小便小僧のボヤ騒ぎ ~蝿川拓郎の謎解き日誌 落丁の四十頁~ 作:木村直輝
5
「先生! 事件だ!」
俺が勢いよくこころの相談室のドアを開けると、デスクに顔を落としていた先生が、がばっと顔を上げた
「ふぁふぇふぁふぉ! ふぉえふぁふぇんふふぁふぁふぃふぉふぁふぁふぁふぇ!」
「うわっ。口に物入れて喋んなって!
口の中にほおばっていた物を飲みこみ、先生が言う。
「……んんん、もう。騒がしいなぁ、藤崎くんは。事件って、今度は一体なんなんだい? この間のストロベリーサンデーと宇治金時かき氷とサイダーと……、フラペチ」
「いや、増やさなくていいから! それは今度、その気があったらな!」
「酷いな藤崎くん。私との約束を破るのかい?」
「その気があったらって言っただろ! そんなことより事件だって。先生も知ってるだろ? この間の事件の時にあった白瀬さん」
「あー、白瀬さんね。本当に可愛いよね。それにとっても良い子だよ。彼女は料理もできるみたいだし、お嫁さんに欲しいくらいだよ」
「また、馬鹿なこと言って。その、真面目で大人しい白瀬さんが斎藤と付き合ってるらしいんだよ」
「そうなのかい?」
先生がにこにこしながら紅茶をすする。
「いや、付き合ってるてのは噂なんだけどさ。今日、白瀬さんが斎藤に手作りのクッキーを渡してるの見たって奴がいてさ。あの二人、昼休みに二人してどっかいってたんだよ。しかも、白瀬さんから斎藤に声かけてだぜ? あの大人しい白瀬さんがだよ。絶対、付き合ってるよな?」
「さー、どうだろうね」
先生はそう言うと、お皿の上に綺麗に並べられたクッキーを頬張った。
「んー、おいひい」
あとがき
読んで下さり、ありがとうございます。不快感を与えてしまっていたら、申し訳ございません。
まず最初に、この後書きには重大なネタバレがあることを断っておこうと思います。勝手ながら、一応推理小説ですし、読んで頂く際は本文を先に読んで頂きたいと強く願います。
さて――。
今回のこの短編には、私のとある知人の存在が大きくかかわっております。
推理小説が好きだという彼との会話の中で、彼が思いついたトリックを使って一本書いてみたいと懇願した末に貰えたのが、今回この小説に使った収斂火災のトリックでした。
とはいえ、貰ったトリックは「車輪の金属部分が鏡のような光を反射する性質の強い金属にすり替えられている車を駐車しておき、現場とは別の場所にいながら火災を起こして殺害する」というようなものでしたし、収斂火災という言葉にも文献調査の末に自分で辿り着いたので、そのまま使わせて貰ったわけではないのですが……。
また、今回のようなトリックの使い方や構成も、粗方、最初から決まっていました。
トリックだけではなく、全体像にも大きな影響を与えた存在があることを告白しておこうと思います。
私が小学生の頃に出会った、今でも本当に好きな作品。はやみねかおるさんの『名探偵夢水清志郎事件ノート』シリーズ。この作品のパクリとまではいわないまでも、名探偵が普段はダメダメな点ですとか学生が主人公である点など、オマージュともいえるような部分は多いと思います。そしてなにより、その作品に登場する自称名探偵の美学がこの小説にも受け継がれております。ただ事件を解決するのが名探偵ではない、名探偵はみんなが笑顔になるように事件を解決するのだと……。
長長と、失礼致しました。
それでは最後に、この場をお借りしまして。
トリックをくれて、ミスリードの甘さを指摘してくれて、この間もジュースを奢ってくれたとある知人に(笑)――。
今まで私と関わって下さった全てに――。
そして何より、読んで下さった全ての方に――。
改めまして、貴方様に――。
ありがとうございます。
二〇一七年 三月 一日
二〇一七年 三月一三日 最終加筆修正
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
【お知らせ】
「小説家になろう」様に、短編推理小説『小便小僧のボヤ騒ぎ ~蝿川拓郎の謎解き日誌 落丁の四十頁~』を投稿致しました。
http://ncode.syosetu.com/n3984ea/
#推理小説 #短編 #素人 #アマチュア #立ちション #鎮火
――――――――――――――――――――
2020年6月2日
《link: https://twitter.com/naoki88888888/status/870590522733215744》https://twitter.com/naoki88888888/status/870590522733215744《/link》
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――