時の勇者に成り代わったがオチを知らねぇ【完】 作:はしばみ ざくろ
内容的に間を開けたくなかったので投稿。
次回からは「ムジュラの仮面編」がはじまります。またお付き合いいただけると幸いです。
(・・・ねぇリンク。魔王は賢者達が封印するって言ってなかった?)
(えっ?あっ!忘れてた・・・)
六賢者、そしてゼルダによってリンクは地上に引き上げられた。
ぼろぼろになった体を癒やされ、ようやく二人は青空の下で再会する。
「ありがとうリンク・・・」
「どういたしまして」
ゼルダの手元に知恵のトライフォースはない。
時の神殿で捕らえられたとき、ようやく文字通り魔王に「泳がされていた」ことに気づいた。
どこから、といえば。森の神殿からだろう。ファントムガノンという分身を通じてこちらの存在を知り、あとは頃合を見て捕まえるだけ。いくら神に選ばれし姫だとしても、単身魔王に勝てるわけではない。
城の地下牢にいるゼルダをナビィが見つけ、賢者達の力を借りて脱出。外に出たときには、すでに戦いは佳境だった。
黒い太陽―――――すなわち死の重力。運命の分かれ道。
輝く魔力の奔流が魔王を貫き、雲を吹き飛ばしたとき、ようやく理解した。己の不甲斐なさを。
「これでこの世界も再び、平和な時を刻み始めるでしょう」
魔王を封印しなければと動いた体は、力と知恵のトライフォースが彼方に飛んでいくのを見て止まった。
リンクは、勇者は、魔王を殺したのだ。その覚悟たるや。
「・・・これまでの悲劇は、全て私のあやまちです」
恥ずかしい――――――。なにが女神の子孫だ。こんなにも迷惑をかけて・・・。
「おのれの未熟さをかえりみず、聖地を制御しようとし。さらにあなたまでこの争いに巻き込んでしまった・・・。聖地は誰のものではなく、私にトライフォースをもつ資格はないのに・・・」
「ゼルダ」
ここまで黙って聞いていたリンクが口を開く。・・・優しい声だった。いつかのように。
恐る恐る見上げた瞳は、青く、美しい。本当に・・・。
「そんなに自分を責めなくても、誰もゼルダを怒らないよ。あちらの方が上手だった、それだけの話だ」
「で、ですが・・・!私はこの国の罪と、己の過ちを正さねばなりません!マスターソードを眠りにつかせ、時の扉を閉ざすのです!」
「その判断には賛成するけど。―――――まるで俺が望まないまま剣を握ったような言い方は、ちょっと見過ごせないな?」
苦笑。
大義を果たしたとは思えないほど、柔らかい顔だった。
「貴女といい、あいつといい・・・どうしてそう決めつけるの。俺はゼルダと、賢者のみんなと、ハイリアにいる大切な人の力になりたいから戦ったんだよ」
頭が冷える。
ゼルダは悔しくて、悲しくて、でもリンクを否定したいわけじゃなくて―――――――。
「怖かったね、ゼルダ」
「――――――ぁ」
「インパもいなくなって、一人でよく頑張ったね。ゼルダとして―――――シークとして。だからもう少し、自分を褒めてあげてもいいと思うよ」
流れる涙がこんなに熱いことを、ゼルダは初めて知ったのだ。
「リンク、時のオカリナを私に」
「うん」
時の神殿で二人は別れる。ハイラルが平和になるとき、捻れた時空は元通りに。
大層な言葉も仕草も必要ない。けれど。
「ナビィ、お願いがあるんだ。聞いてくれる?」
「・・・なあに、リンク」
剣を台座に戻す前に、リンクには言わなくてはいけないことがある。
「ゼルダの側にいてあげてほしいな」
「えっ」
「・・・言うと思った!しょうがないわネ!ナビィがゼルダの側にいてあげるワ!」
ゼルダにはまだ支えが必要だ。でもリンクは過去に帰らなくてはいけない。
エポナはガノン城に行く前に、ロンロン牧場でお別れをしてきたし。
「ど、どうして・・・」
「リンクは大丈夫ヨ。あれで結構ノンビリしてるから」
「そうだよ。ゼルダ、ナビィをよろしくね」
横にあれこれ茶々を入れる相棒がいれば、落ち込んでる暇などないだろう。
そしてそういうリンクの気持ちを、ナビィはよくわかっている。
「またね、二人とも。次会うときもよろしくね」
「またネリンク!あんまり無茶しちゃダメよ!」
「――――――うん、またね。リンク・・・」
青い光がリンクを包む。すべてはあるべき場所へ。
「大丈夫だよゼルダ。どんなに離れていても、繋いだ心は離れないから」
「――――ありがとう、リンク。ナビィと一緒に、もう一度頑張るわ」
そして1つの物語が閉幕する。
―――――――ところで皆さんは、平行世界というものをご存じだろうか。
とある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指すもの。
時の勇者は7年後の未来に行き、魔王を倒した。亡骸は奈落へ落ち、封印はされなかった。
でも、
時の扉は、
―――――すなわち、時の勇者が魔王を倒し、封印がされた未来の世界。
―――――そもそも、時の勇者が魔王に敗北した世界。
―――――時の勇者が過去に帰り、ハイラルを旅立った世界。
世界は「横」に枝分かれした。今、あらゆる可能性が広がっていく。
―――――風が運ぶ新たな物語 風のタクト
―――――封印戦争後の物語 神々のトライフォース
そしてクーデターは未然に防がれ、時の勇者など存在しなかった。それでもハイラルの歴史は続いていく―――――時の勇者の次代の物語 トワイライトプリンセス
それでは、続きを語ろうか。
⊿▽月〇日 晴れ
や っ た ぜ
ついに魔王を倒しました。いえーいピースピース。
過去に戻りゼルダにクーデターのことを伝え、マスソにお別れし、デクの樹サマに改めて旅立つことを告げ。ロンロン牧場でエポナを譲ってもらい、さっくり旅立ちました。
別にやること終わったイエーイ自由だなんて思ってないよ。ほんとだよ。
今日は疲れたので寝ます!おやすみ!なんかトライフォースが宿ってるような気がするが気のせい気のせい!
明日もいい日になるといいね。なっハ○太郎!
⊿▽月@日 曇り
森を出てすぐの時に戻ったので、悲しいことに財布の中身もそのままである。
でも1つ残っているものがあった。魔法の杖だ。何故かこれだけはバッグのなかに入っていた。スゲー。
影の力もなくなっていた。あるべき場所に戻ったのだろう。・・・思うところはあるが、もう俺がハイラルにできることはない。
そういや時オカって続編あったっけ。あるならまだ油断は禁物だけど、まあなんとかなるやろ・・・。
ハイラルを出たのでもう俺はハイラル人ではなく、ちょっと耳がとがってるだけの人間だ。世の中は広い。
なので子供と舐めてかかってきた盗賊をさっくり半殺しにしても、バレなきゃセーフである。
ドーモ。トウゾク=サン。リンクです。イヤーッ!
魔法の杖
飛行、という概念を帯びた杖。炎・水・雷の属性を帯びたリボンが結ばれている。
すでに所有権は手放しているため手元には無い。
女神が来たるべき時のために、剣の精霊と共に残した剣。
空の勇者によって鍛え上げられ、女神ハイリアに祝福を受けた、勇者にしか扱えぬ聖剣。
剣は主の想いに呼応して力を発揮する。故に勇者の半身と呼ばれた。
ロンロン牧場の一人娘、マロンから譲り受けた馬。
マロンの母親が作った「歌」を知っているものにしか懐かず、暴れ馬として敬遠されていた。
7年後の世界で、ガノンドロフに献上される予定だったところ、あらわれたリンクによって牧場から解放。
過去に戻った後もリンクと共にハイラルを旅立ち、その生涯に寄り添うこととなる。
時のオカリナ
ハイラル王家に伝わる秘宝・・・?現在は時の勇者が所有。
時のブロック、時の扉と呼ばれるものを唯一動かせる。
時空石という特殊な石を用いて作られているようだ。