皇女という設定でVtuber始めたら大変なことになった 作:フルシチョフ
「これ、本当に現実…?」
私は自分のチャンネルを見ながらそう呟いた。
昨日の配信でなんと登録者が4桁になり、衰えることなく登録者数が増え続けている。
そして、何より紅葉ちゃんの件だ。
現在のVtuber界の土台を作ったと言っても過言ではない大物に認知されたことに私は喜びを抑えることができなり、枕を口元に持ってきてベッドの上でジタバタと足を動かしてしまう。
「〜〜〜っっ!!」
こんなはしたない所はメイド長とかに見られたくないな…。
そんなことを考えていると扉がノックされる。
私は慌ててベッドから飛び降り、服の皺を伸ばす。
扉の向こうから声がかかる。
「皇女様。先ほど苦しげな声が聞こえましたが大丈夫でしょうか?」
「んにっ!?」
嘘!?今の聞かれてた!?
「んにっ?」
「…いえ、なんでもないわ。問題ないわ」
「そうですか、ならよかったです」
扉を開けると、そこには190cmを超える巨体。赤髪をオールバックにしたいかにも剣士といった風貌をした男性がいた。
この男の名前は、サルエルト・リアーズ。私直属の護衛隊の隊長である。
「しかしサルエルト。私の生活音を聞くほどあなたって歪んでたかしら?」
「お戯れを。それが仕事なのです」
このサルエルト、なんと朝の0815から1700まで常に私の側にいて守ってくれている。正直、この特別な国で私を狙う輩など存在しないためただの形式上のものとなっているが。
「サルエルト、貴方最近疲れているわよね。何か気分転換になるものとかないの?」
「…そうですね。最近はスイーツ作りでしょうか?」
「あら意外」
ほんと意外だよ!私知ってるんだからこの見た目で夜中にスイーツをニコニコで作ってるってこと!!可愛かったわよ!!
「もし良ければ頂いてもいいからしら?」
「お口に合わないですよ」
「馬鹿ね、臣下が作った食べ物よ。美味しいに決まってるじゃない」
「これまた嬉しいお言葉を言ってくださりますね」
いや、謙遜とかじゃなくて貴方のお菓子ばちくそ上手いからな?
この前つまみ食いしてみたら旨すぎて……馬になったわ
まぁ、世間話とかこれぐらいにして仕事しますか!早く配信したいなー!!!
さぁ、きたわね。
配信の時間の数分前からコメント欄は私を目的に見にきてくれた人たちで賑わっている。
コメント:今日はなにをやるんですかね?
コメント:ホラゲーって書いてあるだろ読めねぇんかカス!
コメント:んだとオラァ!!
桜山銀/Gin Sakurayama:こんなところで喧嘩はめっ!
コメント:ママー!
コメント:ママごめんよー!!
前回の配信でJD(仮)さんが私のことをママと呼んだせいかこういうテンプレが出来つつある。
さてと、今日やるホラゲーは最近発売されたS○nyから発売された『Call not』というゲームである。
これがどんなゲームかというとある一人の青年が気がついたら真夜中の学校に居てだな
そんでな学校の窓などは全て開かなくなっているの
出られないからどうしようかなと思ったらなんと目の前にクラスメイトがいるではないか
呼ぶとそのクラスメイトは顔を歪ませあり得ない姿勢で追いかけてきたではないか。
まぁ、やってみたほうが早いか。
「みんな!こんにゃち!!」
コメント:こんにゃちー!
コメント:こんにゃちー!
コメント:噛んだ時の挨拶を使用するVtuberの鏡
津百合楓:面白い女
コメント:!?
コメント:くそ!またやべえーやつかよ!!
JD(仮):またって前にもやばい奴がいたの?
コメント:オメーだよ!
コメント:さくちゃんコメント読んで!
「えとえと、今日はねーCall notやっていくよー!…ん?なんでこんなにコメント欄が加速してえええええぇぇぇえええええ!!!??つゆ様!?!?!??!」
津百合楓。通称つゆ様。
あの天下の紅葉ちゃんが所属するニジライブの2期生の一人だ。
見た目は黒髪の清楚なお姉さんキャラなのだが口が悪いことで有名だ。
それこそゲームで負ければ暴言、騙されたら暴言といった具合である。
しかし、語彙力がないせいか罵倒は全て小学生レベルで逆に人気を博している。
「あ、あ、あ…!つゆ様ぁ…!」
コメント:反応がオタクのソレ
コメント:微妙に気色て好き
JD(仮):さくちゃんを困らせて食べる飯はうまいか?私は旨い
コメント:てめーは黙ってろ!!
津百合楓:今日は1リスナーで来たから気にしないで!
葉隠薫:お前そんなキャラだった?
コメント:二期生がどんどんくるな
「薫くん!?」
コメントに現れるはつゆ様と同期の葉隠薫くん。
前髪で片目を隠したまぁいわゆるイケメンVtuberだ。なんでこんなに二期生が…。
いやいや!はよ実況しなきゃ!!
「コホン!でわでわ気を取り直してやっていくでござんす」
コメント:口調バグってて草
コメント:さくちゃん可愛い。可愛くない?
コメント:さくちゃん可愛い。これは全世界共通認識なんだが??
コメント欄が可愛いで埋め尽くされていく中不穏な空気が流れ始めた。
まず、このCall not何が厳しいかというと主人公の他にも迷い込んだ人たちがいるということ。しかし、迷い込んだ人たちも呼んだら化け物になってしまうことを知っているため武器を持って襲いかかってくるかおもいっきし逃げていきます。
まぁ、このゲームデスロワイヤルホラゲーという新ジャンルなのである。
コメント:でもまぁよくこの鬼畜げーをチョイスしたな
コメント:これ化け物と人間の区別つかないし化け物じゃなくて人間も襲いかかってくるし、人間は殺せるけど化け物は殺せないし色々カオスだよな
コメント:…調理室
コメント:ヒェ
コメント:ネタバレNG
コメント:ユルシテ…ユルシテ…
コメント:トラウマえぐられている人いて草
コメント:さくちゃんホラゲー大丈夫なん?
え、ホラゲー大丈夫かって…?
んー、どうなんだろう。この国は幽霊より怖いものなんて沢山あるし…まぁ、ヘーキヘーキ!
「わかんないけどヘーキだと思う!」
葉隠薫:誰かこいつを止めてくれ
コメント:薫くん優しい
津百合楓:悲鳴助かる(素振り)
コメント:草
「よっしゃ、始まった!さてと、なるほどこういう始まりなんですね」
主人公の青年はアルバイトのため深夜のコンビニに足を向けた。
真夜中の星空は煌めいて見え、足取りが心なしか軽かった。
『あれ?』
青年は首を傾げる。
針が12時を回っているこの時間帯に幼い黒服の少女がこちらを電灯の下からジッと見つめているではないか。
長い髪で顔が隠れ、その表情を窺うことが出来ない。
しかし、不気味さと同時に心配する気持ちが彼を突き動かした。
青年には目の前の女の子とそう歳が変わらない妹がいたからだ。
『君、こんな時間にお出かけは危ないよ』
『ーーー』
『あぁ、ごめんね。いきなりで警戒しているよね。でも大丈夫。お兄さんがお家までちゃんと送ってあげるから』
ーーーだから、おいで
彼は、呼んでしまった。
どこからか笑い声が聞こえてくる。自分の背後からだ。
「へ、へぇー、なかなかにグラフィック綺麗でいいですね」
なんだよぉ…思った以上に怖いじゃないかよぉ……
コメント:ビックビクで草
コメント:震えてるさくちゃん正直にいって好き
JD(仮):この震え声だけであと64億年は生きれる
彼は咄嗟に振り返る。しかし、そこには何もなく電灯がチカチカと夜道を照らしていた。
『今のは一体……っ!』
再度、子供の方に目を向けるとそこには誰もいなかった。まるで、彼女の存在だけが綺麗に切り取られたかのようにあまりにも自然に時が流れていた。
そして、いきなり女の子の歪んだ表情が映し出される。
『ア゛ア“ア“ア“ア“ぁぁ』
「あびゃああああああ!!」
コメント:悲鳴可愛い
コメント:初見だとやっぱりそこでびびるよなw
コメント:なんかさっきから音が聞こえないんだけどなんで?
コメント:鼓膜の予備用意しとけよ
コメント:悲鳴助かるわぁ
JD(仮):着信音にした
津百合楓:目覚まし音にした
葉隠薫:君ら人の心無いの?
「おっしゃああああああああああああ!!!調理室の鍵ゲット!!」
配信から1時間が経過した頃、私のテンションは絶頂を迎えていた。
コメント:ホラゲーやるテンションじゃない
コメント:さっきからこの子口ぱくじゃん。やる気あんの?
コメント:また鼓膜の犠牲者が…
JD(仮):切り抜き確定
葉隠薫:でも調理室って…
コメント:あ
コメント:あ
コメント:スー
「なんだい!なんだい!余裕じゃないか!全然怖くないな!!おら!もっとこいよ!おらおらんびっぱっ!!」
コメント:んびっぱってなんやねんw
コメント:あ、君かー
まだ心臓がドクドクいっている。私が調理室の道に向かっていたら突然振り返って黒服の少女が真後ろにいるんだもん。
『ねぇ、次の調理室は嫌な予感がするの』
『嫌な予感?』
青年は少女の話に耳を傾ける。
既に故人となっているこの黒という少女は昔にいじめで亡くなったんだがその際の恨みでこの異次元の学校と化物を作り出してしまい、無関係な人を巻き込んでいるらしい。
目の前の黒は善な心のみをもつ幽霊で青年に力を貸してくれている。
そして、彼女がいう予感とは外れることない。
『ーーー恐らく次が最後の場所。調理室は私が殺された場所。そこに行けば私を、黒を成仏させることができる何かがあるはずよ』
彼女の言葉に背を押されるように扉に手をかける。
『ありがとう、力を貸してくれて』
『私こそありがとう。私のために頑張ってくれて。あなたに出会えて本当によかった。ーーーきっとお兄ちゃんがいたらこんな感じだったのね』
『ーーーまたな』
『うん、またね』
「うぅ…黒ちゃん……」
黒ちゃんは最初は怖かったけど本当に主人公を献身的に助けてくれたりしてくれてこのゲームの癒しだった。
コメント:このシーンは本当に泣けるね…
コメント:笑顔で消えていく姿なんてもうね…
JD(仮):鼻水止まらん…
津百合楓:つハンカチ
葉隠薫:その優しさを少しでも俺に分けてくれ
津百合楓:うるさい
「よし…いくよ皆!」
調理室の鍵を使いますか? ▶︎使う
まだ使わない
ガラガラ。
扉がゆっくりと開かれていく。
そこにはーーー
「………」
コメント:クリアした感想は?
コメント:こんなんトラウマ決定やろ…
コメント:海外で怖すぎて規制された理由がわかった
コメント:体の震えが止まらん
JD(仮):…がちで動かないな
ーーーはっ!あまりの怖さで失神してた!
「ご、ごめんね?ちょっと失神してた」
葉隠薫:重症ですねこれは…
コメント:ちょっと失神…?
コメント:皇女失神…閃かない
コメント:それでよし
「ふぅー!まぁ、無事にクリアできたからよしとしよう!でももうホラゲー配信しないからな!!」
コメント:鋼の意思を感じる
コメント:最後にエピローグやって終わりですね^^
ん?エピローグ?
あ、これかぁ。最初の電灯の所から何々コンビニに行けばいいのか。
そういえば此奴バイトに行く途中やったな。あんな目にあった後バイト行く精神やばくない?
青年はバイトの道のりを歩いていく。
すると、目前にコンビニの店長がこちらを笑顔で見つめていた。恐らく心配して探しに来てくれたんだろう。
「あ、お前!あの時はよくもやってくれたな!」
学校の中でもなんとこの店長がいたのだ。しかも、すぐ序盤で出会って呼んだら笑顔でブリッチしてな高速で追いかけてきたんだよな。
それで捕まってゲームオーバーになったのはいい思い出だ。
『てんちょー!』
青年は控えめな声量で店長を呼ぶと彼の顔の笑顔がどんどん広がっていく。
「え、え、え」
何これ何これ何これ!
その光景はあの学校で沢山見てきたソレだった。
店長は張り裂けた口元を見せつけるかのようにブリッジした。
そしてーーー店長の張り裂けた顔がアップで表示されゲームが終わった。
「んにいいいいいいいいいい!」
やりおったなあのご○カスうううううううう!!
コメント:一言お願いします
「もうホラゲーなんてやらんもん!」
銀ちゃん(さくちゃん)を応援するスレPart5
311 名無し
今日も可愛かったな
312 名無し
叫び声だけで20分以上あるのヤバすぎる
313 名無し
それだけCall notがやばいということ。ちなみに近々続編のCall not2が発売される模様
314 名無し
主人公の妹である莉音ちゃんが主人公だっけ?さくちゃんやってくれへんかな
315 名無し
『もうホラゲーなんてやらんもん!』
316 名無し
悲しいなぁ…
317 名無し
今更だがアルエスト王国の皇女と外見一致すぎだよな
318 名無し
リヒ様だっけか?まぁ、写真はテレビに映るの極端に嫌ってるから人伝いの情報だけどそうやなぁ
319 名無し
情報をもとに作ったんやろうなぁ
320 名無し
案外本人だったりしてw
321 名無し
そうだったら不徳を働いたJD(仮)さんは…
322 名無し
残念ながら…
323 JD(仮)
さくちゃんに殺されるならむしろ本望!!
324 名無し
頭のネジ逝かれてて草
567 有能ニキ
よし、今日のまとめだ。
さくちゃんの初のホラゲー配信。
ニジライブの2期生が見にきててオタな反応する。可愛い。
Callnotに完全にやられてしまったさくちゃん人生初の失神を経験する。可愛い。
ゲームで失神って相当やばいわね!
次の配信はマシュマロを読んだり、お歌を歌うらしい。
皆!くそまろを送るなよ!!
568 名無し
注意喚起を忘れない有能ニキ好き
皇女の護衛を終えた私は明日の仕事の準備を終え、調理室へときていた。
最近ハマっているスイーツ作りだ。
今日作るのは皇女の大好きなショートケーキだ。あの人に献上するものだから下手は許されない。
「よし、こんなもんか。後はスポンジを焼き上げて…。40分暇だな。どうするか」
そんなことを考えていると部下からお勧めされた動画サイトのことを思い出した。
スマフォの中に入っているそのアプリを開いてみると急上昇のところに私は目を疑うようなサムネイルがあった。
「リヒ様!?」
そう。我が皇女と瓜二つのキャラがいたのだ。
…これが噂に聞くVtuberというやつか。
『おっしゃああああああああああああ!!!調理室の鍵ゲット!!』
いや、皇女ではないな。
あの冷静沈着、頭脳明晰なあのお方がこんなお声を出すはずがない。
しかし、人を惹きつける声に関しては皇女と似通う所はある。
ゲームが終わり、このさくちゃんと呼ばれている桜山銀というVtuberは涙声で色々文句を言っている。
しかし、こうも夢中になって見れるものなのか…。
私はチャンネル登録ボタンを押して好奇心でコメントしてみる。
コメント:一言お願いします
『もうホラゲーなんてやらんもん!』
その言い方がなぜか幼き頃の皇女と重なり私は笑みを溢したのだった。
津百合楓:ニジライブのヤベーやつ
葉隠薫:ニジライブのぱぱポジション
次回はマシュマロと歌回です!
活動報告になんか質問とか書いてください!ねたがないんです!