新任Pとシンデレラガール達   作:むつさん

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どうも筆者です
最近は他の事にも手を回しているので投稿が遅くなりつつありますが
おめでたいのか何なのか。10話目の投稿になります。


事務所内でのお話ですが。
今回は情報量多めのつもり。
どうぞごゆっくり


お人好しという魔法

雪樹「はじめまして、ですね。」

 

???「お?もしかして新しいプロデューサー?よろしくー☆」

 

めちゃくちゃノリが軽い…

 

雪樹「えっと、雪樹です。今後共よろしくお願いしますね。」

 

佐藤「佐藤心ことしゅがーはぁと、はーとと呼んでくれよな♪」

 

雪樹「んー…と、佐藤さん、ですね。」

 

佐藤「お、おい。まぁ、前任もそうだったし慣れてるぞ。」

 

雪樹「そうだ、一つお聞きしたいことが。」

 

佐藤「お?なになに?彼氏なら募集してないぞ?それともプロフィール?どんなこと?」

 

押しが強い…何だこの人…

 

雪樹「会っていきなりこんな話で申し訳ないんですが、前任の方の悪事といいますか、佐藤さんの身近な方で特になかったかどうか、なんですが」

 

佐藤「いきなりスウィーティーじゃない話題飛ばしてくるなよ☆…まぁ、居るよ、被害者は」

 

雪樹「わかりました、それが聞けただけでも助かりました。」

 

佐藤「どうして聞いてきたんだよ、少しは気になるぞ」

 

口調も態度も変わった

この話題に対して真剣そうだな。

余程、何かあったな

 

雪樹「一人でも多く、事務所でのアイドル活動に復帰してほしいと思ってるんです。もちろん無理には言いません。難しい方もいらっしゃると思います。だからできる限りで。」

 

佐藤「そういう事なら、協力は惜しまないぞ☆」

 

あ、戻った

 

佐藤「とりあえず本人達と話して見るからその後また話をする。それでもいい?」

 

雪樹「ええ、構いません、ありがとうございます」

 

協力者が増えた。ありがたい

 

佐藤「いやしかし…聞いてたとおり派手な怪我してる…そんなので仕事してて大丈夫?」

 

雪樹「不自由はありますけど、なんとか」

 

佐藤「車椅子とか…」

 

雪樹「構いませんよ。私はこれでも。」

 

佐藤「とりあえず連絡先だけ交換しとくぞ☆」

 

これで少しでも多く戻ってきてくれる機会が増えるとありがたいんだけど

 

佐藤「それで早速なんだけど、話いい?」

 

雪樹「ええ、先程の話です?」

 

佐藤「一応、気にかけてる人が居てね。三船美優って言うんだけど。」

 

雪樹「あぁ、三船さんなら先日お会いしましたよ。片桐さんと話をして。多分大丈夫だと思いますが。」

 

佐藤「コラコラ、フライングはだめだぞ☆まぁ話通ってるんならいいんだけどさ。他にもはぁとが気にかけてる子はいるからまた今度連絡するよ。」

 

雪樹「ありがとうございます。助かります。」

 

佐藤「ところで、新しいプロデューサーは、飲む人?」

 

雪樹「飲む?お酒ですか?お酒は飲まない派の人ですよ、あとタバコ吸いませんね」

 

佐藤「飲まない人かー、まぁ仕方ないな」

 

雪樹「前職のときもお酒の席はいつものジンジャーエールかただの炭酸水で済ませてました。」

 

話をしていると、三人が戻ってきた

 

神谷「あー、今日も疲れたよー。」

 

安部「今日もハードでしたねー、」

 

荒木「でももうそろそろッスからね。ハードなのも仕方ないッスね。」

 

雪樹「三人ともお疲れ様。」

 

神谷「プロデューサー怪我してるのに残ってくれてたんだ。」

 

雪樹「ちひろさんが早めに帰りたいって話だから残っておかないといけないと思って。鍵貰っておくよ。」

 

安部「帰りはどうされるんですか…?」

 

雪樹「まぁ、タクシー捕まえるよ。それか電話でタクシー呼ぶでもいいし。」

 

佐藤「ほらほら三人とも、遅くなる前に帰るぞ☆そのためのお迎えはぁとなんだぞ♪」

 

神谷「えっ、車ですか?」

 

佐藤「そそ、近くに停めてあるから。それじゃ、プロデューサーも気をつけろよな☆」

 

雪樹「ええ、お疲れ様です」

 

三人「お疲れ様です。」

 

4人がオフィスを出ていく。

まぁ、長居する理由もないし。

遅くなる前に帰ろう、

 

と、思っているとオフィスの扉が開く

 

雪樹「専務?どうかされました?」

 

美城「君、帰りは」

 

雪樹「そろそタクシー会社に電話する予定でしたが」

 

美城「私も今から帰るところだ、送っていくがどうする?」

 

雪樹「いいんですか?」

 

美城「構わない、ついでだ」

 

荷支度をして専務の車に乗る

帰り道を案内しながら話をしていた

 

雪樹「わざわざありがとうございます」

 

美城「怪我のこともあるからな。無理をされても困る」

 

雪樹「早く治るといいんですけどね」

 

美城「あと、感謝しておきたい。アイドルを、白菊ほたるを助けてくれて、ありがとう。」

 

雪樹「突然のことでしたし、状況的に私にも限界がありました、でも、私がどれだけ怪我しようと彼女達を護らなければならない、それは変わりありません。」

 

美城「それはプロデューサーとして、か」

 

雪樹「意地悪な言い方ですね。」

 

美城「冗談は苦手か?」

 

雪樹「苦手、というか好きになれないですね」

 

美城「君は自分の役目を全うした。そうだろう?」

 

雪樹「ええまぁ、言い方は酷いかもしれませんが、彼女達はプロダクションにとって商売の要です。無くてはならない。だから無碍にできない。人である以上感情もありますから、それも踏まえて丁寧に扱わないといけない。」

 

美城「一理あるな」

 

雪樹「ただ、それ以前に」

 

美城「それ以前に?」

 

雪樹「私はお人好しなので。」

 

美城「あぁ…そうだったな。見知らぬ少女を助けようとした挙句、アドリブ投げつけられてそれに難なく応える程だったと聞く、良くもまぁ平静を保ちながらなりきれたものだと感心する」

 

雪樹「まぁ、それがこの結果なのでしょう。」

 

美城「その結果でも君は生きている、頼もしい限りだ。」

 

雪樹「この有様でそんなこと言われましても。」

 

美城「逞しい、と言った方が正しいかな」

 

雪樹「そうですね、自分でも驚くほどです」

 

美城「さて、この付近だったな」

 

雪樹「はい、今日はありがとうございました」

 

美城「あまり無理はするなよ、私も手を回すのに限界があるが、必要なときは手を貸す。」

 

雪樹「そう思っていただけるだけでも心強いですね。努力します」

 

美城「ではな。」

 

車を降りて家に向かう途中

…またか。と思うことが起きた

 

山倉「おお、またあったな。」

 

雪樹「そうだな。」

 

話すこともないから帰る

 

山倉「え?それだけ?」

 

雪樹「それだけ」

 

山倉「ふーん、思ったよりつまらないな。なぁお前、仕事変えたって話聞いたんだよ」

 

まぁ…面倒だが相手するか

 

雪樹「それで?」

 

山倉「それで、俺の知り合いがさ、最近やらかして捕まったんだよね。」

 

…イヤな予感だな。

 

山倉「タイミングが合いすぎてさ。」

 

雪樹「俺が何かやったとでも?」

 

山倉「いや…何かまどろっこしいのは面倒だわ。」

 

そう言うと鞄からナイフを持ち出してくる

何とも…最近はよく狙われるもんだ

 

雪樹「なんだ、また逆恨みか…ほんといい加減にしてくれよ」

 

山倉「お前、アイドルプロデューサーなんだろ、あいつの後任なんだろ、せっかく推進してやってあいつ…プロデューサーになれたのに。」

 

雪樹「あれは、自業自得だぞ。話聞いてないのか。」

 

山倉「知ったことか。お前もあの会社も潰してやるんだ」

 

なぜかわからないが。

ものすごく。感情が沸々と湧き上がってくる

なんだろうか、これが憤りってやつだろうか

 

雪樹「やれるならやれ。やってみせろ。今ここで証明してみせろ。お前に他人が刺せるか?その後はどうする?人を殺してしまいましたごめんなさいか?あの会社も私が潰しましたごめんなさいか?考えているのか?」

 

山倉「そんなあとのことは知らねぇ。潰れてしまえすればいいんだよ!」

 

雪樹「ふざけるな!」

 

最近こういうことが増えた。

感情的になり過ぎる。

 

雪樹「お前も、あの赤原という男も何様のつもりだ!人を殺す?会社を潰す?馬鹿馬鹿しい!そんな恥ずかしい事をして誰が得をする!時間の無駄だ!」

 

山倉「…なんでそんなキレるんだよ、お前そんな感情的だったか…?」

 

雪樹「ああ、俺は今ものすごく腹が立ってる、怪我してなかったら暴力でも奮ってたかもしれないくらい苛立ってる。まだなんかあるか?」

 

山倉「…ほんと。変わったな。」

 

ナイフを鞄にしまいこんだ。

やる気はなくなったみたいだな

 

雪樹「正直もうお前と会いたくない、二度と顔も見たくない。話しかけてくるな。」

 

山倉「昔みたいに隅っこにいる小動物かと思ったけど、そんなことはなかったか。」

 

雪樹「俺は帰る」

 

立ち尽くす男を放って家に向かった

 

 

翌朝、兄貴から紙切れをもらった。

 

 

あのストーカー事件

実は俺も関わってたんだ

自首するよ

 

 

おそらくあの男だろう。

 

今更どうでもいい…

思い出すのも嫌になる

 

タクシーでプロダクションに向かう。

 

オフィスに見覚えのない子がいる。

かなり、背が高い。

 

???「あんずちゃん、やっぱりいいよぉー…」

 

双葉「お、プロデューサーおはよー。」

 

ちひろ「おはようございます。プロデューサー」

 

雪樹「おはようございます。」

 

とりあえず鞄を机に置いて

ソファーに座って名刺を差し出す

 

雪樹「初めまして。新しくプロデューサーになりました。雪樹です。今後ともよろしくお願いしますね。」

 

諸星「諸星きらりです…えっと…」

 

名刺を受け取るもまだ不安そうにしている

以前聞いていた嫌がらせ、

相当酷く言われたのかもしれない

 

双葉「きらり、怖い?」

 

諸星「ちょっと。かなぁ」

 

雪樹「以前のことを思い出せてしまったかな。申し訳ない。」

 

諸星「あんずちゃんは新しいPちゃんを…どう思うの?」

 

双葉「えぇー?あんずに聞くのー?まぁ、なんというか。お人好しだよねー」

 

雪樹「まぁ、間違ってないと思う」

 

諸星「そっか、優しいPちゃんなのかな」

 

双葉「多分、あんず達が思ってるより、優しい人だと思うよ。初日から休まず連勤したり、誘拐された翌日も平気な顔してここに来るし、事故ってもこの通りだよ?」

 

雪樹「いや…少しやり過ぎかと反省はしてるから、それ以上は…」

 

ちひろ「すごい熱心ですよね。」

 

諸星「Pちゃんが頑張ってるなら、きらりも頑張って、Pちゃん応援しなきゃだね。」

 

双葉「そうそう。私の分まで頑張っちゃってよー。」

 

諸星「だーめ。あんずちゃんも頑張るの」

 

楽しそうに話す二人を見ると

また一つ役目を果たせたと実感する。

 

諸星「あれ?あんずちゃん大きくなった?」

 

双葉「ちょ、うわっ、持ち上げないでよー」

 

雪樹「まぁ、もう少し伸びるといいかもな」

 

双葉「もうプロデューサーも見てないで止めてよー」

 

諸星「でもでも、あんずちゃんはちいちゃいから可愛いんだもん。」

 

双葉「むぅー、私も好きで小さいわけじゃないぞー」

 

諸星「もぅ怒らないで、ごめんごめんー」

 

雪樹「凸凹コンビ、面白そうだね」

 

ちひろ「お二人のユニットありますよ? 」

 

雪樹「そうなんですね」

 

双葉「あんきら再結成かー。」

 

諸星「またあんずちゃんとお仕事出来るって思うと今から楽しみ!」

 

双葉「まぁ当分先かな、クリスマスと新年もあるし、プロデューサーもこんな怪我なんだから。」

 

諸星「そ、そうだよね。早とちりだったね。」

 

雪樹「申し訳ないね。」

 

諸星「そういえば、Pちゃんは…きらりの背がおっきいのはどう思うのかな…」

 

雪樹「どうって?身長が高いだけだと思うけど?」

 

諸星「本当に、それだけ?」

 

雪樹「背が高いとは聞いてたけど思ったより高かったかな、でもどうして?」

 

諸星「背が高いのは、アイドル向かないって言われて…でもそんなことないもんね」

 

雪樹「前任から言われたのかな、寧ろ得だと思うよ、印象に残りやすいし、目立ちやすいし注目されやすい。でもそれだけじゃ他にも背が高い人はいるから理由としては弱いかな。」

 

双葉「プロデューサー、それじゃ伝わりにくいと思うよ」

 

諸星「んゆ?どゆこと?」

 

双葉「きらりは背が高いから、怖がられてるんじゃないかって思ってるんでしょ。」

 

諸星「初めの頃は思ってたかなー。」

 

雪樹「怖がられない為に色んな工夫をしたから今があるんだと思う。」

 

双葉「きらりは衣装がとにかくかわいい系だねー」

 

諸星「可愛くデコってきらきらしてるほうがハピハピになれるよ?」

 

雪樹「そういう工夫を欠かさなかったから、背が高くても別に気にならないんだと思うよ」

 

双葉「もっと自信持っていいと思うよ、きらり」

 

諸星「あんずちゃんもPちゃんもありがとう!」

 

双葉「さて、私はそろそろ帰ろーかなー」

 

諸星「あんずちゃん、レッスンはー?」

 

双葉「ゔっ…きょ…今日くらいやらなくても…」

 

諸星「ほーら、次の舞台はきらりの分まで頑張るって言ったのあんずちゃんだよー」

 

双葉「え、えへへ…そんなこと言ったっけ…」

 

諸星「言ったよー、ほら自主練ついでに事務所に行こうって誘ったのあんずちゃんだよー、このままじゃ自主練がついでになっちゃう」

 

双葉「まぁそーだねー、ちゃんと練習しますかぁー、」

 

ちひろ「相変わらず、きらりさんの押しに弱いですね。」

 

雪樹「双葉さんも新年ライブの方に出るんだよね」

 

双葉「そーだよー、今日は他の子は予定があるから集まれないんだってさ、だから自主練。」

 

雪樹「頑張っておいで、ハイ鍵。」

 

双葉「それじゃ、行きますかぁー」

 

二人はオフィスを出ていった。

 

雪樹「うん、また一つ。」

 

ちひろ「良かったですね」

 

雪樹「ええ」

 

戻ってきてくれても。

どうだろう、満足してくれているのだろうか。それにまだ他の子も居るだろうし

目先の目標のこともある。

ライブに出る子達でまだ顔合わせもできていない人もいるし…

 

ちひろ「プロデューサーさん?どうかされました?」

 

雪樹「ああ、少し考え事してただけです、大丈夫ですよ」

 

ちひろ「お仕事のことであればわからないところがあれば言ってくださいね」

 

雪樹「はい、今は大丈夫です、ありがとうございます」

 

考えても埒がない。一つずつかな

 

ちひろ「昼食行ってきますね」

 

雪樹「はい、僕はお弁当があるので残ります」

 

社員食堂に行くのかな

足に自由が出来たら今度行ってみよう

 

食事を済ませて、新年ライブに出る子達のプロデュースノートを眺める。

ある程度は情報収集ができるだろう。

 

雪樹「様々な子達が居るな。」

 

総勢24人

城ヶ崎姉妹に先日の6人、それに双葉さん。

この前顔を合わせた三人、島村さんに渋谷さんと本田さんだったか。

佐藤さん、早苗さんと三船さんも出る。

それ以外の子はまだ顔を合わせていない。

あと9人か。

 

三船さん、怖がっていたけどライブに支障が出ないか心配だな。ソロ曲もあるから

充分にフォローしてあげないとな

 

考えてみるとあと9人

なんとか出勤にあわせて顔合わせできるといいけど。

 

考えに呆けているとオフィスの扉が開く

 

???「おう、ここに来るのは久しぶりじゃな」

 

今の今、写真を見た子だ。

 

???「そこに座っとる言うことは、お主が新しいプロデューサーで間違いはないな?」

 

資料で見た時に思い浮かんだイメージに近いかな

 

雪樹「はい、僕が新しいプロデューサーの松谷雪樹です、以後よろしくお願いします」

 

村上「おう、村上巴だ、礼儀はしっかりしておるようじゃな。感心する」

 

雪樹「礼儀?えっと、」

 

村上「ああすまん、自然と比べてしまってな、気にせんでいい」

 

雪樹「前任…ですね」

 

村上「まぁそういうことじゃ、おらん者の話をしても無駄じゃ。この話は終わるぞそれより聞きたいことがあるが…」

 

雪樹「ええ、どういったことでしょう?」

 

村上「お主、本当にその怪我で迎えるつもりか?」

 

心配されている訳ではなさそうだな。

正直この子はまだ中学生だとはいえ

この子の家柄の事情を知れば下手な返しはできないだろうし。

まぁ、それでも言うことは一つか

 

雪樹「それが今僕にできることですから」

 

村上「自分の置かれている環境と状況は充分に理解して居るな?」

 

雪樹「もちろん、今更逃げ出すことなんてしません。この怪我も目先の目標も私がこれまで成してきた事の顛末ですから受け止めています」

 

黙り込んでこちらをずっと凝視してくる

やっぱり試されてるんだろうな

こんな子供に…とは思うけど

普通に考えてこんな怪我人がプロデューサーなんて心配だし聞いて当たり前のことか

 

村上「…その言葉に嘘はないと感じた。」

 

雪樹「ありがとうございます」

 

村上「なにより、歳下に丁寧な対応しとる時点で桁違いな覚悟なのは感じ取れた。」

 

雪樹「そうですか、ただの癖なんですけどね。」

 

村上「悪くないと思う。それでもう一つじゃ、新年ライブのことでな」

 

雪樹「ええ、丁度リストを眺めていたところです。」

 

村上「うむ、わしも出演する、ユニットとしてだが、当日はよろしく頼むぞ、流れが決まっているとはいえ、プロデューサー殿の言葉も皆に勇気を与えてくれるもの、無くてはならないもの。」

 

雪樹「無くてはならないもの…わかりました、その言葉忘れずにいます」

 

村上「話はこれまでじゃ、今日はレッスンルームがフリーと聞いているのじゃが、使用許可は降りるだろうか、ユニットでの練習がしたくてな、トレーナー殿には声をかけてある」

 

雪樹「それなら、双葉さんが自主練してるから直接聞いてみて、午前中からいるからもしかしたら変わってくれるかも。」

 

村上「うむ、承知した。」

 

ドアノブに手をかけたまま止まっている

 

雪樹「どうかしました?」

 

村上「すこし、ゆっくりしてからにする」

 

口調が変わった?

 

雪樹「ユニットで練習ですよね?」

 

村上「他の二人はもう少ししてから来るからまだいい。」

 

少し表情が暗くなったか…?

何かあったのだろうか。

 

雪樹「…その感じだと。何かありましたね」

 

村上「まさかいきなり緩むとは思わなかった…」

 

あれだけ威厳を見せていたとしても、

まだ子供だからね。

 

雪樹「話してスッキリするなら、幾らでも聞くよ」

 

村上「…もうここに来れないと思ってた…前任と散々言い争って出入りを許されなくなって…アイドルとして何もできず…若い衆に話をすればこのプロダクションがどうなるか…それも心配だった。」

 

雪樹「それだけ、ここがかけがえのないものだったんだよね。」

 

村上「そう…最初は親に勝手にオーディションに出されただけ…でもあの人がうちを全力でサポートしてくれたおかげか、楽しかった、とても有意義に感じた。いつの間にかアイドルと言うものが自分の中で変わっていた。感謝してもしきれないほど。あの人に恩返しがしたい。」

 

雪樹「冬斗さんだね。」

 

村上「居なくなってしまって寂しいとは言えなかった。一人のアイドルとして他のアイドルやあの人と共に歩めたのはとても嬉しく思っていた…だから…ここに来れなくなった時…全て終わってしまったような感覚になった…とても耐え難く…苦しかった」

 

雪樹「今こうやって、事務所に来られるのも一つの奇跡かもしれないね。」

 

村上「プロデューサーには感謝しかない…あと…さっきは…ごめんなさい…というべきか…」

 

雪樹「謝らなくていいよ、普通に考えてこんな怪我人が仕事してるなんて知ったら心配されて当たり前のことだから。僕も少し度が過ぎてる自覚はある。」

 

村上「ならなんで」

 

雪樹「お人好しだから」

 

村上「お人好し…あの人と同じ」

 

雪樹「僕は魔法使いではないよ」

 

村上「うむ…話して見るものじゃな!こう、モヤモヤしたものがあってな。それも消えた。スッキリする!」

 

雪樹「それはなにより。」

 

村上「改めて感謝する。いずれ恩返しをさせてもらう。」

 

雪樹「こちらこそありがとう。恩返しは別に構わないよ。」

 

村上「それでは、連絡も来ていたしレッスンルームに向かうとするか。」

 

雪樹「頑張っておいで」

 

ドアを開けて手前でまた止まる

振り向いて一言言い放つ、

まるで輝くような笑顔で

村上「世話になったな!」

 

見届けると、また、静かな空間が広がる。

 




まだしばらくは事務所内のお話のつもり。

クリスマスのお話と新年ライブのお話

一応新年ライブの出演メンバーや曲なども全て決まってますが
本編中に公開予定ですのでお楽しみに

誤字脱字等あれば報告お待ちしております
また会えたら会いましょう

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