バーチャル世界に夢を見て 作:雨歌
ソネットちゃんが勝負を仕掛けてきた配信リレーも終わり、少し時間が経っていた。
結局あの後は二、三度言葉の応酬をしただけで終わった。初配信でガチ喧嘩するわけもないし。覚えておけよ。
配信が終わった後にすぐに謝られた。内容は”先に謝っておきますが、またやります。ごめんなさい”と言ったモノだった。もう一度マネージャーさんに怒られてきなさい。
まあ中身がバレたらネタにされるだろうし構わないけど、ゲームガーデン世界への没入感も大切だからメタな発言は増やさないでね。
そういえば、流石にまだ私も特定されてないな。声を聴けば一瞬で判断がつくと思ったのだけど。全く視聴者層が被ってない、っていうことはないよね? 話題性が弱いな。どうしようかな……。
◇ ◇ ◇
「こんばんは! ゲームガーデン所属、【エミリーの館】公式イメージキャラクター、エミリー・サーベラスです!」
”こんばんは”
”こんエミ”
”毎回言うのか……”
「毎回言います! いや、どうでしょう。定着したら省略するかもしれません。それはさておき本日二回目の配信です! 同期の皆さんの配信リレーがあったんですけど、見てくれましたか? みんな可愛かったですよね!」
初めての日なのでブーストをかけておきたい、そんな魂胆もあって二回目の行動を開始した。余裕があれば誰だってそうするよね? OP流して開始ツイートもしたし、完璧な二回目だ。
「【ルチアの事件簿】の
”見事に元ネタのジャンルばらけてるな”
そうだね。因みにジャンルは上から『推理ADV』『アクションRPG』『弾幕シューティング』『シミュレーションRPG』『2D格闘』ってな感じ。
”なんで2ndなんですかねぇ……?”
”↑自キャラに顔がついたのが2作目からだからじゃない?”
”単純に2作目にしか出てこないぞ”
”やっぱエミリーだけ別段古くないか”
「いや古くないから。名作だから。あと16歳。……えー、みんな本当にかわいかったのでいろいろ語りたいとは思うのですけれど、ちょっと私にもキャラが掴めてないので語るのは後日としておきます。ソネットちゃんはねー。いきなり喧嘩吹っかけてくるとは思わなかったけどねー。あれはただのプロレスなので本気にしないでください。ガチの喧嘩になったら怖いよね。殴り合うときは健全に楽しく殴り合いましょう」
”同期なのに分からないのか”
”実際やべー奴ばっか”
”まだ設定崩れてるわけでもないのに元のゲームからやばい”
”急に喧嘩売っててびびった”
”楽しく殴り合え……ン・ダグバ・ゼバかな?”
”プロレスとは八百長だった?”
「そういうこと言うのやめてよぉ! まあきっと近いうちにコラボもできると思うので、楽しみにしていてください。それで今からやっていくのは、フリーゲーム【~入~/Enter】です。皆さんはそれなりにご存知かもしれないですね。私の自宅である【エミリーの館】の作者さん、
”コラボ楽しみ”
”こんなのあったのか”
”先生の作品はグラフィックが独特で好き”
「昔のゲームなので画面が小さいですね。ウィンドウサイズは変えられるようなので、設定の方から変えていきましょう」
配信画面ではよく分からないと思うけども。”エミリーより後の作品やで”だから何? 私も昔の人って言いたいの? 失礼しちゃうなぁ。
「アイテムです。ドアノブ。上ボタン……上矢印キー? 上キーでアイテムを取るのが地味に忘れそうになる。昔やったんですけど完全に忘れてますね。ドアノブを取り付けることで、入り口のドアを開けることができます」
”どういうゲームなんだ”
”世代じゃないからなぁ”
「世代じゃないってそれはもういいです! 因みに今日このゲームを選んだのは、raccoon先生の作品だからっていうのが大きいんですけども、私がどういうキャラクターなのかを知ってもらうためというのもあります。マシュマロに答えていくのとどっちがいいか迷ったんですけど、こうは……同期組の配信で私が情報過多ですよ。ちょっと脳死気味なんで癒されるゲームがしたかったんです」
”分かるような分からないような”
”常識人枠頑張れ”
”癒されるか……?
「常識人枠? リレー配信だけでそんなにみんなヤバかったっけ? 単純にみんながよく設定練ってきてたから覚えられないことが多いっていう意味だったんだけど。……癒されるゲームですよ。音楽がいい。先生の作品は美術と音楽とアイデアがすごいです。皆さんも一度やってみたらファンになると思います」
”エミリーさんが一番マシに見える”
"どっからどう見てもやべー奴ばっかだぞ”
”褒め過ぎ”raccoon
「いやマシって……。そういうレベルなの? raccoon先生! 来てくださったんですね! ママって呼んでもいいですか!」
”テンション爆上がりしてて草しかない”
”そんなに歳の差ないでしょ。ママはやめて”raccoon
”草”
「うぇえ! ブルータスお前もか。先生幾つか公表されているんですからやめてくださいよ! ママって呼んじゃダメ?」
”これ半世紀は生きてるな”
”駄目です”raccoon
”慣習全否定で草”
「そんなー。どさくさに紛れて半世紀とか書かれてるし。そこまでいっとらんわ。四半世紀くらいかなー? いや16歳ですけどね。設定を崩そうとしてくる原作者とかとんでもねーですよ」
年齢について”は?”と異議を唱えるようなチャットの波ができている。そもそも、そこそんなに気にすることじゃないでしょ。
「ゲームに戻ります。あっ、痛い。このゲーム敵も出てくるんですよ。キツツキみたいなのとか。当たると痛いですね。ドアを拾って逃げます」
”鳥めっちゃでけえ”
”ドアを拾うって何だよ”
ドアを拾うんだよ。
「よしよし。ドアがアイテムなんで、色々使えますよ。同ランク以下のドアならぶつければ壊せます。あと敵にも、ドアをブレードみたいにして攻撃できます」
”強行突破すぎる”
”挙動がやべえ”
「コメントは拾っていくつもりなので、今質問したいことがあれば聞いてください。何でもいいですよ。ゲームに関係ないことでも。それもあって緩いゲームなので」
”どういうゲームなの?”
「そこに作者いますけど……。ドアを拾ったり修理したりして、迷宮の奥へと進んで行くアクションゲームです。……出来ました。強化合成:アサルトドア。突入!」
”とつにゅー”
”身の丈よりも大きなドアを軽々と……”
”自分のゲーム実況されてるの見るとなんか恥ずかしくなってきた”raccoon
恥ずかしくなった? でしょうね。
「大丈夫です。先生のゲームは面白いですよ。
”ありがと”raccoon
”RPGやって”
「先生淡々としてますね。RPGは難しくないですか? ほとんど画面関係なく喋ってるだけになりますよ?」
”今現在じゃん”
そうだね……。
”同期の中で誰が一番好き?”
「ここはまだ通れませんね。一番!? なかなかえぐい質問じゃないですか? まだ知り合って間もないのに決められますか? 第一印象くらいしか分からないですけど。ルチアちゃんの歌も良かったですし、小春ちゃんは最初からキャラが濃かったですよね。プリカちゃんは弾幕を捌きながら自己紹介しててとんでもないなって思いましたし、天雷ちゃんはほんとにゲームが好きなんだなって見てて分かります。ソネットちゃんは生意気でかわいいですよね。誰一人とか決められないですよ。平等にね、みんなを愛します」
”やべーラインナップだ”
”プリカちゃんプロ並みの腕前ですごかった”
”何のプロだよ”
”ソネット先生目つけられたな”
”グランドルートきてる?”
”ウィンクかわいい”
「かわいい? ありがとうございます。おかわりあげる。ばちこーんって」
”言葉選びが古いんだよなぁ”
”かわいい”
”不仲じゃないの?”
「不仲、誰と誰が? ソネットちゃん? あれはパフォーマンスの一環です。そのうちエミリーの家まで招待しますよ」
”好きなパンツの色は?”
ほら、よくあるんだこういう質問。パンツの色……好きなパンツの色?
「今履いてるパンツの色じゃないんかい。人に着けていてもらいたいのは断然黒ですね。ダイヤモンドのドアだ。衝撃与えたら壊れないですか?」
”えっ”
”さらっと流せない”
”草”
ん? 何か変なこと言ったかな私。
◇ ◇ ◇
「最後の扉をとったあとのエンディングはどういう意味なんでしょうか。教えて先生。ちょうど時間もよろしいので今日の配信はここまでです。ばいばい」
”おつ”
”質問するだけして帰るのか……”
”後で直接聞く気だこの人”
”やっぱゲームガーデンはフリーダムだな”