時の勇者に成り代わったがオチを知らねぇ【完】 作:はしばみ ざくろ
ロックビルの神殿は、大口をあけて旅人を誘う。
入り口にある赤い石が光を反射して輝いた。雷の雨を抜け、いざ行かん巨人の元へ。
初めの部屋を通りすぎ、西側の部屋に。本物のボムチュウが無尽に走り回っている。
ひび割れた壁の向こうからブロックを取り出しスイッチを押す。残りはぬけがらを重しにすると、広場に繋がる扉が開いた。
床に罅が入っていたのでバクダンで壊すと、下の部屋に行けるようになった。飛びおりる。
「げ、アモスだ」
「こいつ爆発するから嫌なのよね」
溶岩で煮えたぎる床には太陽のブロックがあった。ミラーシールドで消し、ゴロンに変身する。
溶岩地帯にいるアモスと宝箱前のアモスをゴロンパンチで処理し、宝箱からダンジョンマップと小さなカギを手に入れた。
階段を上って先ほどの部屋に戻りカギの掛かっていた部屋に進む。水の揺れる音。ビーモスが動く音。
ゾーラリンクで水路を抜け、スイッチを押してカギを入手。さらに進むと鏡のある部屋にたどり着いた。
というか、流石に最後の神殿だけあって逆にわかりやすいな。
デク花→デクナッツ。水路→ゾーラ。溶岩→ゴロン。複数のスイッチはぬけがらのエレジー。太陽ブロックとかはミラーシールド。
水の神殿の迷路っぷりを見習ってほしい。嘘です君はそのままでいてね。
「これ、カガミ?なんかフツーのとは違うわね」
「ふむ・・・。鏡・・・反射・・・。ミラーシールドかな?」
上から降り注ぐ日光をミラーシールドで反射して鏡に当てると、光が蓄えられる。鏡から放たれる光を太陽ブロックに当てると消すことができた。コンパスを手に入れてカギの掛かった部屋へ。
柱をどかすと部屋に太陽光が降り注ぐ。先ほどと同じように鏡を使って先に進み、進路を塞ぐクロボーを捌いていく。
次の部屋では溶岩から上昇気流が出ていた。デク花があるのでデクナッツに変身する。
「あ、空が見え・・・ !」
「こいつ、ガロのお面の・・・?」
扉の向こうには青空と人影。
嗤いながらリンクの前に立ちふさがったのは、ガロのお面と同じ姿の男だった。
男は燃える剣を両腕に構え、リンクに突進する!
(さしずめボス・ガロってとこか)
慌てず回避し背後に斬撃を放つ。仰向けに倒れた男に止めの一撃。
「この私がやられるとは・・・敵ながら見事であった」
ふらつきながら立ち上がった男は、リンクを視認して口を開く。
「最後に我が言葉心して聞け・・・。聖なる黄金の輝きを放つモノは、神殿に光る赤いしるしを射抜き・・・天に大地が、地に月が生まれる衝撃をあたえるであろう・・・」
「赤いしるし・・・」
「入り口にそんなのなかった?」
ガロはバクダンを構えた。投げるのかと思いきや、何故か機嫌良く笑い出す。
「死してシカバネ残すまじ。それが我らガロの掟。もはや今生に未練もなし」
爆発。
爆風につぶった目を開けると、もうガロはどこにもいなかった。代わりに宝箱があらわれる。
「光の矢だ」
「ねえ、聖なる輝きってコレのことじゃない?」
「俺もそう思う。この矢を入り口の赤いしるしに当てるんだな」
ヒップループのいる部屋を通り抜けるとアイゴールが道を塞いでいた。面倒だな・・・。
まぁここまで来たら力尽くでどうにかなるので・・・。適当にぶっ飛ばして扉を開けると、初めの部屋に戻ってきた。入り口に向かおう。
赤いしるしを光の矢で射貫く。辺り一面から、地響き。
「ん?・・・ん!?」
「神殿が回転してるわ!」
天地はひっくり返る。
天に地を、表は裏に。
「随分大がかりな仕掛けね」
「天井が足場になったから不安定だな・・・」
中に戻って東の部屋に進む。次も上昇気流とデクナッツの部屋だ。
デクナッツは体重が軽くてスイッチが押せないのが欠点だろうか。カギを入手し次の部屋へ。
天井から溶岩が振ってきている。赤いしるしもあることから恐らく逆さまにしろということだろうが、だんだん変身するのが面倒になってきたので強行突破する。勇者の 力って すげー!
・・・で、次の部屋は・・・。ああココこそゴロンの力でブロックを運べということか。はいはい。
もう何度も神殿の仕掛けは解いてるからか、あんまり悩まなくなったな~。まあ俺は前世というメタ視点持ってるし。
けどブレワイみたいに複数回答が用意されてると逆に詰まったりするんだよな。アイスメーカーくんが思い出せなくてルッタで詰んだ話はやめろ。
ウィズローブとか敵じゃないですし~。
「コイツは何だ。また変なのが」
「デスアモスよ。この神殿の衛兵ね」
小さなカギを取り、次の部屋もデク花ジャンプで越える。渡り廊下を通れば暗い部屋にたどり着いた。
「うわっ」
「コウモリ・・・?」
よく見ると大量のコウモリが部屋を飛んでいる。羽音がだいぶ不快だ。
コウモリ達はやがて中央に集まり、魔物の笑い声と共に黒い靄が膨れあがる。
魔物ゴメス。初めて見るタイプだ。光の矢しか効かなそうな顔してんな。
大鎌を振りかぶる魔物に矢を撃つ。案の定光がコウモリを弾いた。そのまま連射。連射。連射!
聖なる光の力の前になすすべもなく魔物は蒸発した。ボス部屋のカギを手に入れる。
部屋を二つ戻り、先ほどスルーした扉を開く。
デスアモスの前から一段上の扉まで移動し、アイゴールを捌いて進むとボス部屋にたどり着く。
「砂漠・・・」
「リンク、下から来るわよ!」
大穴を落ちると外に出た。熱気と熱風がリンクを包み、砂嵐が視界を防ぐ。
最後の魔物は地中から来たる。
大型仮面虫ツインモルド。
赤と青の巨大なムカデ型のモンスター。砂の中を無尽に移動する上、空も飛べるようだ。
『奏者よ――――』
「あいつら、今までの奴とは違って弱点が見えないわね」
「ああ・・・ん?」
『奏者よ・・・』
「ん?」
「ん?」
なんか聞こえたぞオイ。これは巨人の声か・・・?
『我らの力を託す・・・。この力を使うのだ・・・』
リンクの前に光が産まれる。手を伸ばすと、それは形となって顕現した。
巨人の仮面を 手に入れた!
神秘的な仮面は大いなる力を宿す。
―――――装着。魔力がリンクの姿を変えていく。
遠い町すらも眼下に収める大きな体。文字通り、巨人となる。
「・・・アンタ すごいことになったわね・・・。でも今がチャンスよ!」
「仮面ってすごいなぁ・・・」
飛び回る魔物を鷲掴んで叩きつける!こんなんもう暴力ですよ。弱い者いじめやん・・・。
二匹ともまとめて振り回し岩に当てる。地面に当てる。全力で当てる。勝った!完!
魔物の仮面を拾い、ワープゲートをくぐり抜けた。光が膨らみ――――。
柔らかな風。流れる雲。輝くシャボン玉。最後の巨人が解放される。
「さあアンタの友達はみんな助けたわよ」
「巨人、仮面をありがとう。おかげで助かったよ」
雲影のむこうで巨人が微笑む。己が身を蝕む呪いは解けた。後は――――。
『わ た し た ち を よ ん で』
「いわれなくてもわかっているわよ!」
『と も を ゆ る せ』
「・・・友をゆるせ?ゆるせって・・・えっ、友・・・」
「・・・スタルキッドはお前達の友達なのか?」
巨人は頷いて、リンクを見つめる。悲しんでいるようにも、怒っているようにも、泣いているようにも見えた。
「スタルキッドのしたことを許すかどうかは、俺が決めることじゃない。お前達次第だよ」
シャボン玉はふわふわと揺れる。ふわふわと、雲海は遠ざかる――――――。
「その耳飾りは譲ろう。大事にしておくれ」
「ありがとう、女王様」
太陽の隠れた砂漠は冷たい。けれど、ゲルドの町は明かりを灯し、夜を過ごす喧騒がある。
雷の止んだ砂漠を眺める女は、お腹をゆっくり撫でた。母親の愛がそこにある。
「リンク。仮にも女の格好をしているのなら、そう足を開くものではない」
「あっ。・・・えへへ・・・」
いつもの癖であぐらをかいてしまったし、これ普通に性別バレてんな?
神殿を攻略し、もう日が暮れていたのでこっそりアベリアの部屋にお邪魔すると、女王は動じることなくリンクを招き入れた。チャットはバッグの中で休んでいる。
ブレワイではルージュのお部屋に入れたな。流石にレイアウトが大人の女性だが、あのオモチャとかは産まれてくる子供用だろう。
「あ、そうだ。これ出産祝いです。お子さんに」
「おや、月の涙じゃないか。美しいね」
青く輝く月の石を渡す。俺には必要ないし、なんかいいものらしいし、部屋とかに飾ってほしい。
・・・さて、そろそろ行かなきゃな。アンジュがナベかま亭で待っている。
「アベリア様、そろそろお暇します。お体には気を付けてください」
「ありがとう。・・・お前も、またおいで」
「・・・ええ、機会があれば」
月光に照らされる女王は美しかった。砂漠での一日が終わる。
二日目の朝、イカーナ渓谷に戻ってきた。
さっそく井戸に行こうと歩いていると、オルゴールハウスの扉が開く。
「あ!昨日の・・・」
「む、パメラちゃんのお父さん?」
すっかりギブドの呪縛から逃れた父親は、随分顔色が良くなっていた。
「あの、あなたが助けてくれたんですよね。オカリナを持っていた・・・」
「そうですよ。お加減はいかがですか」
「おかげさまで・・・。本当にありがとうございます」
パメラの父は妖精やゴースト、その他ありとあらゆるフシギなモノを研究している学者らしい。
しかし今回の一件はかなり響いたらしく、町に戻るつもりだそうだ。
「娘を心配させてまでここに居られません。研究は町でもできますし・・・」
「研究は続けるのね・・・」
「あのオルゴールから流れる音楽がギブドを払っていたんですよね。あの曲は?」
「あれは私が長年ギブドを研究し続けて、ついにたどりついたギブドを追い払う曲!さらばギブドのテーマです!よかったら楽譜をどうぞ!」
さらばギブドのテーマを 覚えた!
「ああ、そろそろ娘が起きてきます。では、どうかお気を付けて」
「そちらも。娘さんによろしく」
「もう呪われるんじゃないわよ!」
パメラの父と別れて枯井戸に進む。
長いハシゴを下って底に降り燭台に炎を灯していく。進んだ先、扉の前にギブドが陣取っていた。
(折角お面屋に使い方を教わったんだからお面で行くか~。空間に一体しかいないのに歌うのもなぁ。朝っぱらから高速歌唱はめんどい)
というわけでお面をつけて話しかけるぞ。
「同胞、そこをどいてくれるか?」
「オイテ~ケ~オイテ~ケ~。同胞よ~。葉っぱが出るポリポリ、オイテ~ケ~」
「葉っぱが出るポリポリ・・・。魔法のマメ?」
「あっコレコレ!我が青春に悔いな~し」
消えた・・・。
もしかして今のが未練だったのか?いや満足したならいいんだけどさ・・・。
その次も扉の前にギブドがうずくまっていた。
「オイテ~ケ~オイテ~ケ~。とれたてピチピチ、オイテ~ケ~」
「魚か?」
「あっコレコレ!我が青春に悔いな~し」
進むたびに色々要求され。
「オイテ~ケ~オイテ~ケ~。オバケ、そんでもってデカイのオイテ~ケ~」
「ビッグポウ!?持ってないぞそんなの」
「なければ用はない!カエ~レ~」
無いものはわざわざ取りに帰り。
「オイテ~ケ~オイテ~ケ~。ウシがある歌で出すもの、オイテ~ケ~」
「えっ何。ミルク?」
「あっコレコレ!我が青春に悔いな~し」
「合ってた・・・」
どんどんと先に進み、やがて最後の扉を開く。
「・・・え」
「な、なにかしらココ・・・」
石で作られた荘厳な神殿だ。それなりに広い。
細やかに作られた細工は美しく、地下にあるというのに明るく、年代物であるが古くささを感じさせない。
しかし、二人が驚いたのはそこではなく―――――。
「なんて禍々しい気配なの・・・!?あの扉の向こう・・・」
「これは・・・時の扉・・・?時空石で作られた・・・」
かつてリンクがハイラルの時の神殿で見た、時の扉が存在していたことだ。
神殿の奧に鎮座するその向こう側から、暗黒の魔力が流れ出ている。
床に描かれている3つの三角はトライフォースだろう。・・・トライフォース!?
「ここは女神の神殿。シーカー族の隠れた聖地」
「!」
「ケポラ・・・」
柱の上にフクロウが降り立つ。一体どうやってここまで来たんだ?全然気づかなかった。
「シーカー族?」
「・・・女神ハイリアの神殿ってことか?なぜ隠れる必要があったんだ」
「それは地上が壊滅状態になり、女神もいなくなってしまったからじゃ」
「・・・どういう・・・」
フクロウはやっと口を開く。
この世界の成り立ちを。ここまでの歴史を。
「一番初めから説明しよう。まずリンク、お主はこの話を知っているかな。“人々は昔、空の都に住んでいました”」
「ああ・・・。ハイリアで有名なお伽噺だろ?“女神の使いである神の鳥と共に、平和に暮らしていました”」
スカウォですね。あらすじしか知らんけど。
ハイラル城下にはそれっぽい絵本があったが、俺には関係ないと思って流し読みしかしてないんだよな・・・。
「それは事実じゃ。しかし、この世界が成り立ったのはそれより前。地上がハイリアの地と呼ばれていたころ」
「ふむ」
「―――それは空前にして絶後の激しく恐ろしい戦でした」
突如地を割り その姿を現した邪悪なる存在
彼らは大地に暮らす者達から 微笑みを奪い去ったのです
邪悪なる者は森を焼き 泉を枯らし 人を殺め続けました
彼らの目的はあの御方が 女神様が守りし万能の力
「この世界について説明するには、まずこの時代のことを話さなくてはならん。聞いてくれるかな」
「もちろん」
「ちゃんと説明しなさいよね!」
そして物語は語られる。
これはとある時に生きた人と、女神の話―――――――。
巨人の仮面
能力:巨人に変身する。
お面屋のコメント:これはなかなか珍しいものをお持ちで・・・。あなたに対する強い敬意を感じます。大事になさるとよろしいですよ。