美少女戦士セーラームーン☆太陽の戦士   作:Doc Kinoko

39 / 43
【act.039】光の歌

 

スターライツ・ロイヤルストレート・フラッシュッ!!

 

勇ましい叫び声と共に、カオスの闇の中心へと身を投げ出したセーラー・火球。彼女の全身から放たれた茜色の輝きが流星のように煌くと、カオスの闇の中へと消える。

 

「セーラー・火球ッ!!いやぁぁぁっ…!!」

 

ネオ・クィーン・セレニティが悲鳴を上げた瞬間、地鳴りのように沸き上がるカオスの叫び声が、彼女の全身に響く。

 

『…おおお…セーラー・火球っ!なんと強い輝き…! 私を…バラバラにする気かっ… !』

 

「セーラー・火球…?まだ戦っているのねっ!?しっかりしてっ!セーラー・火球ッ!!」

 

カオスの叫び声。闇にその身体を投げ入れたセーラー・火球は、まだ戦っているのだ。

 

シルバー・ムーン・クリスタルパワーッ!!

 

セーラー・火球の輝きに導かれるように、一抹の輝きを取り戻したネオ・クィーン・セレニティの銀色の光が、再びカオスを捉えるものの、それに抗うカオスの闇の波動が、ネオ・クィーン・セレニティをクリスタルパレスの後方まで弾き飛ばす。

 

「きゃぁぁぁっ!!」

 

あまりの衝撃に、その手に携えるエターナルティアルが床に転がり落ちる。

 

「セレニティッ!!」

 

廊下に横たわるガイアの身体を見守り続けていたキング・エンディミオンが、弾き飛ばされたネオ・クィーン・セレニティに向かって身を投げ、しっかりと受け止めた。

 

「…くっ…エンディミオンッ!私戦うわっ!!セーラー・火球が教えてくれた。たとえ変身できなくても…最後まで諦めないっ!エンディミオン…私を信じてっ!」

 

その瞳に、戦士の輝きを取り戻したネオ・クィーン・セレニティ。そう、いつだって彼女は信じている。戦いの果てにある、希望と、未来を。

 

「やはり君は、宇宙最強の戦士、セーラームーンだ!俺はいつだって、君のことを信じているよ。セレニティ…!」

 

キング・エンディミオンの凛とした声が、ネオ・クィーン・セレニティを後押しする。

 

 

『…ククク…愚かな。聞け、セーラームーン。セーラー・火球は…たった今、我が世界の糧となった… !』

 

「…っ?!セーラー・火球ッ…!!」

 

カオスが語る事実に、驚き目を見開き、息を呑んだネオ・クィーン・セレニティ。しかし、彼女の拳は力強く握り締められている。

 

「…カオスッ!あなたを必ず倒すわ!私は、絶対に諦めないっ!!行くわよっ!エンディミオンッ!!」

 

高らかに声を上げ、クリスタルパレスを飛び出したネオ・クィーン・セレニティとキング・エンディミオン。迫りくるカオスの闇を、キング・エンディミオンが放つ金色の輝きで、いくつも打ち砕き前進する二人。

 

勇ましい叫び声と共に、2人はパレスを囲む広大なクリスタルガーデンへと舞い降りた。

 

漆黒の闇に染まる空の下、ネオ・クィーン・セレニティを包む銀色の光…キング・エンディミオンを包む金色の光だけが、キラキラと輝く。

 

『…笑止…戦士のチカラを失ってもまだ戦おうと言うのか、無駄なことを。大人しく我が糧となれば、戦いのない平和な未来が訪れることも知らずに…

…よかろう…その輝きが消える最後の瞬間を…見届けるとしよう… 』

 

広大なクリスタルガーデンの上空に、カオスの闇が一際強く輝く。

恐ろしいほどの闇の輝きが、ネオ・クィーン・セレニティとキング・エンディミオンへ、一気に襲い掛かった。

 

「…くっ!!」

 

力を合わせるセレニティとエンディミオンの2色の輝きが、カオスの巨大な闇に飲み込まれそうになった次の瞬間…

 

 

テラ・クリスタル・パワーッ!!

 

 

高らかなスペルアウトと共に、闇に閉ざされたはずのクリスタルパレスから、目も開けていられないほどの凄まじい光が放たれ、2人に迫るカオスの巨大な闇を一瞬にして振り払った。

 

そして、漆黒の空に響き渡る美しい歌声が、カオスの闇のチカラを一気に抑え込んだ。

 

 

「歌声…っ?!」

 

驚き振り返った二人の瞳に飛び込んだのは、クリスタルパレスの入り口、クリスタルガーデンから立ち上がる長い階段の頂上…

銀色の翼のペガサスに跨る、金と銀に輝くセーラー戦士。

 

そして、その傍らに佇み、薄黄金色の法衣を纏い、金色の竪琴を奏で歌う、見たこともない美しい女性の姿。

 

彼女の歌声が、カオスの闇を押さえ込むと言うのか、先ほどまでの圧倒的な闇の輝きが消え、漆黒の空にひとすじの輝きを照らすかのように見える。

 

「スモールレディ…いや…セーラー・テラッ!!戻ったのか…!」

 

キング・エンディミオンの叫び声を掻き消すように、セーラー・テラを背中に乗せたペガサスが雄叫びと共に羽ばたくと、クリスタルガーデンに立ち尽くすキング・エンディミオンとネオ・クィーン・セレニティの元へ舞い降りた。

 

「お父様っ!お母様っ!無事だったのねっ!エリュシオンの空が急に闇に染まって、だからエリオスも一緒に…。ごめんなさい!」

 

セーラー・テラが跨がる一角天馬は、本来なら聖地を離れることを許されない、聖地エリュシオンの神官エリオス。彼は、自身の祈りの力で、その身体をペガサスへ変える力を持っているのだ。

 

「エリオスのことならいいのよ、セーラー・テラ。あなたこそ、闇に染まる聖地からよく無事で…。それよりセーラー・テラ、彼女は…?」

 

ネオ・クィーン・セレニティが視線を向ける先。クリスタルパレスの前に佇み、金色の髪をなびかせ、金色の竪琴を奏で歌う女性。

 

「彼女はラー!エリュシオンの光の巫女よっ!聞いてお母様、お父様!

彼女…ラーは…ガイアなのっ!

二人で一人なのっ!ラーは、ガイアがなくしたモノ、ガイアはラーがなくしたモノなのっ!」

 

セーラー・テラの言葉に戸惑い、瞳を曇らせたネオ・クィーン・セレニティに代わって、キング・エンディミオンが呟いた。

 

「そうか…。だから…だから彼女は、こんな時ですら微笑んでいられるんだな… そうなんだろ?セーラー・テラ。」

 

キング・エンディミオンは、セーラー・テラの言葉に、すべてを悟ったかのように見える。

 

「そうよお父様!さっきパレスの廊下に倒れてるガイアを見たわ。

何度も声をかけたんだけど、全然目覚めなくて…。お母様…ガイアは、それにみんなは…」

 

セーラー・テラの言葉を遮るように、再びカオスの声が響き渡った。

 

『…おぉぉ…なんと言う強い輝き…!我が闇を抑え込むというのか…

感情すら見えぬ冷たい光…。ガイア…そうか、なんと皮肉な巡り会わせ…

そうはさせぬ…我が闇のチカラ…絶対に消させぬぞっ…!

すべての光…我が世界の糧となるがいいっ…! 』

 

カオスがその声を荒げた。ラーの存在に、彼女の秘密に気付いたのか。

 

禍々しく激しい声に大地がガタガタと震え、クリスタルガーデンの地面が、凄まじい轟音を立てて隆起すると、瞬く間に大地が引き裂かれ、すべてを飲み込む奈落の闇が、地面にいくつも現れる。

 

セーラー・テラの足元をひとすじの影が走り抜けた瞬間地面が割れ、一角天馬=エリオスの翼が、彼女の身体を包み空へ駆け上がる。

 

「エリオスッ!お母様たちを助けてっ!」

 

セーラー・テラが叫ぶと、エリオスの額に輝く角から放たれた光が、キングとクィーンを包む。

エリオスの祈りが、二人に与えた飛翔の翼。

 

エリオスの輝きに導かれたネオ・クィーン・セレニティとキング・エンディミオンは、漆黒の空を駆け上がり、大地を引き裂くカオスの巨大な闇の力から紙一重で逃れた。

 

『…小賢しいマネを…っ!すべてはあの竪琴の音色… いいだろう。その忌ま忌ましい光… 城ごと飲み込んでくれるわっ…! 』

 

カオスから放たれた容赦ない闇の輝きが、ラーの光の歌を貫き、クリスタルパレスの前で歌う彼女を一直線に捉え、凄まじい速さで襲いかかる。

 

「ダメッ!逃げてっ…ラーッ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。