「それでは、あいつの本名から教えようか。朔夜の本名だが、苗字はなく、名は花が咲くの咲くに夜で咲夜が正しい。
それで、星月朔夜の由来だが、10年前のあの日が何の日だったか覚えているか?正確には朔夜とお前が初めて会った日の前日だ」
制服に着替えた楯無に先生は思いだすかのように話だした。
「10年前?で朔夜に会う前日?何かあったかしら?・・・修業しか覚えていないわ」
少し首を傾げ考えていた楯無だが、しばらくして首を横に振った。
「そうか。小さいお前はあまり興味がなかったのかもな。私が朔夜と初めて会った日は、日食だったんだ。そして日食が起きるときは、朔という現象が起きるときでもある。それを先代は何故か知っていて引き取るときに素性を隠す意味も含めて名を変えたんだ。そして星月はその日が星がきれいだったからだ。・・・私も言っていて少し先代のセンスを疑うなこれは」
二人は、お互いに苦笑し隠居をしてもなお好き放題してるであろう先代を想像した。
「そうね。お母様のセンスはおかしいからね。本当に私たち姉妹はお父様が名前を付けてくれてよかったわ。それにどうせ今もお父様を振り回しているんでしょ?」
「ああ、最近も無断で西欧財閥のレオの私室まで侵入してきたからな。あの時に私があの場に居なかったらガウェインと殺し合いをしていたんじゃないか?多分私がいることをわかって姿を現したんだと思うが」
「・・・そう。迷惑をかけたわね。そ、それじゃあ続きを聞かせてくれる?」
「そうだな。先代の話をしたらきりがないからな・・・。
あの日朔夜は、更識の本堂近くの山に落ちてきた。・・・大量の爆弾を巻きつけてな」
先生の顔が一瞬怒りに染まり、話を聞いていた楯無の表情は驚愕に変わる。
「朔夜以外にもたくさんの子供達が、空から爆弾を巻きつけて落ちてきた。半分ぐらいの子は、地面に叩き付けられ即死だった。残った子たちも助けに行った仲間が近づくと爆発をした。ちょうど貴方達は別の場所で修業中だったから知らなかったでしょ?このことは直ぐに箝口令が出されたからね。それで朔夜なのだけど明らかに他の子達とは比べられなほどの爆弾が巻きつけられていてそれがクッションになったのかほとんどけ怪我はなっかった。そして直ぐに妨害電波をだし助けに近づこうとした」
一旦区切り先生は目をつむる。それは何か祈りを捧げているようにも見えた。
「すまない。少し思い出してな。私もまだ若く妨害電波で安全だろうと思い込んで、朔夜に近づこうとした。でもそれを朔夜が止めた。泣きながら『僕のことはいいから他の子を助けて欲しい』と『これは、人が近づくとその人バラバラにすると』そこで私は、その爆弾が外部からの遠隔操作ではなく何かしらのセンサーだと知ることができた。だから専門部隊に任せることにしてこのことを他の仲間に伝えに行った。そこから準備整うまで様子を見るつもりだったが、相手は幼い子供。泣きながら私たちに助けを求めて近づいてきた。そして妨害電波があるからと一人の仲間が近づき・・・爆発した。その仲間はとっさに離れやけどぐらいで済んだけど、子供はもちろん死んだ。それからが地獄だった。子供は自分の状況が理解できてないんだろう。助けを求め近づいてくる。でも私たちは、助けることができないから距離をとる。それでも近づいてくる子供達は、その子供同士で近づきすぎたのか爆発していった。そして生き残ったのは唯一動こうとしなかった朔夜だけになる」
先生は言い終えると一度目元をぬぐう。
「それからは、お前も知っていると思うが、お前たちの修業は一度中止になり朔夜と会わせた。これはお前達を守るためと朔夜の心の治療のためだった。あいつは、本当の両親の教えが良かったのかあの年から善悪の善し悪しがわかっていた。だから捕まっていた時に反抗なりしたんだろう、かなり痛めつけられていた。だから塞ぎ込んでいたろ?それにお前もあの時は人付き合い悪かったから、同年代の子と過ごさせようという仁殿の考えだ」
「そう。ごめんなさい。私も考えが甘かったわ。少し理解するのに時間が掛かりそうだわ。でも、朔夜に関しては何も変わらないわ。・・・それよりも先生って今も十分若いけど何歳なの?私の予想だったら10年前だと中学生位かと思ってたのだけどどうかしら?」
空気を変えようとしたのか少し無理をしてるような明るいで声で尋ねる。
「ふっ。そうだな。お前の予想は当たっている。10年前私は中学2年で、まだ修業中の身だった。でも子供たちが落ち来たのが修行場から近かったから現場に出る訓練も兼ねて連れて行って貰ったんだ。結果的に言うと最悪の経験になったが、あれを気に私は中学卒業と供に一人前に認められるようになりお前たちの先生となったんだ」
「えっ?先生って中卒なんですか?それに10何前に中2ってことは・・今は23か24ってことですよね?」
暗い空気はなくなりすっかりいつもの空気戻っていた。
「ちゃんと高校は出たさ、それに大学にも通わせてもらった」
「ただいまーって先生まだいたんだ。それと楯無!そろそろ出ないとご飯食べに行かないと学校遅刻するよ?」
そこに朔夜が帰ってきて服を引っ張り出して準備を始める。
「うそっ!朔夜の朝ごはんは?」
「今日はあきらめて食堂いこ!先生もどうせ今日いっぱいはこっちいるんでしょ?また放課後に会いましょう」
そして楯無を引っ張って部屋を後にする。
「本当にあの時の影はほとんどなくなって良かった。感謝する、楯無」
そして先生も嬉しそうに部屋から出て行った。