プロデューサーのお話が少し続きます。
結構長くなる…かな
……
学校の駐輪場。
一組のカップルが居た。
「呼び出して来て何だった?」
「プレゼント。これ」
少年が少女に渡した小箱。
中身は…
「手袋!いいの?」
「手作りじゃないけど、もしよかったら。」
「ありがとう!」
「それじゃ、バイトあるから。また後で」
「うん、また後で電話してね!」
少年はマフラーをして自転車に乗り
帰路に向かう
……
肌寒さを感じて、目が覚めた。
朝はもう十分寒い。
今日は少し厚着した方がいいだろうか。
(懐かしい感覚の夢だったか?)
なんとなく感じたことのあるような夢
ただはっきり覚えていない。
(まぁ、いいか)
身支度をして家を出て
プロダクションに向かう。
10時頃、オフィスに着いた。
雪樹「おはようございます、ちひろさん」
ちひろ「おはようございます、今日はドラマの打ち合わせでしたよね。」
雪樹「そうですね。午後からなので少しゆっくりしてから向かいます。」
ちひろ「わかりました」
今日はアイドルの子は誰も来てないみたいだ。
と。思っていたけど。
デスクの下の住人達は居た
雪樹「二人ともおはよう」
輝子「あ、おはよう、プロデューサー」
森久保「お…おはようございます…」
キノコを育てる少女と本を読む少女。
ただし、プロデューサーデスクの下で。
雪樹「二人は昨日、演劇の練習してたよね。」
森久保「そうですね…幼稚園や小学生向けのイベントがあって…そのイベントの演目にゲスト参戦する形なんですけど…」
輝子「ぼののちゃん。王子様だね。」
森久保「うぅ…もりくぼが王子様役はおかしいと思うんですけど…」
雪樹「何の劇をやるの?」
輝子「シンデレラ。王道のお話だけど、主催の人がアレンジしてるんだ。」
雪樹「アレンジ。どんな感じに?」
森久保「本来はシンデレラのお話なんですが…これは王子様のお話みたいです」
雪樹「王子様のお話?」
森久保「えっと…王子様の名前が、プリンスチャーミングで…」
輝子「舞踏会の前のお話を王子様側でやるんだ。」
雪樹「なるほどね。」
森久保「最後にはシンデレラのお話と変わりませんけど…なんで森久保が王子様役なんですか…」
輝子「シンデレラ役、やりたい子も多かったし、妖精役も人気だったよ」
雪樹「そう考えると。普通のシンデレラよりも役の量が増えるのか?」
輝子「そうだね、確か多かったはず。」
??「もー…またこっちに居るな?」
聞き覚えのある声。
オフィスの入り口に目を向けると
早坂さんが居た
雪樹「おはよう。」
早坂「お、おはよう…二人はまた机の下に居るのか?」
雪樹「うん。居るよ。」
早坂「ほら、今日も練習するぞー。今度からはレッスンルーム集合だぞ!」
森久保「ま、まだ集合時間まで少し時間が…」
早坂「乃々はメインの役なんだから、しっかり練習しないと本番間に合わなくなるぞ!」
雪樹「頑張っておいで、森久保王子。」
森久保「うぅ…プロデューサーさんまで…」
三人はオフィスを出てレッスンルームに向かった。
ちひろ「三人とも頑張ってますね。」
雪樹「あの三人は仲良いね」
ちひろ「三人はユニットでの活動もありましたから。」
雪樹「そうなんですね、あの個性的な子たちのユニットか。」
ちひろ「今度調べてみてください。」
雪樹「ええ、そうします。」
まだ出発まで時間があるので
いろんなアイドルの自己紹介カードを見ていた
??「あ、あの…おはようございます」
入り口に目を向けると見覚えのある子がいた
雪樹「おはよう。えっと成宮さんだったかな」
成宮「はい、ちょっとだけ居てもいいですか?」
雪樹「構わないよ。ゆっくりしてね」
成宮さんは机の前のソファに腰掛けると絵を描き始めた。
それから一時間ほど経っただろうか
成宮「あの…プロデューサーさん。」
雪樹「なにかな?」
成宮「や、やっぱり何でもありません。、えっと、また今度来ますね」
雪樹「うん、またね。」
何か言いかけて、オフィスを出ていってしまった。
それからまた自己紹介カードを眺めていたら12時近くになっていた。
雪樹「白菊さんまだかな」
と、思っていたらオフィスの扉が開いた
白菊「あの…おはようございます」
雪樹「おはよう。そろそろ向かおうと思うけど大丈夫かな?」
白菊「はい大丈夫、です。」
雪樹「うん、それなら行こうか、ちひろさん、頼みますね」
ちひろ「お気をつけて。行ってらっしゃい」
オフィスを出て事務所を出る。
玄関前で女性に会った
??「あら、ほたるちゃん、おはようございます。」
白菊「茄子さん、おはようございます」
??「お仕事ですか?頑張ってくださいね。あと。隣の方が新しいプロデューサーさんですか?」
雪樹「はい、松谷雪樹です。今後共よろしくお願いします」
茄子「私は鷹富士茄子。こちらこそよろしくお願いしますね、プロデューサーさん」
挨拶を交わすと鷹富士さんは事務所に入って行った。
雪樹「知り合いの人かな」
白菊「えっと、茄子さんとはユニットを組ませてもらってまして…」
雪樹「なるほどね。また調べておくよ。」
白菊「はい。」
事務所の敷地を出て目的のビルまで向かう。
遠く離れてるわけではなく
同じ町内…というか市内と言ったほうがいいかな、歩いていける距離にある。
途中話をしながら歩いた
白菊「プロデューサーさん。初めてのお仕事なんですよね…」
雪樹「そうだね、仕事っていうと、今も仕事をしてるから…初めての営業だね。」
白菊「初めてだと不安だったりしないですか?」
雪樹「不安というか少し緊張はしてるかな。」
白菊「ですよね…上手く行くといいな…」
雪樹「楽しんでいられたら、きっと上手く行くよ」
白菊「そうですね…楽しんで、ですね。」
会話の途中。
何かおかしな風景が目に映った。
雪樹「あれ…さっきの車」
(向かいから走ってきた車…向かい?車道は左車線だから…ということは…逆走?)
考えていたその一瞬の後
大きなクラクションの音が響いた
雪樹「なっ!」
振り向いたその先にはもう目の前まで車が来ていた
おそらく逆走車を避けようとした車だろうが、そんなことを考える余裕もなかった。
雪樹「ごめん!」
白菊「ひゃ…」
一瞬の判断で、白菊さんを突き飛ばした
運が良かったのか白菊さんは同じ道を歩いていた女性に受け止められているが…
雪樹「くっ…ぅ…」
私は…車に跳ね飛ばされた…
白菊「ぷ…プロデューサーさん!」
衝撃のショックからか
すぐには言葉が出ず、動けない
白菊「す…すぐ救急車呼びます!」
白菊さんが電話越しに話しているが…
衝撃のショックのせいか会話がよく聞き取れない…
白菊「プロデューサーさん…すぐに救急車来てくれますから…だから…」
動かそうと思った右腕に感覚がない。
かろうじて動く左腕で持っていたカバンから資料の纏まったファイルを取り出し、白菊さんに渡そうとする…
雪樹「まだ…間に合うと思うから…」
白菊「えっ…そんな、置いていけないです…!」
雪樹「大丈夫…だから行って…」
白菊「で、でも…!」
??「馬鹿な人ね。」
別の人の声…誰だろうか…
白菊「せ、先輩?!どうして?」
元先輩の女性「どうしても何もさっき受け止めてあげたじゃない。まぁいいわ。あんた仕事があるんでしょ。」
白菊「そ、そうですけど…でも…」
元先輩の女性「早く行きなさいよ。じゃないとその仕事、私が貰うわよ。」
白菊「えっと…」
元先輩の女性「救急車呼んであるんでしょ。あとは任せなさい。いいから早く行って。」
白菊「あの…!ありがとうございます!」
白菊さんは走って行った。
元先輩の女性「この状況で仕事の話するなんて貴方も考えものよ…」
雪樹「…君は…どうして…」
元先輩の女性「ほたるの知り合いってだけよ。でも噂は聞いてるわ。最近、ほたるの事務所に新しいプロデューサーが入ったって、別事務所の知り合いが言ってたわ」
元先輩の女性「あとね。目の前で困ってる人を見かけたら、助けずには居られないの。どっかの誰かさんのせいよ。」
雪樹「ありがとう…」
数分後、救急車が着く前に
意識を失ってしまった。
元先輩の女性「ほたるも運がいいのか悪いのか。どっちかしらね。」
………
白菊「えっと…このビルの16階…」
資料の情報をもとに打ち合わせの場所に向かった…
白菊「ここかな…第二小会議室…」
恐る恐る扉を開けると…
斎藤「あ!白菊さん?!今日は来れないって聞いてましたが?まぁいいや、どうぞこちらまで。」
白菊「あ、あの…」
斎藤「どうかされましたか?あ、あれ、プロデューサーさんが居ませんが…」
白菊「プロデューサーさんが…あの…プロデューサーさん…」
思い返すと、涙が出てきてしまった。
斎藤「プロデューサーさんに何かあったみたいですかね…」
白菊「あの…交通事故に巻き込まれて…それで…」
斎藤「事故に?!とりあえず事務所に連絡を。」
…………
目が覚めてすぐに
右腕と左足に痛みを感じた。
(ああ…そうだ…車に跳ねられたんだな。)
薄っすらと思い出してきた。
あのとき白菊さんだけでもと思って突き飛ばした。
その後、避ける暇もなく突き飛ばされた。
体を起こそうとすると。
全体的に痛い。
痛い。
もうそれに尽きる。
目を開いても動く気になれない。
目の前に広がるのは病室の天井…
雪樹「病院か…久しぶりだな…」
あのときはまだ小学生だったか。
…まぁ昔のことなんていいか。
利き手を怪我するなんて不便だろうな…
足は…どうにでもなるか。
車椅子でも松葉杖でも。
微かな痛みを感じて左手で頬を触ると。
ガーゼで止血されていた。
雪樹「顔にも傷か…まぁ俺はいいか」
アイドルに傷なんて負わせられないしな
…取り留めもなく色々と考えていると病室の扉が開いた。
??「目が覚めたんだね」
雪樹「はい。」
白い衣服の若い女性…
担当の看護師だろうか。
真壁「私が今後君の治療の担当をする。医者の真壁だ、今後宜しく頼むよ」
看護師じゃなかった。
雪樹「松谷雪樹です。宜しくお願いします。」
真壁「怪我の状態を話してもいいかな?」
雪樹「はい。」
………
大きな怪我としては
まず右腕、二の腕の骨折。
丁度真ん中辺りだろう。
複雑骨折してるわけではないよ。
次に左足。
ふくらはぎの骨折もしてる。
これも同じく複雑骨折ではないが
同じふくらはぎで別の場所にヒビが入っている。
無理に動かせば両方共痛むだろう。
あと細かい所でいくつかの切り傷擦り傷
偶然にも頭部の怪我は頬のそれ以外にない
不幸中の幸いと言ったところだろう。
普通、車に轢かれたら頭部は強くぶつけて怪我することが多い
最悪の場合、後遺症が残ることだって有りえる。
………
真壁「こんなところだ。」
雪樹「大方は想像がつきました。」
真壁「安静にしたまえ、それしかない」
雪樹「わかりました。」
真壁「少し余談だが、君は美城さんのプロダクションの新任だそうだな」
雪樹「ええ、よくご存知ですね。」
真壁「美城さんとは訳ありの知り合い同士でね。直接頼まれた」
雪樹「美城さんから?」
真壁「彼女は今頃、事務所に戻ってるだろうね、忙しそうにしてたよ」
雪樹「ドラマの打ち合わせどうなったかな…」
真壁「隣りに居たアイドルを助けたそうじゃないか。自分は犠牲になったけど」
雪樹「これしかありませんでした」
真壁「そうか。君が後悔していないのなら別にいい。完治までとは言わないが。私生活に戻れる所までは大人しくするのがいいだろう。君、車は乗るか?」
雪樹「免許はありますけど、、通勤はバスとか電車で」
真壁「私生活に戻れたらそれでもいいが、せめてタクシーが望ましいぞ。」
雪樹「わかりました。」
真壁「それじゃぁ、私は他の患者のところにも用事があるから。また今度様子を伺うよ」
雪樹「はい、ありがとうございました。」
真壁さんが病室を出ていった。
雪樹「静かだな…」
何もない。ベットの横に戸棚がある程度。
花瓶が置いてあって戸棚の足元に鞄。
鞄から携帯電話を取り出そうと、身体を寄せてギリギリまで手を伸ばして、やっとのことで取れた。
兄貴からの電話、数回不在になってしまっている…掛けてみるか。
……
雪樹「もしもし?」
長男「あ、雪樹か?今どこだ?」
かなり焦っている様子だが…
雪樹「えっと、病院、かな。」
長男「どこの病院だ?近くのとこか?」
雪樹「名前までは…あ、そうだね。名前あった。」
長男「そうか…事故ったって?」
雪樹「うーん、巻き込まれたの方が正しいかな。」
長男「どっちにしても車に轢かれるんじゃ怪我してるんだろ。大丈夫なのかよ」
雪樹「右腕と左足を骨折くらいだから大事には至ってないよ。」
長男「にしても、骨折はしてるんだな。」
雪樹「まぁ、車に轢かれるくらいだからね。それくらいあるでしょ」
長男「近いうちに見舞いに行く。今日はもう遅いだろうから。」
雪樹「ああ、また今度で。」
……
窓の外は月が見える。
よく晴れてる。
また取り留めもなく考えていた。
次第に睡魔に負けて眠った。
……
「そんなこと聞かれたくなかった」
…ならなんで。
「もういいよ、早く帰ったら?どうせまた勉強ばっかするんでしょ?」
そうだな…もう帰ろう。
……
昔の夢か…
陽の光が程よく差していた
朝だろう。
この狭い病室だとあまり関係ないか…
携帯電話から音楽を流す…
お気に入りの曲。
気持ちが落ち着いた時に聴く曲
気が高揚しそうな曲
落ち込んだ時に聴く曲
ランダム再生で流し始めた一曲目
ある曲が流れ始めた。
雪樹「この曲…」
「谷の底で咲く花は」
白菊さんのソロソング
最初は知り合いに誘われて聞いただけの曲
……ある花の歌
改めて聴くと色々と考えさせられた。
雪樹「そうか…今までのこと。思い返してしまうな。」
…
聴き入っていると。
涙が流れていた。
雪樹「…涙なんて久しぶりだな…」
曲が終わって別の曲が流れていた、
しばらく色々な曲を聴いていた。
聴き入っていると、
病室の扉をノックされ。
音楽を止めた。
看護師「朝食持ってきましたよ。」
雪樹「あぁ、ありがとうございます」
看護師「食べ終わったらベルで教えてくださいね。」
そう言って病室から出ていった。
雪樹「いや…左手で箸なんて普段持たないからな…」
慣れない手つきで箸を持って食事を取る、
一頻り食べ終わり、ベルを鳴らした。
呼ばれてきたのは先程とは違う看護師だった。
看護師「ああ、朝食の片付けですね。」
雪樹「ええ、お願いします。あと…」
看護師「はい?なんですか?」
雪樹「次からフォークとかも一緒に用意してもらえませんか?利き手が使えなくて…」
看護師「そういうことならわかったわ。配膳係に行っておくわね。」
雪樹「ええ、頼みます。」
看護師は部屋を出ていった。
…うん…暇だな。
時間は10時頃。
日も上がってきてる。
連休も終わって事務所にも来る子達は減るだろうな。
まぁ…私はしばらく病院暮らしだが…
携帯電話も充電器が用意されていたから十分に使えるとはいえ。
あまりやることはない。
そういえばと思い鞄を眺めると。
破れていたり削れていたりと。
使い物にならなくなっていた。
雪樹「仕事辞めてから新調したのに、もうだめになったのか…早いな…」
取っ手が引き千切れている。
雪樹「物持ち、いい方なんだけどな。仕方ない。」
仕方なく諦めて
事務所に連絡することにした。
………
ちひろ「はい。346プロダクションのちひろです。」
雪樹「あ、ちひろさん、おはようございます。松谷です。」
ちひろ「プロデューサーさん?えっと…大丈夫でしたか?」
雪樹「なんとかね。骨折したくらい済んでるよ。」
ちひろ「そうなんですね…良かった…でもしばらく入院ですよね。」
雪樹「そうですね。いきなりで申し訳ないですが。すぐには復帰できそうにないです。」
ちひろ「わかりました。お大事になさってください。」
雪樹「ええ、あと、ほたるさんの出演するドラマの話って何か聞いてますか?」
ちひろ「それに関しては専務が引き継ぎました。ほたるさんから連絡があって、専務が私が請け負うって。」
雪樹「やっぱりそうなったんですね。わかりました。」
ちひろ「専務も心配されてるみたいです。」
雪樹「わかりました。後で連絡してみます。」
ちひろ「そうですね。」
雪樹「それでは。また何かあれば連絡しますね」
ちひろ「はい、また今度。」
………
専務が引き継ぎしてくれてるなら心配はないか。
…ほんと何もない、やることがない。
外の空気が吸いたいな。
歩くことも今はままならないだろうけど。
さっきの看護師が気を利かせてくれたのか
窓を開けてくれている。
少しは外の空気が入ってきているが
なんなら風も感じたいくらい。
雪樹「もう少し寝るか…」
少し考えことをしながら横になると
丁度良く眠気が来て寝入った。
……
少年「ほんと。悪人扱いされるの何回目だろうな」
友人「別に間違ってないと思うんだけど」
少年「誰かに擦り付けないと気が済まないんだろ。」
友人「何も悪いことしてないでしょ。」
少年「まぁ、誰も悪くないし。あえて悪人として見るなら担任だろ。」
友人「まぁ、済んだことだしいいじゃん。」
少年「俺の印象はどんどん悪くなるけどな」
友人「わかってる人もいると思うけど」
少年「今更だけどな」
………
色々と夢を見てしまう
もう…慣れた。
扉の開く音でしっかりと目が覚めた。
看護師「お昼お持ちしましたけど。どうされますか?」
雪樹「ありがとうございます。食べられる分だけ食べます。」
看護師「また呼んでくださいね」
今度はフォークのスプーンも用意されていた。
不思議とお腹は空いている。
昔からだが消化が早いのか吸収が早いのか
すぐに空腹になることが多い。
特に多かった訳ではないが。
全部食べた。
看護師を呼び片付けてもらう。
そしてまた手持ち無沙汰になる。
雪樹「まあ、安静にするのが一番だろうしな。」
以前呼んでいたインターネット小説のサイトを眺めていた。
懐かしいな。
一時ハマったネット小説。
長期連載を眺めていたときもあった。
久々だからか長く読み続けていたら。
病室の扉をノックする音が聞こえた。
雪樹「どうぞ。」
白菊「あの…」
森久保「事故に巻き込まれたって聞いて…心配で…」
入ってきたのは白菊さんと森久保さんだった
雪樹「こんにちは。2人とも仕事はうまく行きそう?」
森久保「もりくぼは…まぁそれなりに…」
白菊「えっと。多分大丈夫…だと思います。」
雪樹「専務が引き継いでくれたんだよね。」
白菊「はい、資料とか読んで話もしっかり聞いてました。がんばります」
雪樹「よかった。頑張ってね。」
白菊「はい。あと…あの…」
雪樹「どうかした?」
白菊「事故のこと…不幸に巻き込んでしまったのかなって思ってしまって…ごめんなさい」
白菊さんは謝ると頭を下げた。
雪樹「別に白菊さんのせいじゃないよ。運が悪かっただけ。」
白菊「でも…」
雪樹「そうだね。敢えて言うならこれは君の不幸に巻き込まれたんじゃない。これは僕の不幸だよ。君は謝る必要はない。」
森久保「プロデューサーさんの…不幸?」
雪樹「そう。例えば僕が事故に巻き込まれたのを君のせいにするなら。君の不幸に巻き込まれたって言うかもしれない。でもね。別に君が何かした訳でもない。僕が君を責めている訳でもないよ」
白菊「私…本当に悪くないんですか…」
半泣きで俯いてしまった
雪樹「ちょっと強く言ってしまったかな。」
その時また病室の扉が開いた。
??「半開きだけど…あ、ほたるちゃんとののちゃんやっぱりいた。あれ、ほたるちゃん泣いてるの?」
雪樹「あ、初めまして。松谷雪樹です。」
関「えっと。初めまして。関裕美です。」
ん?睨まれてる?気のせい?
森久保「裕美さん…目つきが…」
関「え?あ、ごめんなさい。わざとじゃなくて」
雪樹「ああ、大丈夫だよ。」
関「ところで、どうしてほたるちゃんは泣いてるの?」
雪樹「えっと…」
森久保「プロデューサーさんが事故に巻き込まれたのを、ほたるちゃんが謝って…でもプロデューサーさんはほたるちゃんのせいじゃないって言って…」
関「あ、この人がこの前言ってたプロデューサーさんなんだね。」
雪樹「しばらく事務所には行けないけど、よろしくね。」
関「そっか。それで事故に巻き込まれたってことなんだね。」
森久保「ほたるちゃん…?大丈夫ですか?」
雪樹「言い詰め過ぎたかもしれない。申し訳ない。」
関「もしかして。ほたるちゃんまだあの人の言ってたこと気にしてるの?」
白菊「あの人は悪くないんです。やっぱり私が…」
関「ほたるちゃん。もうやめなよ。あの人が悪かったんだよ?」
雪樹「赤原さんのことかな」
関「えっとね。ちょっと前のロケで私とほたるちゃんが参加してるユニットのメンバーで撮影があったんだ。それでその時、あの人は寝坊したり。現地に行く電車間違えたり。それをほたるちゃんのせいだって言ったの。」
雪樹「ただの八つ当たりじゃないか。酷いな」
関「そうだよね。ほらやっぱりほたるちゃん悪くないよ。」
白菊「うん…ありがとうございます。」
関「でも、プロデューサーさんはほたるちゃん泣かせたんだからしっかり謝ってよ?」
雪樹「いや…うん。それに関しては申し訳ないと思ってるよ。ちょっと言い過ぎたかもしれないかな。」
森久保「優しい言葉だったと思うんですけど…むしろあれだけ擁護してなんで謝ることに…?」
関「あれ、ほたるちゃんを責めてるように思えたけど」
雪樹「え…責めてることになるの?」
森久保「いや…違うと思いますけど…」
白菊「大丈夫です。プロデューサーさんは悪くありません。」
関「まぁ。いいかな。」
いいんかい。まぁいいけど。
関「すっかり忘れてた。御見舞で来たんだけど。これ。」
袋に入ってるのは和菓子だった。
手作り最中。生地に好きな量こし餡を挟んで食べる。
かなり前に両親が買ってきたのを覚えてる。
雪樹「わざわざありがとう」
関「ののちゃんのリクエストでこれになったんだよね」
森久保「ひ…裕美さんそれは言わない約束したじゃないですか…」
関「別にいいでしょ。ののちゃんか乗り気なの少し興味あったし。プロデューサーさんのこと少し気に入ってるんでしょ?」
森久保「え…あ…えっと…その……」
ほたる「ほ、はら、でも…プロデューサーさん片腕しか使えないですし。私達が作ってあげないと。」
森久保「そ、そうですね。」
袋を開けて生地とこし餡を取り出す。
森久保さんが作ったものをくれた。
森久保「あの…プロデューサーさんの分…これ…」
雪樹「うん。ありがとう」
お礼を言うと森久保さんは少し笑顔になっていた。
関「(やっぱり気にしてそう。)」
白菊「(でも触れない方がいいかと…)」
雪樹「ん?2人ともどうかした?」
白菊・関「な、なんでもない!」
森久保「このお菓子…すごく美味しいですから。是非食べてほしくて…」
生地自体も大きくなく一口サイズで、
こしあんも味が濃すぎなくて食べやすい
関「この前も買ってきて食べてたね」
森久保「まぁ…お小遣いに余裕があったので…と…思って…」
雪樹「とても美味しいよ、ありがとう」
森久保「よ、よかったです…」
ほたる「あ、そろそろ帰らないと。まだ宿題途中だし…」
関「私も友達にあげるアクセサリー作ってるから、先に帰るね」
森久保「あの…もう帰ってしまうんですか…?」
雪樹「用事があるなら仕方ないよ。」
森久保「そ、そうですよね…」
ほたる「それでは、お大事に…」
関「また来るね。」
二人は病室から出ていった。
少しの間、二人で何も話せないまま
時間だけが過ぎた。
次もプロデューサーのお話。
誤字報告等あればお待ちしております
過去投稿分等でもあれば遠慮せずお願い致します