美少女戦士セーラームーン☆太陽の戦士 作:Doc Kinoko
「トゥインクル・エール」
スモールレディが唱えた一角天馬召喚の呪文。
大空を翔けるエリオスは、頭に生える薄黄金色の1本の角に、スモールレディから放たれたひとすじの光を受けると、その身体を喜びの声と共にしなやかに躍らせ、迷うことなく一直線にスモールレディのもとへ滑降した。
天から舞い降りる銀色のペガサスを両手をいっぱいに広げて迎えるスモールレディは、エリオスをぎゅっと抱きしめ、その頬に優しく口づけた。銀色のペガサスは、口づけに応えるように、2本の前脚をゆっくりと大地に降ろし、頭を器用に動かすと、スモールレディをそっと抱き上げ、その背中へと乗せる。
「まあ、エリオスったら…。」
意外なもてなしに、少し赤面しながらも満面の笑みで応えたスモールレディを背中に乗せた銀色のペガサスは、歓喜の雄叫びをひとつ上げると、再び大空へと駆け上がる。
「見て、エンディミオン。スモールレディの幸せそうな顔。」
大空を翔ける二人に目を細めるネオ・クィーン・セレニティは、隣でそれを見上げるキング・エンディミオンにそっと寄り添った。
「ああ。本当だね、セレニティ。それにほら、見てごらん、民たちの嬉しそうな顔。」
眼下に広がるクリスタルトーキョーの民たち。誰もが皆、大空を翔ける二人に、歓喜の声と共に祝福の手を振る。
「私、いつまでもこうしていたいわ。私達の力が、皆をあんなにも笑顔にさせる。この力は、たくさんの生命を守るためにあるんですもの。愛する者たちと、いつまでもずっと。ね、エンディミオン」
眼下に広がるすべての愛する者たちの幸せな笑顔に、ネオ・クィーン・セレニティは心穏やかに呟いた。
「もちろんだ、セレニティ。さあ、俺たちも始めよう!」
キング・エンディミオンが、朝焼け色のマントをひるがえし手を高く掲げ、ぱちん と指を鳴らすと、ネオ・クィーン・セレニティが、エターナルティアルを天高く踊らせる。ドレスの裾を優雅につまんで、民たちにゆっくりとお辞儀をする女王の姿が、『女神の宴』の始まりを告げる。
「さあ、戦士たち。宴を始めようか!」
キングの号令に合わせ、一斉に駆け出した戦士たちの背中を、女王の声が後押しする。
「ミューズ・オブ・マーズ!この空に『始まりの灯』を!」
彼女が召喚するのは、炎。
その力で召喚した『闘いの弓=マーズ・アロー』。鮮やかな手さばきで、光り輝く1本の矢を空に向かって放つと、光の矢は雲を突き抜け、星のような1点の光になった後、無数の光線を地上に降り注ぐ。
「ミューズ・オブ・ヴィーナス!この大地に『美しき種』を!」
彼女が召喚するのは、生命。
そっと口づけた手の平に光のシャボンが弾けると、星くずのような無数の輝きが生まれる。彼女がその輝きを大地に振り撒くと、一面に美しい花を咲かせる。
「ミューズ・オブ・ジュピター!この世界に『麗しき風』を!」
彼女が召喚するのは、風。
美しい髪に、オークの葉を飾る彼女がひとたび舞うと、エメラルドグリーンの風が世界を包む。その風は、咲き乱れる花たちを、エメラルドの輝きに乗せて一気に空へと巻き上げる。
「ミューズ・オブ・マーキュリー!すべての生命に『清らかなる調べ』を!」
彼女が召喚するのは、水。
その力で召喚した『水の竪琴=マーキュリー・ハープ』。踊るように奏でる竪琴の調べは、透き通る雨粒のように世界に降り注ぐ。水の流れのように清らかな音色が、聴く者の生命を輝かせる。
「セーラー・カルテットたち!この星に『新たなる夢』を!」
彼女たちが召喚するのは、夢。
祝砲をあげるように、次々と空へ飛び上がった4人の戦士たち。両手に宿した手の平ほどの無数の光の球を鮮やかに操り、華麗に踊りながら、いくつも地上へ放り投げる。シャボン玉のように舞い降りる光の球は、手にした者の瞳に、輝く未来を映す『夢の鏡』 。
目の前で次々と繰り広げられる女神たちの華やかな舞いは、見る者すべてを魅了する。歓喜の声と共に喜び踊る数万の民たちは、女神たちを讃えるように、その足で踏み締める大地を揺らす。
空翔けるスモールレディとエリオス。舞い踊る女神たち。歓喜の声をあげる数万の民。すべての生命が大地を輝かせる美しい光景を、穏やかな笑顔で見守るキング・エンディミオンとネオ・クィーン・セレニティ。
---いつまでもこうしていたいわ。愛する者たちと、いつまでもずっと。---
いつまでも、いつまでも続く宴の中、そっと囁いたセレニティの唇に、エンディミオンが優しく口づけた。