二等分の新郎   作:水流

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プロローグ

 

俺の名前は上杉 隆次

訳あって家が貧乏だ

そして、しょうがないのでモデルをやっている

あまり人に写真を撮られるのは好きじゃない

自分の顔も好きじゃないし

 

「兄さん、迎えに来てくれたんだ」

 

「あぁ、帰りが遅かったからな」

 

上杉 風太郎

2つに分かれたアホ毛が特徴的だ

出来る事なら兄さんと同じ顔が良かった

 

「今月分の給料。光熱費とかの足しにして」

 

そう言って封筒を渡すと押し返された

まただ

兄さんはいつもこうなんだ

 

「それはお前が稼いだ金だ。お前が使え」

 

兄の誠実?というのだろうか

こういう所は嫌いで好きだ

 

「・・・じゃあいつも通り半分渡す」

 

そう言って封筒から半分より少し多いくらいを取って渡す

こうでもしないと兄さんは受け取らない

なんでなのかよくわからないけど

 


 

黒髪にエメラルドグリーンの瞳

背は兄と全く同じ身長だ

1ミリも違わないで逆にびっくりしている

切れ長の割には大きい瞳だ

それはよく言われるがあまり実感していない

 

「焼肉定食焼肉抜きで!」

 

周りは兄の隣に俺がいるのが不思議でたまらないという

 

「じゃあ僕もそれで」

 

まぁ、変な事を言ってるもんね

焼肉定食の焼肉を取ったらただの定食だ

だけど兄さんは最安値を言っているのだ

 

4人用の席しか空いていないので、仕方なしにそこに座る

 

すると、兄さんと全く同じところにある女性がお盆を置いた

兄さんも変なところでムキになって席を譲らないし

 

兄さんの隣に仕方なしに移動して食事を開始

女の子はなんか無理して座ってる

単語帳を取り出して兄の真似をしながら食事を再開

 

「行儀が悪いですよ」

 

「テストの復讐をしてるんだ。ほっといてくれ」

 

「まぁまぁ兄さん。僕は兄さんの真似だよ」

 

笑いながら答えると女の子は顔が赤くなった

慣れてるから大丈夫だけどそんなにおかしいかな

 

「よほど追い込まれているんですね。なん点だったんですか?」

 

そう言って僕のと兄さんの答案を取った女の子

思わず呆気にとられた

この学校で俺らのこと知らない子が居るんだ

ふーん、面白い

 

「あ、おい!見るな!」

 

「えぇー上杉 風太郎君、点数は100点」

 

めっちゃびっくりしてる

まぁそうだろうな

 

「あーめっちゃ恥ずかしい!」

 

「わざと見せましたね!?」

 

気を取り直してと言わんばかりに手を叩いた子

しまった、俺は名前は書いてたんだ

 

「上杉 隆次・・・えっ!?」

 

点数もだろうが名前の方が有名なんだよな

街を歩いてる分なら誰も話しかけて来ないから忘れてたけど

 

「あのモデルの!?サイン下さい!!」

 

やっぱこうなったか

まぁ良いけどさ

何か書く物を探してるようだが生憎、ファンサービスはしない

それを伝えると残念そうだった

 

「そうです!私、良い事を思いつきました。せっかく相席になったんです。勉強、教えて下さいよ」

 

「「ご馳走様でした」」

 

「えぇ!!食べるの早・・・ご飯それで足りましたか?私の分を少し分けましょうか?」

 

兄弟揃ってご馳走様と言い、お盆を持った

女の子は心配してくれている

それなのに兄さんは

 

「満腹だね。むしろあんたが頼みすぎなんだよ。太るぞ」

 

「!ふとっ・・・こ、これは」

 

なんて事を言うんだよ

体型のことは言ってはいけないって小学生の時に習っただろ

何気に女の子はダイエットとかするんだ

言われるのは恥だと聞く

 

携帯を触っている兄をジト目で見る

だが、まったくもって効果は無い

 

「貴方みたいに無神経な人は初めてです。もう何もあげません」

 

サインもあげないのにこれはあんまりだな

そう考え直して

 

「僕で良ければ君に勉強を教えさせてくれないかな?」

 

「なんでですか?」

 

まぁ、ボロクソ言われたからな

この反応は当然と言える

 

「少し、君に興味があるんだ。駄目?」

 

まぁ、この子と言うよりも成績に興味がある

流石に20点は取れているだろう

 

「では、今日の放課後に私の住む家で行いましょう」

 

丁度、今日は空いてたな

 

すぐに了承したのだった

 

 


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