美少女戦士セーラームーン☆太陽の戦士   作:Doc Kinoko

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【act.020】時空の鍵

セーラープルートとセーラー・スター・ファイターの目の前に現れた、カオスの子=ガイア。

 

太陽系への侵入者を見逃した事実に、驚き目を見開き、声も出ないセーラープルートにガイアがゆっくりと口を開く。

 

「私がここにいるのが、そんなにも不思議?セーラープルート。あなたのことも、よく知ってるわ…。セーラー・スター・メイカーに聞いたもの。」

 

呟く唇から流れる血。それが何を意味するのか、セーラー・スター・ファイターが叫んだ。

 

「っ…?!メイカー…?あなたっ…!メイカーをっ!!」

 

逃れようのない絶望に、喉が枯れるほどの声で絶叫したセーラー・スター・ファイター。

 

「そんなに悲しい顔をしないで、セーラー・スター・ファイター。言ったでしょう?あの星も、消えたわけじゃない。私と共にいるのよ? セーラー・スター・メイカーも…私の中にいるわ。だから悲しまないで。」

 

ガイアが呟いた瞬間、その身体を無数の光線が突き抜ける。

 

スター・シリアス・レイザーッ!

 

拳に宿した輝きを、大声と共に、激しく振り下ろしたセーラー・スター・ファイター。

 

輝きの向こうのガイアの脅威を察知したセーラープルートが、泣き叫ぶファイターを必死に制止する。

 

「セーラー・スター・ファイター!やめなさいっ!無駄よっ!」

 

激しく息を切らし、輝きの向こうの無傷のガイアに呆然とするセーラー・スター・ファイターの手をとり、セーラープルートが小声で囁く。

 

「すぐに地球へ行きなさい。ネオ・クィーン・セレニティに伝えて来て頂戴。侵入者は… 私が倒します。」

 

ファイターの手にそっと握らせた、人差し指ほどの輝き。

 

『時空の鍵』

 

「それを持って強く念じなさい!クリスタルパレスのダイアナの所まで一気に飛べるわ!セーラー・スター・ファイター、早くっ!」

 

叫んで、セーラー・スター・ファイターを後方へ突き飛ばすと、ガーネットロッドを高らかに踊らせたセーラープルート。

 

「招かれざる闇の侵入者よ!

太陽系の始まりのこの地、冥王星を守護に持つ、変革の戦士=セーラープルートが…お前を消去する!!

何をしているのファイター!早く行きなさいっ!」

 

セーラープルートの圧倒的な気迫に圧され、声も出ないセーラー・スター・ファイターは、ひとつ頷くと、時空の鍵を天に掲げ、地球へ向かうべく、輝きと共に姿を消した。

 

---

 

太陽系の始まりの地、冥王星で、カオスの子=ガイアと対峙したセーラープルート。静寂の中に渦巻く恐ろしいほどの闇の脅威。セーラープルートは必死に思いを巡らせていた。

 

なぜ。

 

なぜガイアの侵入を見逃したのか。

 

敵の侵入に、なぜガーネットロッドが反応しなかったのか。目の前にいるのは、本当にガイアの実体なのか。冷静な瞳の奥に、様々な憶測を立てる。

 

考えられる答えがひとつ。

 

「あなたは…スターシードを持たないの…?」

 

セーラープルートの答えが、沈黙を破った。

 

『スターシードを持たない』者の侵入ならば、おそらくガーネットロッドは反応しないであろう。飲み込まれたと言うセーラー・スター・メイカーも、どこか別の場所できっと無事でいるはず。それならば説明がつくのだ。

 

セーラープルートの言葉に、ガイアが くすりと笑った。

 

「ふふっ。やぁね、聞いてたでしょう? 私はちゃんとスターシードを持っているわ。母さん、名も無き星、それにセーラー・スター・メイカーのスターシード。もちろん私自身のスターシードだって、ちゃんと私の中にあるのよ?あなたの名前も、チカラも、私の中にいるセーラー・スター・メイカーが教えてくれたのよ?

私の侵入を見過ごしたことが、よっぽど不思議だったのかしら?セーラープルート。」

 

すべてを見透かすようなガイアの瞳に感じた一抹の恐怖を掻き消すように、セーラープルートが叫んだ。

 

「ならば、理由など不要!!飲み込んだスターシードを解放しなさいっ!!」

 

鮮やかに踊らせたガーネットロッドが不気味な輝きを放つと、それに導かれ、地の底から沸き上がる無数の亡者の群れが、ガイアを取り囲む。

 

「ガイア!お前を消去するっ!」

 

デッド・スクリームッ!

 

スペルアウトと共に、セーラープルートがガーネットロッドを振り下ろすと、無数の亡者の群れが、一気にガイアに襲いかかる。

 

亡者のおぞましい雄叫びは、聞く者の耳をひきちぎり、その五体を喰い荒らす。後に残るのは、その者の魂=スターシードだけである。

 

その光景をただ見つめるセーラープルートの瞳には、慈悲の念などない。

 

「強いチカラ…でも、孤独なのね」

 

亡者の雄たけびを切り裂くように響く声。小さくともはっきりと聴こえる、ガイアの声。

 

「まさか…。デッドスクリームを掻き消すと言うのっ?」

 

セーラープルートが呟いた瞬間、亡者の群れは闇の中に掻き消えた。そして、そこに佇むガイアが、ゆっくりと語る。

 

「セーラープルート…。孤独な人。あなたの気持ち、少しわかるわ。いいでしょう。なぜ、あなたが私の侵入を見逃したのか…。教えてあげるわ。」

 

デッドスクリームを一瞬で掻き消したガイア。セーラープルートは呆然と立ち尽くし、『侵入を見逃した理由』を語ろうとするガイアの言葉に、耳を傾けるしかなかった。

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