プロデューサー仕事復帰、事務所内のお話
あとちょっと今後に繋げるつもりの話
雪樹「痛み引かないな…」
襲われた時に動いた反動で体が痛む。
動いていて違和感は無いが、この状態では出勤は無理だろう。
雪樹「流石に痛み引いてからだな」
数日経ってからしか仕事に復帰は無理か…
先に事務所に電話を入れておこう
雪樹「あ、もしもし?」
千川「はい、346プロダクションの千川です。この声はプロデューサーさん?」
雪樹「ええ、今少し話しても大丈夫ですかね」
千川「はい、話って何でしょう?」
雪樹「退院したのは聞いてますかね?」
千川「え?退院されたんですか?」
雪樹「昨日です、事務所に行って伝えようと思ったのですが、思いの外痛みがひどくて。先に連絡しました。」
千川「痛みひどいのに退院して良かったのでしょうか。」
雪樹「まぁ、痛むのは他に理由があっただけなので、多分悪化はしないと思います。」
千川「無理しないでくださいね。」
雪樹「痛み引いてなんとか行けるようであれば、事務所までの通勤手段確保します。それまでなんとか頼みますね」
千川「来れるときだけでも構いませんが…交通費どれくらい出るか調べておきますね。」
雪樹「ありがとうございます。それでは、また復帰する前に連絡しますね。」
千川「はい、こちらからも何かあれば連絡します。お大事に」
電話を切り久々にパソコンを付ける。
メールボックスには何通も未開封のメール。
ネットゲームで知り合った人からだ。
そういえば、今の仕事を始めてからパソコンをつけた覚えがない。
メールボックスを開くとしばらく連絡がないとの心配されているメールばかり。同じ人から何通も来ていたりもする。
雪樹「仕事変える前は頻繁にやり取りしてたのに。なんで忘れてたんだろう。」
一人ずつメールを返信する。
片腕がこの状態ではしばらくはゲームも出来そうにない。
心配掛けてしまったことを謝って。怪我をしたからゲームは出来ないが元気だと伝える
仕事が変わってゲームをする機会が減ることも伝えておいた。
雪樹「以前は、プライベートな時間だけが生き甲斐だったな」
今後もそうなのだろうか。
まだわからない。
前職は楽しくなかった。
毎日ストレスに苛まれ、何かしらしていないとすぐに気が沈んで嫌になった。
でも、ゲームをやっているときは。
楽しくて気持ちも開放的になって、それについて考えることも厭わなかった。
友人やネット先での知り合いとも沢山遊んだ。それ以外にもネット小説に読み更けたり
料理でたまに凝ったものを作ったり。
休みの日は一日寝て過ごしたりもした
何故だろう。とても懐かしく感じる。
昔の日常にもう戻れないんだと。
今になってやっと気がついた。
雪樹「そうか…変わったんだな」
特別なことがあったわけではない
毎日同じことの繰り返しなのはそう。
仕事してゲームしてご飯食べていければいいと思っていた。
それが、今では。
雪樹「アイドルプロデューサーか。」
今更になって、不安が押し寄せてくる。
勢いで専務の誘いに乗った。
いろんな子達が事務所に来て、話をしたけど。正直まだ掴めないことばかり。
いざ初めての営業かと思えば、事故に遭ってこの有様。
こんなことでプロデューサーが務まるのか
それに。アイドル達のこともそうだ。嫌われるかもしれない。もう戻ってこない子もいるかもしれない。今後事務所に来なくなる可能性だってある、失敗が一度も許されないスタートで不安に駆られない訳がない。
雪樹「知識も経験も何もないのにな」
不意に溢れた不安の言葉。
悪い癖だ。
昔から精神的に追い込まれると考え過ぎてしまう。
雪樹「悪い癖。直さないとな…」
自分自身に呆れる。
深呼吸しないと。落ち着けない。
考えてもキリがない。
なるようにしかならないとしても慎重かつ丁寧に。雑になれば損をして不利になる。
無理はしない。
………
退院から数日後。
タクシーを呼んで事務所まで向かう。
雪樹「交通費どれくらい出るんだろうか…」
せめて、半分は帰ってきてほしい。
久々のオフィス。
鍵はかかっていない。
オフィスに入るとちひろさんはいなかった。
ただ、見覚えのない少女が二人いた
雪樹「おはようございます。初めまして。新しいプロデューサーの雪樹です。」
金髪の少女「新しいプロデューサーさんね。おはよう。怪我してても来るなんて。熱心なんだね。」
黒髪の少女「お嬢様、気安く近付いてはいけません。彼も例の男と同じかもしれません」
金髪の少女「ううん、この人はあの魔法使いさんと同じ香りがするの。だから私にはわかる。この人は良い人」
雪樹「魔法使い、ね。」
黒埼「自己紹介しないとね。私は黒埼ちとせ。こっちの子は。」
白雪「白雪千夜です。」
黒埼「ちょっとぶっきらぼうだけど、ほんとはしっかり可愛いからたまに可愛がってあげてね?」
白雪「そんな必要はありません。」
軽く睨まれてる。
前任の話があったから警戒されるのも仕方ないか。
雪樹「黒埼さんに白雪さん、よろしくお願いしますね。」
黒埼「にしても、そんな状態でよく来る気になるよね。」
雪樹「大人しくベットで寝てるだけなのはつまらないから…あっ…と…?」
松葉杖が何かに引っかかったのか、躓いて転けそうになったが、白雪さんが手助けしてくれたおかげでなんとかなった
白雪「足元、杖が椅子にぶつかったからでしょう。周りに迷惑かけないようにもっと注意するべきです」
黒埼「千夜ちゃん、積極的だね〜」
白雪「怪我が悪化されるのは面倒なだけです。」
雪樹「ありがとう。気をつけるよ。」
プロデューサーデスクの椅子に腰掛けて、デスク上にある白封筒を確認する。
メモが添えてあった
専務からのメモ。
どうやら白菊さんのドラマ撮影の資料らしい
封筒を開けると数枚の用紙と一枚のDVDがあった。
雪樹「無事に終わったのか。」
PCのドライブにDVDを入れて確認する
雪樹「流石、アイドルだな。」
黒埼「何見てるのー?」
雪樹「ドラマの撮影シーン、白菊さんに少しだけ役者を演じてもらったんだ。」
黒埼「へぇー、見てもいい?今後の参考になるかも。」
雪樹「どうぞ」
動画を一から流す。
黒埼さんは真剣に見ているようで
熱意の篭った視線だった。
黒埼「うんうん。いい感じ。演じきっててとっても上手だったね。」
雪樹「専務が居てくれて助かった。」
黒埼「今後も専務に任せるの?」
雪樹「自分にできる仕事なら自分で引き受けたいと思ってる」
白雪「そんな怪我ではできることも少ないでしょう、本当に大丈夫ですか。」
雪樹「大丈夫かどうかは僕が決めるよ。僕にできることをやるだけだからね」
白雪「なら大丈夫でない場合は?」
雪樹「断るのはリスクがあるかもしれない、頼めるなら専務に頼む。それもできない場合は…切り捨てるしかないね。」
白雪「なら貴方にできることとはなんでしょう。」
雪樹「僕にできる事?できるかどうかは案件が来たときに考えるよ。そうじゃないと具合がわからないから。」
白雪「何故その場で判断するのでしょう」
雪樹「わからないから、資料も何もないのにいきなりできるともできないとも言い切れない。言い切ってしまうのはそれこそリスクの塊。そこにリターンはないと思っていい」
白雪「なら貴方は…」
黒埼「千夜ちゃん、意地悪になってるね」
白雪「そういうわけでは…」
雪樹「今みたいな圧迫するような質問は控えたほうがいいよ。相手を不快にさせてしまうから。」
黒埼「とか言いながらプロデューサーは真面目に答えてるよね」
雪樹「答えないと気が済まないからかな、売られた喧嘩気分だけど」
白雪「私は喧嘩などする気はありません」
雪樹「だろうね。一つだけ忠告しておくよ。聞くかどうかは…」
白雪「なんでしょう」
雪樹「…思ったより食いつくね…大人相手にその喧嘩腰な反応は控えたほうがいい、これは僕が不快に思ったからじゃない、僕以外の誰か、例えば専務やそれ以上の地位の人、そういった人にさっきの態度はとても危険すぎる」
黒埼「確かに、さっきの千夜ちゃんちょっと怖かったね」
雪樹「君自身の個性を否定するつもりはない、ただ目上に対しての対応はよく気をつけたほうがいいかな」
白雪「お前にそこまで言われる必要は…」
黒埼「千夜ちゃん。この人が言ってることが正しいよ。今は千夜ちゃんが引き下がるべき」
白雪「お嬢様……わかりました。以後気をつけるようにします。」
雪樹「説教は誰も気分良くならないから、あんまりしたくないけど…これも、今の僕にできる事だからね」
黒埼「千夜ちゃん、飲み物買ってきて?」
白雪「何がいいですか?」
黒埼「千夜ちゃんのオススメ、お願いね」
白雪「オススメですか…わかりました。」
白雪さんは財布を持ってオフィスから出ていく
黒埼「プロデューサー、怒ってるね」
雪樹「怒ってるというより、納得行かない」
黒埼「口では笑ってても目は怒ってる。」
雪樹「怒鳴るのは好きじゃないよ。諭して済むならそれが一番平和的だから。」
黒埼「そうだね。千夜ちゃんのこと、少し話してもいい?」
雪樹「あの子のこと?」
黒埼「そう、また、昔みたいに戻っちゃっててさ。前の魔法使いさんのおかげで少し心開いたはずなのに、前任のせいでまた元通りになった」
雪樹「なるほど、ここでも来たか」
黒埼「普段から冷たい態度だからね、前任の人酷く怒ったのよね。出禁にまでされたんだよ。それが相当ショックだったんだろうと思うの。」
雪樹「それに加えて僕の説教か、印象は最悪だったかな」
黒埼「ううん、あれは千夜ちゃんが悪いの、いくら前任に悪くされたからってあなたがあんな仕打ちされる理由はないもの。」
雪樹「優しく接してあげたいとは思う。でもそれ以上に僕が嫌われてしまうなら、手の打つ方法は考えないといけない。僕じゃなくて、他の人の協力が必要だろうと思う。」
黒埼「私も千夜ちゃんが言い過ぎないように気に掛けてるから、また素っ気なくしちゃうかもだけど。あの子の事よろしくね、魔法使いさん」
雪樹「わかりました。魔法使いではないけどね。あ、あと。ちひろさんどこ行ってるかわかるかな。」
黒埼「ちひろさんなら、他の子にお願いされて、レッスンルームにいるはずだよ。」
雪樹「挨拶言ってきます。」
黒埼「怪我大丈夫?」
雪樹「大丈夫ですよ。」
オフィスから出てレッスンルームに向かう
近くなってくると声が聞こえた。
恐らくトレーナーさんの声だ。
声が落ち着いた頃、レッスンルームの扉を開けて入る。
ちひろ「プロデューサーさん、おはようございます、そのお怪我で来られたんですか?」
雪樹「まぁね、大丈夫だよ、今日はあの二人の。」
ちひろ「はい、城ヶ崎姉妹がまた近々ライブをする予定でして。専務が話を進めてはいますがレッスンのときは私が代わりに見てあげてます。」
雪樹「なるほど、姉妹アイドルなだけあって息はすごく合ってるね」
ちひろ「一度披露した曲でもありますから。ファンからはまたライブで二人の姿が見たいと言う要望が多かったとのことで、機会を用意したって専務から聞きました」
雪樹「ファンが喜んでくれるならそれは大いにありがたい。復興に向けてファンの要望はできる限り応えていきたいからね。」
ちひろ「ですから、今までのファンレターは全て皆さんにお配りしたあと、内容によってはお伺いしてます。自発的にライブをするのもいいですが、ファンの要望があってのライブの方が集まりが良いのだとか、専務の策略ですね。」
雪樹「確かにファンからの要望であれば逃さず来る人も居るでしょう。告知をすれば要望 を出したファンから周りに広がって来てくれる人も増えるだろうし。専務も流石ですね。」
トレーナーさんの声が止まると
城ヶ崎の二人も踊りをやめた
トレーナー「一旦休憩だ、二人とも流石だな。この調子を継続できればライブは問題ないだろう。」
二人「ありがとうございます」
トレーナー「続きは13時から、細かいところの指摘をする、丁度プロデューサー殿も来てるから挨拶忘れるなよ」
三人とも僕の所に来た
聖「初めまして、トレーナーの青木聖です。美城専務からお話は度々聞いていました。よろしくお願いしますね。」
雪樹「こちらこそ、プロデューサーの雪樹です。」
美嘉「怪我、大丈夫なの?」
雪樹「ちょっと不便だけど、大丈夫だよ。」
莉嘉「ちょっとの域じゃないと思うんだけど、ほんとに大丈夫?」
雪樹「大丈夫ですって。」
聖「トレーナーの私から見ても到底大丈夫とは思えませんが。無理は禁物ですね。」
みんなめちゃくちゃ心配してる…
そりゃそうか、普通心配するよな。
雪樹「そこまで言われたら少し気が縮こまってしまうなぁ…」
ちひろ「仕事熱心なのはいいことだと思いますが…無理しないでくださいね」
雪樹「気をつけます。とりあえずオフィスに戻ろうかな。」
聖「またレッスンのときはお願いしますね。」
雪樹「はい。では。」
レッスンルームを後にしてオフィスに戻ると白雪さんが戻ってきていた。
白雪「机の上にあなたの分も置いてあります。」
雪樹「ありがとう。頂くよ」
置いてあるのはブラックコーヒー
雪樹「ブラックか、久しぶりに飲むね」
基本、カフェオレか微糖。
ブラックコーヒーは好んで飲まないだけ
嫌いではない。
デスクの椅子に腰掛けてノートPCを着ける
専務から送られてきているデータをいくつか確認する。
僕が就任する前に請けた内容や仕事に就いたあとの内容、情報共有の為だろう。
すべて目を通して重要なもの期日の近いものは個別にメモを取る。
雪樹「とりあえず直近はクリスマスの劇と新年ライブか…新年ライブは1日だけなんだな。」
先程のレッスンルームにいた二人は丁度このライブに向けての練習をしているようだ
他にも何人も出場の決まっているアイドルユニットもいる。全員での曲、ソロ曲、ユニット曲、全部把握しておかなければ。
黒埼「そういえばプロデューサーって。前はどんな仕事してたの?」
雪樹「ん?前の仕事?サービス業だけど」
黒埼「接客業とか?」
雪樹「そうだね。家電製品の販売員だね。」
黒埼「へぇ〜家電かー、丁度そこにあるミニ冷蔵庫とか?」
雪樹「それも確かにそうだね。生活家電と情報家電とあといろいろ」
黒埼「結構詳しいんだよね」
雪樹「ある程度ね」
黒埼「ねぇ千夜ちゃん、今度買い換えようって言ってたの、プロデューサーについてきててもらって何がいいか決めよっか」
白雪「怪我をしているので連れていけません、それに、私が選んだもので問題ありませんよ。」
黒埼「プロの販売員の説明、聞いてみたいよね。せっかくだから今度ね。」
白雪「少なくとも今は行けません。」
黒埼「それじゃ、プロデューサーの怪我が治ったら行こう。」
雪樹「まだ当分先かな。」
予定をノートに纏めていると美味しそうな匂いがする。二人が机で弁当を広げていた
雪樹「ああ、もうそんな時間か」
黒埼「お昼にはちょっと遅いかな。」
時計を見ると14時、
そんなに作業してただろうか…
雪樹「僕も昼ごはん済ませるか。」
弁当を持ってきている。
久しぶりの弁当、母親が作っていたものとは違って少し量が多い。
黒埼「プロデューサーもお弁当なんだね」
雪樹「こんな調子だし外食も気軽に行けないから。」
白雪「手作り…な訳ありませんよね」
雪樹「兄の夫婦と同居しててね。ついでとして作ってもらったんだ。」
黒埼「プロデューサーってお料理出来そうな感じするよね」
雪樹「得意ではないけど、ある程度ならね。以前いろいろ作ってたかな。」
黒埼「前の魔法使いさんは苦手だったね。」
白雪「そうでしたね。」
雪樹「男の人は好きで料理する人は少ないだろうと思う。」
黒埼「料理はできた方がいろいろ便利じゃない?」
雪樹「そうだね、出来るようになれば好きなときに好きなもの作って食べれるから案外いいね」
白雪「お嬢様も練習されますか?」
黒埼「私は千夜ちゃんが作ってくれるからいいかなー、そのうち練習するね。」
白雪「わかりました。そのときはお手伝いします」
昼食を終えた時。事務所の電話が鳴った
雪樹「専務から?」
…
雪樹「はい、346プロダクションの雪樹です」
美城「美城だ、プロデューサーか、退院したそうだな」
雪樹「はい、まだ万全というわけではないんですが仕事には復帰しています」
美城「無理は禁物だからな、書類とPC側のデータは確認してくれたか。」
雪樹「ほたるさんの件と過去と今後の仕事の事ですね。ほたるさんの件に関しては急なことでご迷惑をおかけしてしまいました、申し訳ありません。」
美城「仕方あるまい。無事に成功で終えたが相手側からは心配されてしまった。今後も依頼があれば喜んで請けたいと話はしておいたからその時は改めて頼むぞ。」
雪樹「こちらこそ、ありがとうございました。」
美城「あと、もう2つ、資料を目を通してるなら勘付いていると思うが、クリスマスと新年のライブに向けての話だが」
雪樹「はい、ちょうどその事で考えていました。」
美城「電話だとわかりにくいな、オフィスで話そう、一旦切るぞ。少し待っていてくれ。」
雪樹「かしこまりました。」
電話を切った
専務のオフィスまで向かうべきか
雪樹「この資料だな。」
黒埼「どこか行くの?」
雪樹「専務のオフィスまで。今後の話をしてくる。」
黒埼「怪我してるんだし、専務来るまでまってみたら?流石に怪我人呼び出すことなんてしないと思うよ。」
雪樹「そう、かな。」
メモを取って待っていた。
美城「すまない、待たせたな」
雪樹「いいえ、わざわざすみません。」
美城「その状態で出勤するのも如何なものと思うが来るなとは言わない。だが無理はするなよ。」
雪樹「ええ、予定が無い時は休みを頂くかもしれません。」
美城「本題だが、クリスマスの件から話そうか。例の三人なんだが何度か話はしているか。」
雪樹「ええ、度々病院まで見舞いに来てくれていたので、何度か顔を合わせてます」
美城「そうか。なら紹介は必要ないな。商店街のステージで子供向けとして行うイベントに参加する。企画書も渡してあるが確認してくれてるな。」
雪樹「はい、相談もされてたのである程度は把握してます、本当にあの三人でよかったのでしょうか」
美城「ああ、あの三人でいい。」
雪樹「そうですか。」
美城「週に二度ほど専用の建物を設けてレッスンをしている。もうそろそろリハーサルに向けて練習もしてるだろうから行けるのであれば顔を出して挨拶をしておくといい。当日も君に任せるつもりだ。新年ライブも同様。普段はレッスンルームを使っているだろうから事務所にいて声を掛けられたときは手伝ってやってくれ。」
雪樹「わかりました。また困ったことがあれば相談させて頂きます。」
美城「その必要があればな。話は以上だ。私もプロデューサーを兼任できるほど時間に余裕はないのでな。失礼する」
雪樹「はい、お疲れ様です。」
黒埼「大変だね。」
雪樹「大変なのかな、まだ実感が湧かないからどうかな。でも少し楽しみではあるよ。」
黒埼「なら大丈夫なんじゃない?楽しめたらきっと上手く行くと思うから。」
雪樹「楽しめる仕事だと嬉しいかな」
白雪「真面目に仕事するのは忘れないでください。」
雪樹「もちろん。」
クリスマスの劇の資料を眺めているとあることに気がついた。
他事務所のアイドルグループがいると聞いていたが、まさかシンデレラ役が他事務所のアイドルだった。
雪樹「今回は主役はシンデレラじゃないとはいえ。それでいいのか…」
まぁ、いいか。
それに関しては深く考えない方がいいな
クリスマスか、予定もないし丁度いいか。
クリスマスに仕事なんて、いつものことだしな。
雪樹「二人はクリスマスは予定あるのか?」
黒埼「ないかなぁ。まぁあるとしたら劇の子達見に行くくらい?」
白雪「そうですね。今後演劇をやる機会もあるかもしれません。参考程度に拝見するのはいいでしょう。」
雪樹「そっか。」
時計を見るともう夕方だった。
流石に遅くなるまでに帰るべきか。
ちひろ「戻りました。」
雪樹「お疲れ様です。」
美嘉「お疲れ様〜」
莉嘉「お疲れ〜」
ちひろ「プロデューサーさん。お時間大丈夫ですか?」
雪樹「そろそろ帰ろうと思ってたところです。」
ちひろ「お怪我されてるので無理せず早めに切り上げてくださいね。」
美嘉「帰りはどうするの?バスとか?」
雪樹「タクシーの予定。今朝頼んだタクシー業者が良さそうだったから」
ちひろ「少しお待ちいただければ送っていきます」
雪樹「すいません、ありがとうございます 」
黒埼「私達も帰ろっか」
白雪「そうですね」
美嘉「私達も帰るよ、宿題あるし」
アイドルの子達は荷物を持ってオフィスを出ていく。
荷物を纏めるか。
ちひろ「お待たせしました。」
事務所を出てちひろさんの車に乗る。
程無くして家までついた
雪樹「すみません。お手数かけてしまって」
ちひろ「いえ、気にしないでください。それでは私も帰りますね」
雪樹「お疲れ様です」
ちひろさんの車が見えなくなったあと。
???「あれ?久しぶりじゃん!」
振り向くと男がいた。
誰だ?見覚えのない顔だが…
雪樹「ごめんなさい、見覚えが無いんですが。」
山倉「うわひどいな、高校一緒だったじゃん山倉だよ。」
…正直よく声を掛けれたなも思うほど会いたくなかった
雪樹「本当に山倉なのか。」
山倉「いや嘘言う理由ないよ。ほんと久しぶりだなあ」
雪樹「こんな時間に何してるんだ」
山倉「ちょっと知り合いのとこに遊びに来てたんだよ。コンビニ寄ろうと思ってさその帰り、ところでどうした?骨折?」
雪樹「骨折だよ」
山倉「骨折しててその状態で仕事させられてんの相当ブラックじゃない?今の女の人に送って貰えたとはいえさ。」
雪樹「仕事の事は別にいいだろ。」
山倉「ふ〜ん、もしかしてあの女の人、彼女とか?」
雪樹「そうだったとしたら明日雪が降る。」
山倉「とか言ってほんとは付き合ってたりして」
雪樹「その袋に入ってるコーラ振ってお前に掛けてもいいか。」
山倉「ダメダメ、ごめんて。」
雪樹「立ち話もキツイんだ俺は帰る。」
山倉「おう、気を付けろよ」
…
最近は人との関わりが多いな…
それもそうか…
そういう人生になったんだもんな
次も事務所内のつもりのお話