の瞬間、料金所のゲートを目前にしたプロデューサーは、ETCゲートを破壊してしまった事を思い出して背に冷や汗をかいた。
しかしながら事情を説明する他にないので係員がいるゲートへと車を進めた。
「プロデューサー、このままだと私が係員と話すことになるけれど」
と右側の座席に座る咲耶が言う。
「あ、運転席左右逆か。仕方ない、降りて直接歩いてこう」
プロデューサーはゲートの手前の路肩に車を停めると、そそくさと料金所へ向かっていった。
「あのーすみません。ETCゲートを壊しちゃって」
「は?何だって?」
60代ほどと見られる男性係員が眉間に皺を寄せつつ聞き返す。
「ゲートですETCの。高速に乗る時に壊しちゃって」
「ETCって何だ、コンピュータのメーカーか?訳のわからない事言ってないで券出して。持ってないの?」
「券ですか?確かに取ってないですけど」
「取り忘れか。確認取んの手間なんだよな……で、どっから乗ったの?」
「えっと……」
プロデューサーは入ってきたインターの名前を告げる。
「そこね……っと。ならこんだけな。それと書類、住所と電話番号書いて」
係員の男はレジスターを操作して料金を表示させ、バインダーに挟んだ書類とボールペンを手渡した。
プロデューサーは書類を記入しバインダーを脇で挟む。そして財布を取り出そうと慌ててポケットを弄るが、なかなか取り出すことが出来ない。そんな風に手こずっていると
「プロデューサー、これを」
いつの間にか側に来ていた咲耶が小銭を手渡してきた。
「あ、ああ。ありがとう咲耶」
そうして小銭を受け取ったプロデューサーは係員へ料金と書類を手渡した。
「よくできた妹さんじゃねえか。本当は確認作業終わってから通さなきゃいけねぇえんだけどよ、嬢ちゃんに免じて先に通してやるよ。早く家まで帰してやんな、明日も学校だろう?」
「いや……あ、あははは、ありがとうございます。それじゃあ」
プロデューサーは軽く頭を下げて、咲耶と共に車へと戻って行く。
「ふふっ」
「どうした咲耶?」
「私がプロデューサーの妹だと思ったらしいね、あの人は」
「そうだな。もしかして嫌だったか?」
「そんな事は無いさ。ちょっぴり嬉しかったよ。兄妹っていうのはこういうものなのか、って貴重な体験ができたよ」
口元と目を愉快そうに歪ませつつ、咲耶は車に乗り込んでいった。
「ちょっと喉が渇いたな。コンビニに寄ろうと思うんだけど、いいか?」
「ああ、私もちょうど何か飲みたいと思っていたんだ」
そうして料金所を出てすぐの所に見かけたコンビニの駐車場に車を停めて、二人は店内へと入っていった。
「いらっしゃいませー」
男性店員の声に迎えられつつ、飲料品売場へと二人は進んでゆく。
店内で流れていた音楽にプロデューサーは反応する。
「おっ、懐かしいなこの曲。確か俺が小学生になったくらいの時に流行ってた曲だ」
「これは私も聞いたことがある。この前懐かしの名曲特集番組で見たよ」
「そうか、咲耶からしたらそんな感じになるよな」
「この曲が発売された時に私はまだ生まれていないからね……おや、これは」
続けて流れてきた曲に咲耶が反応する。
「この曲だよプロデューサー。私がダンスレッスンで踊っているのは」
「これか。確か結構激しいダンスで難易度が高いって聞いた事がある。メインボーカルのパフォーマンスとバックダンサーのダイナミックさとのシンクロ具合を出すのが大変らしいな」
「けれどもやり甲斐はあるよ。これをモノに出来れば数段階のレベルアップは確実さ」
「じゃあその暁には是非とも見せてもらおうかな」
「ああ、楽しみにしていてほしい」
そしてプロデューサーはペットボトル飲料二本を手にレジへと向かう。
(このパッケージデザイン懐かしいな。いつの間に復刻版が発売されたんだ?)
などと考えつつ店員へとボトルを差し出した。
「2点で315円になります」
「じゃあこれで」
とプロデューサーは電子マネーカードを取り出して店員へと見せる。
「カードでのお支払いですね」
店員がプロデューサーの手からカードを受け取った。
「え?いや、タッチは」
「……ん?……んん?」
店員がカードリーダーに電子マネーカードを何度も通す。だが当然ながら反応は無い。
「いや、それはタッチして使うやつだから―――」
「……申し訳ございません。こちらのカードは当店では取り扱い出来ないようでして」
「ええっ?」
そんなはずは無いとプロデューサーは声を上げようとしたが、店員は至って真面目な顔をしており、ふざけた様子は微塵も見られないので、仕方なしに電子マネーカードをしまい込み、クレジットカードを差し出した。
「じゃあこっちで」
「はい」
(……新人さんなのか?でも今時電子マネーの使い方知らない人なんているわけ無いよな?それともカードリーダーが壊れてるのか?)
クレジットカードが通されたレジからエラー音が鳴る。何度試しても同様で、苛立ち混じりに店員は眉をひそめた。
「申し訳ございません。こちらのカードも使用不可のようです」
「いや、さっきホームセンターではちゃんと使えてたんだけど。……仕方ない、それじゃあ現金で」
とプロデューサーは財布から千円札を取り出して店員へと差し出す。
「……えーと……お客様、流石に玩具のお金でのお支払いは……」
「は?いやいや、どっからどう見てもちゃんとした千円札でしょ。ほら!野口英世の顔もくっきりしてるし、文字の加工だってしっかりと」
プロデューサーは突き返された千円札を広げて店員にかざして見せる。
「お客さん、ひやかしは止めていただけます?千円札といえば夏目漱石ですよ」
店員は僅かに語気を強めて、レジから取り出した千円札を広げて見せた。
「確かに昔は夏目漱石だったけど、今は野口英世に変わったでしょ。あれは確か……10年くらい前?確かそのくらいに!」
「……お客さん、これ以上ふざけるのでしたら出て行っていただけますか?他のお客様のご迷惑ですので」
と店員が後方へと目配せをするのにつられて振り返ると、数人の客が苛立ち混じりの視線をプロデューサーに向けているのが見られた。
「あ……」
「すみません、この新聞を。飲み物は結構ですので」
プロデューサーの会計をレジ横で待っていた咲耶が小銭と共にスポーツ新聞を店員へと差し出す。
「はい、お代は確かに……お買い上げありがとうございます」
「それじゃあ行こう、プロデューサー」
「え?いや、でも飲み物が」
咲耶に手を引かれながらプロデューサーは半ばよろけつつ、コンビニを後にした。
その様子を店員や他の買い物客が疑わし気に見ていたのだった。
「どうしたんだ咲耶、いきなりあんなマネを」
「そんな事よりこれを見てくれプロデューサー!」
咲耶がある一点を指差した。
そこに書かれていたのは新聞の日付。記されていたのは
「えーっと……1999年7月1日……は?」
21年前の日付であった。
「そんな馬鹿な!」
プロデューサーがひったくるように掴んだ新聞紙を次から次へとめくってゆく。
「私も自分の目を疑った。けれども、全ての新聞の日付は同一だった。この新聞だけの印刷ミスとかじゃない。それに私のスマホを見てくれないか?圏外になってるんだ」
「は?……本当だ。……俺のも圏外だ……こんな山奥でも何でもない場所なのに」
自分のスマホ、咲耶のスマホの画面を交互に見るプロデューサー。
そして周囲の風景を見渡してみる。
この場所は仕事で何度か通ったことがあり、多少ながら馴染みがある所であった。
「……何だろう。よく分からないけど、少し違和感があるような」
「プロデューサー、もしかすると私達は……」
「……多分俺も咲耶と同じ事を考え初めてる。……とりあえず一旦車に戻ろう」
そうして車に乗り込んだ二人は内部をくまなく調べてゆく。
「よく見てみると本当に奇妙な車だ」
「うん、その中でも特に気になるのはこの機械」
と咲耶が運転席と助手席の間にあるレバーのようなスイッチを回す。
するとそれに合わせて後方に付いている、Y字型のチューブのような物が収められた装置が明滅する。
「それとこのデジタル時計もだな」
プロデューサーがハンドル右下付近のボタンを適当に押す。
「ボタンを押して切り替わるのは一番上の数字だけ。他の二つは固定されたままだな」
「プロデューサー。この数字、というか年月日と時刻の意味は何なのかを考えてみないかい?」
「そうだな。え~っと」
デジタル表示の数字の側に貼り付けられたプレートの英字は上からそれぞれ
DESTINATION TIME
PRESENT TIME
LAST TIME DEPARTED
となっていた。
「一番上は……目的の……時間?表示されているのは今しがた俺が入力したデタラメな数字だ」
「下の2つは……中央のは現在時刻、かな?1999年7月1日の、ちょうど9時になったところだ。後は、最後の時間?旅立った?」
最下部の表示は2020年6月26日午後2時3分となっていた。
「整理してみると、下が最後に旅立った時間。真ん中が今の時間、上が目的時刻ということになるな」
「私たちが辿ってきた道程、時間を照らし合わせるとピッタリ符号しているように思える。……ということはつまり」
「ああ、間違いない。この車はタイムマシンだ!」
手を打って声を大きくあげるプロデューサー。
「にわかには信じられないけど、そう判断する他無いだろうね。さて、となると装置を動かすための条件が何かあるはずだけれど……」
咲耶が冷静に車内を今一度ぐるりと見渡す。
同じように身の周りを探っていたプロデューサーは、ふと前へと目を向けた。
コンビニの店内から先程の店員がこちらの様子を伺っているのが見えた。その目は明らかに不信感を抱いているように感じられた。
「咲耶、一先ずここを離れよう。警察にでも通報されたら厄介だ」
「うん。その方がいいね」
1999年7月1日 午後9時10分
コンビニを後にして車を走らせること数分、咲耶が口を開いた。
「プロデューサー、思いついたのだけれど、装置の動く条件がタイマー式という事は無いだろうか?目的日時を決定してから一定時間が経つとタイムスリップが始まる、というような具合で」
「一理あるな。ちょっと試してみよう」
プロデューサーは車を路肩に寄せて停車するとボタンへと手を伸ばす。
「……目的時間はいつにしよう?」
「私達が元いた時刻でいいんじゃないかな?」
「よし、それにしてみよう」
プロデューサーは、2020年6月26日午後2時3分、と一番下の表示と同じものを打ち込んだ。
「セット完了。後は暫く待つとしよう」
そして5分後
「……何も起こらないな」
「起こらないね」
「となると別の条件か。何があるかな?」
「なら私達がここに来る前の状況を思い返して推理してみてはどうだろう」
「ここに来る前か。高速道路で深沼の手下に追われていた時だよな。確か時刻をセットしたのはその途中だ」
「私がプロデューサーの言った年月日を入力をした」
「それから暫くかっ飛ばして走り続けて…………そうか!わかったぞ!」
プロデューサーが声を上げて手をパンと叩く。
「きっとタイマーをセットして暫く走る必要があるんだ。原理は分からないけど、このマシンが車である必要性を考えれば辻褄が合うんじゃないか?」
「確かに。悪くないかもしれない。それと確証は無いのだけれど、場所も関係しているんじゃないだろうか?以前見た映画でタイムスリップをするシーンがあってね。その時に、時空の歪みが存在する場所がどうとか言っていたような気がするんだ。……まあフィクションの話だから当てにはならないかもしれないけれど」
「いや、この際だ。色んな可能性に賭けてみよう。取りあえずもう一度高速に行って試すんだ。出来る事は全部やってみる!」
「ああ!」
プロデューサーは車を再始動させて、先程降りてきた方とは反対車線側にある高速道路の入口を目指して走り始めた。
しかしながらすんなりと目的の場所へは進めなかった。
途中で道路工事が行われており、回り道をするように促されたのだった。
仕方が無いので広い国道から、狭く入り組んだ住宅密集地へと車を走らせてゆく。
「ふふっ」
「どうした咲耶、いきなり笑い出して」
「ああ、すまない。何だか二人で何の疑いも無くこの車がタイムマシンだと合点して話を進めていたのが、思い返してみると何だか可笑しくてね」
「ははっ、確かに。どうかしてるよな俺達」
「もしもこれが手の込んだドッキリだとしたら、仕掛け人の人々はさぞかしご満悦だろうね」
「ドッキリかあ。そうだったら恥ずかしいな。暫くは行く先々で笑いものにされる事間違いなしだなこりゃ」
談笑しながら車を走らせるプロデューサー。さっきまでの緊張がほぐれ、気が緩み始めていたせいか彼はそれに気が付かなかった。
「ふふふっ……あ、危ないっ!」
「えっ?……っ!!!」
咲耶の声に遅れること1秒足らずのタイミング。だがそれはこの先の運命を決定づける一瞬であったのだった。
車の進路を横切るように道路を横断しようとしていた人影がライトに照らされる。
響く急ブレーキの音。
車が完全に停車する寸前。その人影は運転するプロデューサー及び咲耶の視界から消え去った。
急停止した車の後ろからクラクションが鳴り響く。
プロデューサーがサイドミラーを覗くと後方には一台のスポーツカーが。
そのスポーツカーはプロデューサーの車に動く気配が無いとみると、颯爽と対向車線に車を動かして追い抜いていった。
スポーツカーは青いボディにライトを一瞬反射させ、すぐに暗闇へとその姿を消していった。
「プロデューサー!ボーっとしてる場合じゃ!」
咲耶に声をかけられて我に帰ったプロデューサーは慌てて車を飛び出した。
車から降りた2人が目にしたのは地面にへたり込む1人の少女。
その距離は車から僅か10センチ程度しか離れていなかった。
もう少しブレーキを踏むタイミングが遅ければ、確実に彼女は跳ね飛ばされていただろう。
「だ、大丈夫かい?」
車のバンパー付近で呆然とした表情を固めたまま、微動だにしない少女にプロデューサーが声をかける。
「…………え?あっ……はい……」
「立てるかい?ほら、手を貸そうお嬢さん」
咲耶が少女へと手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます」
少女はその手を取って立ち上がろうとする。しかし
「きゃっ!」
腰を抜かしていた少女は上手く立つことが出来ず、よろめいてしまう。
「おっと」
そこを咲耶が腕を回して抱きとめる。
その光景はさながら少女漫画か何かで王子が姫を抱くかのような、そんなワンシーンを思い起こさせた。
「ははっ。怖い思いをさせてすまなかったね。どうか許して欲しい、愛らしいお嬢さん」
「え?……あ、はい……こちらこそ、ボーッとしていたみたいで、すみませんでした」
少女は今度こそしっかりと立ち上がると、咲耶の腕の中からサッと離れて頭を下げた。
「ともあれ怪我が無くて良かった」
声をかけつつプロデューサーは少女の容姿に注目した。
標準的なセーラー服タイプの制服、目元には黒縁の洒落っ気の無い眼鏡をかけており、ひっつめ髪を後ろで三つ編みの一本お下げにしている昔ながらの女学生といった容姿の少女。
時間的に塾帰りか何かかと思ったが、彼女の周囲を見渡しても鞄や勉強道具の類は見当たらない。
「…………あの、何故そんなにジロジロと見てるんですか?」
プロデューサーの視線に気づいた少女が、不信感を露わに視線を返してくる。
「あ、ああ、すまない。君は女子高生……だよね?そんな子がこんな時間に手ぶらでどうしたのかと思ってね」
プロデューサーの言葉を聞いた少女は一瞬眉をひそめる。
「……通りすがりの、私を轢きかけた人に言われる筋合いも話す筋合いもありません」
「あー……それもそうか。ごめん」
「むしろあなた方こそどうなんですか?こんな時間にいい大人が女子高生を連れまわしているようですけど、もしかして……援助交際……?」
「え?……いやいや!そんなんじゃないよ!」
「…………」
少女はメガネの弦に手を当てて目を細める。明らかにプロデューサーを不審者として見ている目だった。
「ははは、参ったね兄さん」
「……え?」
突然の咲耶の一言にプロデューサーは目を丸くする。
「私が降りる駅を間違えてしまったばかりにこんな事になってしまって。わざわざ迎えに来てもらったのに、ごめんなさい」
少女の横に立つ咲耶がプロデューサーに向けてウインクをしてくる。
(なるほど、そいういう事か)
「あ、ああ。でも仕方無いさ。地方の人間に東京の電車の乗り換えは難しいからな。俺も初めて来た時は散々迷ったもんさ。ははは」
「あ……ご兄妹だったんですか。……失礼しました。変な事を言ってしまって」
「別に良いよ、気にしてない。俺だって君を轢きそうになってしまったんだ。悪かった。ともあれ、これでおあいこという事で。それよりも君、家はこの辺なのかい?良ければ送っていくけど」
「えっと……あの車で、ですか?三人乗るスペースは無さそうですけれど」
「……あ」
「そうだね。言われてみればあの車は二人乗りだ。何なら私の膝の上にでも乗るかいお嬢さん?」
咲耶が気取った風に言うと
「い、いえ。結構です。家までそう遠くはありませんので。では失礼します!」
そうしてそそくさと踵を返して少女は走り出そうとする。
その瞬間、咲耶が彼女の足下に何かが落ちているのに気が付いた。
「ちょっと待って。これは君のじゃないのかい?」
「え?」
振り向いた彼女に咲耶は、拾い上げた学生証を手渡した。
「あ、ありがとうございました」
少女は軽く頭を下げて、今度こそ走り去っていった。
「……ふぅ。助かったよ咲耶」
「このくらいお安い御用さ、兄さん」
「おいおい、もうよしてくれ」
プロデューサーは苦笑して後頭部に手を当てた。
「ふふふっ」
「それにしても今時珍しい感じの見た目の子だったな。……いや、この年代だとそうでもないのか?……違うな、多分この年代でも彼女みたいなステレオタイプの女学生って感じの子は少なかった気がする」
「米村さん、というらしいね」
「え?どうして知ってるんだ?」
「さっきの学生証に書いてあったのさ。少し目に映ってね」
「そうか。……ん」
(米村?最近どっかで聞いたような……)
「下の名前は少し珍しい感じだったな。藍――」
その瞬間後方からクラクションが鳴らされた。
振り返ってみると新たな後続車がやってきているのが見えた。
「まずい。とにかく車に乗ろう」
「そうだね」
2人は急いで車に乗り込んで先を急ぐのだった。
そして数分後。料金所を抜け、車を先程とは逆方向へと走らせてゆく。
「じゃあ高速にも乗ったし取り敢えず色々と試してみよう。まずは時刻をセットして暫く走ってみようか」
プロデューサーはセットされた時刻や装置にスイッチが入っているのを確認し、スピードを徐々に上げてゆく。
未だ僅かながらに渋滞している反対車線とは対照的に、こちら側の車線は空いており、スイスイと車を走らせることができた。
1999年7月1日午後9時27分
高速道路の料金所手前に2台の白バイが停車していた。
「はい、はい。了解しました。発見次第対応します」
白バイに乗った警官が無線からの指示に返答をした。
「先輩、ヤツらですか?」
もう1台の白バイに乗った警官が尋ねる。
「ああ。昨日逮捕された構成員が白状したらしい。リーダーはアメ車を愛用してるってな」
「てことはアメ車が通ったら片っ端から止めてけば良いって事ですね」
「そう単純な話じゃない。情報が嘘の可能性もあるし、必ずしも今それに乗ってるとは限らん」
「じゃあどうすれば?」
「アメ車と怪しい車を片っ端から止めるんだよ」
「何だ。いつも先輩が言っている通り、勘ってことですね」
肩をすくめる後輩と思わしき白バイ隊員。
その時、彼らの目の前を特殊な外装の、珍しいデザインの車が通り過ぎていった。
「……おい」
「わかってます。あの車を追うんですね」
警官らはヘルメットをかぶってバイクに跨りエンジンを始動させた。
「結構な距離を走ったけれど、何も起こる気配が無いな」
「走行距離は関係無いのかな?だとしたらやはり位置が問題に?」
高速道路にて走ること5分程度。依然として何も起こらない事に、プロデューサーと咲耶は車内で頭を捻らせ続ける。その時
《そこの違法改造車、直ちに車を寄せて止まりなさい》
後方からスピーカーを通した大きな声とサイレンの音が聞こえてきた。後方から2台の白バイが迫ってきていた。
「ヤバイ、白バイだ」
「違法改造車とは、間違いなくこの車だろうね。どうしようプロデューサー」
「仕方がない。取り敢えず路肩に止めて……」
言いかけたプロデューサーがある事実に気付く。
「あー……そういえば俺の免許2024年まで有効なんだ」
「それがどうかしたのかい?」
「有効期間の開始日が2019年なんだよ」
「あ……」
本来存在しないはずの免許証を持ち、違法改造と認定された車を運転し、夜更けに女子高生を乗せて高速を走行し、その他諸々不審な点を挙げればキリが無い。
そんな状況ではどんな弁明をしようが身柄を拘束される事は間違いない。
「仕方ない…………振り切るぞ!」
「ちっ!逃げる気か」
前方を走るメタリックボディの不審車がスピードを上げたのに合わせ、白バイ隊員もアクセルを全開にする。
「いきなり当たりを引いちゃいましたかね俺達!」
「さあな!何にせよ捕まえてやるさ!しっかりついて来いよ!」
「了解!」
2台の白バイがサイレンを響かせ猛スピードで追走する。
後輩隊員が速度計に目を向ける。時速120キロを突破するところだった。
「見た目は古臭いマイナー車のくせして一丁前にスピードは出てる。ゴテゴテと改造してるだけはあるみたいですね」
「だな。けどこっちは最新型だ。加速性能だってダンチなんだからな!」
事実、白バイと不審車との距離はみるみる縮まってきており、最早その差は車数台分程度にまでなっていた。
「俺が前に出る!お前は後方で退路を塞げ!」
「了解!」
白バイ隊員が更にスピードを上げる。その速度は時速140キロを突破した。そして追越し態勢に入ろうと車線をずらしてゆく。
その時、目の前の不審車のボディから突如として青白いスパーク光が弾け出した。
「何!?」
白バイ隊員が驚愕の声を上げた瞬間、凄まじい閃光と衝撃波が巻き起こった。
「うわぁぁぁっ!」
「せ、先輩!うおおっ!」
白バイ隊員らは白んだ視界の中で急制動をかける。左右にブレる車体をどうにか抑え込み、安定させる。
そうして閃光に眩んだ白バイ隊員の視界が元に戻った時には、不審車の姿はどこにも見られなかった。
「ヤツらスタングレネードを使うなんて小癪なマネを……」
「どうします!追走続けますか!?」
「当たり前だ!それと付近の出口の完全封鎖だ!」
白バイ隊員は無線を手に取りつつ叫ぶように言ったのだった。
2020年6月26日午後2時3分
昼下がりの車通りもまばらな高速道路の下り車線に、突如として三度の衝撃波が広がり、直後に虚空から1台の車が出現した。
「っ!…………眩しっ!」
プロデューサーは周囲の光景が急に明るくなったのに目を細める。
暫くしてから前方と左右へじっくりと目を凝らしてみる。
「戻って……来れたのか?」
「プロデューサー!これを!」
咲耶が差し出してきたスマホの画面。その左上には通話圏内であることを示すマークが付いていた。
更に謎の装置のデジタル表示に目を向けると、真ん中の時刻表示が2020年6月26日午後2時3分となっており、程なくして表示は午後2時4分と切り替わった。
「タイムスリップ、成功したみたいだな」
「そのようだね。何故そうなったのかは結局分からずじまいだけれど」
「白バイから逃げるのに必死だったからなあ。ともあれ助かったのは何よりだ」
「それでプロデューサー、これからどうするんだい?」
「そうだな……取り敢えずこの車、返しに行かなきゃな。事情を話してわかってもらえれば良いんだけれど」
2020年6月26日午後2時43分
「ああっ!何ということだ!」
ドクが頭を抱えてその場を右往左往する。
一方でマーティはドクから少し離れた場所でアスファルト上にしゃがみ込み、痛みの残る口の端に手を当てる。指の先には薄っすらと血が滲んでいた。
「痛たたた。ったく、何だったんだあいつら。デロリアンに群がってたと思ったら急に車に乗ってどっかに行ったりして」
謎の集団との取っ組み合いを経て、マーティとドクは盗まれたデロリアンを探して周囲を駆けずり回った。
当然のことながら何処かへ走り去ったデロリアンを見つけ出すことは到底叶わず。ホームセンターの駐車場へと戻った二人は途方に暮れていた。
「ヤツらは一体何者だ!どうしてデロリアンを狙ったりなんぞした!」
「それだけどさドク。あの男達が狙ってたのってデロリアンっていうより、デロリアンに乗って逃げた人達じゃあないかな?」
「何だと!?それじゃあデロリアンは、偶然そこにあったから盗られたというわけか!」
「多分ね」
「だがマーティ、どちらにせよ我々が危機的状況に置かれている事に変わりは無いぞ。デロリアンを取り返さねば元の時代に帰る事は叶わん」
「取り敢えず警察にでも行ってみる?ああ、でも身分証明とかが出来なきゃダメか。下手すりゃこっちが不審者として逮捕されちゃうかも」
「なーに、その点は心配無いぞ。私は2015年に戸籍や拠点となる家などをちゃんと用意しておる。証明書の類もバッチリ作ったさ」
「それ偽造したって事!?……まあ細かい事はこの際だ、気にしない方がいいか。それじゃあ警察署の場所をしらべなくっちゃね」
「ところでマーティ。デロリアンに乗り込んだ二人の特徴は覚えておるのか?」
「もちろん!一人はスーツを来たビジネスマンでもう一人は女の子だ。髪が長くて……二人ともアジア系の顔つきだったな。多分ニッポン人だ」
「ビジネスマンと髪の長い女…………あんな感じのか?」
そう言ってドクが視線の先を指差した。マーティは振り返り、その方に目を向ける。
「そう!丁度あんな感じの…………って!あの二人だよドク!」
ホームセンターの駐車場へと戻って来たプロデューサーと咲耶は車を駐車場の片隅に停めて周囲を探し回った。
あれから僅かながら時間が経っているために車の持ち主と思しき外国人は、既に何処かへ行ってしまったとも思われたが、難なく2人を見つける事が出来た。
「良かった。まだいてくれた」
「とにかくまずは謝らないとね」
外国人の2人もプロデューサーと咲耶に気付いたようで、慌てた様子で駆け寄って来る。
近づいて来た2人に対してプロデューサーは
「アイムソーリー」
と何となくそれっぽい発音の英語を口にしながらしきりに頭を下げた。
隣に立つ咲耶も合わせて頭を下げる。
対して2人の外国人はオーバーアクションを交えつつまくし立てる。
何と言っているのかはわからなかったが、車の事について言っているのだろうと想像はできた。
正直、いきなり殴られる事態も想定していただけに、プロデューサーにとってはホッとした所もあった。
しかしながら事情が事情なので詳しく話をする必要がある。
その為プロデューサーは懐からスマホを取り出して、あらかじめインストールしてあった翻訳アプリを起動したのだった。
「おい!お前たち!デロリアンをどこへやった!」
「逃げないで戻って来てくれたのはありがたいんだけど、あの車ちゃんと返してくれない?でないと僕ら元のじだ……家に帰れないんだ」
そんな具合にドクとマーティが2人の日本人に話しかけていると、スーツの男が懐から何かを取り出して手のひらで弄ぶような仕草をした。
「また写真立てか!どいつもこいつも、母親の写真でも眺めて気を落ち着けようとでもいうのか?」
そんな風にドクが悪態をついていると、男が何やら呟いてから手にした物をドクとマーティに向けてきた。
《車を勝手に使ってしまってごめんなさい。車は壊れていません。ちゃんと返します》
男の手にした物から英語の音声が聞こえてきた。
突然の出来事にマーティとドクは目を大きく見開いて、困惑の表情を浮かべつつ顔を見合わせた。
「……ドク。あの写真立てが喋ったように聞こえたんだけど、僕の気のせいかな?」
「いやマーティ。ワシにもハッキリと聞こえた。謝罪と車を返すという旨の言葉がな」
更に男は写真立てのような物に何かを呟き、再度2人の方へとそれを向けてくる。
《悪い人から逃げるのに車を使いました。何時間か走りました。ガソリン代など払います。金額を言って下さい》
またもや発せられた言葉に対して、ドクは思わず大きな声で口にした。
「何だそれは!」
すると僅かな間を置いて、写真立てから日本語らしき音声が発せられる。
男と傍に立つ女性が軽く首を傾げた後に
《これはスマートフォンですよ》
そう写真立てのような物が告げた。
「スマートな、電話?コレが電話だっての?」
「いやいやマーティ。こんな物が電話のハズがない。その証拠に……見ろ、数字を入れる為のダイヤルもボタンもありゃしない。きっとこいつは自動翻訳機だ」
「自動翻訳機ね。随分とよく出来た機械だ」
「とはいえ電話とは酷い誤訳もあったものだな。実際のところ性能はそれほど良くはないらしい」
ドクとマーティが肩をすくめて笑い合う。
その時、男が手にした翻訳機から軽快なメロディーが鳴り出した。
2人は思わず体をビクリとさせる。
男は軽く頭を下げて翻訳機を耳元に当てて何やら話を始めた。
その様はどう見ても誰かと会話をしている風に見えた。
暫くして男は耳元から翻訳機を離して再度二人へとそれを向ける。
《電話がかかってきてしまいました。ごめんなさい。ガソリン代はどうしますか?先に車の方に行った方がいいですか?》
ドクとマーティは顔を見合わせる。
「電話だ」
「電話……だね。この人何者なんだ!?こんな機械持ってるなんて、只者じゃないよ!」
「もしかしたらこの男は高名な科学者なのかもしれんぞ。見かけに寄らずにな。どれ、折角だ色々と聞いてみよう」
ドクは軽く咳払いをすると服の乱れを軽く正して、男の持つ機械に向けて話を始めた。
「私はエメット・ブラウン博士。科学者の端くれです。貴方を高名な科学者とお見受けします。まずはどうかお名前を聞かせて下さらないでしょうか?」
《はじめまして、エメット・ブラウン博士。私の名前はユウイチ・アイカワです。私は科学者ではないです。アイドルのプロデューサーです》
「プロデューサー?プロフェッサーの間違いでは?」
《私は教授ではありません。この子のプロデューサーをしています》
男は隣の女性に目を向ける。
女性は軽く微笑んで二人に向けて会釈をした。
「アイドルって、テレビ番組に出て歌ったり、レコード出したりする、そのアイドル?」
今度はマーティが口にする。
《そうです。私の名前はサクヤ・シラセです。はじめまして》
「僕はマーティ。マーティン・S・マクフライ。よろしく、サクヤ、ユーイチ。僕のことはマーティって呼んでくれ」
《いい名前ですね、マーティ。私はあなたに会えてとても嬉しいです》
サクヤと名乗る女性がマーティに向けて微笑んだ。その身長差からマーティは彼女を少々見上げる形となる。
「……ニッポン人の女の人って意外と背が高いんだな」
マーティがポツリと呟いた。
「そのアイドルのプロデューサーが何故そんな高性能な機械を持っておるんだ?」
ドクの質問にユウイチ、サクヤは怪訝な表情を浮かべていた。
《スマートフォンは誰もが持ってるのが普通です。あなたはスマートフォンを知らないのですか?信じられないです》
その言葉にドクは目を大きく見開く。
「誰もがこの、スマートフォンとやらを持っているだと!?信じられん!」
「ドク、多分それは本当だよ。さっきホームセンターの店員や客が持ってたの、あれがスマートフォンってヤツだよ」
「なるほど!言われてみれば!……という事はあの店員は彼のように翻訳機能を起動させようとしていたのか。少しばかり短気が過ぎたな。じっくり待っておけば良かった」
「ちょっと気になる事があるから次は僕に質問させてくれ。えーっと、今は2020年の6月26日で間違いは無い?」
《はい。今は2020年の6月26日です》
「それとここはアメリカのどこら辺になるのかな?」
《ここはアメリカではありません。ニッポンのトウキョウです》
「トウキョウだと!?そんな馬鹿な!あり得ない!」
ドクが驚愕の声をあげる。
「ドク!という事は、やっぱりここはパラレルワールドなんだよ!父さんの小説に出てたやつと同じだ!」
「いやいやマーティ!そう簡単に結論づけてはいかん!検証を十分に行なってからだ!誤訳の可能性も無いとは言えん。もしかしたらこのジャパニーズタウンと思わしき場所の名がトウキョウという可能性も」
「でもさドク、分かるだろこの蒸し暑さ。この季節のニッポンはこんな気候だって聞いた事がある。彼の言ってる事は正しいよ、きっと」
ドクはマーティの言葉を受けて視線を上へと向ける。
空に浮かぶ太陽がギラギラと地上を照りつけているのが見えた。ドクの額に浮かんだ汗が頬を伝って、雨で湿ったままのアスファルトの上へとポトリと落ちた。
「…………マーティ、ワシは些か頭が熱くなっていたようだ。冷静になって論理的考えれば君の言う事の方が正しいのかもしれん。取り敢えずはその可能性も視野に入れて考えを進めてゆくとしよう」
一呼吸してドクが再びプロデューサーへと向き直る。
「色々と教えていただきありがとうございました。もう十分ですので車の方へ案内していただけますかな?ああ、ガソリン代は結構です。質問へのお礼ということで」
《わかりました。ついて来て下さい》
そうしてユウイチと名乗った男は手招きをしつつ踵を返しサクヤと共に歩き出す。
「とりあえずデロリアンは無事みたいだし、ひとまず安心だね」
「だが何故デロリアンがこのトウキョウへと転移してしまったのか。もしここがパラレルワールドであるのならば我々はどういった理屈と原理でここに来てしまったのか。そしてどうやって帰ればいいのか。謎と問題は山積みだ。これらを何とかして解決していかねばならん」
「大丈夫さ。今回はデロリアンは万全だ、何とかなるよ。エンジンもミスターフュージョンも無事だろうしガソリンだって手に入る……まあ、空は飛べなくなったけどさ」
そうして歩くこと少々。4人はデロリアンの元へとたどり着いた。
「本当に何ともないみたいだね」
「ああ。見たところついさっきと何にも変わっておらん……バンパーに少々傷がついとるのが気になるが、まあいいだろう」
と、そんな風に話す2人の様子を見ていたユウイチとサクヤが何やら小声で話をしていた。
「どうかしたの二人とも?」
マーティが尋ねると、プロデューサーが若干の迷いをその顔に浮かべつつ、スマートフォンに向けて声を出した。
《一つ質問があります。この車はタイムマシンですか?》
その言葉を聞いたマーティとドクは顔を青ざめさせつつ目を合わせたのだった。
「あ、やっぱりマズイことしちゃったのかな俺達?」
「だとしても、2人で相談して素直に話そうと決めたんだ。トコトンまでいこうじゃないか」
「だな」
プロデューサーがタイムマシンについて尋ねた途端にマーティとブラウン博士と名乗る外国人は血相を変えて車を調べ始めた。
背部の機械群から内部の様々な装置とを点検しながら何やら慌ただしげにしている。
「コレがタイムマシンだとしたら、彼らは未来人って事になるよな」
「そうだね。未来人との邂逅。映画や小説なんかで目にしたことはあるけれど、こうして実際に体験できるなんてロマンを感じるよ」
「もしかしたら283プロがどうなっているのかもわかるかな?興味あるけどちょっと知るのは怖いな」
「きっとみんながトップアイドルに上り詰めているはずさ。あなたがプロデュースしてくれているのだから」
「そこまで堂々と言われると何だか照れ臭くなる。勘弁してくれ」
「ふふっ」
口元に手を当てて微笑む咲耶。
するとその時、車のチェックを終えたのかマーティとブラウン博士が2人の元へと近づいてきた。
「プロデューサー、スムーズに話す為に彼らに私のスマホを貸すよ。翻訳アプリを先程インストールしておいたんだ」
「そうか?だったら俺のを」
「別に見られて困るようなデータも入っていないし、何より彼らはそんな無粋な事はしないと思うしね」
咲耶は使い方を身振り手振りで軽く説明して、ブラウン博士へとスマホを手渡した。
《デロリアン、つまりこの車は無事です。突然盗まれたことに驚きました。しかし理由があった事は理解しました。私は気にしません。これは人助けだと考えます》
翻訳アプリを通したぎこちない日本語音声が告げる。その言葉にプロデューサーと咲耶はホッと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます。あなたの車が無ければ俺達は拉致されて、今頃無事ではいられなかったと思います。本当に助かりました」
《あなた達はどうして追われていたのですか?》
「多分あれは同業者の嫌がらせです。先日ちょっとしたトラブルがありまして」
《それは災難でしたね。話は変わりますが、あなた達に少し質問してもいいですか?》
「はい、構いません」
《始めに言います。あなた達の言う通り、このデロリアンはタイムマシンです》
「そうですか!やっぱり!」
「本当にタイムマシンがあったなんて!私達は凄い出来事に巡り合ってしまったんだね!」
そうなのであろうと殆ど理解していた事だが、改めて事実を伝えられてプロデューサーと咲耶は興奮気味になる。
《この事は他の人には絶対に言わないで下さい。タイムマシンの存在が知られると世界が混乱します。歴史に悪い影響がある可能性があります》
「確かに、そうかもな……わかりました。この事は自分と咲耶だけの秘密にします」
「そうだね。みんなとこの感動を分かち合うことが出来ないのは残念だけれど仕方がない」
《理解してくれてありがとうございます。そしてあなた達がどうしてタイムトラベルをやったのか、何があったか詳しく知らせて下さい》
「わかりました。自分達はあの男達の車に追われて逃げる為に高速道路へ行きました。そこで走っていると突然この車……デロリアンと言うんでしたね。デロリアンが夜の高速道路にワープしたんです」
《その時に時間回路を動かしましたか?》
「時間回路?あの時刻表示パネルのことかな?それなら私が操作したのだけれど」
《そうですか。デロリアンは時速88マイルで走ってる時に時間回路に設定した時間にタイムトラベルします》
「そうか!それが条件だったんだな!」
「88マイル……確かキロメートル換算すると約1.5倍だって聞いたことが有る。つまり130から140キロで走る必要があるのか。かなりの猛スピードだね」
《それからあなた達はどうしましたか?》
「暫く高速道路を走ってからコンビニに行きました。そこで咲耶が新聞の日付に気付いて、1999年の過去に戻ったのを知りました。その後はもう一度タイムスリップをするにはどうしたら良いかと咲耶と一緒に考えながら高速道路に戻りました。そこで警察に追われて走っている時に再びタイムスリップをして今の時代に戻って来たんです」
《警察に!?あなた達は何かしたのですか!?》
ブラウン博士が目を見開き詰め寄ってくる。
「何かをしたわけじゃありません!デロリアンが暴走族の車だと勘違いされたみたいで追いかけられたんです」
《そうなのですね。失礼しました。そしてあなた達は運が良いです。偶然に丁度いい時間を選んで上手くデロリアンを走らせた。少し間違えたら変な時代に行って戻れなかったかもしれない。エネルギーは空でした。エネルギーを補充する必要がありました》
「エネルギーか。言われてみればそこまで気が回って無かったね」
「ブラウン博士、そのエネルギーというのは何か特別な方法で補充するのですか?もし高価な燃料などを使っているのなら俺達は弁償する必要が……」
《心配いりません。このミスターフュージョンに適当に物を入れればエネルギーに変わります》
博士はそう言って車の後部に取り付けられた白い筒のような物を開いた。
《この中に生ゴミでも飲みかけのビールでもいいから入れます。それらは分解されてエネルギーになります。核融合されます》
「核融合!?」
「プロデューサー、今彼は核と言ったみたいだけれど」
「俺も昔気まぐれにネットのニュース記事か何かで見ただけで詳しくは知らないんだけど、現在も開発中の新しいエネルギー炉が核融合炉らしい。原発のそれと違って暴走の心配とかが無いって話だけれど、実用化にはまだまだ課題が多いって話だ」
「そんな凄い技術を積んだタイムマシンを持っているなんて、未来人というのは凄いものなのだね」
「ああ、そうだな。……ところでブラウン博士、差し支えなければ教えて頂きたいんですが、あなた方はどの時代から来られたのですか?」
《私達は2015年の未来からやってきました》
「…………え?」
「えっとプロデューサー私の聞き間違いかな?2015年と言ったような気がするのだけれど」
「すみません博士、もう一度言ってもらえますか?」
《2015年の未来……そうでした今は2020年ですね。誤解させる言い方をしてしまいました。更に正確に伝えると、私は元々1985年の人間でした。様々なことがあり、現在は1880年代後半の西部開拓時代に住んでいます。マーティは1986年のカリフォルニア州から私と一緒にやってきました》
「…………咲耶、この翻訳アプリバグってしまったのかな?言っていることがサッパリ理解できないんだが」
「私もだよ……彼の言うことが本当なら彼らは未来人ではなく過去の人間ということになる……別のアプリをインストールした方がいいのかな?」
2人が困惑しているとマーティが会話に割り込んできた。
《2人が混乱してしまっています、博士。それではわからないと思います。えー、私達の時間とあなた達の時間は違う可能性があります。私達は別の世界に来た可能性があります》
「別の世界?どういう意味です?」
《ここは私達の世界の並行世界かもしれないです。今はまだわかりませんが》
《空飛ぶ車はこの時代にありますか?そのスマートフォンは2015年には存在しましたか?》
博士から投げかけられた質問にプロデューサーが答える。
「空飛ぶ車って、そんなのあるわけないじゃありませんか。スマホは……確かに2015年には普及してましたけど」
《私達の2015年には空飛ぶ車がたくさんありました。デロリアンも飛ぶ機能があります。今は壊れています。しかしスマートフォンは存在していません。だから歴史が違う世界の可能性があります》
「は、はあ……」
《信じられないならばコレを見て下さい》
マーティがデロリアンのボンネットのトランクを開け、中からカラフルな色の板のような物を取り出した。
「スケボー?……でも車輪が付いてないな」
プロデューサーらに車輪の無いスケートボードをを差し出して見せたマーティは、地面へとそれを投げ出した。
投げ出されたスケボーは地面に落ちる寸前にフワリと浮き上がり、その場に静止した。
プロデューサーと咲耶は目を丸くする。
マーティが得意げに笑い、その板の上に足を乗せて地面を蹴り出した。
勢いを受けて低空飛行するそれ、ホバーボード。マーティはそれに乗ってデロリアンとプロデューサーらの周りを軽く一周。
最後に空中をサマーソルトの要領で一回転。華麗なトリックを決めて着地。
そしてホバーボードを軽く蹴り上げてその手に収めたのだった。
プロデューサーと咲耶は呆然とした様子でマーティの姿を見つめていた。
《コレが私達のいた2015年の技術です》
大仰に両手を広げてみせる博士。
「……プロデューサー、彼らは本当のことを言っていると私は思うのだけれど」
「そう、だな。正直まだ理解しきれていない部分が大半だけど……わかりました。色々と説明して下さってありがとうございました」
プロデューサーは博士とマーティに向けて軽く頭を下げる。
《理解してもらってありがとうございます。一つお願いがあります。私達は元の時代に戻る方法を調査をする必要があります。問題が無ければあなた方に案内をして欲しいです。大丈夫ですか?》
「えっと、そのデロリアンで何とかならないのですか?」
《このような出来事は初めてです。私たちは特別な方法で来たと思います。今はそれが何かわかりません》
「とのことだけど……どうする、プロデューサー?」
「そうだな。彼らのタイムマシンのおかげで俺達はあいつらから逃げられた。恩を返す為にも協力してあげよう。咲耶もそれでいいか?」
「もちろんさ。仮にあなたが断っていたなら私は多いに失望していたさ。まあ、そんな可能性は無いとは思っていたけれど」
「ははっ、咲耶に失望されない答えが言えて良かったよ」
軽く笑い合ったプロデューサーはブラウン博士へと了承の返事をして、彼らを伴って自分の車へと向かっていった。
「やられたな……」
プロデューサーが車へと戻ってみると、先程買ったはずの荷物が綺麗サッパリと無くなっていた。
「これは……あの男達の仕業だろうか」
「かもな。仕方ないもう一度買い直しだ……と、その前に。はづきさんに電話しておくよ。もう少し遅れるってさ」
プロデューサーは先程のようにはづきのスマホに電話をかける。
「…………出ないな」
しかしながらコール音は鳴りっぱなしのまま、いつまで経っても彼女が電話に出る気配は無い。
仕方無しに今度は事務所の電話にかけてみるが
《おかけになられた電話番号は現在使用されておりません。もう一度番号をお確かめの上―――》
電子音声が流れるのみで繋がる気配は無かった。
(あれ?)
「どうかしたのかいプロデューサー?」
「あ、いや、電話に出られないみたいだ。後でもう一度掛け直すよ」
プロデューサーは博士とマーティへ事情を説明してホームセンターへと再び向かい、手早く買い物を済ますとデロリアンを後ろに伴いながら事務所へ向けて走り出したのだった。
2020年6月26日午後3時30分
プロデューサーと咲耶の乗る車の後を追ってドクが車を運転する。
助手席のマーティがホッとした様子で語り掛けてきた。
「どうにか状況は前に進んだね」
「そうだな。だが解明しなきゃならん問題は山積みだ。この世界がマーティのオヤジさんの小説で言うところの並行世界だという可能性は極めて高いと思われるが、歴史が歪められ変わってしまったという可能性も完全には捨てきれん。全ては未だ仮説に過ぎんのだからな」
「僕らの歴史が変えられたのなら、前にビフからスポーツ年鑑を取り返した時みたいに原因を潰せばいいけど、ここが並行世界だったらどうやって元の世界に帰ればいいのさ?」
「残念ながらワシにもサッパリ見当がつかん。入念に調査、考察を行う必要があるだろう。事と次第によっては年単位でここに滞在する必要が出てくるかもしれんな」
「年単位!?」
「数年で分かればまだいい方だろう。それにここはアメリカではなくニッポンだ。我々はパスポートやビザなど持ってきてないからな。場合によっては不法滞在者として身柄を拘束される可能性がある」
「そいつはヘヴィだ」
「だが我々は幸運にもユーイチとサクヤ、2人の理解あるニッポン人と知り合う事ができた。彼らに協力して貰えるのは大きな利点だ」
「何だか弱みに付け込んだというか、体よく使ってるみたいで気が引けるけど、他に頼れる人はいないし仕方ないか。デロリアンでタイムトラベルをして何事もなく戻って来れたなんてあの2人本当にツイてるね。下手すりゃ僕みたいに過去でトラブって帰れなくなってたかもしれないのにさ」
「その点は2人の幸運に感謝だな。彼らが時の迷子になってれば我々だって同じ道を辿っていたのだからな」
プロデューサーの車の後を追い、デロリアンを走らせること数十分、マーティらは見覚えのある道を走っている事に気がついた。
「ここって僕らがタイムトラベルして初めに着いた場所の近くじゃないか?」
「そうだな。彼らは事務所とやらに向かっているという話だったが、まさかこの近辺だったとはな」
「それにしてもさっきから同じところをグルグル回ってるみたいだけど、道にでも迷ったのかな?」
「確かにだだっ広い空き地だらけで似たような光景の場所だが、仮にも自分の職場に行くのにこんなに手間取るのか?」
「意外と方向音痴だったりしてね。と、そうだ。ドク、水飲むかい?」
「ん、そういえば喉が乾いたな。いただこう」
マーティはドクにペットボトルのミネラルウォーターを手渡そうとして手を出して伸ばす。
その時、何かを踏んだのか車体が一瞬ガクンと揺れ動いた。
「おっとと」
バランスを崩したマーティの腕がタイムサーキットの起動レバーに触れ、短い電子音と共に装置が起動した。
「大丈夫かマーティ?」
「ああ、平気さ。それより水、受け取って」
「うむ。……クリスタルガイザーか。日本でカリフォルニアの水を飲むことになるとはな」
「ユーイチが僕らのお腹に合うようにって、わざわざ買ってきてくれたのはありがたいね。けど西部開拓時代の川の水に比べたらどんな水でもお腹には優しいと思うよ」
「かもしれんな。んっ…………うむっ!美味い!…………何だこれは!?」
「どうしたのさドク?」
「マーティ!見てみろ!」
ドクが指差したのはスピードメーターを始めとした計器類。そしてタイムサーキットのデジタル表示だ。
計器類は時折反対方向に小さくその針を左右へと揺り動かし、年月日などの表示は明滅を繰り返し、表示された数字もデタラメな羅列となっていく。
その乱れは徐々に大きくなっているように思われた。
「これって……2015年からタイムトラベルする瞬間にもこんな事があった!」
「一体何なのだこの現象は……長い事タイムマシンの開発、運用を行ってはいるが、このような現象に遭遇したのは初めてだ」
「……でもあのタイムトラベルの瞬間はもっと針がメチャクチャに動いてたし、タイムサーキットの数字も目まぐるしく変わっていた気がする」
2人が謎の現象に気を取られていると、前を行くプロデューサーの車が停車した。
ドクもブレーキをかけ車をその場に停止させる。
外へと目を向けると、咲耶とプロデューサーが車から降りていくのが見えた。
「着いたのかな?」
「だがここはただの空き地だぞ。事務所どころか一軒の家すらありはせんぞ?」
訝しむマーティとドク。
計器類は先程よりもその乱れを強くしていた。
2020年6月26日午後3時30分
「ふう、やっと事務所に戻れる。小一時間程度で済むはずの買い物にこれだけ時間がかかっちゃうとはな」
「そうだね。なかなかにスリリングな体験をしたんだ、流石の私もヘトヘトだ」
「何にせよ2人とも無事に帰れて良かった良かった。……あ、咲耶飲み物取ってくれるか?」
「麦茶でいいかい?」
「ああ」
咲耶は袋から取り出したペットボトルのキャップを軽く回してプロデューサーへと手渡す。
ハンドルから片手を離してそれを受けったプロデューサーは、中身を一気に半分ほど飲み干して大きく息を吐いた。
「ぷはぁ。やっぱりこの季節は麦茶が美味い」
「ふふっ。いい飲みっぷりだね。惚れ惚れするよ」
「女子高生が、アイドルが飲み屋の客みたいな事をいうもんじゃないぞ」
「おや、お気に召さなかったかな。次はアナタを満足させられる言い回しを出来るように努めよう」
「まったく……ああそうだ、いま手が離せないから咲耶がはづきさんに連絡してみてくれるか?」
「わかったよ……そういえばさっきかかってきた電話は何だったんだい?」
「間違い電話だよ。取引先が、契約がどうとか言ってたけど、何の話かサッパリだった」
「なるほどね……と」
咲耶は自分のスマホではづきの電話番号を呼び出しコールした。
「………………出ないね」
「そうか。一体どうしたんだろうな」
電話を切ると咲耶は事務所のグループメッセージを呼び出した。
【もうすぐ事務所に着くよ。そっちの状況はどうかな?】
新たなメッセージを送信。
暫く待つが返信は一切返って来なかった。
併せて今までに送られてきたメッセージを確認する。
ホームセンターに着いた頃は5分〜10分おきには何らかのメッセージが送られてきていたが、それも14時を過ぎたあたりを境に流れが止まっていた。
「ダメだ。メッセージにも反応は無いよ」
「そうか。みんなで何か作業でもしてるのかな」
「かもしれないね。ところで、マーティとブラウン博士のことはどうするつもりだい?」
「そうだなあ……とりあえず事務所に寄って休んでもらおう。みんなには暴漢から助けてくれたお礼にお茶を御馳走するって説明でもするか」
「当たらずとも遠からず。嘘では無いし、余計な事実も伝えない。それがベストだろうね。その後はどうするんだい?」
「俺の家に来てもらうしかないかなー。一人暮らしのマンション住まいだから大分手狭になるけど、この際我慢してもらうしかないさ」
プロデューサーが事務所の並ぶ通りへと続く道を曲がる。
ここから少し走れば事務所の外観が目に入ってくる。そのはずなのだが、前方には空き地や工事用車両の停めてある土地、土台組み用の基材などが並ぶ土地が広がるのみであった。
「…….あれ?曲がるとこ間違えたかな?」
プロデューサーが暫く進んで次の角を曲がり、元来た道へと回り込んでゆく。
目印となる工事情報の記された真新しい看板、カーブミラーなどを注意深く確認して再度角を曲がる。
たどり着いたのは先程と同じ通り。
プロデューサーは更に車を走らせて今度は違う方向から入り込んでみる。
「………………そんな、馬鹿な」
車を止めて呟くプロデューサー。その声は僅かながらに震えを帯びていた。
「………………」
プロデューサーと同じように信じがたい事実に気が付いた咲耶は、困惑した表情で沈黙していた。
2人は黙したまま車を降り、283プロの新事務所が建っている筈の土地の前に立った。
土地の真ん中に建てられている【売地】と書かれた看板が、再び曇りだした空の彼方で光る稲光に照らされた。
デロリアンの計器類は、その瞬間左右に大きく振れたのだった。
おまけとしてプロデューサーらがデロリアンでタイムトラベルした痕跡を探るドクとマーティの会話シーンを公開します。
視点移動が慌ただしくなり読みにくくなると判断し本筋からはカットしたシーンです。
「……見ろ、マーティ!タイムサーキットの表示が変わっておる!」
「1999年7月1日!あの2人タイムスリップして来ちゃったわけ!?」
「しかも一度過去に戻って自力で帰って来ておる!信じられん!」
「よく使い方が分かったね。しかもちゃんとこの時刻に戻ってくるなんて」
「余程運が良いのか、察しがいいのか……もしや何者かからデロリアンの扱いの教授を受け盗むように命令され……いやいや、それでは辻褄が合わん。わざわざデロリアンを返しに戻ってくる理由が無い」
「それよりどうするのさドク。タイムマシンの秘密を知られたって事は眠らせて夢だったって誤魔化すの?ジェニファーにやったみたいに」
「いや、流石にそれは無理だろう。2人同時に眠らすのは不可能であるし、2人が同じ夢を見たというのも不自然だ」
「じゃあどうするの?」
「素直に事情を説明して秘密にしておくように口止めするしかないな。彼らの善性に頼む他無いが……」
「見たところ悪い人達じゃないようだし、嘘を言っている風にも感じないから、それがいいのかもね」
「だがその前に軽く話を聞こう。その上で最終的な判断を下すとしよう」
あなたはこの作品のクロスオーバー元の原作バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)とアイドルマスターシャイニーカラーズ(シャニ)についてご存知ですか?
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BTTFを見た事がありシャニも知ってる
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BTTFは見た事があるシャニは知らない
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シャニは知ってるBTTFは見た事がない
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シャニは知らず、BTTFも見た事がない